ポイントは「バイブル」と「たまり場」

【コラム】サロン会員が4000人を突破。コミュニティを拡大しつつ、濃度を保つ方法

トレンド
僕のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の会員が4000人を突破しました。
去年までは「人数を増やしすぎると、コミュニティーが薄くなるのかなぁ」と思っていて、ある程度の人数制限をかけていたのですが、サロンの運営を続けていくうちに、「いやいや、やり方次第では、どうやらそうでもなさそうだぞ」と思ってきて、今年の最初にサロンをリニューアル。

既存のオンラインサロンのプラットフォームは利用せずに、サロンの入会のシステムごと自分達(サロンメンバー)で作ってみました。「既存のプラットフォームを利用して、手数料を中抜きされるぐらいなら、サロンメンバーにサロンを作ってもらって、その人達に手数料を払った方が(雇用を作った方)がいいじゃん」というDIYスピリッツです。
メンバーが作ってくれた入会ページ
そんなこんなで、今年の1月にオープンして、現在サロンメンバーは4000人を突破しました。

今回は、4000人のサロンを抱えてみて見えてきた事柄をまとめてみたいと思います。

人数が増えるとコミュニティーは薄まるのか?

ポイントはこの一点です。

どうしても、「3~4人の繋がりだと濃いし、1万人の繋がりだと薄くなる=濃度は人数の増加に反比例する」と思いがちですが、僕の結論は、「やりかた次第では、どうやらそうでもない」です。

事実、僕のオンラインサロンは今が最高潮に盛り上がっています。人数が増えると見なきゃいけないのは『コメント参加数』ではなく、『コメント参加率』だと思うのですが、サロンの人数が増えたのに、こちらの数字が去年よりも上がっています。

分析します。

人数の増加と共に濃度が薄まってしまう原因は、『1対N(その他)』の関係であるからでしょう。言ってしまえば、ピラミッド型で、増えれば増えるほどリーダーまでの距離が遠くなってしまう

そして、もう一点。

増えれば増えるほど「自分が頑張らなくても、誰かが無事に回してしまうチーム」になってしまい、当事者意識が薄れてしまう。

この二点が、人数の増加と共にコミュニティーを薄めてしまう原因だと思われます。

では、どうすればいいか?

どうすれば、人数を増やしつつ、コミュニティーの濃度を保つことができるのでしょうか?

この問題を解決するために、僕が仕掛けたのは『バイブル』と『たまり場』の2つです。

順に説明します。

①『革命のファンファーレ』と『えんとつ町のプペル』

革命のファンファーレ 現代のお金と広告 | 西野 亮廣 |本 | 通販 | Amazon

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えんとつ町のプペル | にしの あきひろ |本 | 通販 | Amazon

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これらは僕の口で説明しなくても、僕の考え(想い)を説明してくれるアイテムです。

『革命のファンファーレ』を読んでくださった人は制作過程にこそ価値があることを知っているし、トップリーダー型(ピラミッド型)のチームが今の時代に合っていないことを知っています。

僕が面白がっているのは全員クリエイター&全員オーディエンス…つまり「いかにスナックするか?」が軸となっていて、そのことを『革命のファンファーレ』が僕の代わりに、約15万人に伝えてくれています。

『えんとつ町のプペル』が僕の代わりに伝えてくれているのは、「村八分に遭う挑戦者を徹底的に肯定する」ということ。

絵本の中では、挑戦者に対して「イタイ」という単語を使用する人間を悪者として描いているので(絵本には、わざと「イタイ」という現代語を入れました)、サロンメンバーの暗黙のルールとして、「挑戦する人に対して、そういう言葉を使うのはやめましょうね」ということになっています。

『革命のファンファーレ』と『えんとつ町のプペル』という2冊の本が、宗教で言うところの教典(バイブル)として機能していて、まずはこのバイブルがないと、人数を増やしながら濃度を保つのは難しいと思います。

②スナック『キャンディ』と『宣伝会議』

現在、スナック『CANDY』は東京だけではなく、全国十数ヶ所で展開していて、それぞれ共有しているのは「世界観」と「看板ロゴ」だけで、面白いことに運営会社は全てバラバラです。

僕が100%株主になっている株式会社スナックが運営しているのは、東京・五反田にある『CANDY』一店舗のみです。

ただ、大阪に行った時は大阪のCANDYで呑みますし、名古屋に行った時は名古屋のCANDYで呑みます。

各店舗のオーナーからアドバイスを求めれたら、全力で返します。

全国にあるスナック『CANDY』がオンラインサロンメンバーの「たまり場」になっていて、「CANDYに行けばサロンメンバーがいるだろう」「CANDYに行けば同じような考えを持った人がいるだろう」と皆が集まっています。

その時の集まりは、店のサイズから考えても20~30人が限度なので、当然、参加意識が高くなり、濃いコミュニティーになります。

メンバーを一ヶ所に集めるのではなく、待ち合わせ場所を分散させて、チームを『スナック街』化することがポイントだと思います。

『宣伝会議』も同じ理屈です。

Facebookで『えんとつ町のプペル』と検索していただければ、出てくると思うのですが、僕は映画『えんとつ町のプペル』の宣伝チームを全都道府県に配置しています。
地方に行った時は僕が参加することもあるのですが(今日はこれから京都に行くので、夜は京都チームと合流して宣伝会議をします)、僕がそこにいなくても皆が勝手に集まって「どうやって、映画をヒットさせる~?」とか何とか言いながら、宣伝会議という名の、ほぼ呑み会をしています。

これもまたオンラインサロンメンバー(宣伝チームは誰でも参加自由なので、サロンメンバー以外もいる)の《たまり場》となっています。

「西野に会いに行く」というより、「西野のことを面白がっている人達に会いに行く」というイメージですね。

…ババっと書きましたが、人数を増やしつつ、濃度を保つためには、この『バイブル』と『たまり場』の二つが必要不可欠だということが、現時点での僕の結論です。
最後に。

コミュニティーの人数が増える最大のメリットは、企画の初速が上がるということと、もっともっとリアルな話をすると、皆で動かせるお金が大きくなるということです。

僕は贅沢に時間を費やすほど暇人じゃないので、当然ですが、オンラインサロンで集まったお金は全額面白いことに投資します。
サロンメンバーと話し合って、『レターポット』の開発費用に充てたり、『しるし書店』の開発費用に充てたり、サロンを運営してくれているサロンメンバーの給料に充てたりしています。

でもって今は、まあまあデカイ(というか日本のタレントでこんなことをやるヤツは見たことがない)挑戦をしていて、その挑戦に踏み切れたのは、サロンメンバーが4000人を突破したというのも一つの要因になっています。

メンバーが増えると投資額が増えるので、挑戦の規模が大きくなり、究極は「宇宙ロケットを自分達で作っちゃう?」みたいな浮世離れした会話が交わされるコミュニティーとなり、それがまた価値になるわけですね。

コミュニティー運営の件で、また進展があれば御報告いたします。

とりいそぎ、「コミュニティーを拡大しつつ、濃度を保つ為の方法」でした。

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