ビジネスパーソンインタビュー

「キャバクラを楽しめない男」に元キャバ嬢作家が喝!「祭りにノレる男は出世する」

見栄を張らなくなったR25世代

「キャバクラを楽しめない男」に元キャバ嬢作家が喝!「祭りにノレる男は出世する」

新R25編集部

2018/04/19

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会社の飲み会の二次会。上司の鶴の一声で連れて行かれるのが、キャバクラなどの「女性が接客してくれる店」。

だが、R25世代男子からよく聞かれるのが「キャバクラの楽しみ方がわからない」「何を話せばいいのかわからない」という悩み(?)だ。

そこで今回は、キャバクラに勤務しつつ日経新聞に勤務していた経歴を持つ作家・社会学者の鈴木涼美さんに「キャバクラを楽しむ方法」を聞いた!

〈聞き手:天野俊吉(新R25編集部)〉

天野

鈴木さんは以前キャバクラで働いていたんですよね?

鈴木さん

大学1年生、18歳の夏休みに横浜のキャバクラで働き始めました。そのあと歌舞伎町とか銀座とか、いろいろ働きましたね。

一昨年ぐらいまでやってたかな。日経新聞の記者をやりつつ、銀座の店でも働いてました

天野

え、そんな最近まで!?

大人になってからのほとんどの期間をキャバ嬢として過ごしてきたわけですね…さすがだ

高級時計より「Apple Watch」。かつてあった“見栄を張る文化”が消えた

天野

キャバクラが苦手な男子が増えているという話なんですが…

鈴木さん

お金がないから行かないですよね~。経費で行ける会社も少なくなったし、「合理主義の人が最初に切り捨てるのは時計とキャバクラ」っていわれてるらしいですから。

天野

なるほど。時計も「チープカシオ」やGショックブームで、高いものを買う人は少ない気がします。

鈴木さん

最近、若い人が「見栄を張ること」をしなくなったと言われてます。

以前は男性同士で「俺はこんなに高い時計を買える」と見栄を張る“時計競争”があったけど、今は値段もそこそこで、ガジェットとしてもデザインもすぐれている「Apple Watch」がちょうどよくなっている。

天野

その流れで、「俺はこんなに飲んで遊んでいる」という見栄も張らなくてよくなったってことですね。

鈴木さん

昔は非合理的な「見栄を張る」文化が今より強く残ってたんですよ。若者が、読んでもない『毛沢東語録』とかマルクスとか持ち歩いてたっていうじゃないですか。

天野

恥ずかしながら、僕はどっちも読んだことないですね…

「遊び」は無駄なはずなのに、「遊べる男が出世する」といわれる理由って?

天野

しかし「キャバクラで上手に遊べる男は出世する」っていうじゃないですか。それはどういう理由なんでしょう?

鈴木さん

キャバクラって日常を忘れてバカになるという「祭り」なんですよ。祭りに合わせて遊べる余裕を持ってると、仕事に有利ですよ。

天野

会社の仕事とどうつながるんですか?

鈴木さん

「バカげたルールに従わなきゃいけないとき」って会社にもあるじゃないですか

いま会社の経営陣になってる年齢の人は、「古臭い日本企業」のルールのなかで生きてきた人たちですよね。その下で「非合理だ」「無駄だ」と言わずに、祭りのノリに合わせて楽しめる人間は、会社組織で生きやすい。だから出世するんですよ。

ま、そういう経営陣がいる会社が良いかどうかはまた別の話ですけどね(笑)。

会社員なんで、「はい」とは言いづらいです

考えすぎたら負け。「無意味なこと」が人を惹き付けるパワーを学べ

鈴木さん

でも非合理的なことをあえてするのが、「脳で考えちゃう」タイプの人には難しいんですよね。

天野

脳で考えてると祭りにノリきれないと。

鈴木さん

古市くん(古市憲寿。社会学者)なんか、絶対苦手ですよ。学生時代から「それなんの意味があるんですか?」が口癖ですから。

キャバクラに行って「シャンパンコールって何の意味があるんですか?」とか言ってたら楽しいわけがない(笑)

「実は無意味」を暴くのは社会学としては正しいけど、祭りの会場では言っちゃダメです。

天野

無意味なことを楽しむってのが理解できないな…

鈴木さん

いや、意味のないことって結構人を惹き付けるものなんですよ。「無意味」が持つパワーを学んだほうがいい。

Body Feels EXIT」(安室奈美恵のシングル曲。文法がおかしい“小室英語”なタイトル)だって意味わかんないけどめちゃくちゃ売れたじゃないですか(笑)。

天野

アラサーには懐かしすぎるたとえ

90年代Jポップのたとえが多い鈴木さん

天野

そういう無意味な会話にノるのが恥ずかしくて、さめたフリをしちゃうんですけど…

鈴木さん

そういう人は多いです。バカだと思われたくないんでしょうけど、バカになる場所だから自己イメージを守ってても意味がないですよ。

天野

キャバクラの女の子たちはバカな男の姿を毎日見てるわけですよね。そこでバカにならないスマートな人がいたら好感を抱くのでは

鈴木さん

それは本当に男の勘違いで(笑)、キャバ嬢は“そういう世界”で生きてるわけだから、お客さんから「こういうノリ好きじゃないんだよね」「興味ない」って言われたらイヤですよ。嫌われます。

天野

めっちゃ恥ずかしい。すいませんでした。

キャバクラは「お金を払ってるロールプレイングゲーム」だと思って楽しめばいい

天野

今は昔と違って、普段「女性に尽くされたり、女性に偉そうにしたりする」ことがないから、そういう店でどうしていいか分からないというのもありそうです。

トイレから出たらおしぼり持って待ってたりするじゃないですか。

鈴木さん

いいんですよ、お金払ってるんだから。お金払ってない女性にやったら嫌われるけどね。そういうロールプレイングゲームだと思って行ってください。

天野

ゲームだと思って攻略していけと。

最後に、今後そういうお店に行ったときのために「どんな話をすればいいのか」を教えてもらえますか?

鈴木さん

私は、「今までで一番ひどかった恋人の話~!」「最近一番キュンとしたこと~!」みたいな、お題を決めて披露する系で話をつないでました。あとは毎回話すエピソードを決めておいて、そこから話を広げるとか。

ちなみに私のテッパンの話、聞きますか?

天野

お、どんな話ですか?

鈴木さん

中国人と○○したときの話で…

天野

うん、書けませんね!!

…というわけで、鈴木さんのお話からは、「会社という“祭り”のなかで、バカげたルールに乗れる男は出世する」ということがわかりました。

文中で勝手に「シャンパンコールの意味を問い詰めるキャラ」としてしまった古市憲寿さん、楽曲タイトルを「無意味の代表格」としてしまった小室哲哉さんには深くお詫びしたいと思います。

〈取材・文=天野俊吉(新R25編集部)/撮影=福田啄也(新R25編集部)〉

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