ビジネスパーソンインタビュー
2018年にお披露目予定!
モデルルーム的な役割だけじゃない。無印が“ホテル”や“駅”をプロデュースする理由
新R25編集部
シンプルでどんな空間にもなじむ商品を生み出しつづける無印良品。ボクらの生活には欠かせないブランドだ。
そんな無印、よく見かける通常の店舗以外にも、さまざまな業態を展開している。「ああ、カフェとかでしょ?」と侮るなかれ。無印の手広い事業展開の最新事情に迫った!
京阪電鉄の「駅」をプロデュース! 中国と銀座に大規模な「ホテル」もオープンする予定
11月8日、無印が「駅」のプロデュースに乗り出すことが発表された。
場所は、大阪の北東部に位置する京阪電鉄「枚方(ひらかた)市駅」。京阪ホールディングスが「いつも使いたい、一度は行ってみたい駅」をコンセプトに推進するプロジェクトの一環で、無印ブランドを持つ良品計画が駅のデザインを担当することになったのだ。
無印が得意とする「シンプルで心地よい空間」をテーマに、中央口の駅コンコースと直結する京阪百貨店2階に、無印の店舗もスタンバイ。2018年5月に駅と店舗が同時にお披露目される予定だ。
無印の代名詞“シンプルで心地よい”を表現した空間イメージ
さらに、こちらも初となる業態「MUJI HOTEL」を開業するとも発表されている! 2018年1月には中国、2019年春には日本にオープンするらしい。
リリースによると、東京の「MUJI HOTEL」は銀座の並木通り、商業施設「マロニエゲート銀座」の新施設として2019年春にオープンする。地下1階~6階の一部がフラッグシップショップ、6階の一部~10階がホテルなのだとか。かなり大規模…! 中国では北京と深センにオープンとなる。
無印プロデュースの内装に無印の家具やアメニティがそろう「MUJI HOTEL」のイメージ(画像は「良品計画プレスリリース」より)
無印はプロデュースに徹する方針。ホテルは“MUJI”の思想を伝えるモデルルーム的な役割
画像は「MUJI HOTEL」オフィシャルサイトのスクリーンショット
しかし、無印といえば雑貨や衣類の販売が“本業”。なぜこんな事業をスタートさせるんだろう?
ホテルも駅も無印はプロデュースに徹するようで、良品計画の金井政明会長は『日経ビジネスオンライン』のインタビューで次のように語っている。
日経ビジネスオンライン「『銀座MUJIホテルの真意』良品計画会長語る」より僕たちは開発も運営もやらない。言ってみれば、経営はしないのです。ただし、こういう考え方のホテルがあれば、皆さん多分喜ぶのではないか、というコンセプトをつくります。
日経ビジネスオンライン「『銀座MUJIホテルの真意』良品計画会長語る」より無印良品というものが何を考えているかということが伝わり、あるいは間接的に無印良品の空間や家具が魅力的で、いいものだよねというふうになればいいなと。MUJIの思想が伝わればということを思っている。
つまり、これ自体で儲けようというよりは、モデルルーム的な意図があるということ?
無印の戦略にくわしいジャーナリストは、以下のように語る。
「特に“モデルルーム”的な発想でプロデュースしようとしているのがホテルだと思います。ただ、国内ではなく『海外』がターゲットでしょう。中国には無印ファンが多いですし、東京・銀座も多くの外国人観光客が訪れる。このホテルで海外の顧客に無印を知ってもらい、実際に商品に触れてもらうことが最大の意図。海外での売り上げはもちろん、日本のインバウンド消費アップも期待できます」
駅をプロデュースすることで、ネット通販や競合チェーンに負けない“顧客とのつながり”をつくりたい
また、同氏はさらに無印の深い“狙い”をこう分析する。
「今はAmazonをはじめとするネット通販の伸びが小売業界全体をおびやかしています。どの店舗も、『では、実店舗の存在意義は何か』ということを試行錯誤している。無印は、特にお店ごとに地域の農産物を売るなどの取り組みをしていて、“地域の人が集まる場所”をつくることに注力しているんです。駅はその最たるもので、地域のアイコンとなることで、ネット系企業やほかの大規模チェーンに負けない“つながり”を、顧客との間につくろうとしているんですね」
なるほど、たしかにローカルな駅をデザインしていたら、その地域の人は無印に独特な思い入れを持つ気がする。
ほんわかとした優しい世界観のウラには、時代を見据える明確なビジョンがある無印良品。次の休日は、店舗を視察しに行ってみようかな!
〈取材・文=新R25編集部〉
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