

心地いいコミュニケーションは、己を知ることから
“ジャズセッションに近い”感覚…!? 「みんなで行くサウナ」の魅力が想像以上に深かった
新R25編集部
最近、若いビジネスパーソンの間でブームになっている“サウナ”。ただ、熱狂的な愛好家が存在する一方で、まだそのよさを理解できないR25世代がいるのも事実。
そこで11月の特集「サウナ、イカナイ?」では、さまざまな角度からサウナの魅力を徹底解剖していきます!
第3回目のテーマは“みんなで行く”サウナ。
サウナって仕事帰りにひとりで行くようなもので、あまり他の誰かと一緒に行くイメージはないですよね?
ところが最近、イケてるIT企業を中心に「サウナ部」というのが盛り上がりをみせているらしいんです。福利厚生に「サウナ」があるなんてところも。
“みんなで行くこと”になにか大きな価値があるんでしょうか?
これまで2社で最大20人規模のサウナ部を立ち上げ、運営されてきた畑上英毅さんにお話を伺ってきました。
〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉
【畑上英毅(はたがみ・ひでき) 】サウナ・スパ健康アドバイザー。Sansan株式会社 CSIRT Risk&Compliance Manager。株式会社 アクティブディフェンス研究所 技術顧問
心が安定した状態になると、コミュニケーションの位置が“深く”なる

宮内
サウナって1人で行くイメージが強いのですが、畑上さんは前職のRettyでも、現在(Sansan)も、サウナ部を立ち上げて活動されていますよね。
みんなでサウナに行くことのメリットって、何かあるんでしょうか?

畑上さん
サウナに入ったあとって、表現しづらいんですけど同じ釜のメシを食べた“同志”のような信頼感が生まれるんです。
こういう取材の場所でいきなり腹を割って話すのって、難しかったりするじゃないですか。でもサウナに入った後には、心が安定した状態だからこそフラットにコミュニケーションできるんですよ。
Sansanサウナ部のメンバーと

宮内
心が安定した状態…ですか。
実際にみんなでサウナに行ったら、どのように過ごしてるんですか?

畑上さん
決まった時間の中で各々が自由にゆっくり過ごして、一通り落ち着いたら、「じゃあご飯でも食べようか」みたいな感じですね。

宮内
あ、個人活動なんですね。

畑上さん
はい。各々が自分にとってベストな“できあがった状態”を模索するんです。
それを終えた後はすごく気分がよくて、コミュニケーションの位置がいつもより深くなるんですよ。

宮内
コミュニケーションの位置が“深い”…??
「裸だからこそぶっちゃけた話ができる」みたいな安易なメリットじゃないんですね(笑)。

畑上さん
サウナ内でいきなり「仕事の話をぶっちゃける」とか延々と語りあうみたいなのは、個人的にはあまり向かないと思っています。
サウナって、同じ場所にいても「熱い」とか「気持ちいい」とか感じ方には個人差があるので、あくまでも自分の感覚に向き合う空間なんですよね。

宮内
自分と対話するイメージですかね?

畑上さん
はい。私は、自分の心や身体とのコミュニケーションがおぼつかないのに、そこをすっ飛ばして他者と話したところで、深いつながりなんてできないと思うんです。

宮内
思っていた以上に深いです…!

畑上さん
でもそれを乗り越えると、その後は表層的な会話じゃない、深いコミュニケーションができるようになります。
みんなで入るサウナ。それは、ジャズセッションの感覚に近い

畑上さん
みんなで入るサウナって、なんていうか…ジャズセッションに近いんですよ。
考察が深すぎる

宮内
えっ…ジャズ!?(全然わからない)

畑上さん
クラシックは、みんな指揮者に合わせて演奏するじゃないですか。でも、ジャズセッションでははじめにテーマが示されて、その上で各々がソロ演奏を重ねていくんですよね。その結果、ひとつの演奏になるという。
みんなで入るサウナもその感覚に近いなと思うんですよ。「そんな入り方するの?」って人がいたりして(笑)。

宮内
…プロフェッショナルのぶつかり合いみたいな感じですかね!? わかるような気もするけど、やっぱりわからない…

畑上さん
みんなでひとつのことを成し遂げるというよりも、各々のストイックさを横に見ながらセッションすることで、一体感が得られるんです。
スポーツ観戦とかそうじゃないですか。その場ではそんなにコミュニケーションをとらなくても、各々が目の前のプレイに対して熱狂しながらも、ルールを守って応援する。
そうすると不思議なことに、あまり話したことがなかった人とも試合後にやたら仲良くなっていたり、そういう経験ありませんか?

宮内
あ〜! その感覚はわかります(笑)。フェスとかも近いような。

畑上さん
そうですね。スポーツ観戦だとどうしても行くまでのハードル高かったりするけど、サウナなら仕事帰りに気軽にサクッとみんなでいけますよね。
超お得じゃないですか、これ?
Retty 時代のサウナ部メンバーと。フィンランド人もいる…
初心者を誘うなら、健康面をヒキに。ただ、まずは好きな人から熱量を伝播させていくのがおすすめ

宮内
ここまでの話を聞いて、「サウナ部を立ちげよう!」となっても、初心者の人をいきなり誘うのは難しかったりすると思うんです。
なので、誰もが思わず「サウナに行きたい!」となるような殺し文句を教えて欲しいです。

畑上さん
健康面をヒキにして誘うのがテッパンですね。
自分の体調に興味がない人はいないので、「風邪ひきにくくなるよ」、「肩こりが楽になるよ」っておすすめしたり。腰が痛そうな同僚がいたら、「今日、あっためませんか?」って誘ってみるとか(笑)。

宮内
怒涛の健康攻め。

畑上さん
まあでも、最初は少人数でもサウナが好きな人同士からはじめるのがいいですよ。それで盛り上がってると、「何やってるんだろう?」って周囲が興味を持ち出すんですよね。
その時がチャンスなんです。

畑上さん
サウナって、一度ハマると“垂直に刺さる”んです。

宮内
それは…カンタンには抜け出せないということですかね?(笑)

畑上さん
そうです。垂直に刺さります。

宮内
ちなみに、みんなで行くのにおすすめのサウナってあるんですか?

畑上さん
「サウナ部プラン」があって横浜駅直結の『スカイスパ』か、定番ですけどやっぱり新宿の『テルマー湯』とかがいいんじゃないですかね。

畑上さん
男女で行くときは、館内着着用で一緒に入れるところもいいですね。
実は私の妻も根っからのサウナーで、あがった後に施設について話すんですが、結構男女間でサウナの設定が違うところがあるんですよね。
そうすると「え、男性側は90度なの? 女性側45度だったよ」と話題を共有できないので、男女間の温度格差がないところがオススメです。
他人ではなく、己と向き合った先にある“やさしいコミュニケーション”

宮内
サウナ初心者を連れて行く時に、畑上さんが推奨している入りかたがあればおしえてほしいです!

畑上さん
こう言うと“冷たい”と思われるかもしれないんですけど、正しい入りかたなんてなくて、「自分がどう感じるかが大事」ってことを伝えています。
ちょっといいですか?
突如出てきたホワイトボード

畑上さん
このグラフを見てください。Tが体温軸でtは時間軸です。
サウナセミナー開講

畑上さん
この斜線部分の面積を自分の“サウナキャパ”とすると、これはトレーニングしないかぎり広がらないんです。つまり、最初から体温を上げすぎるとこの面積があっという間に消費されて、サウナに長く入っていられないとか逆に疲れてしまうとかになってしまうんですよ。
ただ、慣れてくるとその日の自分のキャパがどれくらいかの感覚をつかめるようになるので、「今日は体調がいいから長めに入ろう」と判断できるようになるんです。

宮内
人それぞれの入りかたがあるんだと。

畑上さん
はい。なので、「何分入る」とかは、あくまで目安でしかないんです。
ただ一つ言えるのは、初心者の場合は緩やかに体温を上げていくといいですね。一気に体温を上げてしまうと “サウナに入った感”はたしかに出るんですけど、その分疲れちゃうんですよ。

宮内
でも、サウナの温度って施設ごとに決まってるじゃないですか。緩やかに体温を上げていくってどうやればいいんですか?

畑上さん
簡単です。気持ちいいなと感じた瞬間を超えて「熱い」と思ったら、すぐに出てください。休憩してからまた入ればいいので。
サウナって頑張るものだって思ってる人も多いと思うんですけど、頑張っちゃいけないんです。

宮内
そうなんですか? 私も最近サウナに行きはじめたんですけど、誰かと一緒に入るとつい無理をしてしまいそうになります。

畑上さん
違うんですよ、そこじゃないんです。
サウナの中では外側を気にするのではなくて、みんなで入っても、それぞれが己に向き合うべきなんです。その結果として、やさしいコミュニケーションが生まれるんで。

宮内
そうでした。まずはジャズプレイヤーとして個人の腕を磨きます(笑)。
最近サウナに通いはじめたものの、「ととのう」をいまだに経験できない私…。取材後、畑上さんにこの悩みを相談したところ、「ととのうことを目指しすぎているからですよ」とひと言。
たしかに自分は、サウナ好き(編集長)に言われた通りの入りかたにとらわれすぎていたのかもしれません。
まず大切なのは、自分自身とのコミュニケーション。それができるようになったら、友人を誘って“やさしいコミュニケーション”の正体を探ってみたいと思います。
〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=渡辺将基(@mw19830720)〉
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