「税理士=なんかカタそう」は勘違い!?
アイドルのセカンドキャリアにも!? 税理士が提案する、新しい若手のキャリア選択肢
新R25編集部
会社員だったらあまり接することのない「税理士」という職業。
士業と聞くと、学生時代から必死に勉強して、なかには浪人をしてまで難関試験を突破し、ようやくなれる職業というイメージですよね。
そんな税理士について、新R25がインタビューするのはこれで2回目。前回は「若者にこそ税理士をオススメする理由」「税理士という仕事の熱き“ドラマ”」について伺いました。
“カタい仕事”は大間違い!? 今、若手にとって税理士が「将来なりたい職業」として有力なワケ|新R25
ふつうの会社員が、税理士さんとかかわる機会ってなくない…!?
税理士について詳しくインタビューした前回の記事はこちらをご覧ください
今回は、税理士という職業をより深く知るため、R25世代を代表する「インタビュアー」として、名古屋を中心に活動するアイドルグループ「dela」のキャプテン・今田希さんをお招き。
【今田希(いまだ・のぞみ)】1996年生まれ。名古屋で誕生した精鋭美少女ユニット「dela」の9期生。アイドル業のかたわら、プロゴルファーとしても活動している
というのも、今田さんは最近、税理士の方に大変お世話になった経験があるんだとか。
肌で税理士のありがたみを痛感したという今田さんに、税理士の素顔を暴いて(!?)もらいます。
一方、税理士の先生からは、そんな今田さんに対してある提案があったのでした。
お相手いただく税理士は、名古屋税理士会に所属する武山卓史先生です
今田さん
武山先生に初めてご相談したのは、今年の確定申告でしたよね。
その際には、本当にお世話になりました…!
武山さん
提出締め切りの前日に「助けてください」ってLINEが来ましたね(笑)。
「自分で申告書類をつくってみたので、チェックしてください」って送られてきたんですけど、経費が書かれてなくて。
経費を差し引いて申告をしないと、収入のすべてが課税対象になってしまって、所得税や住民税などが高額になってしまうんです。
だから、「何にいくら使ったのか“お小遣い帳”のようなものをつくってください」って連絡したのを覚えてます。
今田さん「まさかこの歳になってお小遣い帳をつけることになるなんて…」
今田さん
でも、武山さんに相談するまでは、知らないことが多すぎて焦りました。
私はタレント業のほかに、プロゴルファーとして、ゴルフのレッスンプロなどのお仕事もしているんです。
タレント業とプロゴルファーと2種類以上の収入があると、申告の仕方も複雑になるんですよね?
武山さん
専門的な話をすると、タレントは事業所得、ゴルフレッスンは会社に所属してれば給与になるんです。
その違いで納税額にも変化があるので、すぐにでも専門家に相談してもらったほうが楽なのかなとは思います。
実際に今田さんは、タレントの収入から源泉徴収税がすでに引かれていて…ちゃんと計算していくと、けっこうな額の還付金が戻ってくることがわかりました。
今田さん
最初は還付金が戻ると聞いて詐欺かと思いましたが、説明を聞いたら武山先生が詐欺師どころか神様に見えましたよ…今となってはもう足を向けて寝れません(笑)。
計算ソフトやAIが発達しているなかで、税理士が必要とされる理由
今田さん
私はこれまでの人生で税理士の方と会ったことがなかったんです。
“税理士”ってカタそうな名前から眉間にシワを寄せた怖い人だと思っていて、ちょっと不安だったんですよ。
武山さん
よく言われます。ずっと数字を見てパソコンで計算していて、頭がカタそうだって。
実際に会ってみていかがでした?
今田さん
冗談ばっかり言うから、逆に「この人にお願いして大丈夫なのか…?」って思いました(笑)。
「仕事ではすごくしっかりしてましたよ!!」
武山さん
税理士の仕事は、基本的にはコミュニケーションなんです。
お客さまの税額を計算したり、会社の決算書類をつくったりするためには、通帳などの大事な書類を見せてもらわないといけないんですよ。
そんなときに、眉間にシワ寄せた人が突然来て「通帳のコピーをください」なんて言っても怖いだけじゃないですか。
今田さん
たしかに。私も武山さんの人柄を知ってないと、「悪用されたらどうしよう」って思ってたかもしれません。
武山さん
家族や友人には言わないようなお金の話をしないといけないので、お客さまとの関係構築が絶対に必要なんです。
とくに今の時代って、パソコンのソフトやAIがありますから、お金の計算は代わりにやってくれるじゃないですか。
だからこそ、私たちはAIにはできないような関係性の構築が必要だと思います。
武山さん
税理士って「AIに取って代わられる仕事」として挙げられることもあるんです。
税の計算なども機械がすべてやってくれるという理由で。
今田さん
そうなんですか…!? 武山さん、ピンチじゃないですか…
武山さん
そうかもしれません(笑)。ただ、私たちがお客さまに提供しているのは、計算だけではなく信頼なんです。
たとえば今田さんの確定申告の件も、自分で確定申告計算ソフトを使って計算したものが不安だから、私のところに相談にきたわけじゃないですか。
今田さん
そうですね。「本当にこれで大丈夫かな」って。
武山さん
そういうときに、「今田さん、この部分の経費って間違ってませんか?」「このまま収入が増えるなら、法人を設立してみたらいかがですか?」って一人ひとりに向き合うことでお客さまは安心できるんです。
そういったお客さまの気持ちに寄り添えるのは、人間である僕らの仕事です。
AIがいくら便利になろうと、取られることはないだろうし、取られちゃいけないと思ってるんですよ。
武山税理士から今田さんに提案が…
武山さん
今回、今田さんと対談させていただいたのは、ひとつ提案があるからなんですよ。
今田さん、税理士になりませんか?
今田さん
えっ!? 私がですか!?
急に?
武山さん
税理士ってまだまだ知名度がすごく低いんです。
小学校で「租税教室」という税金の授業を行うことがあるんですけど…「みんな弁護士さんって知ってますか」って言ったら「はい!」って答えるんです。
「お医者さんは知ってますか」って言っても「はーい!」って。で、「税理士知ってますか」って言ったらシーンってなるんです。
切ない…
武山さん
僕が所属する名古屋税理士会では、若者に向けて著名人と税理士が対談する動画をつくったりしたんですが…
ただ、まだまだ知名度は足りないなと思っています。
だからこそ、アイドルでもある今田さんが税理士になることで、「僕も税理士になってみようかな」と思う若者が増えると思うんです!
今田さん、いかがでしょう?
若者が税理士になったほうがいい理由①同世代の経営者と戦友になれる
武山さん
僕が今田さんにぜひ税理士になってほしいと思っている理由のひとつが、若手経営者が増えているからなんです。
今田さん
それって関係があるんですか?
武山さん
同世代の経営者と戦友のような関係になれるんです。
僕も税理士になって20年以上になりますけど、駆け出しのころに金沢から来たチャラい若者が僕のところにやってきて。
なんだこの人って思ったら、「名古屋でお店を出したいんだけど」って相談だったんです。
武山さん
「一緒にやりましょう」ってなったんですけど、僕も若かったのでわからないことが多く、いろいろ調べて開業のお手伝いをしたんです。
そこから2店舗目を増やすときや、銀行に融資を受けるときも相談を受けて一緒に戦いました。
今田さん
そんなこともするんですか…!
武山さん
そうやって一緒に成長してきて、気づけば法人化して立派な経営者になったんですけど、今では会うと、半分ぐらいは昔話をして笑いあっている“戦友”のような関係なんです。
そういうような経験は、若いときから一緒に頑張ってきたからこそだと思っていて。
若い経営者が増えている今、そういう右腕になれるような経験ができるのって貴重だと思うんです。
今田さん
それは素敵ですね…
ちょっと心が動いてますね
若者が税理士になったほうがいい理由②経験を活かして活躍できる
今田さん
でも、私みたいなアイドルが税理士になっても活躍ってできるんですか?
武山さん
もちろんです。今田さんのように、確定申告に悩んでいるアイドルの方ってたくさんいると思うんです。
今田さんなら、ご自身の経験を活かしてアイドルやタレントに特化した税理士になれると思います。
今田さん
なるほど…!
私はプロゴルファーでもあるので、アスリートの方の確定申告のお悩みにも共感できそうです。
武山さん
特定の業界に特化しているからこそ、何が経費になるかもわかるし、つらいことにも寄り添えるので重宝されるはずです。
「カラコンは経費になりますか?」って言われても、僕はピンとこないですし(笑)。
それはアイドルを経験してないとわからなそう
武山さん
それに、今経営者でも女性の方ってすごく増えてますよね。
税理士に対して、人には言いづらいことをさらけ出して相談する場面も多いので、同じ女性のほうが安心できるというニーズもあると思います。
今田さん
それもありますよね。同性のほうが気持ちがわかることがありますから。
武山さん
実際、異業種から転身して活躍している税理士はとても多いんですよ。
人生経験が豊富であればあるほど「いい税理士」になれると思います。
税理士の仕事って、みなさんが想像する以上に「人生」に密着してますから。
難関と言われる税理士試験。今田さんは突破できるの…?
武山さん
どうですか? 税理士っていい職業でしょう?
今田さん
まだ肝心なことが聞けてません。税理士さんになるのって簡単ではないじゃないですか。
すごく難しい試験があると思いますし…
武山さん
税理士試験は「簿記論」「財務諸表論」の2科目と、「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法又は酒税法」「国税徴収法」「住民税又は事業税」「固定資産税」のなかから3科目の合計5科目を合格しないといけません。
※「所得税法」「法人税法」のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません
武山さん
とはいえ1回の試験で、5科目すべてに受かる必要はないんですよ。それに、1度合格した科目は永久に有効なんです。
だから、1年で1科目をみっちり勉強して5年かけてもいい。
今田さん
そんな仕組みなんですか! 意外と自由度が高いんですね。
武山さん
たとえば学生時代に2科目合格していて、結婚して子育てが落ち着いてから、残りの3科目を合格して税理士になる…といった女性の方も意外と多いんですよ。
もちろん試験内容は簡単とは言いませんが、長い期間で考えれば、想像されているほど大変だとは思いません。
僕がアイドルになる可能性よりも、今田さんが税理士になる可能性の方が全然高いと思います(笑)。
それはそうだ(失礼)
今田さん
ちなみに、私は高卒なんですけど、大丈夫ですか?
武山さん
受験資格も変わってきています。
来年の令和5年からは、高卒でも受験することができるので、まさに来年からチャンスがあるんですよ!(※)
※今年税理士法の改正が行われ、「簿記論」「財務諸表論」については受験資格が撤廃され、年齢や学歴を問わず受験が可能となりました。
約30分にもおよぶ熱弁でした
武山さん
今田さん、どうでしょう…? 税理士になりませんか?
今田さん
正直、税理士のイメージはかなり変わりました。
私もまだセカンドキャリアとして臨める場所でもあるし、人と接するのが好きなので意外と目指してみるのもありかと思いましたね。
!!
今田さん
ただ、私も「dela」というアイドルグループのキャプテンになったばかりなので、今はその活動に専念して、いつかたくさん経験を積んだら挑戦する…というのはどうでしょう…!
武山さん
大歓迎です。本当にどんな経験も無駄にならない職業ですし、国家資格なので生活も安定しています。
40歳を過ぎてからなる方もいるくらい、遅すぎることもないし可能性があるので、ぜひ仲間になっていただける日をお待ちしています!
最後は©税理士会広報キャラクター「にちぜいくん」と一緒に記念写真。ありがとうございました!
税理士は会社員のみなさんにとっても、助けになるタイミングがたくさんあるそうです。
たとえば1年間で10万円以上の医療費がかかった場合の医療費控除は、自分で確定申告をする必要があります。また、新居を買ったときにも、住宅ローン控除の申告が必要になるそうです。
そんなときにはぜひ、全国の税理士会がおこなっている無料相談会に足を運んでみてください。きっと税理士の方が身近に感じられる存在になるはずです。
もしかしたらそこには、税理士になった今田さんの姿が…なんて日もくるかもしれません…!
〈取材・編集=石川みく(@newfang298)/文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
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