ビジネスパーソンインタビュー
140万部の大ブーム。政権崩壊もある?
読まずに分かる!「トランプ暴露本」って何が書かれてるの?ジャーナリストに聞いた
新R25編集部
1月5日、トランプ政権の内情を暴露した本『炎と怒り』がアメリカで発売され、大ブームになっているらしい。1月11日時点でこの暴露本はなんと140万部の注文を受けているという。
これだけ全米で注目を浴びている本には、いったい何が書かれているんだろうか? 在米ジャーナリストの飯塚真紀子さんに解説してもらった!
元側近が「トランプ陣営がロシアとつながっていた」と暴露!
ロイター/アフロ
おや、トランプとロシアの関係がアヤしい…?
ライター・森
この本で触れられている大きな問題の1つが、「ロシア疑惑」とのことですが…これはどういう問題ですか?
飯塚さん
大統領選のときに、トランプ陣営がロシア政府と手を組んでいたのではないかという疑惑です。具体的にいうと、ロシアに頼んでクリントン陣営の不利になる情報を暴露していたということ。
アメリカの大統領を選ぶ選挙に、ライバル国であるロシアがそんなかたちで介入していたとなれば大問題ですよね。現在でも、FBIと特別検察官による捜査が続いているんです。
ライター・森
本のなかでは、それについてどんなことが暴露されてるんですか?
飯塚さん
トランプ氏の元側近であったスティーブ・バノン氏が、「選挙中に、トランプ氏の長男がロシア人弁護士たちと面会していた」ことを暴露しています。
これは先ほど言った「クリントン陣営が不利になる情報」を入手しようとしていた可能性があるということ。バノン氏はトランプ長男のことを「売国的だ」と言っていますね。
ライター・森
長男を通じて、あやしい取引をしていたってことですね…。
飯塚さん
本のなかで、そういった新しい事実が明らかにされているわけではありません。ロシア疑惑自体はこの本の発売前から指摘されていたことですし。
ライター・森
では、何が話題になってるんでしょう?
飯塚さん
バノン氏は、右寄りで人種差別的な発言で知られ、トランプ大統領の考えにかなり近い人物とされていました。一時期は、大統領にアドバイスを送る「首席戦略官兼上級顧問」という立場にいて、「影の大統領」とまで呼ばれていたんです。
ところが、政権内で衝突が多く、結局2017年8月に解任されてしまいました。そんな彼が、暴露本で強い批判の意を表したことで、「トランプ氏は、ぞんざいに扱った元側近から恨まれているんだ」とスキャンダル的に話題になったんです。
ライター・森
なるほど…。今回の暴露本の取材に応じたのは、トランプに復讐するためだったのかも?
トランプ氏は知的・精神的にヤバイ状態!? 報告書は自分で読まないらしい…
飯塚さん
ほかにも本のなかでは、複数の政権幹部が「トランプ大統領は、知的・精神的に大統領にふさわしくない」と指摘しています。
これは以前から一部の心理学者たちの間でも問題視されていたことです。
ライター・森
え、大丈夫なんでしょうか…。実際にはどうなんですか?
飯塚さん
トランプ大統領は文章を読みたがらないそうです。報告書の内容なども直接は目を通さず、周囲の人に口頭で説明してもらっているんだとか…。
ただし直近の健康診断の結果では、彼の認知能力は正常と判断されたよう。検査に使ったテストが簡単で、微妙な認知機能の衰えまではわからないとの指摘もありますけどね。
飯塚さん
実際にスピーチのビデオを比較した結果、トランプ氏の話し方が年を重ねるにつれて変化していると指摘する専門家もいます。
以前は豊富な語彙で長い文章をスラスラと話していたのに対し、最近は簡単な言葉や文章を用い、「uh(ええと)」「I mean(つまり)」といったように、言葉に詰まることが多いとか。
ライター・森
国民にわかりやすいように、簡単な言葉を使ってスピーチしてるならいいけどなぁ。そういうわけでもなさそう…。
トランプは「支持・不支持」がハッキリしているため、本の影響で政権崩壊することはなさそう
ロイター/アフロ
140万部売れても、政権に影響はない?
ライター・森
暴露本が大人気になっているということは、それによって政権が崩壊する、なんてことも起こりうるんですか?
飯塚さん
アメリカの有権者はもともと、極端なトランプ支持派と不支持派に分かれています。
つまり、この本を読んだからといって「不支持派」に転向するような中間層は、あまり存在しないということ。政権を崩壊させるほどの影響力はないでしょう。
ライター・森
政権=トランプ大統領はどう受け止めてるんでしょう?
飯塚さん
トランプ大統領本人も、ツイッターで「新しいインチキ本はフェイクニュースばかりまき散らしている」と書き込んでいて、まったくダメージを受けていない様子。
彼は今までも散々批判されてきましたから、このくらいは痛くも痒くもないんでしょう。むしろ自分が話題になっていることを喜ぶような、そういうポジティブな捉え方をする人なんです。
ライター・森
そのポジティブさは見習いたいわ…。
この暴露本に注目が集まっているのは事実だけど、政権を揺るがすような新事実が書かれているわけではないみたい。本の内容には、「カツラ疑惑」なんていうライトな話題も含まれている。
テレビドラマ化される動きもあるみたいだし、じつはエンタメの一環として消費されているだけなのかも?
〈取材・文=森かおる/編集=天野俊吉(新R25編集部)〉
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