

投資もK-1も1ラウンドからやり直し
「このゲームは流行る!」の確信で稼いだ億。K-1投資家・久保優太の戦い(中編)
新R25編集部
記事提供:FROGGY
短期間で成功を収めたことから生活に乱れが生じていた久保選手。戦績も悪化し、「久保は終わった」との声すら聞こえてくるように…。
そんな状態から脱することができたのは、株の怖さを知り尽くした元証券マンの祖父が与えてくれたアドバイスのおかげでした。K-1選手としての引退を決意して、2017年のK-1トーナメントへ臨みます。
「株は甘いもんじゃない、怖いものなんだ」
2013年に株式投資を始め、わずか1年で1億円以上の利益をあげた久保優太選手。株の師匠である祖父に株の利益を打ち明けたことがある。
「怒られました。調子に乗るな、株はそんなに甘いもんじゃない、本当に怖いものなんだ、と」
調子に乗っていたわけではないだろうが朝まで遊ぶことが増えれば、株式投資やトレーニングへの影響は避けられない。ふるわない戦績に高級外車5台への散財が重なれば自然と周囲の目も厳しくなっていく。
「生活費というかカードの支払いも思っていた以上に増えていた。気がついたら思っていた以上にお金が減っていたんです。ヤバイなと思い、リスタートする意味でも今年(2017年)は証券口座の資金を3000万円に減らしました。もう一度ちゃんとやろう、と」
1ラウンドからもう一度――そんな気持ちで臨んだ2017年、久保選手は投資でもK-1でも周囲を驚かせるパフォーマンスを見せた。まずは株だ。
「このゲームは流行る!」の確信で稼いだ億
「サイバーステップという銘柄があります。オンラインゲームの大手ですが、最初に知ったのは株仲間からの口コミだったと思います。韓国で多くの『ネトゲ廃人』を生んだゲームがあるんですが、そのスマホ版が出るのではとの噂が立っていました」
株式投資をしていれば「あの株、上がりそう」なんて口コミを聞くことは多い。でも、久保選手は鵜呑みにしない。夜の習慣である「5銘柄の調査」の対象にして、必ず自分で調べ、将来性を精査する。
「そのゲームについて調べていたら、自分もやってみたいなと思いました。自分がやってみたいと思うようなゲームはみんなもやりたくなるだろう、と。あとは、そのゲームが課金性なのか売り切りなのかとビジネスモデルを調べたり、チャートを見たりしてして有望だなと思いました。最初に買ったのは300円台です。すると『クレーンゲームトレバ』が好調だったこともありバンバン上がっていきました」
ツイッターから見抜く参加者の思惑
300円で買ったサイバーステップを最初に売却したのは3000円手前だった。
「その銘柄に参加している人をツイッターなどで探して、どのくらいをターゲットにしているのかなというのは、すごく参考にします。『Aさんは4000円をゴールにしているな』とか、『Bさんは3000円がターゲットか』ということがわかっていれば、その手前で上昇の勢いが鈍ったときに『みんなが利食っているから壁になっているのかな』とか、その壁を簡単にブチ抜くようなら『買いの勢いが強いから買い直そうか』とか、みんなの意見と値動きでどこまで伸びるかを判断できます」
株価が10倍になれば「テンバガー」と呼ばれるが、2017年のサイバーステップはクレーンゲームトレバが好調だったこともあり一時、約20倍となる8000円手前まで値上がりした。
「たしか3000円前後で売った後も、買い直したり売ったりを繰り返し、2017年はこの1銘柄だけで約1億円の利益になりました」
「K-1の久保優太は上場廃止直前」
リスタートの2017年、投資で結果が出た。そして迎えたのが「K-1初代ウェルター王座決定トーナメント」だった。
「17歳でプロデビューして、トーナメントのときはもう30歳手前。戦績も60戦近くなりベテランと呼ばれケガもして勝ったり負けたりが続いて、選手としての自分は株でいったら『上場廃止』目前、みたいな(笑)」
久保は終わった――そんな声も届いていた。
「株のことも批判されました。『そんなに儲けてるんなら戦う意味がないんじゃないか?』みたいなことを言われたり。でも、僕にとっては『それはそれ、これはこれ』なんです」
「上場廃止の恐れあり」と監理銘柄に指定されるくらいなら潔く自分から撤退しようか――そんな決意で臨んだトーナメント1回戦を判定勝利、準決勝では相手をノックアウトし、順調に勝ち進んだ久保選手。決勝戦でも3ラウンドに2度のダウンを奪い、判定を待った。
「優勝だって言われるまでは何が起こるかわからない。判定を待っている間はぼーっとしていました。弟やトレーナーの先生が『勝った! 勝った!!』と言っていたので勝ったんだなと」
「まだK-1を続けていいんだ!」の喜び
トレーダーとK-1ファイター、二足のわらじを履くがゆえの喜びもあった。
「トレードだけなら肉体的には楽かもしれない。でも、そこには精神的には満足感がないかもしれない。そういう意味でも、もう一度チャンピオンになれたことが嬉しかったんです」
久保選手の今年の利益は約2億円。「もし自分が久保優太だったら」と想像したら、「これだけあったらもう投資1本でいいだろう」と考えてしまいそう。辛いトレーニングを継続するモチベーションが途切れることはないのだろうか。
「本当に『それはそれ、これはこれ』なんです。株式投資は自分が稼げる手段のひとつであって、自分の仕事であり生きる術だと思ってやっています。一方で、僕は格闘技、K-1も大好きだからやらせてもらっているんです」
大好きなK-1からの「上場廃止」宣告を覚悟して臨んだトーナメント、優勝後のリングでマイクを握った久保選手から、こんな発言が飛び出した。
「もうちょっと続けてもいいですか?」
「本当は引退しちゃおうかなと思っていました。でも、優勝してチャンピオンになったことで防衛戦をやらなくちゃいけないですよね。『まだ続けていいんだ!』という気持ちになれたし、また試合をしてベルトを防衛するっていう目標ができました」
後編につづく。
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