ビジネスパーソンインタビュー
日本にも脱北者はいる?
北朝鮮から韓国入りした人は3万人超え。脱北者ってその後どうなるの?
新R25編集部
北朝鮮を国外脱出したいわゆる「脱北者」のなかで、2017年に韓国に入国した人は男性189人、女性938人の計1127人となった(韓国統一省調べ)。
北朝鮮が中国との国境地帯で脱北を厳しく取り締まっているため、金正恩政権発足以降で最も少ないという。それでもこれまでに韓国への脱北者は計3万人以上に達しているらしい。
「北朝鮮兵の韓国亡命」など、最近よく耳にする「脱北」のニュースだが、脱北者は北朝鮮を出た後、どうやって生活していくのだろうか。
韓国は「自国民」として受け入れ支援するが、所得は同国内の平均を大きく下回る厳しい現状
韓国の法律では、朝鮮半島全域を韓国の領土であると定めている。そのため、自分たちを「自国民」として受け入れてくれる韓国を目指す脱北者が多い。
韓国に到着して保護された脱北者は、「ハナ院」と呼ばれる施設に3カ月ほど収容され、社会に適応するトレーニングや職業訓練を受けられるうえ、支援金の支給もある。
ソウル聯合ニュース(16年11月27日)現在は1人当たり定着金700万ウォン(約67万円)と1300万ウォンの住居支援金を支給している。今後、物価上昇率などを反映して段階的に引き上げる方針だ。政府当局者は「引き上げは財政当局と協議し、2018年の予算から反映する」と話した。
写真:ロイター/アフロ
ハナ院でトレーニングを受ける脱北者
しかし支援が受けられるからといって、経済的な問題が解決するわけではない。
政府の脱北者政策づくりにも関与する梨花女子大のパクヒョンソン教授(北朝鮮社会文化学)は、西日本新聞の記事で「脱北者の多くは高校卒業程度の学力で、労働者階層の出身だ。短期間で韓国人と同等の仕事、収入を得るのは簡単ではない」と発言している。
たとえ専門キャリアを持っていても韓国では認められないことなどもあり、結果として脱北者は賃金の安い単純労働などに従事させられる傾向にあるという。
ハンギョレ新聞(16年11月28日)統計庁などの資料によると、昨年、国民平均雇用率は60.3%に達したのに対し、脱北民の雇用率は54.6%に止まった。昨年、雇用された脱北民のうち、半分以上は単純労務(29.8%)またはサービス業(28.1%)の分野で働いていた。脱北民の月平均所得(約154万ウォン・約15万円)は、国民平均値(229万ウォン・約22万円)を大きく下回っている。
優遇施策をよく思わない韓国人による偏見や差別で、脱北者が「脱南」するケースも
韓国内では、こうした脱北者の支援をよく思わない国民もいる。
国際的な経済政策の推進をおこなう機関・OECDの調査によると、韓国の15歳から24歳の失業率は10.7%で日本の約2倍にものぼる(2016年)。
韓国の経済不況が閉塞感をもたらすなか、脱北者への支援策が「過ぎた優遇」に見え、そこから脱北者に対する差別や偏見が生まれているという状況があるのだ。
写真:ロイター/アフロ
厳しい経済状況のなか、優遇施策を受ける脱北者への風当たりは強くなる
デイリーNKジャパン(17年7月27日)韓国に来て7年になるある脱北者は、働いている食堂のオーナーから「朝鮮族はお前より仕事を上手くこなす」「税金で定着金を受け取ったのだから、働いて返せ」などと暴言を吐かれた。
結果、一度は韓国に定住しながらも経済的な問題や差別に嫌気がさし、再び第三国や北朝鮮に向かう「脱南者」も少なくない。
産経ニュース(13年10月26日)今月15日付の東亜日報社説はこの問題に言及。これまで韓国に亡命し定住を決めた累計2万5560人の脱北者のうち、「689人は第三国に滞在している」と把握されていると指摘した。経済的困難や韓国生活への不適応で自殺した脱北者も26人に上るという。
現状日本での受け入れはほぼない。しかし有事の際には、数万人が入国する可能性も
同一民族である韓国でも難しい脱北者の受け入れ問題。日本の場合はどうだろう。
東京聯合ニュース(12年3月12日)日本の支援団体によると、日本に居住する北朝鮮脱出住民(脱北者)は約200人に達する。150人は東京に、50人大阪に住んでいるという。ほとんどが在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮に渡ってから日本に戻った在日韓国・朝鮮人だ。
現状ではごく少人数だが、もしアメリカと北朝鮮との間で有事となった場合には、そうも言っていられない可能性も…。
AbemaTIMES(17年12月27日)北朝鮮の人口は2500万人。アメリカのシンクタンクの試算では、北朝鮮国民の脱出先としては中国50万人以上、韓国30万人、ロシア数万人、そして日本に数万人という想定がある。
写真:ロイター/アフロ
ミサイルなど、緊迫する北朝鮮問題には、難民問題も絡んでくる
ふだん僕らが「有事の際にどんなことが起こりうるか?」をシミュレーションする機会は少ないが、「脱北者」問題は対岸の火事ではなく、日本としてもきちんと考えておく必要があるのかもしれない。
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