ビジネスパーソンインタビュー

面白さのウラには“仕組み”があった!日清食品がトガった企画を連発できるワケ

「10分どん兵衛」や「未確認藤岡物体」が話題

面白さのウラには“仕組み”があった!日清食品がトガった企画を連発できるワケ

新R25編集部

2017/11/12

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ここ最近、型破りな商品企画やWEBプロモーションを次々と仕掛けている日清食品。「カップヌードル」や「日清焼そば U.F.O.」など数多くの国民的ブランドを抱え、即席めん業界をリードする大企業でありながら、なぜここまでトガった企画を実現できるのだろう? そのウラ側に迫ってみた。

ネットのざわつきを逆手に取って商品や企画に反映する“攻めの姿勢”

今年の9月18日には、カップヌードルのブランドサイトにカップヌードル 46年目の告白と題されたページが開設。“謎肉”の正体が大豆と肉などをあわせた「近未来ハイブリッドミート」だと明かされ、話題に。

画像は「【謎肉祭×コナンの“犯人”】謎肉の正体」サイトのスクリーンショット

ちなみに、“謎肉”とはカップヌードルに入っている肉のことで、もともとはネットスラング(俗語)。「肉みたいだけど正体がよくわからない」というネガティブな意味がある言い方だったが、日清食品はその言葉を2016年からオフィシャルに使用するようになった

また、「10分どん兵衛」のプロモーションも話題になったが、これはもともとタレントのマキタスポーツさんがラジオで紹介したどん兵衛の“非公式”な食べ方。オフィシャルに設定されている「調理時間」を無視してるのにうまい!とネットで話題になり、これに対して日清食品は「5分に縛られすぎていた」とWEBサイトに謝罪文を掲載した

潔い謝罪と「10分どん兵衛」発案者・マキタスポーツとの対談が大きな話題となった(画像は「日清のどん兵衛特設サイト」のスクリーンショット ※現在は閲覧不可)

自社の商品に対するネットの話題をいち早くキャッチし、それを企画に反映してしまう“攻めの姿勢”が柔軟な発想の秘訣といえそうだ。

企画がエッジを残したままスピーディーに洗練される「週1回の社長ミーティング」

こうした企画を生み出せる理由について、日清食品にも話を聞いてみた。

宣伝部は社長と週1回程度の定期的なミーティングをおこなっていて、プロモーション企画すべてがその場で議論され、意思決定されます。社長から率直な意見もたくさん出るので、このミーティングで担当者の腕も磨かれていくわけです。特にデジタル領域でのコミュニケーションに関しては、それが単なる“おもしろ企画”で終わらないよう、商品の魅力をうまく、わかりやすく伝えられているか? そのために必要な文脈が展開できているのか?などを確認する場としても機能しています」

例えば、今年6月24日“UFOの日”に合わせて展開された「日清焼そばU.F.O.」のプロモーション。大御所俳優・藤岡弘、を幻の生物や火星人などに見立てたB級感漂う動画が話題となった。

「日清焼そばU.F.O.」の“やみつき濃厚 エクストリームソース”を表現したこってり濃厚な世界観(画像は「未確認藤岡物体襲来 特設サイト」のスクリーンショット)

「日清焼そばU.F.O.の特長は、“極限”にまで濃厚なソースと強い香り。“エクストリーム”をキャッチコピーにこってりとしたB級テイストの広告展開をおこなっているのですが、『未確認藤岡物体』動画も同じコンセプトで制作しました。当初はネタを詰め込みすぎて長尺の動画になってしまったのですが、見た人が分かりにくいものになっていないか?とミーティングで指摘をされました」

意思決定プロセスが長くなると企画が丸くなりがちだが、社長との直接的なコミュニケーションによって、企画がエッジを残したままスピーディーに洗練されていく。これも日清食品のWEBプロモーションの強みといえそうだ…!

社内競争を生み出す2つのシステム!「社内で勝てない商品が他社に勝てるわけがない」

さらに、同社には健全な社内競争を促す仕組みもある。

「当社には、ブランドマネージャーが開発から販売まであらゆるプロセスに責任を持つ『ブランドマネージャー制度』というものがあります。『カップヌードルをぶっつぶせ!』という社内スローガンのどおり、自社の常識を根本からくつがえすような発想を自分たち自身で生み出すことが求められています。だからこそ、カップヌードルが斬新なプロモーションをやるなら、U.F.O.はさらに上を…といった具合に、ブランド同士が常に競争し、切磋琢磨していく構造ができあがっているのです

「日清焼そばU.F.O.」は、あふれるエクストリーム感のWEB動画で「カップヌードル」と勝負!?

日清食品には、社内での“競争”を促すシステムがほかにもあるという。

「日清食品のブランドマネージャー制には、担当以外のブランドを借りて新商品を開発することができる『ブランドファイトシステム』もあり、ブランド間の競争がより一層厳しいものになっています。例えば、『カップヌードル ぶっこみ飯』や『チキンラーメン ぶっこみ飯』は、普段『カレーメシ』などのカップライス商品を担当しているブランドマネージャーが、『カップヌードル』『チキンラーメン』というブランドを借りて開発した商品です。『自ら創造し、他人に潰されるくらいなら、自ら破壊せよ』『社内競争に勝てない商品が、市場で他社の商品に勝てるわけがない』、そんな厳しい競争環境のもとで互いに切磋琢磨し、生き残った商品だけを世の中に送り出しているのです」

ブランド間の競争のなかでコラボまでできるシステムが、高い目線で斬新な企画を生み出す原動力になっているようだ。

最後に、取材に応じてくれた日清食品の担当者はこう語った。

「チキンラーメンやカップヌードルといった世の中になかった商品を発明してきた会社なので、今でもベンチャー企業のように常にチャレンジ精神を持って取り組んでいます」

ネットで話題になる企画のウラには、激しいブランド間競争があることを想像しながら商品を食べてみると、味わいもひとしおかもしれない。

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