ビジネスパーソンインタビュー

ただの“無謀な生活”じゃない。「家に住まない男」の暮らしがメリットだらけだった

リュック1つで東京を生きる

ただの“無謀な生活”じゃない。「家に住まない男」の暮らしがメリットだらけだった

新R25編集部

2018/04/18

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日中は働いて、夜は家でまったり漫画を読んだりゲームをしたりして過ごす。

新R25編集部・福田の日常はそんな感じなのですが、世の中にはちょっと変わった生活を送っている人もいるようです。今回のテーマは、「家に住まない男」。

渋谷のベンチャー企業に勤める市橋正太郎さん(31歳)に、以前から知り合いだったという編集長・渡辺がその実態について話を聞きました。

結論から言いますと、この生活、もしかしたら流行るかもしれません

「家のない暮らし」をしようと思ったキッカケは?

市橋正太郎さん(左)。株式会社m-gramにて、CMOとしてマーケティングを担当している

編集長・渡辺

今家がない生活をしているらしいけど、どこで寝泊まりしてるの?

市橋さん

Airbnbを利用することが多いですけど、あとはゲストハウスビジネスホテル宿泊できるスパなどを転々としてます。

編集長・渡辺

泊まるとこはバラバラなんだね。その生活はいつから?

市橋さん

2017年の12月末に賃貸を解約したので、もう4か月目に入りますね。それまでは月12万円で原宿のソーシャルアパートメントに住んでました。

編集長・渡辺

今の職場は渋谷でしょ? アクセス的にも不自由ないと思うんだけど、そもそもなんで解約したの?

市橋さん

去年の10月に転職して、年収が半分くらいになったんですよ。

それでもっと家賃が安いところに引っ越そうと思ったんですけど、渋谷や下北沢とかで8万円くらいで賃貸を探すと、かなり部屋のグレードが下がる。

出費は抑えられるけど、プラスアルファになることがない。ワクワクしなかったんです。

編集長・渡辺

なるほど。年収が下がったとはいえ、それだと精神的にもキツイね。

市橋さん

そんなとき、大学時代の先輩がAirbnbを使って転々と暮らしているってことを耳にして、「そんな生き方もあるんだ」ってピンときて。

調べてみると、1泊3000円くらいで泊まれるところが結構ありました。これなら工夫すればやっていけるなっていう可能性を感じたんです。

渡辺はこの日かなり疲れており、この時点ではあまり聞く気がなかった

編集長・渡辺

しかし思い切ったね。これまであった家具や服とかはどうしたの?

市橋さん

メルカリやCASHで家具や家電を売って、あとは捨てましたね。本とかはすべて電子化しました。

季節違いの服などは「サマリーポケット」っていうオンラインの貸倉庫に預けてます。

手元にあるのは、最小限の服や洗面用具、あとはPCぐらい。スーツケース1個に収まっているので、会社のデスクの下に置いてます。

編集長・渡辺

それだけで人間って生きていけるんだねぇ。

眠くなってきてコメントにも切れ味がない

月12万円の宿泊費でも、家賃換算すれば実質9万円。旅行の概念も変わった

編集長・渡辺

けっこう宿泊費にお金かかりそうだけど、実際のところどうなの?

市橋さん

月12万円くらいですね。平均すると1泊4000円前後です。

編集長・渡辺

あれ? もともと12万円の賃貸が苦しいから解約したんでしょ? それだと結局変わってないじゃん。

市橋さん

よく考えてみてください。この12万円の中には、「水道光熱費」や「ネット通信費」も入ってます。また、賃貸を契約する際にかかる敷金・礼金などの「初期費用」もゼロです。

それら全部の合計が月々3万円くらいになるので、9万円の賃貸に住んでいるのと変わらないんです。

編集長・渡辺

なるほど、家賃以外の固定費も抑えられるのか。

市橋さん

さらに言えば、部屋がいつもキレイで掃除する必要もないですから。

編集長・渡辺

それ最高じゃん。

市橋さん

ほかにも細かい出費が減りますね。

たとえば浅草で遅くまで飲み会があったら、これまではタクシーで家まで帰っていたんですが、今ならその周辺で宿を探して泊まります。これって肉体的にも楽ですよね。

編集長・渡辺

それもいいね。

市橋さん

さらに、普通は旅行に行ったときは宿泊費を二重に払ってることになりますよね。家賃プラス旅行先の宿泊費。

でもこの生活だと、週末とかに「今日は泊まるところを変えよう」っていうテンションで気軽に旅行に行けるんです。

編集長・渡辺

プレゼン上手!

…ということは、ラブホテルにも気兼ねなく行けると。

市橋さん

いやいや、ラブホはまだ1回も行ったことないです(笑)。

でも、この生活を始めてから本当アクティブになりましたよ。どうせなら休日どこかに行こうという気持ちになりますから。

それでも、トータルの出費は減りました

家賃が「変動費」に変わったことが、“攻める”ためのセーフティーネットに

編集長・渡辺

正直ちょっといいなと思いはじめてるんだけど、宿が見つからないってことはないの?

ぐいぐい質問しはじめた渡辺

市橋さん

ほぼないですね。

ちょっと高くてもビジネスホテルには泊まれるので、翌日以降安く済ませて支出の帳尻を合わせます。

『yoyaQ.com』っていう当日限定の格安ホテル予約サービスなんかもありますし。

編集長・渡辺

なるほどね。

市橋さん

家がない暮らしを始めて体感しているメリットは、これまで「固定費」だった家賃を調節できるようになったってことです。

安く済ませようと思えば、いくらでも下げられる。一泊2000円の宿に泊まりつづければ、月6万円に抑えることもできます。

編集長・渡辺

家賃が変動費に…確かにこれは革命かもしれない。

市橋さん

あと、この暮らしを始めてから友だちが急にやさしくなって、「ウチ泊まりに来なよ」とか言ってくれる人がたくさん出てきました(笑)。

編集長・渡辺

可哀想なヤツだと思われてるんだろうね。

市橋さん

それはちょっと心外なんですけどね(笑)。

でも極端なことを言えば、友だちの家に泊まらせてもらって家賃をゼロにすることだってできなくはないわけです。そうなると、もうどうなっても大丈夫だなと。

ボクは今スタートアップで働いてるので、そう思える気持ち的なセーフティーネットがあって、攻めに徹することができるというのは大きいですね。

場所を転々としながら、将来住みたい街のPDCAを回している

編集長・渡辺

でも、この家がない生活ってまだ続けるつもり? 正直ちょっと疲れたでしょ。

市橋さん

いや、全然です。今はやめる理由がないですね。結婚したら無理ですけど。

ただ、その時を想定して、街のPDCAを回せるってのもこの生活のメリットかもしれません。

編集長・渡辺

街のPDCA? CMOっぽい言葉が出てきたね。

市橋さん

街の本当の魅力って、ちょっと飲みに行ったりした程度じゃ分からないじゃないですか。

この街は人が多いけど、夜はけっこう静か」「この街はおしゃれだけど、生活必需品の買い物は不便そう」とか、実際に暮らしたからこそ見えてくることもあります。

今はいろんな場所を転々としながら、将来住みたい街を探してる感じですね。

編集長・渡辺

いいなぁ…1カ月でいいからやってみたい。

完全にうらやましくなってきている渡辺

サウナにハマった結果、健康になったし飲み代も減った

市橋さん

あと、これ超アピールしたいことなんですけど、当然ながら風呂がないので毎日銭湯に行くようになったんですね。

そしたらサウナにどハマリして。

編集長・渡辺

サウナの話、待ってた。

最近「サウ友」(?)になったという2人

市橋さん

そしたらすごく体調がよくなって。ボク偏頭痛持ちだったんですけど、まったく症状が出なくなりました。

編集長・渡辺

サウナの健康効果は偉大だね。毎日行ってるんだもんね。

※サウナの効果に関しては個人差があります。

渡辺もサウナについてアツく語っていましたが、全部カットしました

市橋さん

それに、サウナのおかげで出費も減りましたね

もともと飲んでストレス発散するタイプだったんですけど、サウナに通いはじめてからはストレスがなくなったので。

※市橋さんは酒癖が悪くて有名だったそうです。

編集長・渡辺

最後は若干こじつけっぽくなってきたけど、「家のない暮らし」の魅力が十分すぎるほど伝わったわ。

むしろなんでこれまで広まってなかったんだろう?

市橋さん

まぁ、普通は「家に住まない」という選択肢が頭の中にないですよね。

でも、こうやってちゃんと話すとだいたいみんな興味を持ってくれますね。女性はちょっと厳しいかもしれませんが(笑)。

編集長・渡辺

俺はめちゃくちゃ面白いと思ったので、新R25がこの新しいライフスタイルを世に広めるよ!

おわりに

家に住まない暮らし。市橋さんの話からは貧しさなどは一切感じられず、むしろ新しい価値観を植え付けられました。渡辺も取材後に「結婚前に一度、この生活を経験してみたかった…」とひと言。

インタビュー後、市橋さんはリュック一つで颯爽と渋谷の街に消えてきました。今日はどこのサウナに行くんでしょうか?

〈取材=渡辺将基(新R25編集長)/文・撮影=福田啄也(新R25編集部)〉

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