ビジネスパーソンインタビュー
ビジパの悩みインサイト
「ずっとうっすらお金がない」悩みをプロ奢さんに相談したら「ないのは金じゃない」と覆された
新R25編集部
「複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」 「本質的じゃない悩みをでっちあげていた」
という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。
企画会議でそれぞれのリアルな悩みを言語化していきます。
編集部・天野の悩みは、言いたくないけどきっとみんな共感してくれる「お金」について…
天野
僕が悩んでるのが「ずっとうっすらお金がない」っていう…
渡辺
大丈夫? そんな話で…(笑)。
天野
新卒のときとかって、お金なくて「給料日までカツカツだわ」みたいな感じじゃないですか。
そこからだんだん改善はされるんですけど、感覚としてずっと「お金あるな~!」と思えないというか。
渡辺
給料日でホッとするみたいな。
天野
もちろんまったくお金がないってわけじゃないんですけど…
たとえば、同年代の大人だったら、高い腕時計を買うとか、高い家具を買うとかしてるじゃないですか。
そういう「大人のお金の使い方」ができない。「え、このイスが100万円? 誰に見せるわけでもないのに…」ってなっちゃう。
渡辺
正直めちゃくちゃわかる。俺も同じ。
ただ、自分自身がそういう高価なものを買いたいっていう気持ちは…?
天野
「“高い時計バトル”みたいなこと、俺は興味ないわ~」ってよく言ってて、半分は本心なんですけど、半分ぐらいは「あっ俺は買えないんだな」っていう引け目があるのかもしれないです。
渡辺
わかるな~~。
俺もほとんど同じで、「じゃあ何にお金使ってるんだっけ?」って考えると、別にないの。
「ただ、お金が消える」っていう状態なのよ。
森久保
使ってないなら、普通に考えたら貯まるのに。
渡辺
そう。貯まるか、使ってたら何かを買って人生を豊かにしてるはずなのよ。
でも、ただ消えてる。
天野
みんなは何か意味のあるものを買ってるのに、俺は買ってない。
悲しい話で異常に盛り上がる編集部
森久保
何この悩み…(笑)。
渡辺
めちゃくちゃアクティブに遊んでるのに、お金があるっていう人いるじゃん。
でもその人が自分より収入がすごい上かと言うとたぶんそんなこともない。
それが謎なんだよね。俺がそのアクティブ野郎よりお金を使ってるところがひとつも見当たらないのに、こっちのほうが金がない。
納得できる理論は、俺の口座から勝手に金が引かれてそいつらの口座に振り込まれていることしかない。
森久保
陰謀論言いはじめた…
ということで、相談したのはこの人!
プロ奢さん
なんすかそれは。
「なんか痩せないデブ」みたいな。
天野
痩せないデブ…(笑)
プロ奢さん
食べてないのに太るみたいな。食べてるんだけどね。
【プロ奢ラレヤー】東京理科大学を3カ月で中退後、ヨーロッパ放浪中に人に家に泊めてもらう、食事を奢ってもらうなどの生活を開始。以降、人に奢られて暮らしている
プロ奢さん
「悩み」って、苦痛があるパターンと、退屈っていうパターンの二軸があると思うんです。
苦痛っていうのは、金がなくて生活ができないとか、飯食えないとか、具体的な痛み。
今回は、すごく困っているわけじゃない。きっと「退屈」だから、何かないかなって探してるんだと思う。
天野
「悩みたい」みたいなことなんですかね。
プロ奢さん
たとえば、ジンギスカン食いたいと思って札幌行ったとするじゃないですか、そのときって間食します?
カフェ入って、「あんパンもうまそうだ」って食べます?
天野
そりゃ食べないですね。
プロ奢さん
ジンギスカンを食べに行く目的があるから、他の消費活動がキリッとするわけですよね。
根本的な考え方が逆だと思うんですよね。金がないから旅行に行けないんじゃなくて、“欲”がある人は旅行に行こうと決めて、そこから予算が決まる。
お金がないんじゃなくて、まず「欲望がない」から目的が決まらない。ジンギスカン食べようっていう目的がないから、カフェで気づかないうちにパン食べてるんですよ。
天野
だから痩せない…
プロ奢さん
根本的な問題は、「欲がないから企画してない」ってことじゃないですか。
ジンギスカンを食べに札幌に行こうっていう企画がないから、家で適当なものを食って浪費している。
めちゃくちゃそうかもしれない…
【投資感覚がない?】「これにそんなにお金をかけなくても…」と思ってしまうのはなぜか
天野
旅行って経験が資産になるみたいなこと言うじゃないですか。でも、あんまりそう思えてなくて。
いい時計とか家具とかも、「払う以上の価値が返ってくる」みたいなことを言うけど、それができないんですよ。
この「投資観のなさ」が問題なんじゃないかと思ってて…
プロ奢さん
なるほどね。
じゃあたとえば、高級車を2000万円で買いました。それでコミュニティとか交流が広がって、彼女ができました。
……それならちょっとうれしい?
天野
うーーーーん…本当に本心で言うなら…
2000万も払わなくても彼女ができる可能性はあるし、その2000万がもったいない。払わなくてもできるんだったらそっちでいいじゃん、って思っちゃいます。
プロ奢さん
因果関係で他の因果を見つけたときに、他の方法あったなと思ったら、お金払わないほうがうれしいって考えるわけですね。
それ、発想としては「無課金ユーザー」ですよね。
プロ奢さん
ソーシャルゲームで言うと、「無課金でこの結果が出るからうれしい」っていう縛りプレーをしてるんですよ。
無課金であることが気持ちいいからやってるんです。
天野
あーーー、それはめっちゃあります。
心のどこかで、“お金を持ってて車買ったから人が寄ってくる”みたいなのって本質じゃないだろ…って思いたい節があると思います。
プロ奢さん
自分本来の力だけで勝負したいのに、課金アイテムを入れちゃうと「課金したから勝てたんじゃん」っていうノイズが入ってきて、どこまでが自分の力なのか測りづらいってことですよね。
天野
そうですね…
課金の勝負になったら絶対上がいるし、勝てない。
「だったらその勝負から降りたところで勝負すればいいじゃん」って思ってるかもしれないです。
プロ奢さん
もっと言うと、金銭で人に「勝たなきゃいけない」と思ってるから、勝てない勝負ができないって話だと思います。
だから、無課金でも戦えるゲームを選びたいんだと思うんですよね。
天野
めっちゃそうです…
プロ奢さん
きっと今の状態は、大人になって「まわりがみんな課金ゲーをやってて寂しい」んだと思うんですよね。
プロ奢さん
みんなで同じゲームで遊べなくて、寂しいんだと思う。
投資観云々というよりは、「みんなであの頃みたいにモンハンやりたいけど、みんなは課金ゲーに行っちゃって寂しい」っていう、そういう話に聞こえましたね。
天野
あー、そうですね。
プロ奢さん
具体的に困ってないのに、そういう“悩み”が出てくるってことは、多分寂しいんですよね。
男の人って寂しいって言えないんで、“悩み”として出てくるのかもしれない。
しょうもないお金の悩みのはずが、どんどん悲しき中年男性の話になってきている
晩婚化、個人主義…そんなオープンワールドゲームに僕らは耐えられないのかもしれない
プロ奢さん
そもそも35歳過ぎて「趣味に金使ってる」状態って、最近始まったビックリイベントなので、できないのは動物的には正しいですけどね。
天野
もっと自由が制限されてて当たり前だと。
プロ奢さん
その歳だと、お金は子供のために使うだけなんで。
社会全体が晩婚化してるけど、“自分の趣味にお金費す”なんて、変わった人じゃなきゃ続けられませんよ。
天野
じゃあ、僕の悩みは「お金がない」じゃなくて…
プロ奢さん
「子供がいない」なんじゃないですか?
天野
それはぶっちゃけ間違いないです…
プロ奢さん
『新R25』が好きな人とかは、「自由に、個人主義でいたい」って人が多いと思うんですけど、それは人生に再現性がないですよ。
だって金って毎年出てくるんですよ。
「毎年数百万円、自由に使いつづけてください」って言われたら、そんなに使い道考えられます?
プロ奢さん
そんな大喜利やらされて、平気でいられるのっておかしいじゃないですか。
それのどこが自由なの? って話なんですよ。
天野
たしかに…
「自由に何でもしていい」ことに嫌気がさして「俺は無課金で行く」みたいなことになってるのかもな。
プロ奢さん
食傷気味なんじゃないですか、オープンワールドみたいなゲームに対して。
天野
やっぱり「東京」なんで、まわりに派手にお金を稼いで、使っている人がたくさんいて…
それに食傷して、欲望がなくなってるっていうのはあるかもしれないですね。
プロ奢さん
友達がプロアクションリプレイ(※かつて販売されていた、ゲーム改造ツール)で最強ポケモンを作ってきたら、「そんなのつまんねえだろ」って言いたくなる。
そりゃ無課金でやりたくなりますよ。
天野
面白くなくなることがわかりきってるから。
プロ奢さん
だからと言って面白い遊び方を自分で決めることもできないから、どうしたらいいんだろう?ってなっちゃってるけど、安心して結婚して子供を持つのがいいと思います。
歴史上みんなそうやってるんで。
天野
そこになるのか~~~。
プロ奢さん
何もない場合は王道で行くのがいいじゃないですか。
「明確に将来やりたいことがない…じゃあとりあえず大学行こうか」って。
今までの人生ずっとそうしてきたのに、急に「もう大人だから自由にしなさい」って言われちゃってるから、何をしたらいいかわからなくて困ってるんですよ。
天野
最初は「お金がない」っていう悩みのつもりでいたのに、「お金の使い道がない」だけ。むしろ「お金ある」っていう話になりましたね(笑)。
逆すぎて、今うまく受け身取れてないって感じです。
プロ奢さん
ウソじゃない、真実の取材はそういうものです(笑)。
天野
でも…この悩みはプロ奢さんに聞いてよかったなという感覚がありますね。
編集しながらちゃんと咀嚼したいと思います。
ということで、耳が痛いことを言われてしまいましたが、まとめると…
・欲望がないから、お金の使い道を企画せず、漫然と浪費している。
・無課金で自分の力を認めてほしいと思っているので、縛りプレーを課している。
・金銭的に人に「勝たなきゃいけない」と思っているので、勝てない勝負ができない。
・まわりは環境を変えて「課金ゲー」をやっているが、「寂しい」と言いづらい。
・家庭を持って自由を制限しろ(!)。
こんな感じ。残酷な正論ですね。
漠然と「お金がない」と思っている皆さん、グサッと来ましたか?
ぜひぜひ感想をXなどで教えてください!
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)〉
ビジネスパーソンインタビュー
「薄っぺらい人間から脱却する方法」をReHacQ高橋Pに相談したら「本気“風”で仕事する恐ろしさ」を教わった
NEW
新R25編集部
「ずっとうっすらお金がない」悩みをプロ奢さんに相談したら「ないのは金じゃない」と覆された
新R25編集部
「好きなことにこだわってはダメ」"好き"を仕事にできずに苦しむ会社員に、自己理解の専門家・八木仁平さんがアツいアドバイス
新R25編集部
「ブランド力」が可視化される時代が来る。トゥモローゲートがブランドサーベイ「B-SCORE」リリース
新R25編集部
新プランが経産省の支援対象に!受講料が最大70%還元される「SHElikesレギュラープラン」
新R25編集部
「同質性の高いチームのほうが、成果出ませんか?」多様性にまつわるモヤモヤを経営学者・入山章栄先生に相談してきた
新R25編集部