ビジネスパーソンインタビュー

【コラム】誰も教えてくれなかった、フリーランスは“厳しい”ではなく“甘い”という真実

キャリアの話は、鵜呑みにしてはいけない。

【コラム】誰も教えてくれなかった、フリーランスは“厳しい”ではなく“甘い”という真実

新R25編集部

2017/12/10

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記事提供:Messages from NEWPEACE Inc. - Wantedly(Written by高木新平)

フリーランスで稼ぐのは、簡単だ。手に職がある人であれば、今の給与の2〜3倍は稼げるだろう。まぁ実は会社はかなり色々費用負担しているので、実質それでトントンの人もいるだろうが。

ただ、お金よりも大きなリスクがフリーランスにはあると思う。それは、成長が止まること。フリーランスというのは、現在のスキルやリソースの切り売り以上、何物でもないから。

今後、世界的にフリーランスが増えていく。だからこそ、1つの視点として、経験を交えながら語っておきたい。

まともなフリーランスになって、戦闘力が下がった。

僕は新卒で入った会社を1年ちょっとで辞めた。最初から計画してたわけではなく、3.11の影響に受け、その勢いで辞めてしまった。

無計画なフリーランスだった。ただ、それが良かった。スキルもリソースも無に等しかったから、社会に対して前のめりに仕掛けることができた。

僕にとってそれは「よるヒルズ」や「リバ邸」のシェアハウス、または「One Voice Campaign」などのソーシャルキャンペーンだった。これらの活動で出会えた人は、イベントも含めれば、のべ1万人を超えるかもしれない。ただ名刺交換した関係ではなく、プロジェクトの共犯者として関わったので、濃厚だった。

当時の僕は、評価経済を生きていた。毎日プチクラウドファンディング状態だった(笑)。生きていくのに困りはしなかったが、預金が増えることはなかった。あらゆることが常にゼロベースだった。

ただ結婚もして家族もできると、そういうわけにはいかなくなる。気がつけば、言葉を書いたり、PRを仕掛けたり、というのが、再現可能なスキルになっていた。共犯者が、何かやるときの大事なリソースになっていた。

そして僕は、今日からやるぞ!と気合を入れることなく、ヌメッとまともなフリーランスを始めた。1年間やって、想像を超えるくらい稼げた。どれも面白い案件だった。その割にセルフコントロール。こんなんだったらみんな会社辞めればいいのに、と思った。

ただ同時に、自分の戦闘力が上がっていないことに気づいていた。関わるプロジェクトも増え、なんとなく忙しく過ごし、サラリーマンよりも自由にインプットしているはずなのに。相対的に弱くなっている気がした。会社で下っ端やっていたやつの仕事が少しずつFacebookで流れてくる。今まで人のフィードなんて気にしたことなかったのに。

お金を払うから、期待するのではなく、何も言わない。

僕はドラゴンボールが好きなのでそれで例えよう。サイヤ人は死にそうまで闘ってから超回復すると、元よりも戦闘力が上がる。だからその経験を重ねた孫悟空は強く、クリリンは弱いままだ。僕は、いわゆるフリーを始めてから、瀕死経験をしてなかった。個人として自分の名前で勝負するから、ちゃんと格闘できているものだと思っていたが、実際は違った。

今、経営者になって色々発注するようになって初めて気がついたが、フリーは現在のスキル・リソースの切り売りだ。それ以上も以下も期待されない。ぶっちゃけリスクが伴う仕事は責任を取れる会社に発注するし、期待したことが出来ないようであれば取引を中止するだけだ(実際は納品まではしてもらうけど次発注することはない)。

ジャンプすれば届くかなというボールは投げない。でも一度でもボールをキャッチし損ねたら終わり。しかしそれはフリーにはわからない。発注主は自分たちの経験の糧にはするが、わざわざ伝えないのだ。育てる義務はない。お金を払っているから期待して色々言うのではなく、お金を払っているからこそ何も言わないのだ。残酷な話だけど。

気がつけば、自分の正面に投げられたボールをキャッチしてばかりになる。案件的にベストかどうかではなく、やりやすいという理由から身近なリソースを借りる。一度上がった収入は下げられないから、そうやって仕事を回すことばかりが上手くなる。その姿は、大企業にいる少し偉いおじさんと同じだ。

ちなみにフリーが忙しいのは、内容ではなくただ期間的な問題だ。なぜならフリーの良さは動きの柔軟さにあるから。本来独自スキルに直結する想像力や表現力のストレッチではなく、肉体的なストレッチを強いられているだけなのに。

安い自由と手取りに釣られ、真の自由を失う前に。

所詮自分も、代替可能な存在になっていた。目の前の安い自由さと手取りに釣られ、20代の貴重な成長期をなんとなく過ごしてしまった。気がつけば、不自由な組織のなかで泥臭く経験を重ねた奴が機会を獲得するようになり、一方で僕は人生の選択肢が狭くなっていた

結局、フリーランスはやめた。会社経験が無さすぎるので、どこかの会社に入ることも一瞬検討したがやめた。自分で会社を起こすことにした。それがNEWPEACE。正直、最初は苦しかった。フリーランスのほうがあらゆる面で簡単だった。何より自分が成長しなければならない場面が多すぎて、毎日成長痛だった。しかしそのおかげで、戦闘力が上がった。

今、ようやく会社にアイデンティティー(社会的な存在意義)ができつつあり、仲間が増え、チームだからできる仕事・挑戦が増えてきた。僕自身これまで経験したことないミッションに悪戦苦闘し、メンバーにも毎日ジャンプボールを投げている。今年は世界に出て行きたい。一人だったら見られなかった夢だ。

「フリーランスは厳しいぞ」と注意してくれる人は沢山いたが、「フリーランスは甘いぞ」と真実を教えてくれる人はいなかった。油断すると、入社時に絶対になりたくないと思っていた、大企業のダサいおっさんのようになってしまうなんて、夢にも思わなかった。お金よりも重要なリスクだ。

最後に断っておくと、キャリア的な話は、そのまま鵜呑みにしてはいけない。昔話だが、僕が高校3年の時に、受験勉強しなきゃと思い立って職員室に話を聞きに行くと、国公立出た先生は国立の良さを説き、私立は私立、留学経験者はいかに日本の大学がダメかを語った。第二次志望校でも現役で入った先生は「いち早く東京に出るべき」だと言い、浪人した先生は「予備校時代は人生の青春だ」と語った。

結局、経験談からしか語れない。人は自分の人生や選択を肯定したいから。それは僕も同じだ。

もしフリーランスになるか、フリーランスでいつづけるか、迷っている人がいたら参考にしてみてください。でも今の時代は、立ち止まること自体がリスクであり、行動のハードルは限りなく低い。まずは走ってみることだと思います。自分が想像できない方へ。

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