ビジネスパーソンインタビュー
「若者のモノ離れ」と言われているのはなぜ?
“車のサブスク”にも注目。ミレニアル世代のお金の専門家が教える「賢い消費のコツ」
新R25編集部
最近、「若者のモノ離れ」「所有欲の低下」みたいな言葉をよく耳にしますよね。
ただ、まさにR25世代である福田(26歳)は、当事者としてその言葉にピンと来ていないもよう。
実際、“若者の消費のリアル”はどうなっているのか? ミレニアル世代のお金の専門家である横川楓さんに話を聞いてきました!
【横川 楓 (よこかわ かえで)】ミレニアル世代のお金の専門家。1990年東京生まれ。 明治大学法学部卒業後、同大学院へ進学、24歳で経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。在学中には地下アイドルの経験し、異色の経歴を持つ。現在は特に若い世代やお金のことをあまり知らない世代へお金の知識の啓蒙活動を行なう。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)
最近の若者は「モノを手放すサイクル」が早い。効率的な消費を求めている
福田
最近、若者の「モノ離れ」「所有欲の低下」という言葉をよく耳にします。なぜこのようなことが言われているのでしょうか?
横川さん
それは、モノを持って(買って)から、手放すまでのサイクルが早くなっているからだと思います。
今はフリマアプリなどを使って、いらなくなったらいつでも売ることができますよね。
最近はミニマリスト的な考え方が流行っていますが、それもスマホの普及に伴って、こういったサービスが当たり前に利用できるようになったことが影響していると思います。
福田
そう考えると、「モノを買わなくなった」というニュアンスとはちょっと違うんですかね?
横川さん
そうですね。消費自体が減っているというわけではないと思います。
あとは、“手間をカットするため”に「消費=所有」とならないものにお金をかけているのも、この世代の特徴なんですよ。
横川さん
わかりやすいのが、音楽や映像コンテンツで主流になっている、サブスクリプションサービス(※)です。
※提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う、音楽やコンテンツ配信サービスで主流な形態。「定額制」と同じ意味で用いられることが多い。
福田
僕も映画やアニメが見放題なサービスにいくつか登録してます。
ただ、「見たいリスト」にどんどん作品が溜まるばかりで、まだ活用しきれてないんですけど…
横川さん
でも多分、1カ月見なかったからってすぐに解約はしませんよね?(笑)
それでもお金を払いつづけているのは、「見たい」となったときの手間を省きたいからだと思うんですよ。
福田
わかります。いちいちお店に行って、棚のなかから探して…っていうのはもう面倒です。
横川さん
でも、サブスクリプションサービスを使えばスマートフォンだけですべてができる。
単純に料金がおトクかどうか以上に、“家のなかですべての行動を完結できる”ところに価値を感じている人が多いんですよね。
ついに車までサブスクに。カーシェアとは何が違うの?
横川さん
私もファッション系のサブスクリプションサービスを利用していますが、ブランドバックのような高級品は、心のどこかで“買えないけど持ちたい”と思っている人が多いと思うんですよね。
横川さん
今の若い世代は生まれたときから不景気で、高価なものを所有することに対してどこかで諦めがあるんです。
車に関してもそうで、最近は「若者の車離れ」とも言われてますけど、それは車を持つこと自体を諦めている部分もあるのかなと。
福田
わかります。
「マイカーだぞ」とドヤってみたい気持ちはありつつ、金銭面の不安や手間を考えて、結局カーシェアに落ち着いちゃったり。
横川さん
そこで私がおもしろいなと思ったのは、最近トヨタが始めた「KINTO」という車のサブスクリプションサービスです。
福田
車までサブスクに…でもそれ、カーシェアとは違うんですか?
横川さん
「購入とカーシェアの間」ですね。
カーシェアだと、使いたい時に予約が埋まっていることもあるし、時間がきたら返さないといけないですよね。
KINTOは、月額料金(定額)を払えば車を自分の駐車場に置くことができて、使いたいときに使えます。だから、感覚としてはほぼ「自分の車」なんです。
福田
なるほど。でも、実際に車を持つとなると車検で急にお金がかかるし、いろんな手続きもめんどくさそうですよね…
横川さん
そうですね。ただ、KINTOなら登録時の諸費用・税金、毎年かかる自動車税、定期メンテナンス、任意保険などが月額料金のなかにパッケージ化されてるんですよ。
横川さん
また、申し込みもオンラインで完結するので、煩雑な手続きも不要なんです。
福田
へ〜! これなら車を買うハードルが下がりますね。
「KINTO」は若ければ若いほどおトク!?
横川さん
ちなみに、車の保険料って(運転経験が浅い)若い人ほど高いのって知ってました?
福田
えっ、そうなんですか? 僕の年齢(25歳)だとどのくらいになるんでしょうか…?
横川さん
等級や年齢などの条件によっても変わるのですが、20代前半だと年間で20万円を超える保険料になるといったケースもあります。
福田
げっ…結構かかるんですね。
横川さん
ただ、KINTOは月額利用料のなかに任意保険も含まれていて、年齢に関わらず毎月の支払い額が一定なんですよ。
福田
ということは、若いうちに利用したほうがおトクということですね!
横川さん
そうですね。また、車を売ったり中古査定に出したりするのって意外と大変ですが、KINTOなら3年で新しい車に乗り換えることができるんですよ。
だから、車検(※)を受ける必要もないんです。手間もコストも負担が大きい車検の必要がないのも、ミレニアル世代にはうれしいですよね。
※通常、自家用乗用車として新車を購入した場合、初回の車検は3年で受けなくてはならず、以降は車齢にかかわらず2年ごとに受ける必要があります
福田
車検の出費って突然だから、結構苦しいですもんね…
それに、最近の車は進化も早いから、自分が乗ってる車が古くならないというのも理想的ですね。
横川さん
こういう車の持ち方って、まだあまり馴染みがないと思うんですけど、手間をカットすることにお金をかけたり、トレンドに敏感なミレニアル世代に、実はすごく合っているんじゃないかと思うんですよね。
賢い消費をするために、新しいサービスに敏感になろう
横川さん
最近よく、「どうしたら若いうちから賢くお金を貯められますか?」という質問をされるんですよ。
「貯める」というと、“お給料をあげよう”とか“資産運用をして増やそう”とか、お金を生み出すことばかり考える人が多いんですけど、それは長期的な話じゃないですか。
福田
まさに僕、「貯めよう」と思って投資を始めたばっかりです…
横川さん
もちろんそれも将来を考えたうえでは必要です。
ただ、自分に必要なものだけを賢く選ぶ消費を意識することも、すぐにできる大切なことだと思うんです。
福田
なるほど。でも、どうすれば賢い消費ができるようになるんでしょうか?
横川さん
新しいサービスに敏感になることです。
今は若い人たちの消費傾向やニーズに合ったサービスが続々と出てきていますから。
福田
まさに今日も初めて知るサービスばかりで、IT企業に勤める身として反省していたところです。
横川さん
新しいものにすぐ飛びつく必要はないですが、選択肢は多ければ多いほど賢い消費ができますよね。
まずは、自分のライフスタイルやステージにあったサービスをうまく活用していくことが、お金が貯まる状態を生み出す土台になると思います。
じつはひっそりと「車がほしい」と思っていた福田。取材後、さっそくKINTOのサイトを食い入るように見ていました。
これから盛り上がるかもしれない「車のサブスクリプションサービス」。自分の車を持ってみたいという思いがある人は、一度じっくり検討してみてはいかがでしょうか?
〈取材=福田啄也(@fkd1111)/文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=森カズシゲ〉
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