ビジネスパーソンインタビュー
moto著『WORK 価値ある人材こそ生き残る』より
「脳みそに汗をかいて働く」とはどういう状態か? 会社員が“市場価値を上げる”ために持つべき視点
新R25編集部
新卒で地方のホームセンターへ入社、リクルートやベンチャー企業などに転職を重ねながら副業を拡大させ、現在は3社を経営する起業家のmotoさん。
年収1000万円以上を稼ぐ会社員は聞いたことがありますが、副業で作ったメディア(転職アンテナ)を事業化して上場企業へ10億円で売却した会社員というのはかなりのレアケースではないでしょうか…?
そんなmotoさんの新著『WORK 価値ある人材こそ生き残る』が発売されました。
同書より“個の時代”の会社員の働き方について、一部抜粋してお届けします。読むと「今のままの働き方では、もったいないかも…?」と思えてくるはずです。
今回は「市場価値を上げる働き方」についてお伝えします。
仕事にモチベーションを求めない
SNSを通じて「motoさんは仕事におけるモチベーションをどう保っていますか?」という質問をもらったことがあります。
以前の私は「年収を上げること」とド直球で返答していましたが、最近は「仕事に対してモチベーションを持つ」という概念自体がなくなりました。
これは副業で自分の会社を経営しはじめた頃から変わってきたことです。
思い返してみると、仕事に対して「やらされ感」があるときはモチベーションというものを考えていましたが、個人としての価値を上げるために仕事をするようになってからは、モチベーションというワードは出てこなくなりました。
個人の価値を上げるためには、誰かに設定された目標をこなすのではなく、自分自身で課題や目標を設定し、それを達成するための行動をする必要があるためです。
そして、その行動プロセスの中では「相手にどんな価値を提供できるか?」という点を考えることが大切になるため、自分のモチベーションを考えるより先に「相手を満たすためにやるべきこと」を考えるようになるのです。
私は以前、企業から講演を依頼されたときに、やりたくないために「1時間100万円ならやります」と返答したら「それでお願いします」と言われてしまい、講演を引き受けることになってしまったことがあります。
「受注してしまった…」と内心冷汗をかきましたが、その次には「この期待にどう応えるか」「自分にはどんな価値が提供できるか」を考えることに集中していました。
90分の講演で100万円をもらうというのは、ものすごいプレッシャーがあります。
自分にモチベーションがあるかないかより、相手に満足してもらえる状態を作ることに必死になっていました。
今の私は会社員から経営者という立場になってしまいましたが、会社や組織に属する上で考えるべきポイントの本質は変わらないと思っています。
どんな価値を、誰に、どのように提供するかを考え抜くだけなのです。
SNSからの質問には「自分のモチベーションに目を向けるのではなく、目の前の顧客に対して“自分の介在価値”を高めていくことが、自然とモチベーションになっていくと思う」と答えましたが、このあたりは人それぞれに答えがあるのかもしれません。
とはいえ、自分の市場価値を高めていく上で、確実にこの視点は持っておくことをおすすめします。
仕事を“作業”にしない働き方をする
あなたは毎日、仕事をしていますか?それとも作業をしていますか?
これは自分の市場価値を考える上でとても大切な問いになります。
もし「作業をしているかも…」と思ったら、あなたの市場価値は下がっているかもしれません。
作業をしている状態というのは、たとえば、Excelのデータ入力の仕事を頼まれたとして、何も考えずにただ言われた通りに数字を打ち込んでいるような状態です。
では逆に「仕事をしている状態」というのはどういう状況でしょうか。
それは、自分が打ち込んでいる数字にどんな意味があり、そのデータがどう使われるかを考えながら、考えながら仕事をしている状態をいいます。
ただの「入力作業」にするか、数字を見ながら、「このデータはこうした方が見やすい」とか「ここの数字がいつもより落ちている」ということに気が付ければ、それは組織に対して自分の価値を提供できているといえます。
どんな仕事でも、受け身にならず、自分の脳みそに汗をかいて働くことが大切なのです。
上司の指示であっても、なぜこの指示が降りてきたのか、本当にこの指示をやるべきなのか?という思考を回すことが大切です。
自分の脳みそを使って働いていくと、わからないことや、経験したことのない仕事が発生します。
何かを判断して行動することには勇気が要りますが、それでも、怖がらずに、失敗するリスクを取ってでも行動した方が、得られる学びは多いです。
「なぜ失敗したのか」「どうしたらよかったのか」を考えることで、より自分に対する経験値を獲得することができるのです。
会社員の場合は、失敗しても、すべての損害が自分に降りかかるわけではありません。
失敗を恐れて何もしないより、とりあえず行動できる人のほうが知見は早く貯まっていきます。
経験上、行動しないことのほうが危険だと思うので、脳みそに汗をかいて行動しておくことがおすすめです。
向き合うべきは「コト」
仕事をしているといろいろな人に出会います。
中には「この人は嫌いだ」とか「好きじゃない」という人に出会うこともあるはずです。
そうした人と仕事をするときは、「コト」に向かうことを意識してみてください。
私は、苦手な人と仕事をするとき、感情と論点を一緒にしないことを心掛けています。
これはコミュニケーションする上で絶妙な難しさのあるポイントではあるのですが、たとえば営業先のクライアントの人に、「もう担当変えてくれる?いつも読みにくい資料送ってくるし、値段もうちの予算に合ってないんだよね」と言われたとき、あなたはまず何を考えますか?
「何だこの人むかつくな」とか「いやいや、予算とか言ってなかったじゃん…」、みたいな「感情」が先行する人は気を付けてください。
私もそういう場面では感情が先行することがありましたが、話すべきは「では予算はいくらなのか」とか「具体的に資料のどの部分を変えたらこの人は納得してくれるのか」「どうしたら次の稟議に進めてもらえるのか」という点なのです。
上司にクライアントの状況を聞かれたときにも感情が先行して、「あのクライアントは向こうの担当が変わらない限りお金がとれません」みたいな感じになってしまうと、完全に論点を見失ってしまい、次の機会に繋がっていきません。
場合によっては、相手を論破することが目的になってしまって、本来話すべき論点を見失ってしまう可能性もあります。
感情を優先したことで、お客さんを失ってしまっては勿体ないです。
自分の感情と論点は必ず切り離して考えるのが大切です。
たとえ自分に対して何か嫌なことを言われたとしても、相手の人は「その立場」にいるからそういうことを言っているんだと割り切るようにしてみてください。
motoさん「目の前の仕事に全力を尽くすことが、あなただけの価値に変わる」
WORK 価値ある人材こそ生き残る仕事が自然とやってくる状態を作るには「成果を出すこと」が大切です。どの会社からも必要とされる人材は、規模を問わず、必ず「社会から必要とされる成果」を持っています。
とmotoさんは言います。
「会社にキャリアを用意してもらう」とか「上司に給与を上げてもらう」という受け身の姿勢では、自分から仕事で成果を出しにいくことはできません。
「キャリアを自分で取りに行く」「給与は自分で上げにいく」という姿勢を持って、自分の市場価値を上げる働き方をすることがその第一歩です。
motoさんの思考について細かく書かれている『WORK 価値ある人材こそ生き残る』は、仕事への視座を上げ、まさに仕事を探す人ではなく「仕事に探される人」になるための一冊になっています。
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