所得増税、たばこ増税、森林環境税?

ちょっとズルい…? 衆院選後から続々出てきた「増税案」をまとめてみた

お金
2019年10月に、消費税が10%に上がるらしい…と思っていたら、この頃、それ以外にもいろいろと「増税」に関するニュースを聞くことが多いような…。

「税制」は毎年度改正されるもので、だいたい年末には「大綱」といわれる概要が取りまとめられ、翌4月から施行となる。なのでこの時期は自然と税金に関するニュースが多くなるのだ。

とはいえ、10月の衆院選挙前には聞いていなかった細かな増税案が、与党の自民党が大勝してから次々と出てくるのはなんだかズルイ気も…。最近出てきた話をまとめてみた。

サラリーマンの“みなし経費”である「給与所得控除」が縮小…年収850万超の人は実質増税に

まず押さえておくべき大きな動きは、平成30年度(2018年度)の税制改正では、「給与所得控除」が減らされそう、ということ。給与所得控除とは、会社員に認められている“みなし経費”。会社員であれば服や文具などに一定の経費がかかっているとみなされ、給与に応じた金額が控除されているのだ。

現状は所得税を計算するときに、実際の給与収入から65万~220万円をみなし経費として引き算=控除して、「課税所得」を計算する。この控除額を縮小するので、実質的に「増税」になってしまうわけだ。
これまで年収1000万円超の人は、220万円の控除があった。それを、「年収850万円超の人は195万円の控除」にしようという話が進んでいるらしい。850万円以上稼ぐことになると、控除の額は195万円から増えずに、所得税だけが増えていく…。
控除部分が少なくなり、課税対象が拡大する…
すべての納税者(フリーランサーなども)に適用される「基礎控除」は38万円から10万円増えて48万円になるようだが、上で例に出した年収850万円超の人は、基礎控除のプラスより給与所得の縮小のほうが大きくなってしまうため、増税になってしまうのだ。

フリーランサー、個人事業主には必ずしも増税というわけではないが、格差是正の動きもあり、高所得者の税負担は重くなるということだ。

たばこ1本あたり(段階的に)3円増税! 流行の「加熱式たばこ」も税率アップを検討中…

また、政府や自治体の大きな財源になっている「たばこ税」も上がるようだ。政府・与党は、たばこ税を1本あたり3円増税する方針を固めたという。2018年度から2021年まで、3回に分けて1円ずつ上げるのだという。

さらに、最近ブームの「加熱式たばこ」も増税する方針。こちらは与党内でもまだ意見がまとまりきっていないらしく、どれぐらい増税されるかなどは調整中らしい…。

吸わない人には関係ないかもしれないけど、毎日吸うヘビースモーカーにはキツイかも?

年間500〜1000円が住民税にプラス。新しくできる「森林環境税」は二重課税の可能性も?

さらに、「森林環境税」という謎めいた(?)税金も新設される予定だという。これは、住民税に上乗せして年間500~1000円程度が課されるというもの。徴収された税収は、国が市町村などに分配して、森林整備などに使うとのことだ。

ただし、
既に37府県と横浜市が森林整備のための独自税を導入しており、新たに森林環境税を導入した場合、「二重課税」になるとの指摘もある。税収の使途も間伐などの事業に限るべきだとする意見と都市部の自治体から理解を得るために公園整備などにも拡大すべきだとの意見が対立

出典http://www.sankei.com

といったような指摘も。少額とはいえ、住む地域によってダブルで税金が取られるとしたらモヤモヤは残る。また、そもそもその使い道が決まりきっていないというのもなんだかヘンな話?

この「森林環境税」の導入に関しては、「2018年度税制改正大綱に導入時期を盛り込むことを目指す」(11月22日付毎日新聞)とのことなので、来年すぐに…という感じではなさそう。

出国するのに1000円徴収? インバウンド強化のために新設されそうな「観光促進税」

新設されるかもしれない税はもうひとつ。「観光促進税」というのがそれだ。

これは要するに「出国税」。ボクらが日本を出国するときに、1人あたり1000円徴収されることが検討されている。ご存じの通り、日本は東京五輪に向けて外国人観光客増に取り組み中。政府は「2020年までに訪日観光客を4000万人に」という目標を掲げていて、そのための財源として「観光促進税」が必要だ…ということのよう。

続々と出てくる増税の話に、ネットでは「選挙前に言ってほしかった」とモヤる人々の声が続出している状況。なかなか世知辛い年末です…。

〈文=天野俊吉(新R25編集部)〉