

実は世界トップレベルだった日本の格差
6人に1人が相対的貧困。政府は日本にはびこる「格差」をどう解決しようとしている?
新R25編集部
最近なにかとよく耳にする「格差問題」。身近なところで「格差」を実感する機会はそんなにない気もするが、厚生労働省によると、国の構成員間で比較する「相対的貧困率」は2015年時点で15.6%。およそ6人に1人が年収122.5万円未満の「貧困」であり、これは世界の先進国の中でもかなり高い割合だという。
そんな“格差大国”日本において、格差を是正するための対策ももちろん始まっている。国の取り組みをいくつか紹介してみたい。
所得税改革で高所得会社員は実質増税に。会社員とフリーランスの課税格差を是正
これまで会社員は優遇傾向にあった日本の課税方式。同じ収入の会社員とフリーランスでも手取りに格差が生まれていたが、フリーランスで働く人が増える現状を受け、2018年度からは所得税の課税方式にメスが入りそうだ。
見直されるのは、会社員の「給与所得控除」。会社員は現在、「会社に来て行くスーツ」などに一定の「経費」がかかっているとみなされており、給料からこの「みなし経費」を差し引いた額が所得税の課税対象となっている。
一方で、個人事業主やフリーランスとして働く人は、この「給与所得控除」の恩恵を享受できず、納税者全員が受けられる「基礎控除」があるのみ。もちろん経費の申請はできるが、こちらは経費を使わなくても計上される「みなし経費」とは異なり、実際に出費した金額。不公平感は否めない。
そこで政府は、現在の「給与所得控除」の縮小を検討。会社員のうち、高所得層を中心に控除額を引き下げて実質的に増税し、増税分を「基礎控除」の金額引き上げに回すことで、低所得者やフリーランスの人の収入を増やす計画だという。
「同一労働・同一賃金」を進めて、雇用形態の格差を是正。カギは「同一」の明確な根拠づくり
現在政府が進めている「働き方改革関連法案」。この中で「長時間労働の是正」とともに重要視されているのが、「同一労働・同一賃金」だ。これはすなわち「同じ仕事内容であれば、同じ賃金に」というもので、同一企業内での雇用形態による不合理な賃金格差を是正しようというのが狙いだ。
ポイントは、職種の区分や定義を明確にして、やっている仕事の内容が「同一」であるのか否かの明確な根拠をつくること。現行の法制度では、待遇が違うことの合理性を判断する基準が不明瞭であるため、非正規社員の待遇をめぐる裁判でも、判断が分かれる結果となってきた。
昨年示されたガイドラインでは、基本給や手当、福利厚生などにおいて、正社員と非正社員の間の待遇差が問題となる例、ならない例を細かく提示しながら方針がまとめられている。
本来は、このガイドラインをもとにした法律の改正審議が秋の臨時国会で行われる予定だったが、衆議院の解散により見送り。しかし与党圧勝を受け、引き続き法令化は進むと見られている。
「貧困の連鎖」を生む教育格差。公立高校に引き続き、国立大学の授業料も無償化検討へ
親の所得格差が子どもの教育格差、そして将来の所得格差につながる「貧困の連鎖」も問題視されている。
2009年に東京大学大学院教育学研究科・大学経営・政策研究センターで行った「高校生の進路についての調査」によると、収入が1000万円以上の家庭と400万円以下の家庭では、4年制大学への進学率に約30%もの差がある。
こうした「教育格差」を是正すべく、2014年には全日制高校に通う子どもがいる年収910万円未満の世帯に、公立高校の年間授業料に相当する11万8800円を就学支援金として支給。公立高校の場合は、実質的な無償化が完了している。私立高校についても、所得制限を設けたうえでの無償化が議論されているところだ。
大学を中心とした高等教育については、所得に低い世帯の子どもに限定し、国立大学の授業料相当を減免する方針。私立大学の場合は、国立大学の授業料分に一定額を加えた上限額を設定して支援することを検討している。
ただし、自民党は政府に「在学中は授業料の支払いを求めず、卒業後に一定以上の所得が得られるようなったタイミングで返還を求める」いわゆる“ツケ払い”を提案しており、これに関しては「無償化とは言えない」と一部から批判を集めている。
2018年度から続々実施されそうな日本の格差対策。国民が納得する形で少しずつでも前進することを期待したい!

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