ビジネスパーソンインタビュー
「299円の限定アルバム」を仕掛けた男の存在も
13回連続で同じ曲を歌う!? ブレイク前夜の“新生クソアイドル”「BiSH」って知ってる?
新R25編集部
AKBグループが「一人勝ち」状態のアイドル界で、昨年11月20日付オリコン週間デジタルアルバムランキングで初登場1位に輝いたのが「BiSH」という女性6人組グループだ。
アイドルを専門としたライターで、年間150以上ものライブ現場に足を運ぶ向井美帆さんは、「BiSHはアイドル好きのみならず、パンクロック、ポップスとジャンルの垣根を越えてファンを増やしています」と話す。
ここ最近では『スッキリ!』『ミュージックステーション』など、人気番組への出演を次々と果たす彼女たちの魅力とは?
同じ曲を13回連続で熱唱! 撮影もOKにした“常識はずれ”なライブスタイル
全国21箇所で実施されたツアーのファイナル公演の様子。全力でパフォーマンスする彼女たちに負けじと観客たちも一体となり、会場は熱狂の渦に
BiSHとは「Brand-new idol SHiT」(新生クソアイドル)の略。そんなグループ名からもうかがい知れる“常識はずれ”なライブやイベントが魅力のひとつだという。
そもそもBiSHは、「BiS」という先輩アイドルグループ(2014年に解散。現在は再結成し第2期が始動)の活動の後を受け継ぐかたちでスタートした。そのBiSは、「ハグチェキ会」「全裸(に見える)MV演出」「ライブではスク水衣装を着て客席へダイブ」など、およそ“アイドル”という言葉からは想像できないパフォーマンスを数多くおこない、話題を振りまいてきた。BiSHも、「スク水ライブ」「メンバーが200キロ駅伝を走る」などセンセーショナルな企画を敢行してきたのだ…!
「BiSというアイドルの常識を打ち破っていた先輩たちがいたことで、『アイドルのライブとはこうあるべき』と押し付けられないスタイルを確立できたと思います。さらに、そんな型破りな彼女たちのライブの熱さを拡散させたのは『ライブ中の撮影OK』にしたことも大きかったのではないでしょうか」(向井さん)
近年のアーティストのライブは、録音・録画が固く禁じられていることも多い。このような運営側の姿勢も、かなり“常識はずれ”といえそうだ。
全力で熱唱、ときには絶叫しながら感情を込めて歌い上げるそのライブは、「何回見ても泣ける」という声も多い。アップテンポでダンスも激しい人気曲「BiSH ~星が瞬く夜に~」を13回連続で歌うなど、こちらが予想できないセットリストにすることも。
BiSH/BiSH-星が瞬く夜に- [OFFICIAL VIDEO]
話題となる仕掛けのウラにはプロデューサー・渡辺淳之介の存在が。「299円の限定アルバム」もヒット
そうした数々の仕掛けの中心にいるのが、所属事務所社長にしてプロデューサーの渡辺淳之介という男の存在だ。向井さんは、「楽曲の良さやメンバー自身のパフォーマンスはもちろんですが…」と前置きしたうえでこう語る。
「BiSHがここまで売れたのは、淳之介さんがBiSで学んだことをプロモーションに生かしているのが大きいですね。以前はメンバー同士のケンカをクローズアップしたり、車中泊ツアーをおこなったりと、メンバーに精神的負担を与える手法をとっていました。ですが、それだと話題にはなるけれど、アンチも多くついて、売れることに大切な『大衆性』には欠ける。BiSHではその加減をわかったうえで、話題づくりをするスタイルがハマっているのだと思います」
事実、渡辺氏もプロモーションについてインタビューでこう語っていた。
ORICON NEWS「『Mステ』で“コマネチ” エッジの効いたアーティスト・BiSH、ヒットの秘訣とは」より引用BiSでは変わったことをやりすぎて、失敗した部分もあると思っているんです。最近気付いたんですが、一般の人がカッコいいと感じるのは、中指を立てるポーズくらいまでなんですよね。そこまでが限界で、暴力やゲロみたいなものを持ち込むと嫌われてしまう。BiSはそれで良かったかもしれないですが、BiSHでは方向を変えないといけないと思ったんです。
オリコン週間デジタルアルバムランキングで首位を獲得したアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』も、大衆の心をつかんだ売り出し方をして成功した事例のひとつだ。
「正式な発売日よりも1カ月近く前にタワーレコードで2日間限定販売されました。それも破格の299円です。ファンたちは一斉にどこにあるかと探し回って、Twitterでは『#ゲリラBiSH』がトレンドワードに。初日で完売する店舗が多く、私も自力では手に入らなかったぐらいです(笑)」
だが、限定モノが発売されると必ず問題になるのが「転売」だ。その点も、粋な対策をしている。
「タワレコでの発売が終わった翌日に、急遽1日限定でiTunesでの配信を実施したんです。値段はゲリラ発売したCDより1円高いだけ。こうした施策は、ファンの心もつかむし、話題を呼びますよね」
実はこれらゲリラ発売の施策はレーベル元であるavex側の発案。メジャーレーベルが利益度外視で販売するのは勇気がいるところだが、これまで前衛的でファンを驚かせるプロモーションをし続けてきた渡辺氏に、いつのまにかレーベル側も巻き込まれる形になったといえよう。
ゆくゆくはBiSHを「桑田佳祐さんのように、尖ったまま売れるアーティストにしていきたい」と語る渡辺氏。“新生クソアイドル”たちが、今後どんな輝きを見せてくれるのか楽しみだ!
〈取材・文=東田俊介〉
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