ビジネスパーソンインタビュー
仕事も子育ても全力で楽しみたいあなたへ
25歳で上場、2児の父。成田修造さんの“仕事と子育ての両立”の極意は「仕事を一生懸命しないこと」
新R25編集部
「複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」 「本質的じゃない悩みをでっちあげていた」
という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。
“ビジパの悩みインサイト”企画、第3回は、編集部の森久保が最近考えているプライベートなモヤモヤを語りだしました…。
最近婚約したという28歳、編集部員森久保の悩みとは?
森久保
僕が最近ガチ悩みしてるのが…「子どもを持ちながら仕事頑張るの無理ゲーなんじゃないか」っていう話で。
渡辺
最近婚約して。子どもはほしいってなってるんだね。
森久保
そうですね。もちろん、自分だけの問題じゃないので、婚約者と相談したうえでですが。
ただ、最近仕事ができる先輩でお子さんが生まれた人がいるんですけど、無茶苦茶大変そうにしてて。
僕みたいなパツリスト(パツりがちな人の意味らしい)だったら、絶対破綻するじゃないですか。
渡辺
破綻って…経済的にってこと?
森久保
それも大きいですね。東京に暮らして…ってなると、家族が暮らせるだけのお金を稼ぐのって難しいし、それだけ稼ぐとなると、子育てとか家事を相手に任せることになるだろうなって思うんですよ。正直。
もちろん自分でやりたいという気持ちもあるけど、経済的にも体力的にも精神的にも、成立しないんじゃないかと。
自分、両親が離婚してて、“経済状況が悪くなると家庭にヒビが入る”っていうのは経験としてあって…
天野
その原体験のせいで、家庭をうまくいかせられないことへの恐怖とか不安があるのかな。
森久保
子どもに似たような思いはさせたくないっていうのはすごくあります。
あと、「結婚しても3割は離婚する」ってよく聞きますけど、「残りの7割もそんなにうまくいってるんだろうか?」とも思うんですよ。
「外からは見えないだけで、だいたい崩壊してるんじゃね?」って。
渡辺
自分も、これに関してはまったくドヤ顔でアドバイスできないね(笑)。
森久保
完璧にやろうとしすぎてるのかもしれないです。
渡辺
それもよく言うんだよな~。
「完璧じゃなくてもいいんです」 「家事は適度に外注しましょう!」みたいな。なんか、正直そういう問題じゃない感じはする(笑)。
森久保
相談の答えとして言われても納得できなそうなことは全部先にブロックしている…(笑)。
渡辺
あんまりキラキラした発言だけしてる人に聞いても正直リアリティないしな。ちょっと、いい相談相手を探してきてよ!
と、いうことで、仕事も育児も全力で楽しんでいるというこちらの方をお呼びしました
【成田修造(なりた・しゅうぞう)】 元クラウドワークス取締役副社長。25歳でクラウドワークスを上場に導く。同社を卒業後は、連続起業家、エンジェル投資家として活躍。二児の父。
森久保
成田修造さんにお越しいただきました! 本日はよろしくお願いいたします。
成田さん
よろしくお願いします。
森久保
成田さんは、24歳のときに結婚されて、現在2児の父。
25歳のときに、勤めていたクラウドワークスが上場されているということなので、一番忙しい時期にご結婚されたのかなと。
成田さん
そうですね…
自分はそもそも、「仕事と家庭のどっちかをとる」っていう、いわゆるトレードオフの考え方を持ってなくて。
せっかく生きてるんだから、経験できることは全部経験して楽しもうという考えだったんです。だから結婚も子どもも早めだったんですよ。
森久保
なるほど。
成田さん
ただ、今7歳、4歳の2人の子供がいますけど、やっぱり小学校に入る前ぐらいまでは本当に大変で。ずっと何らかのかたちで大人が付きっきりにならざるを得ないし。
森久保
成田さんは、そんななかで具体的にどう仕事と家庭を両立されてるんですか?
成田さん
たとえば、子どもとご飯を食べてお風呂に入れて、20時から会食とかミーティングを入れたりしてます。
つまり、時間の使い方を自由にしているってことなんですが…
日本の会社のよくないところって、「職場環境」というものがフィックス、固定されているとみんな思いすぎてるところだと思うんです。
成田さん
で、その“定数”だと思っている仕事に合わせなきゃいけない自分と、家庭とをすり合わせなきゃいけない…となって億劫になっちゃう。
なので、働き方を“変数”として変えていける環境が重要ですよね。
森久保
定数だと思っているところが実は変数だったっていう。
そこは大きな盲点でした…
成田さん
世の中はほとんど変数ですよ。
寝る時間だって、仕事をするべき時間だって変数だと思います。
森久保
なるほど。
そういった自由な時間の使い方ができない会社だった場合は転職とかしなきゃいけないんですかね…?
成田さん
そうですね。
でもそれって当たり前の話で、転職してほしくないんだったら会社がルールを変えるのが当たり前ですよ。
それってお互いフェアじゃないですか。
この前、箕輪さんがXで「リモートワークしてるっていうやつはほとんど家で寝てる」みたいに言ってましたけど、そういうふうに思う経営者の会社で働かなきゃいいんですよ。
(そう言われてもちょっと難しいかも…)
成田さんが掲げる「フルベットしない戦い方」とは?
森久保
よく、仕事で圧倒的に成果を出している人って「20~30代のある期間、仕事に人生をフルベットした」と言ってるじゃないですか。
成田さんもそうなのかなと思っているんですけど…
成田さん
自分は、仕事にフルベットなんて、当然してないですよ。
僕は、「フルベットしないながらに圧倒的な成果を上げたい」と思ってるんです。
成田さん
孫正義さんとか、日本電産の永守さんのような偉大な経営者に聞いたら、きっと「120%人生を賭けるべき」って言うじゃないですか。
ただ、それをやっている限りは、“本当に子どもと向き合える人生”にはならない。
だから、自分は「制約のなかでかなり成果を上げた人」になりたいと思ってるんです。
森久保
おおお…
ただ、仕事で、“限られた時間内で成果を出す”ってときに、絶対に捨てなきゃいけない部分が出てくるじゃないですか。それって、何を捨てられたんですか?
成田さん
僕は、スピードを落としています。
森久保
スピード?
成田さん
いま、起業してもうすぐ世の中にお披露目できる、という状態なんですが…
「事業の成長スピード」を落としているんですよ。
無理しない。でも、それが大事だと思っています。一生懸命走らないで、程よい緊張感でマラソンを続けていくっていうイメージです。
森久保
な、なるほど…
成田さん
たとえば、仕事に1日15時間かけてる人がいたとしましょう。1日8時間だと半分の投下量ですよね。
「それってだめなんですか?」と思うんですよね、個人的には。
子どもがあと10年ぐらいしたら巣立っていくとして、そのとき自分は50歳ぐらい。50歳ぐらいから全盛期だなと。それぐらいまでプランがあるんで、全然焦ってないんですよ。
森久保
たしかに、人生を長期スパンで見るっていうのもめっちゃ大事ですよね。
成田さん
そういうことなんです。長期スパンで見て、たとえばR25世代の若者だったら、必ずしも今すぐに昇給のために働かなくてもいいかもしれない。
森久保
たしかに、「本当にこの数十万円が必要なんだっけ」って考えられますね。
成田さん
それぐらいのゆとりを持って人生を考えたほうが、ストレスなくやれそうだなって思います。
成田さん
あともう一つは、「やってることが正しいのか」をめちゃめちゃ振り返るべきですね。
ガチャガチャと労力の“無駄撃ち”をしてるだけで、仕事をした気分になっているだけ…という会社は多いので、そこをそぎ落とす。
森久保
グサッと来てます…
成田さん
労働集約的になっているものとか、過剰な時間投下がされている部分を削ったり、仕組み化したり。
クラウドワークスのときも、そのような選択と集中をやったことで、めちゃくちゃ効果が出ました。
最後の数年は、労働時間だけで言うと、上場前後の6割くらいになってましたね。
森久保
すごい…
それで成果は出るものなんですか?
成田さん
成長率も利益も伸びました。
正しい努力をすることは、時間を投下することよりも大事だと思っています。
それでセンターピンを外さずに頑張っていくことが「戦略」じゃないですか。
森久保
「戦いを略す」っていう。
さっきの「すべてが変数なんだ」っていう話とも通じますね。いろいろ思考停止していたのかもしれないな…
「それでも、フルベットしなきゃいけない時期なんです」と聞いてみた
森久保
ここまではかなり納得できたんですが、そのうえで…
自分は、『新R25』で頑張っていて、やっぱりまだまだスタートアップ的な働き方はしていかなきゃいけない気はするんですよ。
「結局フルベットしなきゃいけない」場合は、どうしたらいいですかね?
成田さん
その場合、“フルベットした成果”って奥様とかご家族は納得できるレベルのものなんですかね?
あっ…
成田さん
何かを犠牲にして仕事に取り組むわけじゃないですか。その分は誰かがカバーしなきゃいけない。
「それで出せる成果は夫婦お互いが納得できるものなのか?」っていうのはありますよね。
森久保
そうですね…
成田さん
その仕事で達成したい「夢」があるとして、奥様もそれを共有できてなければ“分離”しますよね。
「2人の共通の夢」や「家族の夢」になっていれば全然問題ないと思いますけど。
独りよがりに「自分だけこうなりたい」と思ってたら、それは無理ですよね。
森久保
おっしゃるとおりですね。
自分も含めて、多くの人が「仕事だからしょうがないじゃん」とか…
成田さん
その言葉はよく聞きますよね。でもそれは通用しないと思います。
家族や、奥さんとのことに関しても「解像度高く目標を持つ」
森久保
以前成田さんを取材したときに「常に10年先の計画を解像度高く持っている」っておっしゃっていて。今日のお話にも、それが関係しているんでしょうか?
成田さん
そうですね。家族に関しても「計画」を持っていて。
たとえば、「50歳ぐらいまで息子と一緒にバスケができる状態でいたい」とか。なんなら「そのときも自分のほうがうまくいたい」とか(笑)。
そのためにはこれぐらいトレーニングをしなくちゃ…っていうふうにつながってくるんですよね。
あとは「奥さんとの関係性がどんな状態か」っていう定性的な目標も掲げています。
森久保
すごい…差し支えない範囲で“奥さんとの目標”ってどういう感じなんですか?
成田さん
奥さんは、同い年で35歳なんですけど。この10年はそこまで仕事を頑張らなくていいと思ってるらしいんですね。
そのかわり、「45歳以降は自分で事業をやりたい」という目標を持っていて。じゃあ「その事業のプランは一緒に考えよう」とか、「そのための資金は自分が稼ぐ」とか、そういった会話をしながら定めてますね。
森久保
解像度高っ…!
成田さん
それぐらい、「遠くを見る」っていうのは大事ですね。
森久保
近視眼的に見ると、今“自分のすべて”だと思っている仕事も10年後、20年後から見ると「あれ、いるんだっけ?」ってなるのかもしれないな…
成田さん
それぐらい、「遠くを見る」っていうのは大事ですね。
森久保
そうなんですよ。大抵のことは大したことないですからね(笑)。
でも、本当に大事なこともあるので…
「今やっていることが本当に大事なのか、そうじゃないのか」という目線を、仕事に対しても持つべきだと思いますね。
人生は難しすぎる。だけど…
成田さん
でも、「人生難しすぎる」って問題は、あると思いますね。
森久保
そうなんですよ…
成田さん
だから今、みんなが「難しくないほう」に流れていって、「家でNetflixを見ていたほうがいいや」ってなる。
家庭を持ったり育児をしたりといった大きな決断が、できなくなりますよね。
でも、僕はそれをすごくもったいないと思ってるんです。生まれた以上、“それなりに難しいお題に挑戦したほうがいいんじゃないか?”って思うんです。
環境や、いろんなことがあるので一概には言えませんが、チャレンジするに値することだとは思います。
森久保
今日、本当にそう思いましたね…
ちなみに、そんな成田さんの人生で最上段になる“ミッション”みたいなものはあるんですか?
成田さん
「完成度の高い人生とは何か?」っていうのをすごく考えていて。
「完成度の高い作品」をつくりたいと思ってますね。
森久保
人生は作品なんですね。面白いとらえ方。
成田さん
そう。自分の人生は「作品」ですよ。
だから、常にそのイメージを自分のなかで考え続けてる…って感じですかね。
森久保
自分はそこをかなり単純化しちゃってたなと思いました。
めちゃくちゃありがたい時間でした…ありがとうございました!
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