

「子どものころからあだ名が“トモキン”だったんです」
パクリ批判、再生回数減を乗り越え…登録者数11万、トップを追いかけるYouTuberの反撃
新R25編集部
「子どもがなりたい職業ランキング」の常連としてもすっかり定着したYouTuber。
とはいえ、メディアに取り上げられるのは登録者数100万人の大台に乗る一握りのトップYouTuberばかり。現在日本には1万人以上のYouTuberがいるとも言われており、そのほとんどは食べていくことすら難しいのでは…?
今回は、そんなYouTuberのリアルな実態を探るべく、YouTuber歴5年、登録者数11万人のヒューマンビートボクサー・TOMOKINさんにお話を伺ってきました。
名前と活動内容から、どうしても“あの方”を連想してしまうTOMOKINさんですが、はたして何か関係はあるのか…?
【TOMOKIN】Google公式YouTuber。チャンネル登録者数は11万人を突破しており、YouTube公式バッジも取得。エンジニア業の都合で半年ほどアメリカに駐在した経験をもとに、海外の視聴者に向けたビートボックスの動画を配信し注目を集めている。アメリカ本場でのTEDトークにも登壇しており、その人生経験の幅の広さからテレビ、ラジオなどにも出演

サノ
あの…TOMOKINさんは、ビートボックスの動画をメインで投稿されているんですよね?
その…「HIKAKINの二番煎じじゃん」って言われたこと、ないですか…?
ごめんなさいごめんなさい…!

TOMOKINさん
めっちゃあります。

サノ
やっぱりあるんかーい!!

TOMOKINさん
あるどころか、そもそも僕がYouTuberになろうと思ったのは、「HIKAKINのパクリじゃん」と言われたことがきっかけだったんです。
学生時代のビートボックス動画が、パクリ疑惑で大炎上

TOMOKINさん
僕、もともとYouTuberになろうなんて全然思ってもいなくて、大学の学園祭でビートボックスのパフォーマンスをした映像を1本だけ、記念のつもりでYouTubeに投稿したんですよ。
そのときに、僕は本名が友金(ともがね)で、子どものころからあだ名が「トモキン」だったので、そのままアカウント名を「TOMOKIN」にしたんです。
で、卒業後は就職してエンジニアになって、サラリーマンとして慌ただしく生活を送っていたんですけど…ある日、YouTubeから大量の通知メールが送られてきて。

サノ
えっ…怖い…
なんだったんですか?

TOMOKINさん
「お前HIKAKINのパクリだろ! はやく辞めろ!」ってコメントが山のように送りつけられて、1年越しで動画が大炎上していたんです。
もともとHIKAKINさんとはビートボックスの大会などで学生時代にお会いしていたんですけど、僕はその炎上ではじめて、彼が日本のトップYouTuberになっていたことを知りました。
「アカウントを消したほうがいいのかな…」とも悩んだんですけど、「いや、むしろこれをきっかけにYouTuberになったら伸びるんじゃ…?」と逆転の発想がパッと浮かんで。

サノ
(ポジティブだな…)でもそのときは会社員として働いていたわけですよね。
もともとYouTuberにも興味があったのですか?

TOMOKINさん
YouTuberに興味があったというよりは、働きながら、「何で今こんなところにいるんだろう」とグズグズくすぶっていたことが大きかったと思います。学生時代には夢だった「ハモネプリーグ」に出演できたのに、それに比べて今の自分は…という葛藤がずっとあって。
「何かで突き抜けたい」という漠然とした思いが就職後もずっと残っていて、土日にライブ活動を続けてあがいていました。
だから、パクリ疑惑で炎上してしまったときに、「これは逆にチャンスかもしれない」と思えたんだと思います。
登録者数はあっという間に4万人いったものの…

サノ
パクリと言われながらのスタートで、しばらくは批判コメントが多かったりしたのでしょうか?

TOMOKINさん
それが、いざ活動を始めてみたら、半年くらいでかなり軌道に乗ったんです。
学生時代、アルバイトで塾講師をしていたので解説力には自信があって、「ボイスパーカッション講座」という形でHIKAKINさんと差別化を図ったところ、登録者数もあっという間に4万人くらいまでいった。
当時にしたらけっこういい数字だったので、本格的にYouTuberに軸足を移そうと思いはじめました。

TOMOKINさん
でも、活動開始から1年くらい経って、YouTube活動での収入だけでも生活できるくらいまでになってきていよいよ来月会社に退職届を出そうと思っていた時期に、急に登録者数の増え方が頭打ちになってきて…
もともと1日100人ペースで増えていたのが、60人、50人に減っていったんです。

サノ
YouTuber業界自体の勢いが、いったん落ち着いてしまった…?

TOMOKINさん
いえ、新規参入含め、まわりはどんどん伸びていくなか、僕だけがどんどん落ちていっていました。
でも、原因がまったくわからなかった。毎日欠かさず動画を出したり、コメディ的な要素を付け加えたり自分なりに工夫してみたんですけど、ついには登録者数が毎日10人ずつ減るようになって。
登録者は4万人もいるのに、再生回数は1000回すら届かないし、コメント数も2、3件。動画を出せば出すほど登録者が減っていきました。
YouTuberのリアル…めちゃくちゃ生々しい…

サノ
とりあえず登録する…という人はいっぱいいるけど、大半は見つづけてくれないんですね…

TOMOKINさん
YouTube収入はもちろん、テレビ・イベント出演なども激減して、「正直このアカウント、オワコンだよな…」と感じながら、それでもただエンジニアとして働いてるよりは何かにつながる可能性があると思って、そこから2年間ほど活動を続けていました。
そんななか、所属していたIT企業が、AIの研究でアメリカに駐在できるエンジニアを募集することになったんです。
僕はそれに食いつきました。いわゆる、「自分探し」ってやつです(笑)。
アメリカでのストリートライブに、YouTubeを成長させるヒントが

サノ
30歳を目前にして、自分探しでアメリカに…

TOMOKINさん
もちろん、何のあてもなくというわけではなく、「学生がなりたい職業ランキング」でAIエンジニアが1位という統計も見ていたので、エンジニアとしての自分をより前進させようという軸はありました。
ただその上で、やっぱりパフォーマーとしての可能性も模索したかったので、駐在していたサンフランシスコでも、ボイスパーカッションでストリートライブをしてみたんです。
そうしたら、日本とは決定的に大きな違いがあることに気づきまして。

サノ
日本との違い?

TOMOKINさん
観客の反応の濃度が、全然違うんです。
お客さんの反応を見ながら、アメリカでは普通にビートボックスをやるだけじゃなくて、ちょっとおもしろおかしく音マネを混ぜるといいんだな、みたいな工夫を足していくうちに、「次はうちの店でやってほしい!」と声をかけてくれる人がいたり、ストリートライブだけで暮らしていけるんじゃないかって思うくらいチップを入れてもらえたりして。
人数自体は日本で路上ライブをするときとそんなに変わらないのに、観客からもらえる拍手の大きさだったり、応援のされ方だったり、観客のリアクションがすごくて…純粋に楽しかったし、気持ちよかった。

TOMOKINさん
そこで、「海外の人に向けて、ビートボックスの動画を発信したらどうか」と思いつきました。
アメリカは移民の多い国なので、ストリートライブのお客さんのなかには、サウジアラビアの人だったり、ブラジル出身の人だったりといろんな人種の方がいた。そこでウケたことで、自分のパフォーマンスは世界中のいろんな地域で楽しんでもらえるんじゃないかという手応えを得られたんです。

サノ
AIの研究メインで渡米したはずが、YouTube活動での突破口を見出す結果に…!

TOMOKINさん
そして、帰国後すぐに海外向けに英語をベースにしたビートボックス動画を配信しはじめたら、サウジアラビアで、シリアで、ヨルダンで…世界中のいろんなところで火がつきました。

サノ
それまでの日本人の登録者4万人の方は、びっくりしますよね。

TOMOKINさん
そうですね。方向転換して初めて、「昔みたいにビートボックス講座をやってほしい」みたいな声ももらえるようになって、「楽しく見ていてくれる人もいたんだな」って…うれしかったです。
でも、手応えを感じている海外に注力して、伸ばせるところで急激に伸ばしたほうが、結果的に日本のみなさんにも知ってもらえるんじゃないかなと考えて、申し訳ない気持ちも抱きつつ、思い切って“海外向け”に振り切りました。
その結果、今ではありがたいことに11万人の方に登録していただいています。
登録者11万って、実際どうなの?

サノ
11万人に登録してもらってるって冷静に考えたらすごいことですよね。
トップYouTuberの方々が何百万人という単位なので感覚がマヒしちゃいますけど、登録者数11万人って実際YouTubeを仕事にして生きていける状態なんですか?

TOMOKINさん
登録者数だけを見て一概には言えないんですけど、僕の場合はYouTubeだけでも生活できるくらいはお金をいただけるようになっています。
僕は今「海外で人気を集めるYouTuber」として日本でもまたメディアに取り上げてもらえるようになってきて、イベント出演や、ラジオのお仕事などの収入もあります。
それにくわえて、エンジニア正社員としてのお給料もあるので、今は平均的なサラリーマンの方の1.5~2倍くらいはもらえているかも。

サノ
そうなんだ…!! 収入源が広告収入だけじゃないというのもすごいな…
YouTubeでの活動が幅広いお仕事につながってるんですね。

TOMOKINさん
ラジオに呼んでいただくと、これまでの人生についてお話させてもらったりするんですけど、それって「サンフランシスコ時代に『TED TALK(さまざまな分野で活躍する人を招き、アイデアや経験を語ってもらうプレゼンイベント)』に出演した」みたいな面白い経験があるからこそ呼んでもらえてると思うんですね。

サノ
本場アメリカでTEDに登壇!?
どうしたらそんなことになるんですか!?
直感でいいから飛びつき、「憧れの人」と同じステージに立つ

TOMOKINさん
2018年にサンフランシスコでTEDが開催されるとなったときに、「これはなんとしても出たい」と思って。
というのも、僕はメディアアーティストの落合陽一さんを尊敬しているんですけど、彼も過去にTEDに立たれているんですよ。
このチャンスで立たなかったら、一生憧れのまま終わっちゃう。下手くそでも、笑われたとしても、とにかく「憧れの人が立ったステージに自分も立つ」ということに意味があると思って、挑戦しました。

TOMOKINさん
それで、起業家やIT業界の飲み会に参加しては、TEDのスタッフとつながりがないか聞きまくって、Facebookでも探して、片っ端から当たっていったんですよ。
そうしたら、一人だけ話を聞いてくれた人がいて。その人が僕を面接に進ませてくれて、5、6回のSkype面接を経て、登壇することができました。

サノ
めちゃくちゃ力技でチャンスものにしてる…

TOMOKINさん
そこで僕が話したことって、子どものころにいじめられていた話、「いつかいじめっ子より目立つ存在になって見返してやりたい」という思いでビートボックスを手に入れた話…そんなこれまでの人生についてなんですけど、やっぱり僕の原動力は「見返してやりたい」という気持ちで。
「見返せるような自分」になれるなら、その形はなんでもいいんです。きっと、YouTuberであることにもこだわりはないです。
YouTubeにしても、AIにしても、TEDにしても…とにかく可能性を感じるものに飛びついてきただけなんです。

TOMOKINさん
そして、これまでの人生、自分がとくに考えもなく直感にしたがって飛びついてきた選択は、なんだかんだ先につながってきています。今も、AIとYouTubeを楽しく掛け算できないか模索したりしながら、ワクワクして暮らしている。
好きなことを仕事にするといっても、上には上がいるし、うまくいかないことばかりだし、むしろ苦しいことは多い。それでも、好きだと思える経験を増やしていくなかで、いつか自分にしかできない掛け算ができるはず。
YouTubeを続けられるのは、その可能性を強く感じさせてくれるからかもしれません。
何事も「始めるとき」というのは、トップとの差は大きいし、誰かのマネのように評価されてしまうことも多いと思います。
YouTuberも、一見華やかに見えて厳しい世界。
だけどやっぱり、一番折れてしまいがちな「スタート地点の苦しさ」を乗り越えたTOMOKINさんだからこそ、だんだんと自分だけに描ける色に気づいていって、まさに今、本人も想像しなかったような形で結実しつつあるんだろうなと思いました。
(あと、個人的には登録者数何百万の世界じゃなくても、YouTube一本で生活できるくらい稼げる場合もあるというのが驚きでした…!)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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