他人を見て、モヤモヤする必要はない
「みんな、SNSに洗脳されすぎ!」渡米して唯一無二になったkemioの“等身大な発信哲学”
新R25編集部
「どこまで~いっても~渋谷は日本の東京~~♪」
皆さんはもう、ピースサインを左から右へ流してこの曲を踊りましたか?
2018年、“SNS上で若者から最も注目された人物”と言っても過言ではないkemioさん。
「平成終了前にウチらでひと波起こすよ」という宣言の後、11月2日にリリースされた『どこまでいっても渋谷は日本の東京』は、あっという間にLINE MUSICで1位を獲得し、11月19日にYouTubeで公開されたMVはすでに130万再生を突破しています(12月24日時点)。
同曲でも「ウザめなあいつに言える言葉は、スワイプして消すよ。バイバイ~」と歌っているように、嫌なものは「嫌だ」とハッキリ意思表示するスタイル。
ありのままで配信し続け、まったく飾らないのに、炎上するどころか好感度がぶち上がり。このただならぬ愛され力って、どこから来てるの!?
〈聞き手:ライター・星佑貴〉
【kemio】1995年10月16日生まれ。東京都出身。高校生時代、動画投稿サービス「Vine」にUPした動画が注目され、雑誌モデルや俳優としても活動を開始。アメリカに移住してからはYouTubeで動画投稿を始め、発信を続けている
星
いつもkemioさんの動画を見て、たくさん笑わせてもらっています。今回はお会いできて光栄です!
kemioさん
え~~本当ですか! うれしいです。ありがとうございます。
星
Vineで活躍されてたときって、面白い服を着るなど、もう少しお笑い要素が強かったと思うんですが、今はインスタもすごいおしゃれですよね。
意識してシフトチェンジされたんですか?
kemioさん
う~ん、特に意識したことはなくて、単純に年齢が上がるにつれて好きなものが変わっていったんですよね。
だからつくろってるわけじゃなくて、ありのままです。
kemioさん
僕、アップするものは全部「友達にシェアする感覚」なんです。今日こんなことあったよ~とか、最近気になってることとか。
見てくれている人の好みに合わせて、わざと狙った投稿をすることはないです。YouTubeも日記みたいな感覚でやってます。
星
すごく素だなぁ…と思っていましたが、“ファンと自分”じゃなくて、完全に“友達同士”の目線で発信しているんですね。
今日は、そんなkemioさんのSNSにまつわる哲学について知りたいです!
ウチらの価値はウチらが決めるの。「ナンバー主義」なんてスワイプ
kemioさん
僕、SNSの「ナンバー」で見られるのとか大っ嫌いです。嫌なヤツだなって思っちゃいます。
星
ナンバー、というと?
kemioさん
この人はフォロワーがどのくらいいるからスゴいとか、いいね!がたくさんつくから価値がある、とか。数字ってわかりやすいんですけど、でもそんなもので人を測るのってナンセンスですよね。
そういう目で見られると、「はぁ? ウチそれ以上に価値あるし」って思います。
「数字以前に生きてるだけで価値ありますから!」
星
そういうところ本当に好きです…
kemioさん
僕、インスタでも加工とか一切しないで撮ってそのまま載せるんです。
「よく見られたい」と思う気持ちって単純にキリがないじゃないですか。本当に面倒くさがりなので、ずっとそんなこと考えてるの無理なんです。
星
インフルエンサーの方って、ひとつの投稿にすごく時間をかけて加工する人も多いのに、フィルターとかもまったくかけないんですね!
kemioさん
機械音痴すぎて、うまくできないのもあるけど(笑)。ただ、実際に会って「顔違うじゃ~ん」ってなったらみんな萎えちゃいますよね。
顔の気になるところとか、考え始めると止まらないし。
「充実しなきゃ」「撮影しなきゃ」みんな考えなくていいことに時間を使いすぎている
星
そうやって自分なりの方法で、“ありのままでいるkemio”のスタイルを強化しているんですね。
kemioさん
特に今って、考えなくていいことを考える人が多いじゃないですか。
星
考えなくていいこと?
kemioさん
たとえば、SNSのためにご飯食べにいったり買い物したり、「映えるため」に行動したり。
みんなストーリーとかで人のハイライトをのぞく時間が多すぎて「これがイケてる」「これがカッコイイ」って、洗脳されてると思う。
他の人が旅行してたり美味しいもの食べに行ったりしていると、「自分も充実しなきゃ」って考えちゃうでしょ?
kemioさん
ごろごろしてて全然いいのに、人と比べて無駄な1日を過ごしたように感じてしまう。でもそれって本来、考えなくていいことですよね。
星
たしかに、無意識のうちにそういう思考になってるかも。
kemioさん
誰も公共の電波使って、わざわざ自分のかっこ悪いところ見せようとしないじゃないですか。
だから「よく見えること」ばっかりネットにあふれて、どんどんエスカレートしていってるというか…
星
kemioさん、自分が盛大に怪我する瞬間をストーリーに載せてたりとか、急に目が腫れて「誰か助けて」って半泣きでライブ配信始めたりしますよね。
kemioさん
あ、そうですそうです(笑)。
逆に、ステキなところに行ったり、めちゃくちゃ楽しい時間を過ごしたとき、あえてSNSに載せないこともあります。
星
え、そうなんですか!? 日常なんでも公開してるイメージでした。
kemioさん
そんなことないですよ。すっごく心が動いたときは、自分の中だけで留めておきたかったりします。
すべて見せてるわけでもないし、ハイライトだけ見せてるわけでもないです。
星
そうやって意識しているのですね…kemioさんは人のSNSを見ていて、自分と比較したりしないんですか?
kemioさん
もちろんそういう感情はありますよ。自分は誘われてないのに、友達は誘われてパーティー行ってるのとか見てモヤっとしたり。
でも、それって勝手に損した気持ちになってるだけなんですよね。だから「まあいいや!」ってすぐに放り投げます。考えてもいいことないので。
「ぽーいって」
顔も知らない人からのヘイトコメントは、宇宙人からの交信
星
長くネットで活躍されてて、バッシングされるようなこともあると思うんですが、嫌なコメントはあまり気にしないんですか?
kemioさん
前はすごい気にしてて、Vineのコメントで嫌なこと書かれるたびに自信なくしてました。今は全然なにも思わないですけど!
「Vine」で有名になり始めた時も、原宿を歩いてても誰にも気付かれなかったりして。やっぱり注目される子ってすごく綺麗でスタイルがいいし、自分は“芋っこ”だな~って思ってました。
星
そんな時期が…。どうして気にならなくなったんですか?
kemioさん
アンチコメントしてくる人たちって、宇宙人だって気づいたんです。
「宇宙からの交信きた~って」
kemioさん
会ったこともないし、顔も見えない人じゃないですか。だから宇宙にいる人と同じなんだって思うようになりました。
宇宙で悪口言われても、僕と同じ世界に住んでないわけですし、どうでもいいなって。
星
独特の解釈…!
誰もが「kemio終わったね」と言ったあの頃。「みんな、他人の人生に口出ししすぎ!」
星
以前はもっと自信がなかったと言っていましたが、大きく自分が変化したきっかけがあったんですか?
kemioさん
アメリカに移住したことが一番大きかったですね!
日本で雑誌やテレビのお仕事もさせていただいていて、それを全部やめてアメリカに行くと決めたときに、本当にいろんな人から、「お前終わったな」って言われてたんです。当時のマネージャーからも。
星
え、容赦なさすぎでは…
kemioさん
僕英語もまったく話せなかったし、アメリカに行ったとき実は貯金10万円くらいしかなかったんですよ。
星
10万!?
kemioさん
だから僕自身終わったな~って思ってました。でもいいや、自分でやりたかったことだし、みたいな。
星
でも実際、アメリカ行ってからの方が知名度も人気も上がりましたよね?
kemioさん
本当にありがたいですよね。自分でもびっくりしてます。
アメリカ行ってYouTube始めたらこんなにたくさんの人が見てくれるようになって。だからやっぱり、自分がやりたいと思ったことをやって間違ってなかったって思う。
日本って「あれやりたい!」って口にすると、「じゃああれどうすんの?」「こうなったらどうするの?」って不安になることばかり言う人が多いんですよね。「応援してるよ!」って言葉をかける前に。
みんな他人の人生に口出ししすぎ!
星
アメリカでは全然違いました?
kemioさん
全然違います!基本他人の人生に興味ないんで、変な口出ししないんですよ。何歳でもやりたいことあったら、仕事辞めて夢に向かっていくし。
この間も、知り合いの40歳くらいの人が急に「ダンサーになりたい」って行って会社辞めてましたけど、みんな「行ってこい! 頑張れ!」って送り出してました。
星
すんごいアグレッシブですね!
kemioさん
でも、そのほうが普通だと思うんですよね。未来のことなんてわかんないじゃないですか。
まだ起きてないことに対して「どうすんの?」って言われても答えられないのは当然だし、だったらタイムマシーンよこせよって思いません?
自分で決めたんだから、何か起きても自分でどうにかするしかないし。
星
アメリカで挑戦したことで、自分の芯がもっと強くなったんですね。
kemioさん
ほんとそうです。この2年間すっごい濃くて挑戦してよかったとしか思ってないです。
今もまた新しい挑戦しようと色々準備しているので、楽しみにしててください!
193cmでかなり身長の高いkemioさん。対面の席に座ってすぐに、私と目線が同じ高さになるよう、何も言わずギリギリまで椅子を下げてくださってました(きっとすごく座りづらかったはず)。
友達にシェアする感覚で配信するのと同じように、普段から対面する人と同じ目線でいることをすごく意識しているのだと感じた瞬間です。
だからこそ、共感されるし愛されているんですね。
〈取材・文=星佑貴(@yknk_st)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美(@hiromi_ike)〉
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