ビジネスパーソンインタビュー
【ミエルTV】テレビCMはどこまで“見える化”できる? 3社が見据える「テレビCM運用」の超進化【AJA×ソニーマーケティング×日本テレビ(後編)】
新R25編集部
テレビCMを運用しながら広告効果を最大化できる「ミエルTV」。
前編では、日本テレビ、ソニーマーケティング、AJA(サイバーエージェントグループ)の3社が開発したその革新的な仕組みについて伺いました。
【前編のおさらい】
▶「ミエルTV」とは:テレビCMの効果を可視化し、リアルタイムに運用できるサービス
▶開発の起点:テレビが「オールドメディア」として忘れ去られることへの日本テレビの強い危機感
▶3社の役割:日本テレビの「テレビCMの取引基盤」、ソニーマーケティングの「データ分析・広告配信システム技術」、AJAの「セールス/広告運用力」を集結
後編では、プロジェクトを通じて見えてきたお互いの「意外な素顔」と、彼らが描く「テレビ広告の未来図」に迫ります。
“大企業同士の協業”からはイメージできないような熱い信頼関係がそこにはありました。
〈聞き手=渡辺将基(新R25編集長)〉
業界も文化も違う3社がスムーズに連携できた理由
左=小島悠さん(ソニーマーケティング株式会社 事業開発センター 事業推進部)/中央=植松このみさん(株式会社AJA 「ミエルTV」責任者)/右=佐合駿さん(日本テレビ放送網株式会社 営業局 営業戦略センター アドリーチマックス部)

渡辺
3社の強みがキレイに噛み合ってリリースされた「ミエルTV」ですが、開発にはどれくらいの時間がかかったんでしょうか?

小島さん(ソニーマーケティング)
構想からリリースまでは約3年、実際の開発から運用開始までは1年半くらいですね。

佐合さん(日本テレビ)
土台となる「Ad Reach MAX(アドリーチマックス)※」の構想から含めると、4年くらいはかかっていると思います。
※日本テレビが開発した、テレビCM枠をWeb広告のようにRTB(リアルタイム入札)で取引できるプラットフォーム

渡辺
かなり長い開発期間ですね。その過程で特にこだわった点、難しかった点はどこですか?

小島さん(ソニーマーケティング)
そもそもまだ市場になかったサービスなので、「どうすれば使ってもらえるか」を仮説ベースで考えていくのが難しかったですね。
「納得感」というキーワードを大事にしていたんですが、Web広告の運用に慣れている人が納得できる仕様にしつつ、既存のテレビCMの広告主も違和感を持たないようにする。そのバランスを取るのに苦労しました。


渡辺
なるほど。それを実現するにあたって、AJAさんや日本テレビさんにも意見を聞きながら開発を進めていったと思います。一緒にやってみて、お互いをどう評価されていますか?
正直、これだけ文化の違う大企業同士の連携はなかなかうまくいかないイメージがあるんですが…

植松さん(AJA)
それが、全然そんなことなくて。特に開発を主導してくださっているソニーマーケティングさんに関しては、いい意味で裏切られました。
私が就活生のときに抱いていたソニーさんはもっと“大企業然”としたイメージだったんですが、実際はめちゃくちゃベンチャー気質で挑戦的なんですよ。


渡辺
たしかに、失礼ながら自分もソニーさんにそういったイメージは持っていませんでした。

植松さん(AJA)
運用者目線で私たちから「もっとこういうデータが見たいです」「こういう機能をつくりたいです」と要望を出すと、本当にスピーディーに開発してくださるんです。しかも、まったく嫌がらずに(笑)。
こんなにスムーズに事業を前進させられるんだっていうのは、予想外でした。ソニーマーケティングさんには本当に感謝と尊敬しかありません。

小島さん(ソニーマーケティング)
ソニーマーケティングの事業開発センターには自組織内で事業企画とサービス開発をおこなう体制がありますが、実際に顧客に導入してくださるAJAさんからのフィードバックがあることで、「何をつくるべきか」の精度をかなり上げることができています。
毎度広告主視点の気づきをもらえるので、新しい要望をいただけるのはありがたいことです。

渡辺
ソニーマーケティングさんから見たAJAさんの印象はいかがでしょうか?

小島さん(ソニーマーケティング)
やはりAJAさんの「売る力」と「プランニング・運用力」はすごいですよね。
リリース直後のまだ知名度がない段階でいきなり大規模にセールスがスタートしていて、「え、もう売れたの?」って(笑)。


小島さん(ソニーマーケティング)
Web広告運用の土台があったとはいえ、テレビは未開拓領域だったはず。
そこにお客さんを連れてきて、顧客が納得するプランニングや運用視点を入れてセールスを前進させてくれる点はすごく信頼しています。

渡辺
確かに、未知のものを売るって一番難しいですもんね。
両社から見た日本テレビさんの印象についてはいかがですか?

植松さん(AJA)
日本テレビさんは、「放送局起点で市場を変えよう」という熱量がすごいです。
「テレビを守るためにデジタルに追いつこう」という気概や、プロジェクトを動かす時のコミット力に、弊社もソニーマーケティングさんも動かされているなと思います。

小島さん(ソニーマーケティング)
技術的な面でも、日本テレビさんはフロンティアだなと。
「アドリーチマックス」プラットフォームの中でおこなわれている手続きって、かなり複雑なんです。あのシステム要件をあそこまで詰められて、放送事故なく運用できるのは相当な技術力だと思います。

佐合さん(日本テレビ)
ありがとうございます。

渡辺
お互いをリスペクトしながら、すごくいい連携ができているんだなと思いました。

「ミエルTV」はどんな企業に使われている?

渡辺
ちなみに、2025年4月のリリース以降、実際に「ミエルTV」はどんな企業に使われているんですか?

植松さん(AJA)
やはり、すでにWeb広告に注力していて、オンライン上にマーケティング上の成果地点がある商材を持っているお客様とは相性がいいですね。
計測タグを設定して「どの番組の効果が良かったか」を見える化できるので、実際に効果が上がった体感を得やすいと思います。


渡辺
Web広告ですでにPDCAを回している企業が、配信面の拡大としてテレビにトライするイメージですね。
具体的な成果事例があれば教えていただきたいです。

植松さん(AJA)
今までCTV(コネクテッドテレビ)に出稿していたお客さんだと、「ミエルTV」のほうが効率よく指名検索数を伸ばすことができたり、継続出稿することで既存のCPAが3分の2ぐらいまで下がったりした事例が出ています。

渡辺
テレビCMと既存施策の効果を比較できるようになったのは大きいですね。
逆に、これまでテレビCMをやっていた企業が「ミエルTV」を使うケースもありますか?

佐合さん(日本テレビ)
それもあります。既存のスポットCMでリーチしきれなかった特定層のリーチを補完するために、予算の一部を「ミエルTV」に割いて運用していただいているケースがありますね。


渡辺
なるほど。既存のテレビCMと「ミエルTV」に戦略的に予算をアロケーションしているんですね。
テレビCMをインプレッション(視聴数)ベースで取引できるようになり、「視聴率」から「視聴数」に開示できるデータが進化したことで、広告主の反応はどう変わりましたか?

佐合さん(日本テレビ)
まさに先ほどキーワードに出てきた「納得感」を持っていただけるようになったと思います。
これまで開示していた視聴率(%)では、「結局何人がCMを見たか」が伝わりづらかった。それが視聴数の実数(インプレッション)になったことで、お客様に「これだけの人に届いた」という実感を持っていただけるようになりました。
3社それぞれが見据える「ミエルTV」の進化と展望

渡辺
最後に、今後の「ミエルTV」や「アドリーチマックス」の展望について教えてください。

佐合さん(日本テレビ)
「アドリーチマックス」は、日本テレビ以外にも参画していただく放送局を増やしていきたいです。
今は日本テレビのCM枠しか買えませんが、広告主からすると当然他のテレビ局の枠も買いたいというニーズがあるはずです。


渡辺
もちろん広告主はそれを求めていると思うんですが、競合である放送局が「アドリーチマックス」に乗るという未来は現実的なんでしょうか?

佐合さん(日本テレビ)
実は、TBSさんとはすでに参画に向けて基本合意に至っています。2026年には、読売テレビや中京テレビなど日本テレビ系列のCM枠も取り扱う予定です。
テレビに対する課題感は共通しているので、業界全体を守っていくために各局が集まってひとつのプラットフォームを大きくしていきたいと思っています。

渡辺
そこまで大きな構想を抱いているとなると、御社のなかでもかなりの注力プロジェクトになっていそうですよね。

佐合さん(日本テレビ)
まさに、会社としても「一丁目一番地」のプロジェクトだと思います。
弊社会長の年始の挨拶のひと言目に「アドリーチマックス」が出てきたくらいなので。とても身が引き締まる思いでした。


渡辺
それは相当な本気度ですね。
「見える化」を技術で支えているソニーマーケティングさんの次の構想も知りたいです。

小島さん(ソニーマーケティング)
ソニーマーケティングとしては、「オフライン店舗のコンバージョン(購入)」なども見えるようにしたいですね。
今“見える化”しているのはWeb上の成果が中心ですが、例えば位置情報データなどと連携して、「CMを見た後に店舗に来店したか」「商品を買ったか」まで計測できるようにしたい。
そうすれば、一般消費財のメーカーさんなど、もっと幅広いお客様に「ミエルTV」を使っていただけるようになると思います。


渡辺
それはすごい構想ですね… 「テレビCMを打ったらリアル店舗でこれだけ売れる」という実績が示せれば、メーカーの営業が“流通の棚”を取りに行くための武器にもなりそうです。
セールス・運用サポートを担当しているAJAさんはいかがでしょうか?

植松さん(AJA)
AJAとしては、運用のレバー(配信設定項目)をもっと増やしていきたいですね。
たとえば、「何回CMを観たユーザーが一番行動したか」というフリークエンシー(接触頻度)を分析して、そこを目指した運用ができるようにしたり。
また、ゆくゆくは我々が「インクリー」などで束ねているABEMA、TVer、Netflixなどのプレミアム動画配信サービス面とも連携して、テレデジ横断で最適な運用ができるような世界をつくっていきたいです。


渡辺
テレビCMが「効果が見えない」と言われていた時代は、もう終わりそうですね。
3社の共創でテレビ広告がどう進化していくのか、これからも楽しみにしています! 本日はありがとうございました。
「オールドメディア」と呼ばれがちなテレビですが、その裏側ではデジタルに負けないスピード感で変革が進んでいました。
日本テレビのチャレンジ精神、ソニーマーケティングの技術、AJAのセールス・運用力。異なる強みを持つ3社が、企業の壁を超えて「テレビの未来」のために共闘する姿は、まさにオープンイノベーションの理想形と言えるかもしれません。
進化したテレビ広告にトライしたい企業担当者のみなさま、ぜひ「ミエルTV」をご利用ください!

〈取材・文=渡辺将基(新R25編集長)/写真=柴田将馬〉

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