八木仁平著『世界一やさしい「才能」の見つけ方』より
才能研究家が否定する「努力は報われる」という考え。“才能が見つからない人”がしがちな3つの勘違い
新R25編集部
「自分には才能がない」
自身のことをそう評価したことはないでしょうか?
「才能さえあればもっと活躍できたはず」「〇〇さんは才能があるからいいな」と思うことがあるはず。
そんな一部の人間しか持ってないと思われている「才能」を「誰でも見つけることができる」と、自己理解の専門家である八木仁平さんは『世界一やさしい「才能」の見つけ方』で語っています。
同書では「才能」のメカニズムから、才能を見極めるためのフローなどを丁寧に解説。
今回は、「才能が見つからない人が勘違いしていること」について、一部抜粋してご紹介します。
才能が見つからない人の間違い①:「資格」や「スキル」が大事
「才能」とよく間違われるのが、資格に代表される「スキルや知識」です。
この2つは似ているようで全く違います。
「才能」の例は「リスクを考えられること」「人の気持ちを大事にできること」「1つのことを突き詰められること」などです。
一方で「スキルや知識」とは、「英語が話せる」「プログラミングができる」「料理ができる」などのことです。
これらは3つの点で全くの別物です。
まず1点目。
「才能」は、特別な努力をせずに身についたもので、「スキル・知識」は学ぶことで後天的に身につけたものという違いがあります。
2点目。
「才能」は一度知ってつかえるようになれば、どんな仕事でもつかえるもので、「スキル・知識」は特定の仕事でのみ活用可能なものです。
3点目。
「才能」は一生つかい続けることができます。
一方、「スキル・知識」は古くなってつかえなくなる可能性があります。
表にまとめるとこのようになります。
世界一やさしい「才能」の見つけ方
「え?じゃあスキルや知識は重要じゃないの?」と思われたかもしれません。
「スキルや知識」は、もちろん必要なものです。
ですが、時代の変化とともに陳腐化してしまいます。
昔は、ソロバン教室に通って資格を取ると就職に有利でしたが、今はそんなことはありませんよね。
スキルとは、そういうものです。
また、一度身につけたスキルや知識に依存して、人生の自由度を下げてしまう人もいます。
そして、この「スキルや知識」を重視している人は、なかなか「才能」を見つけることができません。
例えば、看護師の資格を取ったとします。
資格取得のために努力をしたことは、本当に尊いことです。
でも、看護師の仕事を辞めてしまったらどうでしょうか?
その資格自体は無駄になってしまうかもしれません。
僕のところによく「転職したいけれど、看護師の資格を活かしたいと思っている」など今持っている資格を活かしたいという相談がきます。
これは、自分の「やりたいこと」よりも「資格を活かす」ことの優先順位が高くなってしまっている状態です。
そうやって選んだ次の仕事が、本当にあなたを幸せにしてくれるでしょうか?
人生を豊かにするための資格が、逆にあなたを縛っているとしたら本末転倒です。
また、例えば、公認会計士の資格を取ったとします。
ものすごい努力が必要なことで、本当にすごいことです。
けれど、実際に仕事を始めてみたら自分には合っていなかったとしたらどうでしょうか?
実際にこんな相談を受けたことがあります。
「公認会計士の資格を取って会計事務所に就職したものの仕事が合わなかったので、辞めたいんです。けれど、これまでの努力が水の泡になってしまうと思うと、決断できません」
これもまた、自分の「やりたいこと」よりも「資格を活かす」ことの優先順位が高くなってしまっています。
このように、資格を代表とする「スキルや知識」を重視した生き方はとても不自由です。
では、どうすればいいのでしょうか?
答えは簡単です。
「自分の外」に向いている目を、「自分の内」に向ければいいのです。
自分の「外側にあるスキルや知識」を求めるのではなく、「内側にある才能」に目を向ければいいのです。
「スキルや知識」をつかうのも、結局は自分自身。
だから何よりもまず、「自分の才能」について学ばなければいけません。
どんな「スキルや知識」よりも、まず才能を見つける
注意してほしいのは、「スキルや知識」が必要ないということではありません。
大事なのは順番です。
まずは「才能」を見つける。
その才能を土台として、「スキルや知識」を上乗せする。
それによって、「あなただけの強み」が生まれるのです。
先ほどのSさんの場合は「相手の反応に合わせて、その都度適切な説明をする」という才能の上に、「ヨガインストラクター」のスキルと知識を身につけました。
この順番を覚えておいてください。
多くの人は「スキルや知識」を学ぶことに時間をかけます。
「才能」は人生の土台となるものなのに、見つけることに誰も時間をかけようとしません。
そもそも、自分に才能があることすら気づいていないのです。
だからこそ、気づいた方にとってはとてつもなく大きなチャンスです。
あなたの才能は、あなたが生きている限り、あなたの一生の武器になるのです。
才能が見つからない人の間違い②:努力は必ず報われる
うまくいかなかった仕事。
失敗したプロジェクト。
すぐに辞めてしまったアルバイト。
何がいけなかったのでしょう。
努力が足りなかったから?
それもあるかもしれません。
けれど、みなさんも自分の人生を振り返って薄々気づいているのではないでしょうか?
報われる努力と、報われない努力があることに。
世の中では、
・努力すれば成功する
・努力しなければ成功しない
このいずれかだと考えられています。
しかし、それは間違いです。
本当はこうです。
・才能があるものに対して努力して、楽しみながら大成功する
・才能がないものに対して努力して、しんどい思いをしながら成果も出ない。そして努力することをやめてしまう
これは、研究でも証明されています。
アメリカのネブラスカ大学において16歳の学生を対象にした研究では、学生を「読むことが得意なグループ」と「読むことが平均的なグループ」に分け、3年間同じ訓練をしました。
「読むことが平均的なグループ」は、練習前に毎分90語のペースだったものが、3年後に150語になりました。
伸び率は1.6倍以上です。
「読むことが得意なグループ」は、毎分350語のペースだったものが、3年後に2900語以上読めるようになりました。
なんと8倍以上の伸びです。
世界一やさしい「才能」の見つけ方
つまり、この研究から次のことがわかります。
・才能がないことを努力しても、大きな結果は出ない
・才能があることを努力すれば、大きな結果が出る
そして、同じ時間をかければかけるほど、もともと得意な人との差は広がってしまいます。
P.F.ドラッカーもこのように言っています。
「努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないことである。強みに集中すべきである。無能を並の水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーを必要とする」(『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社)
「努力は必ず報われる」と思っている人は、自分の才能に気づきにくいでしょう。
努力しなくてもできる「才能」を育てれば、大きな結果が出ることを知っておいてください。
才能が見つからない人の間違い③:成功者から学べば、成功できる
有名な経営者や、起業家、影響力のある人が書いた本を読んで、その人の語っている成功法則を真似しようとしたことはないでしょうか?
僕自身、大学時代には多くの有名人の書いた自己啓発本を読み漁っていた時期がありました。
自己啓発本を読むととても高揚感があり「自分もこの人の真似をして成功しよう!」という気持ちになったものです。
しかし、他の本を読んでみると「以前読んだ本の著者と言っていることが違う」と感じることがあり、本を読めば読むほど混乱してしまっていました。
矛盾しているように思えるアドバイスは世の中に無数にあります。
なぜ、人によってアドバイスが違うのでしょうか?
それは、成功者の口から発せられる内容は「その人にとっての成功パターン」でしかないからです。
言い換えれば「その人だからうまくいったやり方」を説明しているということです。
例えば僕は「人脈が大事」と言われたのでがんばってみましたが、僕にとっては役に立つアドバイスではありませんでした。
反対に3年間、本を読みまくり、ブログをたくさん書く「孤独な時間」を過ごしたことが今につながっています。
「人脈が大事」と「孤独に努力をするのが大事」。
どちらが正しいのでしょうか?
結論、どちらも正しいです。
ただ、その正解が自分に当てはまるかはわかりません。
人のアドバイスを聞くほど、無数の「誰かの正解」に惑わされてしまいます。
大切なのは「自分の才能」を活かす方法を見つけること。
そのために目を向けるべきは、「他人の成功話」ではなく、「自分の過去の実体験」なのです。
答えは常に自分の「外」ではなく「内」にあります。
自分の才能を見つける技術を磨く
『世界一やさしい「才能」の見つけ方』は、自分だけの強みの発見から、それを活かす方法まで多くの文献を参考に書かれています。
同書には巻末特典として「才能を見つける→活かす→育てる」を実践できるフローチャート、才能の具体例1000リスト、才能を発見できる300の質問などが用意されています。
「自分には才能がない」とすでに諦めてしまっている方こそ、今から新しいキャリア・人生を見つけにいってみませんか?
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