ビジネスパーソンインタビュー

“フラットな関係”はどう築く? 箕輪厚介と新R25編集長が語る「大物への対峙法」

萎縮したくないなら、会う目的に立ち返れ

“フラットな関係”はどう築く? 箕輪厚介と新R25編集長が語る「大物への対峙法」

新R25編集部

2018/06/14

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SNSでさまざまな人とつながることができる現代。若くして自分より年齢もキャリアも上の大物ビジネスマンと出会い、仕事をするチャンスに恵まれることも。

しかしせっかくの機会を得ても、相手の肩書きや圧力に萎縮してうまくコミュニケーションを取れずに悩む人も多いのでは?

そこで今回は、『多動力』『お金2.0』『日本再興戦略』など数々のベストセラー本を連発する幻冬舎のスター編集者・箕輪厚介さんと、『マネ凸』などの連載で大物経営者に切り込みつづける新R25編集長の渡辺が「大物にどう対峙すべきか」というテーマで対談を実施。

大物と接する際の大切な心構えから、すぐに使えるテクニック(?)までを語り合いました!

【箕輪厚介(みのわ・こうすけ)】1985年生まれ。2010年に双葉社に入社。広告営業などを経て2014年より編集部に異動し、『たった一人の熱狂(見城徹)』『逆転の仕事論(堀江貴文)』などを担当。2015年幻冬舎に入社した後は、NewsPicks Book編集長として『多動力(堀江貴文)』『人生の勝算(前田裕二)』『お金2.0(佐藤航陽)』『日本再興戦略(落合陽一)』などの話題作を生み出しつづけている

相手のことを完璧に知りつつ、それを過度にアピールしない

今回はお酒を飲みながら、リラックスモードで対談

渡辺

箕輪さんレベルになると、もう誰が相手でも物怖じしませんよね?

箕輪さん

今はもう楽勝ですね(笑)。渡辺さんも同じじゃないですか?

渡辺

こっちはまだそんな余裕ないですよ(笑)。

取材する人については、事前に徹底的に調べます

箕輪さん

あ、でもそれはやっぱり大事。

渡辺

とはいえ、実際に会ったときは「あの本読んで感動しました!」みたいにストレートなアピールから入らないようにはしてます

それだけだと、相手からすると刺激がない。“そんなの知ってて当たり前”感を出さないと(笑)。

箕輪さん

わかる! 圧倒的な武器を持ってても最後に出すみたいな(笑)。

ただ、それも相手のことを完璧に知らないとできないですからね。好きじゃないと無理。

相手のことが本当に好きだからなんでも知ってて、ひとりの人間として話すなかでそれが自然と出てくるっていう感じが理想ですね。

仕事を加速させる“触媒”となりうる存在に、個として対峙する

渡辺

僕は、昔ドワンゴの川上(量生)さんが言ってた「触媒」をかなり意識してて。

ニコニコ動画って、政治家がネットで生配信する文化を確立したじゃないですか。あれ、はじめに小沢一郎さんがやったことで、他の政治家の出演交渉が一気にラクになったらしいんですよ。

ここでいう小沢一郎さんが「触媒」なんですけど。

箕輪さん

それはありますよね。

たとえば、お笑い芸人の雑誌を作ることになったら、どんな手を使ってでも最初の号の表紙にビートたけしを使ったほうがいい。そしたらあとは勝手に来る。

はじめに交渉がラクな若手芸人を表紙にしちゃうと、そこからビートたけしにいくまでにめちゃくちゃ苦労しますからね。

渡辺

『マネ凸』も、初回に社内リソースを活用して無理やり藤田にインタビューしたことで、そのあと交渉しやすくなったと思います。

「藤田さんがあそこまでやったなら、自分も取材受けてもいいかな…」みたいな(笑)。

箕輪さんがブレイクするきっかけになった触媒は、見城さんの『たった一人の熱狂』ですかね?

箕輪さん

です。やっぱり見城さんは業界内外に影響力ありますからね。

渡辺

でも、たとえ大物と仕事できたとしても、そこで自分の存在感を出せないとあとが続かないじゃないですか。

箕輪さん

その通りですね。

たとえば堀江さんって、たぶん本の担当編集が10人くらいいるんですよ。そのなかでも「コイツは違う」って思ってもらわなきゃいけない。

渡辺

そんないるんですか。でも箕輪さん以外知らないですね…

箕輪さん

でしょ? でも、それで目立とうと思って編集者である自分が騒いだり前に出たりしたら、著者がムカつくこともあると思うんですよ。

それでも「箕輪ならいいや」って思ってもらえるようにならないとダメで。

渡辺

そういう存在になるために、どういうことを意識してます?

箕輪さん

とにかくフラットな関係を築くことですよね。“個”として対峙すること

「堀江さんとモメたら会社に怒られる」ってビビったりしたらダメで、個として自分と対等に話してくるヤツだって思わせないと。

渡辺

相手に「コイツは会社の仕事で来てるんだな」と思わせたらダメってことですね。

箕輪さん

それが超大事です。会社の論理じゃなくて、自分の意志をもってその人と接しないといけない。

僕、企画を提案されたら、死んでも「いったん会社持ち帰ります」って言わないですからね。その場でやるかやらないか答えます

渡辺

カッコイイっすね。

箕輪さん

だってそんなの、告白したのに「家帰ってお母さんと相談します」って言われるようなもんじゃないですか。相手も「それなら別にいいわ」ってなっちゃいますよ。

渡辺

たとえ自分に決裁権がないとしても、「これ絶対に実現したいんで、死んでも上司を説得します!」って気概を伝えるべきですよね。

箕輪さん

そうそう。責任を会社に求めようとする態度が相手を萎えさせる。

僕、前職の双葉社で与沢翼から『ネオヒルズジャパン』っていう雑誌の制作を勝手に受注してきたんですけど、もし会社に「与沢の本なんて出さない」って言われたら、辞めて自分ひとりでも出版しようと思ってましたから。

あくまでも自分が本気でやりたいって思っていて、その気持ちが相手に伝わることが大事

誰にも萎縮しない箕輪さんは、相手がトイレに言っている間に人の酒を勝手に飲んだりするらしいです

「小物感が出ない立ち振る舞い」の教科書は藤田晋!?

渡辺

ちなみに、大物とコミュニケーションをするときに意識してることってありますか? 細かいことでもいいので。

箕輪さん

最初はあんまりペコペコしないようにしてたかな。無駄に相槌打たないとか。

渡辺

わかります(笑)。「無駄にペコペコしてる人は小物感がある」って藤田(晋)も言ってました。

箕輪さん

今はもうそんなに意識してないですけどね。

渡辺

でもたぶん、“逆張り”の意識は持っていたほうがいいんですよね。

その人がふだん崇め奉られている人であれば、それと同じ対応をしたって(その人にとっての)ワンオブゼムにしかなれない

だったらフラットに接したり、ときにはイジったりするくらいのほうが相手にとっては新鮮で、刺激になる。

箕輪さん

まさに。

渡辺

ただ勘違いしちゃいけないのは、「相手に十分リスペクトが伝わっているうえで」フラットに接すること。

それがなかったらただの失礼なヤツなので。

箕輪さん

それでいうと、藤田さんって全然失礼な感じじゃないけど、どんな人の前でも自然体じゃないですか。あの立ち振る舞いって絶妙なんだよなぁ。

でも、会議中にボソっと本質的なことを言ったりして(笑)。

以前は藤田のような雰囲気に憧れ、会議中にボソっと本質的なことを言おうとしていたこともあったそう

目的を持って相手に対峙すればビビらない

渡辺

でも、大物にフラットに接しようと思っても、やっぱりみんなビビっちゃいますよね。

箕輪さん

そういうときは、相手に対峙する目的をちゃんと持つことが大事ですね。

渡辺

目的?

箕輪さん

見城さんの本をつくるときも、僕の目的は「見城徹に好かれること」じゃなくて、「いい本をつくる」ということ。それに2人で向かってる感じ。

たぶん見城さんに好かれようと思ってる人は、「お前なにやってんだよ!」って言われたらビビっちゃう。

でも僕は本や読者を見てるから媚びることもないし、仮に見城さんに怒られたとしても、「本としてはこっちの方がいいと思います」ってちゃんと意見できます。

渡辺

なるほど。それで嫌われてもいいと?

箕輪さん

うん、仲たがいしてもいいという気持ちでやってます。「お前に好かれるためにやっちゃいねぇよ」っていう意識は大事ですよ。

結局、それで著者と対立したことってないですし。

「あ、ひとりだけいるかも。○○さん」

相手に「コイツわかってるな」と思わせられたら、あとは“お任せ”になる

箕輪さん

でもね、大物に一目置かれるには、ぶっちゃけセンスも必要なんですよ。

なんていうか…「コイツわかってる感」かな。

渡辺

はいはい。相手を魅力的にみせる方法をちゃんと理解してるってことですよね。

得意領域になると急に饒舌になる渡辺

箕輪さん

そう! 渡辺さんが上手いのは、堀江さんの『マネ凸』のインタビューとかでそれをちゃんとわかって書いてること。

堀江さんって、マウンティングするのが好きじゃないですか。ぶわーってマウントとって、こっちがどっひゃーってやられるのを見て楽しむプレイみたいなのが(笑)。

「ホリエモンはああいうの好きだからなぁ」

渡辺

マウンティングされつつイジる」という究極のバランス感を目指してます(笑)。

箕輪さん

そうそう! すげーイジってるんだけど、堀江さんのいい面がちゃんと出てる。

それを本人が見ると、「コイツ俺のことよくわかってんな」って思うんですよ。だから、向こうもあえて転がされてる気がする。

これで転がされてる!?

渡辺

そうなのかな? 堀江さんは毎回どう思ってるのかわからないから不安なんですよね(笑)。

それでいうと、箕輪さんが担当する見城さんの本もその辺意識してます? 表紙の写真、すごい迫力ある表情で写ってるじゃないですか。ふだんはもっと穏やかで、あんな顔しないのに(笑)。

箕輪さん

そうですね。見城さんのセルフイメージって、『仁義なき戦い』みたいな感じなんですよ。

あの雰囲気がカッコいいし、見城さんも嫌いじゃないことをこっちもわかってるんで。

渡辺

相手が気持ちよく感じる部分をちゃんと引き出して見せられることが、信頼される条件だと。

箕輪さん

そう。それができれば、あとはお任せになる。

コイツは俺のことよくわかってるから、あとは適当にやっといてよ」って。

渡辺

堀江さんも原稿確認のとき、ちゃんと確認してるか不安なレベルですぐにOKくれるようになりました(笑)。

箕輪さん

結局、忙しい人は“人単位”でしか仕事ができなくなるんですよ。

日々案件が降ってくるから、そのなかで「コイツは俺のことをよくわかってるから任せる」っていう存在にならないといけない。

本当にその人のことが好きなら、絶対に出会える

渡辺

一番はじめってみんな何者でもないし、実績もないじゃないですか。

その状態からどう大物にアプローチすればいいと思います?

箕輪さん

それはもうテクニックじゃないというか、本当に好きだったら絶対に近づく方法を思いつくんですよね。

好きだったら、その人の趣味、生活導線、交友関係とか全部わかるじゃないですか。

渡辺

なるほど。

箕輪さん

というか自分の経験上、本当に好きで好きでしょうがない人には、気づいたら出会ってるんですよね。勝手に引き寄せるっていうか。

だから僕、「口説くために苦労した」って思ったことないかも。

箕輪さん

あ、でも大物に会いたいと思ったときに自分がやって絶対ダメだったのは「間に人を挟むこと」。

紹介してもらおうと思っても、結局つなぐ人にメリットがなければ適当につながれちゃうんですよ。そうすると会ってもなかなか関係が発展しない。

渡辺

それはあるかも。結局間に入っている人も熱量高くプッシュしてくれないですし。

箕輪さん

でもたしかに、自分が逆の立場になった時のことを考えたら、あんまり会いたくないですよね。

それなら、道場破りみたいに突然押しかけるほうが「なんだコイツ」って鮮明に記憶に残るじゃないですか。

大物にアプローチするツールとして、手紙はコスパがいい

渡辺

箕輪さんって、見かけによらず(?)よく手紙を書きますよね。はじめに見城さんを口説いたのも手紙でしたっけ?

箕輪さん

そうですね。見城さんは特に(手紙がもらうのが)好きですけど、手紙って印象に残りやすいから、ほかの人にも有効なアプローチなんですよ。

LINEやメッセンジャーが流行れば流行るほど、手紙の重みは増します

渡辺

でも、結構手間かかりますよね?

箕輪さん

いや、めちゃくちゃコスパいいですよ。

渡辺

そうですか?

箕輪さん

書店とかに手紙を書くと、すごい喜んでくれるんですよ。「おおー! あんなに忙しい箕輪さんが手紙くれた!」って。でも手紙って、文字にこだわらなければ30秒くらいで書けるじゃないですか。

手間をかける工数と相手への刺さりやすさを考えると、実はコスパはかなりいいですよ。

「手紙はコスパいいよぉ~」

刺さる手紙の書き方は「ストレートな思いを、LINEのような文章で」

渡辺

ちなみに、手紙にはいつもどんなことを書いてるんですか?

箕輪さん

なんだろう…でもストレートな思いだけですけどね。

大事なのはどれだけテンプレートから外れて、本心を綴れるか

渡辺

それ、どういう感じかもう少しくわしく教えてください。

箕輪さん

「拝啓~」みたいに堅苦しく書くんじゃなくて、LINEで送るような文章ですね。「〇〇さん!」みたいな。

本当に気持ちが先走って書いた、小学生が書いたような手紙の方がウソっぽくないですから。

渡辺

たしかに。もらった側の気持ちに立ってみれば、絶対にそっちのほうが響きますね。

箕輪さん

僕、あえて字を汚く書いたりしますもん。ガムシャラ感が伝わるから(笑)。

意外と姑息なテクニックを使っていることが判明

渡辺

手の内を明かしすぎると、手紙書きにくくなりますよ(笑)。

箕輪さん

いやまぁ、実際にはそこまで狙ってやってるわけじゃないですけどね(笑)。

でも、今みたいな時代だからこそ、大物へのアプローチに手紙を使わない手はないと思いますよ。

渡辺

ちょっと自分も重く考えすぎてたので、これから活用してみます。

箕輪さんが「大物を口説きたいあなたの手紙」を添削します!

自分の個性やスキルを商品として販売できるAmebaの新サービス『REQU』では、箕輪さんも商品を出品中。あなたが「大物を口説くために書いた手紙」を、箕輪さんが対面で添削してくれます

どうしても一緒に仕事をしたい大物や、本気で自分の熱意を伝えたい相手がいる人にオススメです。

楽しい対談、ありがとうございました!

〈取材=渡辺将基(@mw19800720)/文・撮影=福田啄也(@fkd1111)〉

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