ビジネスパーソンインタビュー
女子への質問は、つまらなくてもいい!?
会話でもオーガズムは起きる!? 恋バナ収集1000人超の達人に学ぶ「異性の話を聞くコツ」
新R25編集部
異性を前にすると何を話せば良いのかさっぱりわからない。
初めてのデートで沈黙を作り、千載一遇のラブ・チャンスを逃してしまったという人もいるのではないでしょうか。はい、わたしです。
今回お話を聞くのは、なんと過去に1000人以上もの女性の恋バナを聞いてきたという恋バナ収集ユニット・桃山商事。さぞや「聞き上手」に違いない!と思いきや、活動当初は女性に怒られたこともあるらしい。えっ、しかも男子校出身!? これは希望が湧いてきたぞ!
…ということで、そんな桃山商事代表・清田さんに「異性の話を聞くコツ」を教えてもらいました。
〈聞き手=いしかわゆき(新R25編集部)〉
話を聞いたのはこの人!
【清田隆之(きよた・たかゆき)】恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。これまで1000人以上の恋愛相談に耳を傾ける「失恋ホスト」をはじめ、コラムやラジオでも恋愛に悩む人々をサポートしている
話を聞けるようになると、「あり」フォルダに入れてもらえる
いしかわ
本日はわたし含め「会話ベタ」な人々を救うべく、お話を伺いに来ました!
特に初対面の異性だと気まずくて、黙って水をズズ…みたいなことが多いんです。
清田さん
それは辛い(笑)。人の話が聞けるようになると、仲良くなる確率もかなり上がると思いますよ!
いしかわ
おお、端的に言えばモテるようになるってことですかね!?
清田さん
「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と感じてもらえたら、少なくとも「話が通じる人だな」「危害を加えてくることはなさそうだな」って印象になりますよね。
そうすると、「あり・なし」の「なし」フォルダには入れられないと思うんです。そういう意味では、モテるようになると言っていいかもしれない(笑)。
いしかわ
最悪他になんっっにも取り柄がなくても、話を聞けるだけで「あり」フォルダに? これは人生イージーモードか…!?
「おにぎり事件」を経て、「女子への質問はつまらなくていい」と理解した!
いしかわ
清田さんは「恋バナ収集ユニット」の活動で、1000人の恋バナを聞いてきたそうですが、それって清田さんがもともと話しやすい人だからなんじゃないですか?
だって男子校出身の人って、わたしの偏見ですが「女子となんか喋れないよ~」みたいな人か、「アドバイスを押し付けてくる人」が多いですもん。
清田さん
男性には、「プレゼンテーション」のことをコミュニケーションだと思っている人が多いと思うんです。「俺の話を聞いてくれ!」という一方通行の。自分もそうだったと思う。
桃山商事でも、最初は失恋してしまった女子を元気づけるため、「面白いこと言わなきゃ!」「役立つアドバイスをしなきゃ!」ってはりきっていたんです。
いしかわ
なんと、清田さんも押し付けタイプだったんですね…!
清田さん
でも、男が集まっちゃうと「俺の方が面白いことを言って盛り上げてやる!」みたいなノリが発生しちゃって。それで、「その彼氏まじクソだね~」とディスったりしたら、「あんたたちに何がわかるのよ!」って女の子に怒られたり。
そんな俺にとって「聞き方」の転機になったのが「おにぎり事件」なんです。
内容が何も伝わってこない事件名である
清田さん
社会人になって、「失恋ホスト」の活動をしていたなかで、ある日、メンバーで一番話がつまらないという位置付けだった男が、一日中ずっと相談者さんと会話が弾んでいることに気付いたんです。
不思議に思って盗み聞きをしていたら、そいつが「おにぎりの具、何が好き?」とか聞いてるんですね。
いしかわ
ものすごく他愛のない会話(笑)。
清田さん
そう、すっげーつまんないこと聞くな~と思っていたら、女の子が「うーん、私は昆布が好き」って答えて。
俺だったら昆布で何を返すだろう、なんて考えていたら、そいつが、「いいよね、昆布。俺、シャケ!」って言ったの。
あまりの他愛のなさに衝撃を受けた清田さん
清田さん
つまんな!!って思ったんですけど(笑)、その後も「私もシャケ好き〜」「ツナもおいしいよね〜」なんて感じでめちゃくちゃ楽しそうに話しつづけてて。それで、逆にどうしてあんなに他愛ない会話が弾んでいたのかをみんなで研究したんです。
それで見えてきたのは、彼は最初に質問を投げかけてますよね。彼女はその質問を受けて、昆布、と返す。そして彼は、「いいよね、昆布」と相手の言葉を肯定した上で、「俺、シャケ」と自分の意見を返している。
この「質問→傾聴→肯定→応答」というプロセスが大事なのではないかと気づき、愕然としました。
いしかわ
うーん、至極当たり前のことのようだ…(笑)。
清田さん
ほんとそうだよね…。でも、自分たちを含め、その当たり前のやりとりができていない男子が多いと思うんですよ。特に「恋バナを聞く」となると、自分の意見や経験則を押しつけがちで、ちゃんと話を聞けなかったりする。
質問をするということは、「私はあなたに関心があります」というメッセージを送ることに等しく、相手もまた、その質問に答えることで「あなたの言葉がしっかり私の中に入ってきました」というメッセージを返信することになる。
「コミュニケーションの本質というのは、関心の向け合いとか、小さな影響の与え合いなのかもしれない」というのが、我々がおにぎり事件から学んだことです。
いしかわ
それまで清田さんがやっていたのはただのプレゼンテーションだった、っていう(笑)。
清田さん
そうそう(笑)。それ以降“聞くこと”へのスタンスが変わりました。
久しぶりに会った女友達から、「どうしたの清田? なんか聞き上手になってて気持ち悪いんだけど」って言われたくらい(笑)。
テレビの影響か、「空白恐怖症」の人が多い。会話にスピード感はいらない
いしかわ
聞くときに何か意識されていることはありますか? 個人的には清田さんはゆっくり喋るなぁ、と感じました。
清田さん
それはちょっと意識してます。実は、もともとはどちらかというと早口だったんです。
テレビの影響か、話をスピーディに打ち返したり、ハイテンポで会話をしたりすることが良しとされていますけど、日常会話にスピードってそこまで大事じゃないと思うんです。
人の話を理解するのって、本来は時間のかかる行為ですよね。でも、会話を盛り上げるつもりで、相手の話にツッコミを入れたり、話し終わる前にカットインしたりするじゃない?
自分もそういう会話スタイルだったんだけど、あるとき仕事でご一緒した演出家の長塚圭史さんから「キヨちゃんは相づちをワンテンポ遅らせると、相手もグッと話しやすくなると思うよ」ってアドバイスをもらって。
それを意識するようになって会話がスムーズになったような実感があります。
いしかわ
確かに、あまりに早いと聞き流されている感じがするかも。でも、初対面の人と話す時って、緊張してつい口調が早くなったり、逆に変な間が出来たりしませんか?
清田さん
それは一種の“空白恐怖症”だと思うんですよ。無言の間ができて、話すことがない人だと思われたり、盛り上がってない感じが出たりしちゃうのが怖い、みたいな。
いしかわ
ああ、何か話をして繋がなきゃ!って焦っちゃいます。
清田さん
そういうときあるよね…。でも、そんな時は慌てず、相手に質問をするのが良いと思うんですよ。緊張してしまうのは、情報が不足しているから。基本的に情報がないと話題って作れないんですよ。
質問をして、こちらも自己開示をして、だんだんとお互いの情報が集まって、自分と相手の情報と理解がつながっていくという。
いしかわ
謎の間が空くっていうのは自分がスベッたからではなく、情報が足りてなかったのか。よかった…!
質問は、「自分」のグラデーションを徐々に濃くするよう作っていく
いしかわ
でも、質問すればいいと言っても、何の話題から始めたらいいのやら。悲しいことに、そこからわからないです。
清田さん
そういうときは下のような図を思い浮かべるとわかりやすいと思うんだけど、情報不足のときって、つまり重なり合ってる部分が少ないってことなんですよね。
だからまず、当たり障りのない質問から入るのがいいと思う。俺はよく出身地を聞くけど、それこそ「ウェザートーク」という言葉があるように、天気の話とかでもいいかもしれない。大事なのは、そこから始めて、だんだんと核心に触れていくこと。
コミュニケーション・ベン図(作:清田さん)
清田さん
ポイントは「自分濃度」です。例えば天気の話は自分に関わらない、外側の話でしょ。
その後、ニュースの話になると、自分の解釈や意見が入ってきて、最終的にお互いの話をしていく、という風に“自分”の濃度が濃くなっていくようなグラデーションを意識すると、スムーズに会話が進むような感覚があります。
いしかわ
確かに、いきなり濃ゆい話をぶつけられても困りますね(笑)。これはうれしいテクニック!
最強の話題は「about me」。さらに自分ごとをふたりごとにすれば、会話が気持ちよくなっていく
清田さん
ところで、いしかわさんは人が一番関心を示す話題ってなんだと思う?
いしかわ
え…っと、金と性欲の話ですかね!!
清田さん
それも嘘じゃないけど(笑)。
たとえばTwitterってネタツイとか笑える画像とかがバズるでしょう。だから、みんな「面白いものに興味があるんだ」って思っていたの。
でも、しばらく見ていて気付いたの。確かにバズってるツイートも気になるけど、人が最も興味を示すのって自分の「通知欄」なんじゃないかって。
いしかわ
タイムラインじゃなくて通知欄…!
清田さん
自分の発言がリツイートされていたり、自分にリプが飛んで来ていたり…そんな「about me」な話題こそ、実は人が最も気になるテーマなんじゃないかって。
つまり、渾身のボケやキレキレのツッコミより、人は「自分の話」に興味を示す。そう考えると、良き話し相手になるためには、相手の話にしっかり耳を傾け、気になったところや疑問に思ったことを質問をしていくのがいいのではないかと思ってます。
いしかわ
…!! 全人類が興味のある「最強の話題」は「自分」! これは盲点だった…!!
清田さん
さらに言えば、最初は向こうの「about me」だったとしても、共感したり、共有する情報が増えたりするうちに、それが段々と「about us」の話題になっていくことがある。
最終的に「超わかる!」「俺たちいま同じ景色を見てるよね!」みたいな感覚になって…それを桃山商事では「コミュニケーション・オーガズム(CO)」と呼んでるんだけど。
コミュニケーション・オーガズム!!!!
清田さん
絶頂はね、コミュニケーションでも起きると思うんですよ。
だからぜひ、特に異性と会話をする時は「CO」を推奨したいです。お茶一杯でもできちゃうからエコだし、2人でめっちゃ気持ちよくなれるって最高じゃない?
いしかわ
「わっかる~!」っていう体験ですね! …でも相手の「about me」をたくさん聞きつつ、それを「about us」にするのって、素人には至難の技じゃないですか?
清田さん
「話を聞く」っていうと、なんとなく「ずっと黙って耳を傾けている」ことだとイメージしがちだと思うんだけど、実は、相手の話ばかり聞いてるのって少しずるいことなんですよ。
相手の情報ばかり引き出して自分の情報を喋らないとなると、それはフェアじゃないし、相手にとって怖くもあるじゃん。
「聞く」ということは、最初に率先して聞き手に回って質問をしていくことであって、少ししか喋らないことじゃない。だって、情報が集まったら話題が回転し始めて、どんどん「ふたりごと」になっていくはずだから。
いしかわ
「聞き上手の秘訣は8割聞いて2割喋ること!」みたいなライフハックもあるけど、実はちゃんと喋るべきなんですね。
清田さん
聞いた量と喋る量がイーブン、つまり5対5になるのがいいバランスのように感じる。
「聞く」というのは情報をもらうことだから、そこに対してリアクションをしないと相手も不安だし会話も弾まないでしょ。聞いているだけじゃCOは起きないからね!
取材中、「例えばいしかわさんだったら」とわたしの名前を連呼するのがとても印象的で、この方は取材される側にも関わらず、相手をしっかりと巻き込んで「about us」にしてくれているのか…とあやうく「CO」しかけました。
「聞くこと」は、「耳を傾けること」ではなく、自分ごとをふたりごとにすること。今日から会話の時に「CO」を意識してみれば、あなたも、意中のあの子の「あり」フォルダに入れてもらえるかも。
〈取材・文・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉
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