ビジネスパーソンインタビュー
相手のパンチも損失も喰らわない
おじいちゃんに教わった“掟”とは? K-1投資家・久保優太の「損をしない投資スタイル」(後編)
新R25編集部
記事提供:FROGGY
引退すら覚悟して臨んだK-1トーナメントを制覇した久保選手。2017年の利益は2億円を超え、K-1でも株式投資でも一時の苦境を脱しました。
リング上で公言していたプロポーズの行方とともに、個人投資家としてはとても気になる株式投資への考え方を聞きました。「リングの上と同じくディフェンス重視」とする、その考え方はこれから始める人にぜひ参考にしてもらいたいものでした。
「ベテランから暴落相場の話を聞きたい」
低迷する戦績、株とK-1を両立することへの批判、そして引退の覚悟――さまざまな思いを背負って戦ったトーナメントで最高の結果を残した久保優太選手。そこにはもうひとつ、大切な決意も載せられていた。彼女へのプロポーズだ。
しかし、当日は祝勝会に追われ、プロポーズを果たせなかった。以前はスポンサーとの付き合いに悩まされ、株で成功してからも夜遊びでペースを乱すことがあった。もしかしてだけど今度もまた…!?
「後日、改めてちゃんとプロポーズしました。シチュエーション? 秘密です(笑)」
K-1ファイターとして「上場廃止」に追い込まれながらも復活を果たした久保選手。もう心配はいらないようだ。
「お付き合いする人が変わったことの影響もありました。最近は相場歴20年、30年というような年配の人とご一緒する機会が増えた。年配の人だと帰るのも早いんで(笑)。そういう方々に昔話を聞くのがめちゃくちゃ好きなんです。僕が株を始めてから、いい相場しか知らないので、バブル崩壊やリーマン・ショックも経験しているような人から勉強させてもらっています」
最悪を想定して守りを固める――そのスタイルはK-1ファイターとしても投資家としても同じだ。
相手のパンチも損失も喰らわないようにする
「リングでの戦いぶりが『ディフェンシブ、勝負に徹している』と言われますが、相手の攻撃をもらわない、喰らわないようにしているのは事実で、僕の投資スタイルもディフェンシブ。『たい焼きの頭とシッポはくれてやれ』じゃないですが、稼ぎやすいところで稼がせてもらい、なるべく損をしないようにしています」
銘柄はどう選んでいくのだろうか。
「口コミなどで銘柄を聞くこともありますし、セクターで考えることも多いですね。A社が買われていたら、同じセクターのB社も上がるのではと考えたり、あとはテーマ。株ってテーマがあると盛り上がるじゃないですか」
EV(電気自動車)関連やスマホゲーム、あるいはブロックチェーンなど、株式市場には折々の旬のテーマがある。
「テーマから銘柄を探していくこともあります。僕はSFが好きなんです。映画だと『スター・ウォーズ』とかマンガなら『GANTZ』とか。だからAIや自動運転、SF的な近未来の夢が描けるテーマは好きですね。僕が夢を描けるんだったら他の投資家も夢を見るだろうし、資金が集まりやすいんじゃないか、と」
夢を描ける銘柄を見つけたら、毎晩の習慣である「5銘柄の調査」の対象となる。
「人から聞いただけの銘柄だと、下がったときに買い増せずに売ってしまうかもしれない。自分で調べて自信を持った銘柄じゃないと『握力』が発揮できないんですよね。だからモニターの横に付箋を貼ってあるんです、『信念の持てない銘柄は買うな』と書いて」
「進捗率」から上方修正を予測、先に仕込む
銘柄を調べるときは会社四季報はもちろん、業績やチャートを見ていく。ポイントとなるのが業績の「進捗率」だ。
「会社が発表している通期の利益予想と、四半期ごとの利益を比べて、何%まで達成しているのかを計算するんです。まだ第3四半期なのに通年利益の90%くらい達成していたら、『利益が上方修正されそうだな』と判断できますよね。会社によっては季節ごとの売上のクセもあるので過去の数字も確認してからの判断ですが、上方修正の可能性が高そうな銘柄は事前に仕込んでいきます。利益予想を控えめに発表する『上方修正常連』の会社もあるのでおもしろいですよ」
上方修正は投資家が飛びつきやすい材料。発表されれば株価上昇が期待できる。
「僕の場合は『上方修正が出たら売り』と決めています。上方修正が出たあとの買いが一巡すると材料出尽くしとなって売られることも多いからです。頭とシッポはくれてやれ、ですね」
チャートに引いた線でタイミングを計る
「いつ買うか」のタイミングを計るためにチャートも入念にチェックする。
「人間は上がっていると買いたくなり、下がっていたら買いづらいじゃないですか。ただ、上がっているときに買うと結局、利益確定売りに押されて含み損になりやすい。高値づかみのパターンですよね」
株価が上がってる!と思って買っていったら利益確定売りのカウンターパンチを喰らって手痛いダメージ受けるパターン、たい焼きで言えば、シッポを食べに行った結果、歯噛みするようなイメージだ。
「だから自分なりにチャートに線を引いて、『今はヨコヨコだけど、この線を抜けたら上がるな』っていうトレンドの転換点を狙ったりします。毎晩の5銘柄の調査のとき、チャートに線を引いてみて、ここが買いポイントかなと考えてからエントリーする。判断に迷ったときチャートに引いた線は自分の背中を押してくれる要素のひとつになります」
深追いしない姿勢はやっぱりディフェンシブだ。
おじいちゃんに教わった三角形の掟
「『おじいちゃんの掟』もディフェンシブなんです――」
久保選手の株の師である元証券マンの祖父から教わった掟、「株での運用、現金、不動産の三角形を大事にしなさい」だ。
「株だけだと市場が暴落したときに資産が激減してしまう。現金だって日本が国家破綻すれば価値がなくなるかもしれない。大地震を考えれば不動産だって安心できない。だから、3つにバランスよく投資してリスクヘッジしなさいと教わったんです。だから株の利益は一部、不動産に回しました。おじいちゃんの掟は忠実に守っています」
分散投資の考え方で資産の守りを固める久保選手。暴落のショックを食らってもノックアウトされることはなさそうだ。
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