ビジネスパーソンインタビュー
「むしろ、追い風なんですよね」
「ファンをつくるために、ライブ配信やります」ラファエルが語るアカBANからの逆転戦略
新R25編集部
「拳 VS フロントガラス! 何発打てば車のフロントガラスは割れるのか?」「100万円ばらまき企画」など、過激な動画を投稿することでおなじみの人気YouTuber・ラファエルさん。
今年1月には、200万人以上の登録者数がいたYouTubeチャンネルがBAN(削除)されたことでも話題になりました。
そこから復活して現在は100万人近くまで登録者数は戻ったものの、これまでと同じようにはいかないはず。
そんなラファエルさんに「今後どうするつもりなんですか?」と直撃したところ、すでに次のチャレンジを考えていたことが判明しました。
〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉
【ラファエル】 2014年よりYouTubeにチャンネルを開設。メインチャンネル(現在は削除)登録者数は200万人にのぼる、「過激系」企画で人気のYouTuber。
サラリーマンだったラファエルさんがYouTuberになろうと思ったワケ
宮内
2017年まではサラリーマンとして働きながらYouTuberとしての活動をされていたと聞いて、ラファエルさんにすこし親近感が湧きました。
ラファエルさん
僕、意外と常識人ですからね(笑)。営業マンとして地味に成果も出してたんですよ。
当時係長まで最短で昇進したんですけど、僕が社会に出て最初に立てた目標が「フェラーリに乗ること」だったんで、全然物足りなくて…
宮内
(親近感を返してほしい)
ラファエルさん
それを達成するには、人より圧倒的に稼がないといけないじゃないですか。
だから入社して3年間、土日もずっとバイトしてたんです。
ラファエルさん
その延長で、もっと賢く稼ぎたいと起業を考えるようになって、「ネイルサロン」とか「マッサージ屋」とか、当時アツイと言われていたものはひと通り研究しました。
ちょうどそんなときですかね。CMで、YouTuberという存在を知ったんです。
宮内
稼ぐ手段は他にも考えていたなかで、最終的にYouTuberを選ばれたのはどうしてですか?
ラファエルさん
“まだないポジション”に自分が座れると思ったからです。
会社も同じですけど、自分が課長になりたいと思っても、今いる課長がその席をどかない限りは(課長に)なれないですよね。自分にいくら能力があっても、その人を蹴落とすまでにある程度時間がかかるじゃないですか。
近くで見るとすごくキレイな目をしているラファエルさん
ラファエルさん
僕はいつも最短でゴールに向かいたいと思ってるので、これから挑戦する市場に、「自分が座れる、“まだないポジション”があるかどうか」を大事にしてます。
宮内
ちなみに、当時のYouTuberになかったポジションって…
ラファエルさん
“おもしろい動画”をあげる人ですね。
僕、昔から深夜番組的なおもしろさが大好きだったんですよ。『ロンドンハーツ』のマジックメールとか。
宮内
なつかしい!
ラファエルさん
一方で、当時のYouTubeは“楽しい”が主流だったんです。
“楽しい”っていうのは、「げっぷをしないで炭酸を一気飲みする」に代表されるような、見ている人が「バカだなあ」と思えることで生まれる笑い。
ラファエルさん
だから、深夜番組のように怖いもの見たさでクリックされるような“おもしろい”動画を出すポジションはまだ埋まってないと思ったんです。
そこに他とかぶらない「金持ちキャラ」や「仮面」を掛け合わせて、武装してポジションをとりにいきました(笑)。
炎上しないために「あえてファンをつくらないこと」を意識していた。しかし…
宮内
ラファエルさんが目指した“おもしろい”動画って、過激なものも多いじゃないですか。
そういう動画を出している割に(?)世間から嫌われてない印象があるのですが、これってどうしてなのか気になっています…
ラファエルさん
え、本当? 嫌われてますよ?(笑)
足立区の小学校では「ラファエルの動画は見るな」って全校集会で言われるらしいしいですし。はっ〜、はっはっはっ。
爆笑してるんですが、伝わりません
ラファエルさん
まあでも、そこまで嫌われない理由があるとすれば、最初から「ファンをつくるのをやめよう」と思ってたからですかね。
宮内
えっ。
ラファエルさん
ファンをつくらなければ、そもそも炎上もしないじゃないですか。仮に炎上したとしても、それはアップした動画に対してだけで済む。
だから、あえて言わなくていいことまで言ったりして、「放っておこう」「この人に何言ってもしょうがない」と思われるブランディングを意図的に仕掛けたというのはあります。
宮内
でも、「稼ぎたい」という目的を達成するには、ファンがつかないと無理なのではとも思ってしまうのですが。
ラファエルさん
いや、YouTubeは動画がたくさん再生されれば儲かりますからね。
再生されるのに一番大事なことって、動画自体の企画がおもしろいかどうかです。それって、ファンが多いかどうかとはまた別の話じゃないですか。
宮内
言われてみれば、ラファエルさんのことを知らなくてもついクリックしたくなる動画ばかりです。
ラファエルさん
ただね、これには欠点もあります。
僕自身にファンがいない分、常におもしろい動画を出しつづけないとまったく再生されない。それを諦めた瞬間に終わるんですよね。
そんな最大の欠点をピンポイントで狙ったかのように起こったのが、この前のアカBAN(※)ですよ。
まだ事件のダメージが残っている模様
(※)2019年1月22日に、YouTubeのガイドラインに違反したとしてラファエルさんのメインチャンネルが削除された。アダルト系動画や、身体に影響を及ぼすような危険な動画をアップしていたことが原因と考えられる
宮内
ああ…。こりゃ「刀を取り上げられた武士」という表現がぴったりな…
ラファエルさん
自分がいけないんですが、かなり落ち込みました。あまり考えたくないですけど、6億再生分くらいパーになってますからね…
というわけで、僕に残された道は見事に「ファンをつくって好きになってもらう」しかなくなったんです。
これからも「ラファエル」を続けるために、アカBANはむしろチャンス
ラファエルさん
ただ、今はこのアカBANがむしろチャンスだと思ってるんです。
宮内
こんな状況なのにですか!?
ラファエルさん
僕は基本、Twitterで日常のつぶやきをツイートしても全然“いいね”がつかないタイプなんですけど、ちゃんとファンがついてるYouTuberだと、フォロワー数の8割以上から“いいね”がもらえたりするんです。
これを見て、ファンさえいればなんでもできるなと思いました。YouTubeに限らず、どのプラットフォームにいってもやっていける可能性があるじゃないですか。
ラファエルさん
そう考えると、これから長く生き残っていくためには、これも必要なことだったのかもなあ、と。
宮内
「ラファエル」としてのキャリアを考えると、むしろいいきっかけになったのかもしれないんですかね?
ラファエルさん
そう思いますよ。
もし、僕が自分の意志でファンをつくるような動きをしていたら、「ラファエルなんか変わったよね」ってアンチがついてしまっていた可能性もあります。
でも今回の状況を受けてなら、「頑張ってる」「かわいそうに」という応援もつきますし。いや〜、やっぱ追い風ですね!!
元気が出てきたようでよかったです
ファンをつくるために「ライブ配信」が重要な理由
宮内
でも、ラファエルさんは最大の武器を失った状況にいるわけですよね。
そのなかで、ここからどうファンをつくって挽回していくのか、なにか考えてることはあるんですか?
ラファエルさん
これはYouTuberで考えてみるとわかりやすかったんですが、SNSのエンゲージメントが高くてファンが多い人には、ある共通点があると感じてたんです。
宮内
共通点?
ラファエルさん
そういう人って、ライブ配信をたくさんやってたんです。
理由はシンプルで、ライブって生配信なので、基本的に視聴者との距離が近い。そうなると、ファンがつきやすいんですよね。
もっとも距離の近い場がオフ会だとしたら、その一歩手前がライブ配信。そのずっと後方にあるのが、YouTubeのように編集されたコンテンツを届けるプラットフォームです。
宮内
“近い”コンテンツを求めている人が多いってことなんでしょうか?
ラファエルさん
はい。特に、最近の若い世代はそうだと思いますね。
これは彼らがどんな状況で育ってきたかを想像してみるとわかりやすいんですけど、今の若い人たちって、物心ついた頃からインターネットがあって、1人1台スマートフォンを持ってるんです。さらにSNSによって、「憧れの人」との距離もどんどん近くなってるじゃないですか。
そうなると、手の届かない「スター的存在」というのは、もう時代にあっていないと思うんです。
宮内
「会いにいける」AKB48が成功したのも、そこかもしれませんね。
ラファエルさん
そう。だからみんなより身近なところでカリスマを求めるようになっていて、その距離が近ければ近いほど、ファンの熱量が濃くなるんですよ。
ラファエルさん
そう考えると、近い距離でユーザーとつながれるライブ配信は、これからどんどん若い世代をファンにつけられると思うんですよね。
宮内
なるほど。
ラファエルさん
YouTubeが出てきた時もそうですけど、バズるプラットフォームって誰も予想できないところからポッと出てきたりするじゃないですか。
でも大きな視点で考えてみると、すべて日本の歴史や経済が大きく関係していて、そこをうまく読めれば「これから来るもの」を嗅ぎ分けられる。
僕はそれが、次はライブ配信にある気がしていて。
ラファエルさん
今始めればかなり早い段階で関われることになるので、これをやらない手はないと思ってます。
それで僕も、最近は『17 Live(イチナナ)』で企画をやってるんです。
ライブ配信はユーザー1人1人がスポンサー。だからこそチャレンジできる幅が広い
ラファエルさん
あと、これは『17 Live』を実際やってみて思ったことなんですけど、ライブ配信の一番の強みって、ユーザー1人1人が自分のスポンサーになってくれるところなんですよね。
宮内
1人1人がスポンサーって、どういうことですか?
ラファエルさん
YouTubeは広告でお金が入りますよね。そうすると、スポンサーは企業になるじゃないですか。
一方で『17 Live』は、視聴者が投げ銭という機能をつかって、17 ライバー(ライブ配信者のこと)を直接支援できるんです。
宮内
スポンサーが個人ってそういうことか!
ラファエルさん
そうそう。そうなると、配信できる内容も制約を受けづらいんです。
定額動画配信サービスのオリジナル番組とかって、結構過激なものがありますよね。あれも、スポンサー(課金しているの)が個人だからできることで。
法律に気をつけて、あとは運営会社がNGと言っていることを破らなければ、無限大にチャレンジできるんです。
17 Liveでは「トークのラファエル」を定着させたい
宮内
ちなみに、ラファエルさんはこれから、ライブ配信でどんなことにチャレンジしていく予定なんですか?
ラファエルさん
『17 Live』で「ラファエルはトークもいけるヤツ」という印象をつけたいですね。
ライブ配信って編集でおもしろくすることができないから、地力がかなり問われるんです。
だからそこを活用して「ライブなのにしゃべりが面白い」ってなったら、どんどん違う仕事がくるんじゃないかなと。
宮内
ファンもつくれるし、一石二鳥ですね。
ラファエルさん
そう考えると、ライブ配信は僕がステップアップするために、かなり重要な手段になってくるかもしれません。
トップYouTuberであり、トップ17 ライバーっていうのも、“まだないポジション”ですしね。
「僕って顔が仮面で表情が見えないから、人間味ないですよね」
取材中、そう話していたラファエルさん。
そんな言葉とは裏腹に、何度も垣間見えた人間味あふれる発言。もしかしたら私は「仮面のなかのラファエルさん」と対話することができたんじゃないかと思って、ちょっと嬉しくなりました。
「ライブ配信」という舞台では、一体どんな姿を見せてくれるのか。これからのラファエルさんを楽しみにしています。
17 Live ラファエル
ラファエルさんのアカウントはこちら!
4月18日〜22日に5日間限定で、ラファエルさんが17 Liveに登場します!
1日目から4日目の配信で1名ずつ、合計4名がラファエルさんのライブ配信に出演し、17 ライバーの全てをアピールしてもらいます。
5日目には、プロデュースしたい17 ライバーをラファエルさんから大発表!
ラファエルさんの目に止まり、「夢」の実現に前進できるのは一体誰なのか!? 乞うご期待!
〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=森カズシゲ〉
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