大事なのは、とことん“自分ごと化”すること

「20代はどんどんキャリアをズラすべき」NewsPicks編集長に聞く“企画力とキャリア論”

仕事・ビジネスby 新R25編集部

記事提供:朝渋

SNSやブログが一般層にも浸透し、誰でもライターになれるこの時代。

文章力も大事だが、それよりも大事なのは企画力だ

なんていう言葉を聞くことも多いのではないでしょうか。

そこで、今回朝渋では現在ビジネスマンに大人気のニュースメディア『NewsPicks』編集長・金泉俊輔さんをお招きしてお話を聞きました。

一流の編集者である金泉さんが考える「企画力」とは…?

『NewsPicks』で大切にしている企画の極意や、金泉さん自身が20代だった頃のエピソードなども交えつつ、ダイジェストでお届けいたします。

【金泉俊介(かないずみ・しゅんすけ)】1972年生まれ。大学在学中から雜誌ライターとして活動。立教大学経済学部卒業後、扶桑社に入社。『週刊SPA!』編集長、ウェブ版の「日刊SPA!」創刊編集長なども務める。2018年4月、ニューズピックスに移籍し、NewsPicks編集長に

NewsPicksとは? 大きな特性は「3つの機能」があること

350万ダウンロード突破のニュースメディア。

大きな特徴としては、

1. 新しい記事を出す”メディア”

2. メディアパートナーの記事を載せる”プラットフォーム”

3.「ピッカー」としての”コミュニティ”

この3つがフラットな関係にあること。

堀江貴文さんなど、250人のプロピッカーが在籍。読者層は男性が8割。ターゲットはあたらしい経済圏の若者だが、最近では年齢問わず幅広い読者に向けて発信中。

さよなら、おっさん。

金泉さん「このコピーにおっさんたちが怒りました(笑)

NewsPicksの編集方針は、

・「経済情報で、世界を変える

・「経済を、もっとおもしろく

・「News is not always black and white」(1つのニュースでも人によって多様な捉え方がある)

の3つ。なお、ロゴがシマウマなのは最後の格言に起因しているそう。

企画の基本は「自分ごと化」と「企画三原則」

金泉さん:まずは、「媒体を自分ごと化する」能力が1番大事ですね。媒体と融合したうえで、読者の読みたいものを客観的に考え、企画化するんです。

編集者には「客観化」できる人はたくさんいますが、「自分ごと」することはみんなができるわけじゃない。

たとえば、モード誌にギャル系の人が配属された場合、服や言葉遣いなどがすぐに新しい媒体の読者層と同じように変えられる人が編集者に向いています。

放っておくとみんな客観的になってしまうので、意識的に「自分ごと」にしてください。

次に、押さえておくべきなのが「企画三原則」です。

時事性(メディアは常にタイミングを持って出すもの)

新規性(企画の切り口や視点に新しさがあること)

批評性(物事の是非について論点を持って批評しているか)

これはNewsPicksだけではなく、他メディアや多くの企画において共通する三原則となっています。

NewsPicksならではの「企画力」3つのポイント

金泉さん:以上の前提を押さえたうえで、NewsPicksならではの企画のポイントが3つあります。

1. 常識を超える

一般論や予定調和に対し、常にその先にある圧倒的なおもしろさ、まだ見ぬ事物を追い求めることです。よい企画者というのは、100人いたら1人か2人の違う答えを言う人です。「そっちなの?」と思う視点こそが編集者に向いている視点です。

“テスラの狂気”では、世界で初めてテスラの工場に潜入しています。まだ世の中では可視化されていないものを可視化していくことを大事にしています。

2. 新しい視点を面白く

一歩先に進んだ有益な情報・報道を、企画化して、わかりやすく、おもしろく伝えることです。めちゃくちゃ面白いけど、読者にはわかりにくいことをどうやって伝えていこうか、というのを考えます。

遺伝子新時代”では、アンチエイジングするために自ら遺伝子注射を打って人体実験している66歳のバイオハッカーを取材しました。ホリエモンが「やばい!この治療受けてみたい!」とかコメントしたりして(笑)。興味の持たれない分野に、いかに興味を持たせられるかが大事です。

3. 半径5mの本音と欲望

読者は身近な本音を知り、欲望を満たしたいと思っています。現世利益であるお金や出世など、人は身近なものを取り上げられるとつい見てしまうんですよね。

「自由」のための不動産論”はどうしたらいい不動産に住めるのか、という読者のインサイトを満たしている人気の記事です。

タイトルの重要性

金泉さん:そして、企画の奥義として「見出しが、立つか」というのも重要視しています。それは、「短い、わかりやすい、今までにない」ものです。

韓流経営LINE

紅いシリコンバレー

お金2.0

港区おじさん

「活躍できていない」と感じたらキャリアを「ズラせ」!

西村さんによる質疑応答タイムです

――現在、編集・ライターのバブルですけど、やはり向き不向きがあるなかで、もし金泉さんが名もなき20代の編集者なら、どのようにキャリアを築いていきますか?

金泉さん:僕は、『CanCam』のスタッフになろうとしたら顔採用でダメで、『ホットドッグ・プレス』のライターになったら活躍できた、という過去があります(笑)。そこからも、22歳で「ライターに向いてない」と気付き、断筆して編集者になりました。

だから、もしそこで勝てないと感じたら、自分が活躍できるところを見つけてキャリアをズラすことが大事です。20代はどんどんズラしましょう

あと、ネットメディアは文章を長くしたり、企画を多く出しがちですけど、短くする練習をした方がいいです。20000字のインタビューを1000字にする。制約こそ、クリエイティブを生むんです。

――もし金泉さんが編集者じゃない職業をえらべるなら、どんなキャリアを選択しますか?

金泉さん:本当につまらない答えだけど、もう一回編集者になりたいなと思いますね(笑)。

ビジネスにこだわらず、「編集力」を活かせるスタートアップ事業に取り組みたいです。あらゆるビジネスで「編集力」は大事だと思うので。

まぁそれが…結果的にミドル転職になった訳ですが(笑)。

NPに移籍したとき『私たちが”ミドル転職”した理由』と文春砲で撃たれた金泉さん

ネタを調達できるのは「人たらし」! 狭く深い人間関係を築こう

――ネタ元の調達って重要だと思うんですけど、ネタ元の調達力ってなんだと思いますか?

金泉さん:やっぱり「人たらし」ですよ。取材対象者とすぐ仲良くなったり、大物の本音を数分で引き出してしまったり、そういう対人スキルの強い人っているんですよね。みんなが知っている人だと箕輪さんとか(笑)。

――人たらしの条件や共通点ってあるんですか?

金泉さん:共通点…基本失礼だよね(笑)。

金泉さん:人ってそれぞれの距離感があるけど、間の詰め方が傍から見るとちょっと失礼。でも相手にとってはそれが心地よかったりするんだよね。ただきっちりと相手にコミットする。その後のフォローは圧倒的だと思いますね

――いわゆるコミュ力おばけにならなくちゃいけないんですかね?

金泉さん:いえ、基本的に交友関係が馬鹿みたいに広いわけではないんです。半径5メートルで「この人だ!」って人に行くんですよ。

広く浅く、というよりも狭く深く、というコミュニケーションの取り方でいいんだと思います。

「企画三原則」はこれからも不変的なもの。ポイントは「斜に構える」

――企画三原則は時代とともに変化するものなのでしょうか?

金泉さん:含有比率は変わるかもしれませんが、基本は変わらないと思ってます。

ただ一つ、メディアにおいては「新規性」というのが難しい。切り口や見せ方はどんどんパターンがなくなってきているので、だんだん難しくなるものです。

――あえて四原則にするとしたら?

金泉さん:公益性です。このニュースが社会のためになる、というのをメディアとして担保していくことです。公益性に引っ張られすぎてもエッジが立たなくなるので難しいんですけど、ジャーナリストや編集者はこの心を持っておきたいですね。

――これらの原則はどんなトレーニングをしていけば身につきますか?

金泉さん:常識を疑うこと。多い情報量に対して自分にとって得なことだけを摘んでいくと、そこで情報が偏ってくるんです。だから、「これって本当なの?」と疑うことが重要。世論と言われるものを、「本当にそれは世論なの?」と考えてください。

――斜に構えろってことですかね。

金泉さん:そう。それと、もう半分は持って生まれたものでもあります。嵐山光三郎さんと編集者がいるんですけど、彼が小学校1年生のとき、「さいた さいた さくら が ◯◯◯」という課題が出たそうです。

そのなかで、47人は「さいた」と書き、1人は「きれい」もう1人は「なんだ」と書き、嵐山さんは「ちった」と書いたそうです。

常識的に考えれば「さいた」だけど、そう書いたら面白くないだろうな、と考える。これが資質です。

ただ、斜に構える人は自分ごと化しにくいんですよ。だから、難しいんですけど「自分ごと化」と「斜に構える」両方が大事。

なので、「企画力」を高めたい方は、媒体と恋愛して結婚するくらい、とことん「自分ごと化」して、「こういう素材がありましたよ」っていうのをどんどん見つけてきてください。

媒体と恋愛して結婚するくらい自分ごと化する」という強いメッセージを残していった金泉さん。

面白い企画を立てるためには小手先のテクニックに頼るのではなく、まず自分が媒体と融合し、読者のニーズに答えることが重要なのだと気付かされました。

企画が出せず思い悩むとき、果たして自分は「常識」を疑えているのか、「自分ごと化」できているのか、改めて振り返ってみてください。

金泉さん、朝早くからありがとうございました!

〈文=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=矢野拓実(@takumiYANO_)〉

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