ビジネスパーソンインタビュー
無意識に設定しているマイルールを手放せ
“趣味がない”人は必見! 行動心理の専門家に聞く「趣味が見つかる思考法と継続のコツ」
新R25編集部
「あなたの趣味は何ですか?」
そう人に聞かれたとき、困ったことありませんか?
当たり障りのない趣味を適当に言っている人、履歴書の「趣味・特技欄」にはとりあえず意識の高い趣味を書く人。また、「趣味といえるほどのものがない」とコンプレックスを感じている人もいるかと思います。
そんな人は、どうやって趣味を探せばいいんでしょうか?
そこで今回は、1万人以上の「夢の実現」を後押してきた、行動心理コンサルタントの鶴田豊和さんに取材。“本当に自分の好きなこと”を趣味にできる思考法を教えてもらいました!
【鶴田豊和(つるた・とよかず)】一般社団法人 本質力開発協会 代表理事、行動心理コンサルタント。マイクロソフトの人事として数千人の面接に立ち会い、社内でトップ3%に入る成果を出し「Asia Gold Club Award」を受賞した経験を持つ。独立後は、誰もが無理なく、自然体で結果を出せる行動心理メソッド「エッセンシャルコード」をもとに、1万人以上の夢を後押しするメンターとして活躍。主な著書は『「めんどくさい」がなくなる本』(フォレスト出版)など
「趣味がない」と言ってる人はまわりを気にしすぎているだけ
松本
「趣味は何ですか?」って聞かれると、困ってしまう人が多いみたいです…
どうすればいいんでしょう?
鶴田さん
そもそも、ホントは趣味がない人なんていないんですよ。
そうなんですか…?
松本
でも、「無趣味コンプレックス」で悩んでいる人って、私のまわりにもけっこういますよ?
鶴田さん
みんな「趣味」ってかしこまって言うとなると、ハードルが上がるんですよね。
「趣味と言ってもいいレベルに到達していない」と話すのをためらったり、「こんな程度じゃ『好き』って言っちゃいけない」って思ったりしている。
でも、それだってきっと立派な趣味。「趣味って言っちゃいけないかも」なんて気にしすぎです。
松本
あー、食べることは好きだけど、グルメブログを更新しているわけでもないし…みたいに自粛しちゃうのはありそうです。
鶴田さん
あとは、すごく好きなことがあるけれど、相手に引かれそうな趣味だから「趣味は何ですか?」って聞かれても答えられないパターンもありますね。
松本
それもありますね〜。私、仏像好きなんですけど、場合によっては無難に「カフェめぐり」とか言っちゃいます(笑)。
なんかちょっと嘘をついてる感じで気になりますが。
鶴田さん
大丈夫、それが普通です! 今は堂々と言える趣味も、ほかのコミュニティに移ったら言いにくいことなんてよくあります。
私だって昔は自己啓発系のセミナーにたくさん行ってましたけど、そういうことを言うと「意識高い」って思われるので自分からは言いませんでしたし(笑)。
ちょっと安心しました
趣味探しするには、自分のタイプを見極めよう。理屈で考えすぎないこと
松本
とはいえ、やっぱり心から好きなことが見つかっていない人はいると思います。
自分の好きなことや趣味を探すには、どうしたらいいんでしょうか…?
鶴田さん
まずは、自分が「逆算型」なのか「展開型」なのか、考えてみてください。
逆算型は目的を持って、そのために必要なプロセスをひとつずつ重ねていくタイプ。そういう人は、趣味を見つけるときもまずは目的から考えるのがいいと思います。
鶴田さん
もうひとつの展開型は、明確な目的を持たずに「なんとなくこういうことができたらいいな」といろんな経験をしていくタイプ。
毎日、目の前のことをひたすらやっていると、いつの間にかそれが趣味になったり、そのきっかけになります。
こんなふうにタイプを見極めると、趣味が見つけやすいはず。
松本
んーなるほど。でも、あんまり解決になってない気も…
鶴田さん
どちらのタイプであっても、子どもを参考にしましょう!
松本
子ども…ですか?
鶴田さん
子どもって好きなことは「好き」って言うじゃないですか。「どうして好きなの?」って聞いても「好きだから」しか言わない。
そんなふうに、もっと感情に素直になっていいんですよ!
松本
みんな、すでに好きなものに出会ってるはずだってことですね。
鶴田さん
はい。ほかにも子どもに見習ってほしいことがあって、「AとBどっちが好き?」って聞くと「どっちも」って言うんですよね。
同じように、好きなことを仕事にするほど突き詰めてるような大人は、興味がある複数のことを同時に進めてますよね。
松本
なるほど。何か新しいことを始めるとき、将来の自分に役立つものを厳選して取り組まなきゃいけないと思ってたかも。
鶴田さん
でも、そうすると全然楽しくないですよね?
「将来役に立ちそう」って思ってやっている趣味って、損得で動いているだけだから苦痛なんですよ。
鶴田さん
苦痛なことだと結局は中途半端になるから、まさに「趣味と言えないレベル」で終わってしまう。
なので、とにかく子どもの「好きなものは好き。理屈で考えすぎない」って姿勢を意識してほしいですね。
趣味になりそうなことを続けるためには、過程でワクワクできることが大事
松本
趣味になりそうなことを始めても、3日坊主で終わってしまうことってよくあると思います。
続かない原因って何なんでしょう?
鶴田さん
英語など上達が必要なものに多い原因は、「過程」でワクワクできていないこと。みんな、それを習得できたときのことしか頭になくて、そのプロセスを全然楽しめてない。
楽しくないと続かないでしょ?
松本
たしかに、「英語を話せたら世界中どこでも行けるじゃん!」って、テンション上がるんですけど、その前に「単語の勉強しなきゃいけない」と考えたらまったく行動できなかったことがあります…
そういうことですか?
鶴田さん
そうです(笑)。ちなみに私は英語が大嫌いだったのに過程でワクワクできたので、独学でTOEICを385点から945点まで上げられたんですよ。
嫌いなのに?
鶴田さん
これはそもそも点数を目標にしていたわけでないんです。
きっかけは大学時代に誘われた英会話のサークルです。活動の一環で8泊9日の語学合宿をすることになったんですけど、私は英語の挨拶すらできなかったので最初は地獄でしたね。
でも、途中で英語をツールとして使って、人とコミュニケーションをとることの楽しさに気づいたんですよ。
松本
そっか! 鶴田さんの場合は、コミュニケーションを取ることが楽しかったので、それをより充実させるために英語が趣味になったということですね。
鶴田さん
その通りです! 合宿で机に向かう勉強も続けられたのは、もっと相手と話せるようになりたいと思っていたからだったんです。
シンプルに、それをやっていて楽しいかどうか、その時間を幸せに過ごせるかどうかだけで考えれば、自分の趣味に気づくし、続くはず。
鶴田さん
この方法は、いろんなところに使えます。
たとえば、なんとなく洋服を選ぶのではなく、ちゃんとテンションが上がるものを選んで積極的に身につける。すると知識が身につくし、継続できるはず。
つまり「ファッションを趣味にする」っていう目的ではなく、好きな服を買って身につけるというプロセスを楽しむと、いつのまにか趣味として人に語れるようになるということです。
松本
なるほど。自然と継続できると思える、身近な“好き“”を突き詰めるわけですね! これならできそうです。
“好き”を続けるためには、「頭・心・体」の向きを揃えることが必要
鶴田さん
ただし、このときに気をつけて欲しいのは、「頭・心・体」が同じ方向を向くようにすること。
みなさんが続かない原因は、頭だけが趣味に向かおうとしていて、心と体が悲鳴をあげているせいですから。
松本
具体的にはどういうことでしょう?
鶴田さん
頭では「これをやれば仕事で使えそう」と考えていたとしても、心や体はワクワクしてないっていう感じですね。
松本
じゃあ「頭・心・体」の向きを揃えるにはどうしたらいいですか?
【「頭・心・体」の向きを揃える方法①】ぼーっとする時間を作る
鶴田さん
まず、頭の中を空っぽにするために、ぼーっとする時間を持ってください。
松本
ぼーっとする?
鶴田さん
「好き」を行動に移すことって、エネルギーが必要なんですよ。だから、疲れ切って何もできない状態だと、いくら好きなことでも心から楽しめません。
そんな状態から抜け出すために「ぼーっとする時間」が必要なんです。
松本
なるほど…
鶴田さん
みんな仕事の日は忙しいから、「休みになったらやろう」と思っていることがありますよね。でも結局は寝すぎてだらだらしてしまう。
それで「しまった、自分はなんてダメなやつなんだ」って後悔するでしょ?
それ、先週末の私です
鶴田さん
そういうふうに、休息すべきときに自分を責めていたら、まったく休息になりません。
一方で、休むことを認めれば、心置きなく休めるから回復時間も短くなる。そうすると「よし、今日はじっくり寝たぞ! 明日は出かけよう」と思えますよね。
もし、休みことに罪悪感を覚えてしまうようであれば、自分を責めなくてもよくなる習慣を作ることが大切です。
松本
自分を責めなくてもよくなる習慣!? ぜひ教えていただきたいです!
【「頭・心・体」の向きを揃える方法②】ストレス発散をする
鶴田さん
ひとつは、カラオケでもなんでもいいんですけど、自分なりのストレス発散方法を持つこと。
これがあれば心にゆとりが生まれて、自分を責めなくなります。
松本
なるほど。たしかにストレスって意識的に発散しないと溜まっていきますもんね…
【「頭・心・体」の向きを揃える方法③】無意識に設定していたマイルールを手放す
鶴田さん
もうひとつは、自分が無意識のうちに持っているルールを減らして、ストレスを感じにくくすること。
たとえば、恋人がのんびり準備をしていてイライラしたとします。このイライラの原因は相手が悪いのではなく、「準備はテキパキと済ませなければいけない」というマイルールをその人が破ったからです。
松本
…そういうのありますね。
鶴田さん
だからみなさんも、まずイライラしたときには相手を責める前に、「マイルールが影響しているんじゃないか」と考え直してほしいです。
松本
考え直す…もっと具体的なやり方はありませんか?
鶴田さん
どういうところが許せないのかを考えながら、マイルールをノートに書き出しましょう。そして、語尾を「してもいいし、しなくてもいい」に変えて、3回唱えます。
たとえば、「週末はダラダラすべきではない」というマイルールがあったら「週末はダラダラしてもいいし、しなくてもいい」といったように。
松本
言うだけでも考えに影響があるんですか?
鶴田さん
そうですね。言葉を何度も繰り返し唱えると、記憶をつかさどる海馬が、「これは必要な情報だ」と錯覚して脳に刻み込んでくれるんです。
そうやって、「してもいい」を書いたノートを声を出しながら読み返してみると、「このルールを破るのはダメなやつだ」と思わなくなるから、自分を責めることもなくなるんですよ。
私が行った講習のアンケートでも、これで心が楽になったと言っていただくことが多いです。
松本
実際にやりたくなってきました(笑)。
鶴田さん
心に余裕が生まれることで、本当に好きなもの、やりたいことが見えてきます。
そうしたら、身の回りに「好き」を増やしていってみてください。たとえば、小物をひとつ、好きなものにしてみるとか。
それが増えていけば「好き」で囲まれた生活に変わり、いつの間にか趣味になっている。そういうものなんです。
ご自身の経験をもとに「楽しいことを求めていれば趣味になる」と話してくださった鶴田さん。
取材のなかでポロっと出た「みんな、人からバカにされたくない、嫌われたくない、変だと思われたくない…と気にしすぎている」という言葉がとても印象的でした。
私たちは、自分の本当の気持ちをないがしろにして、他人からの見え方ばかり考えて、自分で自分をがんじがらめにしているのかもしれません。
まずは、ちょっとだけ気になっていること、なんとなく興味があることを試しにやってみてください。「試しに始めたことは、全部続けてもいいし、続けなくてもいい」。これを3回唱えれば、気軽にスタートできるはず!
〈取材・文=松本紋芽(@Sta_iM)/編集・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉
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