ビジネスパーソンインタビュー
最強のビジネスパーソンを誕生させた上司のアドバイス
個人メディアを10億円で売却したmotoさんの「人生を変えた衝撃の一言」とは?
新R25編集部
「新R25ワイドショー」がリリースされました。
編集部が毎日更新するこだわりの「テーマ」に対して、新R25アプリから会員登録したユーザーが自由に自分の知見を回答することができます。
新R25では、そんな「新R25ワイドショー」のテーマを著名なビジネスパーソンの方にぶつけ、深掘りインタビューさせていただく特集をスタート…!
本日登場するのはビジネスパーソン・起業家のmotoさんです。
【moto】本名戸塚俊介。新卒で地方ホームセンターへ入社後、リクルートやベンチャー企業など複数社へ転職。会社員をしながら副業でブログ『転職アンテナ』を運営し、事業化。moto株式会社として法人化した後、2021年4月に上場企業へ売却。現在は3社を経営する起業家。著書に『転職と副業のかけ算』(6万部超)
リクルートやベンチャー企業など、数多くの会社へ転職した経験を書いたブログ「転職アンテナ」が大ヒット。今年の4月にはブログを軸に事業展開するmoto株式会社が10億円で上場企業に買収され、大きな話題に。
数多くのビジネス経験を積んできたmotoさんに、新R25ワイドショーのテーマのなかから、こんなお題をぶつけてみました!
motoさん
会社の上司に「え、キミ会社持ってないの?」と驚かれたとき。
なんともmotoさんらしい体験談…。
読み終えたあとには、あなたも、「絶対会社つくろう…」と思っているはずですよ!
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
「えっ、会社持ってないの!?」みんなが会社を持っている会社とは…
天野
今日はmotoさんに、「価値観が変わった経験」を聞きにきました。
いろんなターニングポイントがあったと思うんですけど。
motoさん
そうですね、僕のなかで特に強烈だったのは…
6年ほど前に転職したベンチャー企業での話なんですけど、その会社の上司の多くが「自分の会社」を持っていたんですよ。
顔出しNGのmotoさん。納涼うちわver.
motoさん
転職の最終面接で「会社とか持ってますか?」って聞かれて、冗談だと思って「持ってないです」って答えたら「え? キミ会社持ってないの?」って驚かれて(笑)。
天野
持ってて当然のテンションで。
motoさん
そう、普通持ってないですよね(笑)。
天野
皆さん、そんなに何の会社を…?
motoさん
個人でコンサルをやっていたり、企業のM&Aを手伝っていたり、今でいうD2Cみたいなことをやっていたりとさまざまでしたが、いずれもきちんと稼げる仕事をしてました。
「サラリーマンだけで稼げる金額には限界がある」とか「経費を使えるようにしたほうがいい」、「自分で事業をやったほうが、使えるお金が大きくなるよ」みたいな話をされて、とりあえず何かやろうと思って、ブログを始めたんです。それが『転職アンテナ』でした。
天野
そして、副業で稼ぐmotoさんが誕生したと。
自分も何か会社つくろうかな…(安直)。今ブログとかをやってて収益がある人には、やっぱり法人化をおすすめしますか?
motoさん
法人化することのメリットはいろいろあると思いますね。
会社におけるお金の流れや仕組みがわかるようになったし、「事業を大きくするために何をすべきか?」をリアルに考えるようになったことで視野や人のつながりが広がりました。
僕は、転職アンテナを運営する“moto株式会社”をつくってから、ブログの上流にあるASPサービス(※メディアと広告主を仲介する代理店のこと)を展開する “HIRED株式会社”を立ち上げたんです。「会社をどう大きくするか?」という視点を持ったからこそできたと思ってますね。
そして2021年4月、moto株式会社を10億円で売却…10億…
天野
ただ、「副業でちょっと稼ぐぐらいなら、本業がんばったほうがいい」っていう話もあるじゃないですか。
みんながそんなに副業してたら、本業に集中してないんじゃないですか?
motoさん
そもそも彼らには、本業とか副業という概念がないんですよね。それってこちらが「副業」と思ってるだけで。だから本業も副業も関係なく、全員が事業にコミットして、常に成果や売上を追いかけてました。
お金の流れや成果のあり方を各自が考えていたので、無駄な議論も少なかった。「会議に出ているメンバー全員が、経営者視点で会話をする」という状態は、後にも先にもあの会社だけでしたね。
天野
それは強いな~~~。副業っていうと「本業がイヤだから、こっそりお小遣い稼ぎする」みたいなイメージありましたけど、むしろ本業にもめちゃくちゃメリットがあるんですね。
会社、絶対やったほうがいい気がしてきたな…(2回目)。
motoさん
きっと「会社を持つ」という概念に触れなかったら、僕は今のようにはなっていなかったと思います。それくらい価値観が変わりましたね。
やった人とやってない人の差が時計に表れている残酷なショット。Gショックも大好きです
もらった一言を“活かせる人”になるには、「腹落ちするまで深掘る」
motoさん
もう一つ、今の価値観に大きく影響していることが…
僕がリクルートにいたときの上司が、リクルート事件(※)のころからいた古株なんですけど、当時の話をしてくれたことがあって。
「リクルート事件があったとき、明日にも会社が潰れそうな状況で俺たちが採用したヤツは“どの企業でも活躍できるエリート”とか“前職で成績が優秀だった人”じゃない。会社を潰さないために一生懸命努力できる人間だ。
自分の成長より、会社の成長を考える“姿勢”を持っているヤツが、どこへ行っても活躍できるんだ」と。
※リクルート事件=1986年にリクルート社が事業拡大のため政界・経済界などに関連会社の未公開株を譲渡した事件
天野
“姿勢”なんですね。
motoさん
当時の僕は、いわゆる意識高い系人材で、上司に「スキルが身につく仕事をやりたいです!」とか生意気に言ってたんですよ(笑)。「スキルがほしいな~、スキルを身につけて転職したいな~」とか思ってて。
ただ、「スキルを身につけて成長したい」って“向上心”があるように見えるけど、実際は“受け身”なんですよね。会社は学校じゃないので。自分で会社をやるようになってから、よりそう感じるようになりましたね。
「結局は自分のためになるんだけど…先立つべきは『会社をどう成長させていきたいか』」
天野
たぶん僕らも、会社にいてそういう“価値観を変える一言”に出会ってるはずなんですけど、motoさんほど大きく活かせてないと思うんですよね。
アドバイスがあったときに、それを人生に活かすのって…どうしたらいいんですかね?
motoさん
素直に受け止める。あとは、“腹落ちするまで深掘ること”が大事かなと。
僕は少しでも疑問があったり、納得できなかったりしたときに、その場で「どうしてですか?」とか「なんでそう思ったんですか?」ってカジュアルに聞くようにしてて。
たしかにmotoさん、「なんでだろう?」ってよく言ってますね
天野
今日の「会社持たないの?」っていう話でも、聞いたときは「うわー! やろう!」と。でもどこかで「自分には関係ない世界なのかな」っていう気持ちもあって。結局やらないっていう…
motoさん
多くの人がそうだと思いますよ。でも、関係ないかどうかは、やってみないとわからない。だから「まずはやってみる」のがいいと思います。
考える前に行動したほうが得られるものは多いから、会社員こそ身のこなしは軽くていいと思うんですよね。
まあ、僕の場合は身のこなしが軽すぎて転職回数が多くなってしまったんですけど…(笑)。
聞いてみたいテーマは、「役員報酬」と「海外旅行」
天野
ちなみに、新R25ワイドショーで、motoさんが投げかけてみたいテーマはありますか?
motoさん
経営者のみなさんに「役員報酬どうやって決めてますか?」って聞きたいですね。
難しくないですか? 自分の報酬を自分で決められるとなると、どうやって決めるんだろうっていう…
天野
motoさんの役員報酬はいくらなんですか?
motoさん
昨年だけで言うと、全部合わせて年収で約2億円ぐらいでしたね。
あれ? 日本人の平均生涯年収がそれぐらいだよね?
天野
ただmotoさん…
正直この質問、関係なさすぎて全然ピンときてないんですよね…(汗)。
motoさん
え? そう?(笑)
そしたら…「仕事や旅行で訪れて、その後に活きるような経験ができた国はどこですか?」とかは?
天野
それならピンときますね。
motoさんもそういう経験があるんですか?
motoさん
ありますよ。いろんな国に行って実際に見聞きしたことって、すごくいい刺激になると思うんです。
働き方とか転職の価値観って、国によって結構違うんですよ。日本とアメリカの転職観が違うということを知るだけでも、自分のキャリアに応用できるポイントが見つけられると思いますよ。
天野
最後に、新R25ワイドショーに、何かアドバイスがあれば!
motoさん
よくある質問サービスみたいなにはならないでほしいですね…。質問ではなく、ネガティブな意見が集まってきたり、マウントを取り合う場になったりなサービスにはしてほしくないです。
あとは、回答者が質問に対してどれだけ真摯に向き合ったコメントをくれるか、というのも大事にしてほしいですね。
天野
まさに、ポジティブかつ真摯に答えたくなるようなテーマづくりが肝でして。motoさんが価値観を変えられたような、有益なコメントが集まるよう工夫していきたいと思います!
今後、moto株式会社で『転職アンテナ』をより強化しつつ、HIRED社でも新しい事業を展開…さらに来年には日経BP社から2冊目の書籍を出す予定だというmotoさん。
新しい環境に身を置くことで自分自身をアップデートしてきたからこそ、臆することなく新しいチャレンジを続けられるのかもしれません。
しかし…本業にもメリットがあるという「個人会社」、俄然興味が出てきましたね…。カジュアルに動いてみようと思います…。
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/構成・文=山田三奈(@l_okbj)/撮影=森カズシゲ〉
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