ビジネスパーソンインタビュー
「努力をしている人が報われる世界」をつくりたい
【コラム】28歳まで俳優一筋だった僕が、SHOWROOMへの入社を直訴した理由
新R25編集部
29歳という若さで白血病になり、余命3ヶ月の宣告を受けた蝦名聖也さん。
コラム連載第2回では、俳優として活動していた蝦名さんがSHOWROOMで働くことになるまでの経緯や、その想いについて書いてもらいました。
俳優一筋だった僕が第2の人生を歩むと決めた、28歳
僕は0歳の頃から、子役としてオムツやチャイルドシートの広告の仕事をしていました。
きっかけは、7つ離れた兄の存在。兄も子役として芸能事務所に所属しており、撮影現場で母が抱っこしていたところ、スカウトされたと聞いています。
おかげさまで、幼少期から10代、20代と数多くのTVCM、ドラマ、映画などに出演させていただきました。
(下記は、出演させていただいた作品の一部です)
〈映画〉
『ピースオブケイク』(田口トモロヲ 監督)バンドマン役 (2015年)
『SUMMER GOODBYE』(毛塚俊太 監督)トウジ役 (2016年)
『SCOOP』(大根仁監督)芸人役 (2016年)
〈TV〉
フジテレビ 『5→9 ~私に恋したお坊さん~』第2話 犯人役 (2015年10月)
フジテレビ 『痛快TV スカッとジャパン』 横取りモンスター篇 岡崎竜太役 (2016年1月)
〈CM〉
新生銀行レイク『ボクは毎日コンビニ』篇 (2015年-2016年)
アサヒフーズアンドヘルスケア『1本満足バー』「マンゾクトレイン」シリアル篇 (2015年)
株式会社ユーキャン『好きを学ぼう!ユーキャン』「スイーツコンシェルジュ」篇 (2016年)
出演シーンは30秒すぎから
俳優としての人生は、刺激的でとても楽しかったですが、僕には昔から心に決めていたことがありました。
それは、「28歳になるまでに、俳優を一生続ける仕事にするか否かの決断をする」ということ。
28歳になった僕は、何のために作品に出演し、何のために生きているのか。自分はこれからの人生、何を大切にして生きていきたいのかについて必死に考えました。
これまでの俳優人生のなかで、嬉しかった瞬間を思い返してみると、
CMやドラマに出演して、家族や友人が喜んでくれたとき。
「えびちゃんの活躍に、元気をもらってるよ!」と友人が連絡をくれたとき。
つまり僕は、「周りの人が喜んでくれることが嬉しくて俳優を続けていた」とハッキリ納得することができたのです。
けれど、大切にしている軸が“人を喜ばせること”なのであれば、必ずしも俳優(出演者)である必要はないのではないか。よりダイレクトに、人のために自分ができることはないかと考えはじめました。
ちょうどその当時、僕のまわりには、才能がありかつ圧倒的な努力をしているにも関わらず、俳優として思うように活躍できていない人がたくさんいました。彼らの姿を見て、努力が報われないエンタメ業界に対して悔しい気持ちを抱いていたんです。
社会人経験のない僕が人のために何かをできるとしたら、この業界を変えていくことではないのか。
そんな想いから、28年間俳優として生きてきた自分の知識や経験を活かして、エンタメ業界で頑張る人たちのサポートをしたいと考えるようになりました。
SHOWROOMとの出会い
決意をしたはいいものの、何から始めたらいいのか…。
ちょうど悩んでいた時、Facebookのタイムラインに流れてきたある投稿が目にとまったのです。
努力をしている人が活躍できる世界にならなくてはならない。そのために作ったのが“SHOWROOM”というアプリです。
これから、努力指数とリンクしたオーディション機能を立ち上げ、エンタメ界のプラットフォームを目指します。
この投稿をしていた人物こそ、僕の幼馴染であり、SHOWROOM代表の前田裕二でした。
こんな偶然があるのか、と衝撃を受けた僕はすぐに行動。前田へのアポイントを取り付け、当時SHOWROOMが開催していたイベントの分析と、入社してやり遂げたいことをA4用紙2枚にまとめて想いをぶつけました。
「エンタメ業界には、才能があって努力をしていても活躍できない人が山ほどいる。たとえば、僕がオーディションを100回企画すれば、100人の夢への第一歩を広げることができるかもしれない。SHOWROOMで“努力をしている人が報われる世界”を実現するために、全力を注がせてほしい!」
前田はこの想いに共感してくれましたが、僕も前田も、安易に“幼馴染だから入社できた”とは思われたくはありませんでした。そこで、「通常の選考よりも厳しい課題を1週間ごとにクリアできれば入社」という条件が出されました。
僕自身も「前田さんの顔に泥を塗るような事は死んでもしたくないです!一瞬でも使えないと思ったらすぐクビにして下さい」と伝えたことを今でも鮮明に覚えていますし、そのくらいの覚悟で入社したいと思っていたのです。
SHOWROOM社内のバーで同僚と
この課題をなんとかクリアしてSHOWROOMに入社することができたのですが、これまで社会人経験もなく、“PDF”の意味すらわからなかった僕(笑)。どうして採用してくれたのか、しばらく不思議に思っていたところもあるのです。
しかし、前田から「えびくんのことを採用した理由」と送られてきた文章を見て、その理由が少しわかった気がします。メディアの取材で語った内容だそうです。
以前、小学校2年からの同級生を採用したんです。蝦名っていうんですけど、僕の小学校からの同級生だから、スキル面はなんとなく想像ついていました。
僕も含めてですが、そこまで賢い地域や学校の出身ではなかったので、そこはあまり期待していませんでした。
それでもなぜ彼を採用したかといえば、SHOWROOMのビジョンに対する共感度がものすごく高かったのと、彼の人間性については、僕のお墨付きだったからです。
「PDFって何?」って言っていた彼が入社3ヶ月で営業トップになったんです。他のメンバーもびっくりして「バックグラウンドなんなんですか?」って思うくらいに。
俳優だから、プレゼン中に急に、AさんにもBさんにもなりきっちゃうんですよ。こないだもある大手レコード会社の役員会みたいなところで、50人とかいる前で彼がプレゼンして、スタンディングオベーションみたいになってましたし。
それくらい蝦名はすごいことになってるんですけど、それは彼のスキルとかじゃないですよね。熱量や思いの強さが圧倒的なんです。
入社してからは、とにかく怒涛の日々でした。
新規営業、企画書作成、取引先へのメールや電話対応。僕にとってはすべてが初体験。
あまりに仕事に夢中だったので、「蝦名がトイレに一度も行っていない」と社内でウワサになったほどです(笑)。
担当したイベントの様子
そんな必死さが功を奏したのか、僕はいつしかたくさんのプロジェクトを任されるようになっていました。
SHOWROOMではこれまで開催されていなかったCM出演オーディションや映画出演オーディション、イメージガールのオーディション。俳優だけでなく、モデル、声優、歌手、タレントに至るまで、夢への第一歩をつくる仕事。
それを誇りに思っていたし、充実した毎日を過ごしていました。
28歳にしてもう一度本気になれる仕事を見つけた毎日は、まるで青春を取り戻したかのように輝きに溢れていたのです。
このときはまだ、のちに死と隣り合わせの病に侵されることになるなんて、夢にも思っていませんでした。
〈編集・構成=宮内麻希(@haribo1126)〉
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