僕らは人の目がなくても働けるんだろうか
なぜ1人なのにサボらないの? 実践者が語る「リモートワークを成功させる3カ条」
新R25編集部
“働き方改革”が進むなかで、自由な場所で働く「リモートワーク」の導入にも注目が集まっています。
でも、人目がないとサボっちゃう気がするんですけど…。「リモートのほうが成果を出せる」みたいな話も聞くけれど、本当ですか?(疑いの目)
そこで、多様な働き方を推進するサイボウズ株式会社に突撃! 社員の方々に、リモートワークの実態を聞いてみました。
〈聞き手:天野俊吉(新R25編集部)〉
普段はどんなふうにリモートワークしてる? 「2カ月沖縄」という猛者も
早速「リモート参加」の人が1人…
天野
まずはみなさんの仕事内容や、普段どんなふうにリモートワークしているのかを教えてください!
吉原さん
僕はマーケティングチームで、製品をPRするための企画やコンテンツ制作を手がけています。
リモートワークは、だいたい週1回。仕事の内容に応じて、会社でやるか家でやるか選んでいる感じです。たとえば、集中して企画を考えたり記事を書いたりしたいときは家でやりますね。
又吉さん
私は以前、メールや電話をおもに使う内勤営業だったんですが、3年間、毎年7~8月はリモート。実家の沖縄で仕事をしていました。
天野
沖縄!それ、夏休みとは別ですか?
又吉さん
別ですね(笑)。PCとヘッドセットがあればどこでも普通に働けますよ。
田中さん
(大画面モニタから)私は財務経理のチームで働いていて、経理の月次業務や予算管理などを担当しています。
子どもがいるので、出社日は時短勤務をしているんです。でもリモートだと、通勤時間がない分、保育園のお迎えギリギリまで働けるので時短勤務にしなくてもいいんですよね。
天野
あの、ちなみに今はどちらにいらっしゃるんですか?
田中さん
都内の自宅です。
こうやってリモートでも会議ができるわけですね…
やっぱり、家だとついサボっちゃうのでは…?
天野
大きな疑問があるんですが、リモートワークってサボっちゃいませんか?家で1人だと、テレビとか、集中を妨げるものがいっぱいあるじゃないですか。正直自分だったら寝ちゃう気も…
吉原さん
ないですね(笑)。
田中さん
テレビはつけないです(笑)。静かすぎても集中できないから、好きな音楽をかけたりはしますけど。
又吉さん
お昼休みに横になることはあっても、業務時間中はないです(笑)。
そうかなあ…
天野
なんでサボらずにできるんですかね?
吉原さん
グループウェアにログインするのが“バーチャルな出社”がわり。仕事の進捗などを頻繁にやり取りするから、オンラインで見られている感覚があるんですよね。
返信がなければすぐにわかるから、もしサボっていてもバレます。
田中さん
むしろリモートのほうが緊張感があるんですよ。姿が見えない分アウトプットで評価されるので、成果を出さないと…!って思います。
吉原さん
会社に行けば、席にいるだけでも仕事している風に見えるんだから、ある意味ラクだな~と思います(笑)。
リモートワークに向いている性格、向いていない性格って?
天野
それは皆さんがマジメだってことなんですかね? リモートワークに性格的な向き不向きはないんですか?
吉原さん
やってて思ったんですが、子どものころに、進研ゼミをこつこつやれていた人は、間違いなく向いていると思います。
反対に、塾に行かなきゃ勉強ができない人は、向いてないかもしれません。
天野
あー! 僕、塾行かないとダメでした…
吉原さん
でも、そういった性格的なものも少しはあると思いますが、正直多くの部分は環境でカバーできると思います。
会社がグループウェアなどのツールを整えてくれたり、そういう風土があったりすれば、割と誰でもできるんじゃないですかね。
田中さん
リモートワーク導入は“自立”が前提なんです。社内には、「自分らしい働き方を選ぶ代わりに、ちゃんと成果を出そう」という空気があります。
天野
全体的にそういう風土があれば、誰でも自立して働けると。なぜそういう人が集まってるんでしょうか?
田中さん
会社の気風を知ってて「そういうところで働きたい」っていう人もいれば、環境が人を育てているっていうのもあるかもしれませんね。
リモートにはどんなメリットがある?「実はコミュニケーションに便利」!?
天野
「リモートワークのほうが捗る」っていう説を聞いたことがあるんですが、これは合ってますか?
又吉さん
話しかけられたりしないから、やっぱり集中できますよ。電話をかけるときも、社内では自分の声が響いてやりづらかったりするけど、自宅だと気にならないし。
電話している声を聞かれるのが少し苦手だという又吉さん。わかります…
又吉さん
あと、リモートワークのメリットとしては、チームのメンバーとコミュニケーションが深まりました。
天野
会ってないのに?なぜですか?
又吉さん
姿が見えないぶん、グループウェアでのちょっとした発言が増えるんです。
やりとりが残るから「あれ? 頼んでたじゃん」「言われてましたっけ?」みたいなトラブルもなくなるし、仕事がスムーズに進む感覚もありますね。
吉原さん
会議もスピーディーですよ。会議室の移動もないし、スイッチを切ったらさくっと終了できる。細かいことだけど、そういうスキマ時間の積み重ねが、作業量に影響してくると思います。
田中さん
家だと、トイレや冷蔵庫が近いのもいいですね。オフィスはいちいち遠いから(笑)。
そういう細かい移動時間もすべて作業に当てられるのは、やっぱり効率的だと思います。
リモートのコツは「自分を知る」「タスク整理」「頼れる人を見つける」!
天野
「性格はそこまで重要じゃない」…という話もありましたが、それを踏まえたうえで、「リモートワークで成果を出せるコツ」みたいなものって、何かありますか?
吉原さん
まずは自分に合った仕事のスタイルを知ることが大事なんじゃないでしょうか。自分が「どういう作業・環境なら集中してやりやすいのか」を考えるとか…。
ちなみに僕は、部屋着のままだとどうしても気分がダラけるので、必ず仕事用の服に着替えて、常に一定のスタイルで仕事するようにしてます(笑)。ヒゲもそります!
パジャマでは仕事しないスタイルです
田中さん
あとは「タスク整理」をすること。
というと普通の話みたいですが、「(手を動かす系の)この作業はリモートの日に回しておこう」とか、逆に考える系の仕事は「誰かと一緒にやりたいから会社でしよう」とか、内容を整理しておくと。
天野
なるほど…。その日の朝「今日は何やるかな…」と考えてた自分を反省しました。
又吉さん
もうひとつ、「頼れる人を確保しておく」、というのも大事ですね。
リモートワークだと、困ったときに自分1人ということになってしまう可能性がある。「この内容で困ったら、この人に聞けば大丈夫」というつながりを意識しておくべきだと思います。
天野
なるほど。具体的なアドバイスを聞くと、僕もやってみたくなりました!
皆さんが口をそろえたのは「リモートワークがすべて良くて、出社することがすべて悪いわけじゃない」ということ。
だからこそ、自分のスタイルを見つめなおして、仕事に合わせてうまく使い分けていくのがベストなのだそうです。
業種によっては「リモートワーク解禁!」となる会社も増えている昨今。会社的にOKなら、タスクを洗い出して、あなたもチャレンジしてみては?
〈取材・文=菅原さくら(@sakura011626)/取材=天野俊吉 新R25編集部(@amanop)/撮影=福田啄也 新R25編集部(@fkd1111)〉
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