

プロへの狭き門を通過したその先に待つものは…
「ひふみん」が流行語、羽生さんは国民栄誉賞!? 注目が集まるプロ棋士の収入を解説!
新R25編集部
永世七冠(7つのタイトルをそれぞれで定められた規定の回数だけ獲得)を達成した羽生善治氏に国民栄誉賞の授与が検討されているという。
藤井聡太四段の29連勝に「ひふみん」ブームと、今年話題が多かったプロ棋士たちだが、ちょっと気になるのがその収入。
スポーツのような「興行」がない将棋のプロは、一体どうやって稼いでいるのだろう?
プロ棋士を支える「日本将棋連盟」収益の約7割はスポンサー料。タイトル戦の主催はほとんどが新聞社だった
写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
日本将棋連盟の拠点「将棋会館」
そもそもプロ棋士といわれるのは「日本将棋連盟」に所属する棋士のことで、現在は約160人。プロ棋士の主な収入は、日本将棋連盟から支払われるお金だ。
日本将棋連盟の収益は、将棋関連グッズの売り上げや将棋教室の指導料などさまざまあるが、大部分はスポンサー料。これは「竜王戦」「名人戦」をはじめとするタイトル戦などを開催する際、主催社から支払われる契約金のこと。
昨年度の収支予算書によると、経常収益25億9541万円に対して、棋戦契約金は17億9500万円。収益の7割近くにもなる。
ちなみに、つい最近までタイトル戦の主催はほとんどが新聞社だった。タイトル戦の棋譜を新聞に掲載すると、それ目当てのファンが新聞を購読するので、新聞社にもメリットがあるということらしい。
竜王戦の主催は読売新聞社(画像は「竜王戦」中継サイトのスクリーンショット)
しかし今年、この状況にも変化が。ドワンゴが2015年から主催する「叡王戦」を、日本将棋連盟はタイトル戦に昇格すると発表。「7大タイトル」だったタイトル戦は「8大タイトル」となった。
連盟と主催社の契約金額は非公表ながら、竜王戦、名人戦に次ぐ3番目のランクになるという。今後もネット企業の参画は進むかもしれない。
画像は「叡王戦」公式サイトのスクリーンショット
プロ棋士の主な収入源は「賞金」「対局料」「普及活動のギャラ」。対局料はクラスによって大きく異なる
写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
クラスは飛び級ができないので、棋士になりたての藤井四段はまだC級2組。現在7戦無敗だ
日本将棋連盟が得た上記収益の中からプロ棋士に還元されるお金には、以下の3つがある。
①賞金
公式戦などで勝ち上がったときに得られる。竜王戦の優勝賞金がもっとも多く、4320万円。優勝以外にも、予選トーナメントを勝ち上がったときなど、段階的に賞金が設定されている。
②対局による参稼報奨金
参稼報奨金とはすなわち「対局料」。棋士にはA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組という5段階のクラス分けがあり(前年度の成績により決定)、どのクラスにいるかで対局料が大きく異なる。
棋戦にはトーナメント方式以外に、年間を通しておこなわれるリーグ方式の「順位戦」がある。トーナメントの場合は負けた時点でそれ以降の対局料は発生しないが、上記のクラスごとに対局をおこなう順位戦は、年間の対局数が保証されている。
なので、この対局料がサラリーマンでいうところの「基本給」にあたると考えていいだろう。もっとも低いC級2組で、月額15万円ほどになるそうだ。
③普及活動の報酬
将棋教室などアマチュアへの指導をはじめ、将棋の普及活動に参加することで得られる報酬。最近は藤井四段の活躍もあって、将棋教室に通う子どもが増えているのだとか。
賞金+対局料トップは羽生氏で約1億円。一方、勝てない棋士は“ゴルフのレッスンプロ”状態に…
日本将棋連盟は、毎年「獲得賞金、対局料ベスト10」を公開している。以下が2016年のランキングだ。
https://www.shogi.or.jp/news/2017/02/201610.html1位 羽生善治 三冠/9,150(11,900)
2位 渡辺 明 竜王/7,390(4,577)
3位 佐藤天彦 名人/5,722(2,616)
4位 糸谷哲郎 八段/3,543(5,531)
5位 山崎隆之 八段/3,206(1,346)
6位 郷田真隆 王将/3,185(2,467)
7位 豊島将之 七段/2,492(2,459)
8位 丸山忠久 九段/2,210(1,106)
9位 三浦弘行 九段/1,997(1,989)
10位 深浦康市 九段/1,849(2,373)
※単位は万円、金額は推定。カッコ内は2014年の獲得額
トップの羽生氏でも約1億円。野球やサッカーなどのプロスポーツと比較すると少ない印象だが、将棋記者によると、タイトルを取って有名棋士になれば、上記以外にもさまざまな収入があるという。
「タイトル戦の時の解説や、将棋雑誌への寄稿や戦術書の執筆といった仕事があります。ユニークなものになると、カレー好きで有名な森内俊之九段がカレーのイベントに出演したり、スイーツ好きで有名な糸谷哲郎八段は、スイーツを食べながら将棋を語るイベントを開催していました」
羽生氏の小学校時代からのライバルである森内九段(画像は三菱電機「IHクッキングヒーター」特設サイトのスクリーンショット)
しかし、ここまで稼げるのは一部のトッププロに限った話。トーナメントで負ければ対局料も賞金も入らないし、リーグ戦(順位戦)でクラス降格になれば「月給」も大きく減る。
C級2組にも入れない「フリークラス」に所属するプロ棋士もおり、対局に勝てない棋士のお財布事情は深刻だ。
朝日新聞GLOBE「棋士の年収」より将棋で約160人、囲碁で約450人いる現役棋士のうち、賞金・対局料が1000万円を超えているのは、将棋で1割強、囲碁では1割に満たない。デビューしたての場合は200万~300万円という。年を重ねても、成績が上がらないと収入は伸びない。
なかには対局だけでは生活できず、将棋教室を自ら開催するなど、“ゴルフのレッスンプロ状態”の棋士もいるのだとか…。
「東大に入るより難しい」なんて言われることもあるプロ棋士への道。でもその先には、さらに過酷な弱肉強食の世界が存在しているようだ。

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