凡人が天才を巻き込むには?

人を動かす「4P」とは? チームづくりのプロ・麻野耕司が語る“人を巻き込む3カ条”

仕事・ビジネスby 新R25編集部

20代のビジネスパーソンのなかには、これから「自分のチームを持って成果を出す」というミッションを与えられる人も増えてくるでしょう。

でも、「自分のことだけでやっと仕事が回るようになったのに、チームを動かすなんてできるのだろうのか…」と不安を覚えることも多いはず。しかもチームのなかに、自分よりも仕事ができる人や年上の人がいたらなおさら。

そんな悩みを聞いてくれたのは、組織の課題解決やモチベーションについて日々向き合いつづけているリンクアンドモチベーション取締役の麻野耕司さん

チームをまとめることに不安を覚えるのは、そのノウハウが精神論に基づいていて、曖昧なことが多いからですよ

そう語る麻野さんは、4月3日に新刊『THE TEAM ~5つの法則~』を上梓。同書では、曖昧なチーム論を論理的に、誰でも実践できる5つの法則にまとめていると言います。

しかも、麻野さん自身もそのノウハウを活用して、『THE TEAM』をつくるチームを最高のものに仕上げたんだとか。

今回は『THE TEAM』をつくる過程を振り返ってもらい、そのなかでどうやって“最高のチーム”をつくっていったのか…という話を聞きました。

ここで登場するノウハウは、みんなが再現できるものなので、ぜひ参考にしてみてください!

〈聞き手=宅美浩太郎〉

【麻野耕司(あさの・こうじ)】慶應義塾大学卒業後、リンクアンドモチベーション入社。中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング事業の執行役員に当時最年少で着任。新規事業として国内初の組織開発クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げる。現在は、リンクアンドモチベーション取締役・ヴォーカーズ取締役副社長
麻野さん

麻野さん

今回の『THE TEAM』は僕が幻冬舎の天才編集者・箕輪厚介さんに持ち込んだ企画だったんですよ。

彼に直接、自分の思いを込めた企画説明を送ったんです。
このあともかなりの熱量のこもったメッセージを送っていました
麻野さん

麻野さん

そしたらその返信が…これ
宅美

宅美

うわあ。麻野さんの熱量に対して、箕輪さんの返信は淡白ですね(笑)。
麻野さん

麻野さん

でしょう? 

この返事を見たとたん、絶対に箕輪さんは興味がないな、動いてくれないだろうなって確信しましたよ(笑)
宅美

宅美

(笑)。では、そこからどうやって振り向かせることに成功したのか、聞かせてください!

人の協力を得るためには「4P」を意識しろ

麻野さん

麻野さん

まず人の協力を得る場合、意識しなければならない「Eの法則」というものがあります。
宅美

宅美

「Eの法則」…?
麻野さん

麻野さん

エンゲージメント(絆)」の頭文字をとったE。

これはチームメンバーのモチベーションを引き出すための法則です。

社会が貧しかったころは「お金」がモチベーションになることが多かったので、メンバーのモチベーションを意識することはなかったんですよ。

ただ、今はもう物資にあふれる時代になったので、「お金」以外の目的も増えてきています。
宅美

宅美

今はモチベーションが多様化していると。
麻野さん

麻野さん

そうです。だからまずはチームのメンバーがどんなモチベーションで動くのかを見極めないといけません。

マーケティング用語に、顧客の購買意欲を高めるための「4P」というものがあります。
宅美

宅美

たしか、「Price(価格)」「Product(製品)」「Place(流通)」「Promotion(宣伝)」の4つがあり、そのなかのどれかに魅力がないと、購買行動に移してもらえない、というものですね。
麻野さん

麻野さん

そうです。僕は人のモチベーションにも「4P」があると思っていて。

それが「Philosophy(理念)」「Profession(仕事の内容)」「People(人)」「Privilege(名誉・待遇)」。
宅美

宅美

なるほど。人はその「4P」のなかに必ずモチベーションの源泉があるんですね。
麻野さん

麻野さん

そうです。たとえば今回の箕輪さんの場合は、「People(人)」。

つまり「面白い人と仕事をすること」が最大のモチベーションになることがわかってきました。

これまで箕輪さんが本を手がけてきたのは、堀江貴文さんやSHOWROOMの前田裕二さんなど、新しいことを仕掛けるようなタイプの方々だったんです。

だから、僕も興味を持ってもらえるように、“自分の見せ方”を工夫したんです。
宅美

宅美

おお…具体的にどのようにですか…?
麻野さん

麻野さん

箕輪さんに書籍の提案をしたあと、実際に会う機会がありました。

そこで、自分が組織人事のいちコンサルタントではなく、モチベーションをテーマにさまざまなビジネスを立ち上げて世界を変えていこうと考えている男だ、と熱く語ったんですね。

あとで聞いてみたら、その日に初めて「あ、ちょっとアリかな」って興味を持ってもらえたそうなんです(笑)。

それで書籍化に対して、動き出してくれたんですよ。
宅美

宅美

狙い通りですね!
一瞬、まんざらでもない表情を浮かべる麻野さん

みんなに応援される人は「動機が外へ向いている人」

宅美

宅美

その後、無事に本づくりのプロジェクトが進むわけですが、日が進むに連れ、多くの人が『THE TEAM』を積極的に紹介されていたのが印象的です。
麻野さん

麻野さん

これは自分から強く働きかけていたというより、自分が「応援される人」になろうと思ったんですよ。

僕のような大した才能もない凡人が多くの人に本を届けるためには、いかにして多くの人に応援してもらえるかがポイントなんです。
宅美

宅美

「応援される人」というのは、なろうと思ってなれるものではないと思うのですが…

麻野さんはどうしたんですか?
麻野さん

麻野さん

人はどこで応援するか否かを判断してるのかというと、その人の「頑張る動機」と「その行動が向いてる方向」を見ているんですね。

できるだけその方向が外側に向かっているほうが共感を呼びやすいんです。「社会をよくしたい」とか、「とにかくこの仕事が好き」とか。

逆に、そのベクトルが自分自身に向いていたら応援はされにくいんですよ。
宅美

宅美

書籍でいえば、「この本で有名になりたい!」とか「印税で稼ぎたい!」ということですかね?
麻野さん

麻野さん

そうです。ちなみに、僕はこの本の印税はもらわないことにしているんです
宅美

宅美

え!? そうなんですか?
麻野さん

麻野さん

はい。

もし僕が印税をもらってしまったら、「俺らがこの本を盛り上げても、結局もうかるのはコイツかー!」という気持ちになりますよね。

もちろん、有名人や人気者ならどんな状況でも応援してもらえるかもしれませんが、僕のような凡人はそれでは応援してもらえない。

だから、印税は全部、出版元である幻冬舎さんにこの本を広めるために使ってくださいって言ってます。
麻野さん

麻野さん

僕はこの書籍づくりを「チームを通じて人を幸せにするプロジェクト」だと考えています。

それをちゃんと意識して行動していると、次第にまわりも、「この人が自分たちの仲間のため、社会のために何かやろうとしているなら、ひと肌脱いでやるか」って感覚が生まれると思いました。

京セラの創業者である稲盛さんの「動機善なりや、私心なかりしか(動機は善い行いか? 自己中心的になっていないか?)」っていう言葉があるんですけど、僕はこの言葉が好きで、動機とその向いてる方向をすごく大事にしています。

チーム内のコミュニケーションで理解するべき“4つのポイント”

宅美

宅美

麻野さんは実際にチーム一体となって、『THE TEAM』を作ってきました。

多くの人をまとめあげるうえで意識していたことはありますか?
麻野さん

麻野さん

あたりまえですが、相手に合わせて適切なアプローチをとることですね。

『THE TEAM』のなかで「Cの法則」、つまり「Communication(意思疎通)」について書いています。
宅美

宅美

Eに続いて、今度はCですか。
麻野さん

麻野さん

チーム内のコミュニケーションを円滑にするためには、ほかのチームメンバーの「経験」「感覚」「思考」「能力」を理解しないといけないということです。
麻野さん

麻野さん

たとえば、あるメンバーに「あなたにはリーダーのアシスタントをやってもらいたい」と伝えるのと、「あなたにはリーダーのアシスタントをやってもらいたい。あなたは大学時代にサークルでサブリーダーをやっていて、そこでとても充実していたと言っていたよね。今回もきっと楽しめるよ」と伝えるのだったら、どっちが相手を動かすことができるのかは明白ですよね。
宅美

宅美

後者のほうが、理解が深い感じがしますね!
麻野さん

麻野さん

そうです。相手の「経験」「感覚」をちゃんと理解しているだけで、伝わり方がまったく違います。
麻野さん

麻野さん

ちなみに僕、会社では応募者を口説いたり、退職者を引き止めたりする役割を任されることが多いんですよ。
宅美

宅美

えっ、どうしてですか?
麻野さん

麻野さん

僕がコミュニケーションを取ると、相手が気持ちを動かしてくれることが多いからなんですけど、その秘訣は相手の過去を深く知ったうえで語りかけているからなんです。

その人の過去を知らなければ、その人の「経験」と「感覚」を把握することができません。

この人はどんな「経験」をして、そのなかでどんな「感覚」を得たのか…それらをちゃんと知っておかないと、人を動かす適切なコミュニケーションは取れないと思っています。
宅美

宅美

なるほど…
麻野さん

麻野さん

みんな自分のことを理解してもらいたいと思うがあまり、相手のことを十分に理解しないままコミュニケーションを取ろうとしています。

でも、自分を理解してもらう一番の近道は、相手を理解することです。

人間は自分のことをわかってくれる人のことを知りたい、話を聞きたい、力になりたいと思う生き物ですから。
宅美

宅美

勉強になります!

巻き込んだあとは、少しでも恩返しをする意識を忘れない

宅美

宅美

最後にこれだけ聞きたいのですが、すごい人を巻き込んだとき、その見返りとしてなにか与えなければ…と思うことはありませんか?
麻野さん

麻野さん

ありますよ! もちろん協力してくれている人は見返りを求めてないと思うのですが、それにあぐらをかいてもいけないと思っていて。

だから、たとえ小さくても恩返しをする精神は持つべきです。
麻野さん

麻野さん

たとえば今回だと、編集を担当してくれた箕輪さんのために何かできることを考えたんですよ。

そしたら、ちょうど今回の本はタイミング的に平成の最後の月に出るので、「平成最後のビジネス書ベストセラーは箕輪厚介がつくった」というふうにできないかなって考えました。

ただ…
宅美

宅美

ただ…?
麻野さん

麻野さん

今のままだと、平成最後の月のビジネス書のベストセラーは、箕輪さんが手がけた、前田裕二さんの『メモの魔力』になりそうなんです(笑)。
宅美

宅美

麻野さんの本がなくても(笑)。
麻野さん

麻野さん

そうです。チームをつくるうえで、人の人生に貢献するってなかなか簡単ではないんですよね…

でも、相手の人生にとっても意味のあることをするという気持ちは、最高のチームをつくるときに必要なんじゃないかって思っています。

小さいころから団体行動の多い日本人にとっては、比較的なじみ深い「チーム」という言葉。

しかし、いざ実際にいいチームをつくろうと考えても、結局は「リーダーシップが大事」「小まめなコミュニケーションが重要」など、感覚的な答えしか持っていない人がほとんどではないでしょうか(僕もそのひとりでした)。

ところが、麻野さんによれば、いいチームをつくるためには明確な「理論」と「原則」があり、それを押さえれば誰でも最高のチームをつくれる可能性があるのだといいます。

これを機に『THE TEAM』を読み込んで、人知れず「チームづくりの達人」を目指します…!

麻野さんから教えてもらった、人を巻き込むための3カ条

人の協力を得るには「4P」を意識しろ

行動の動機が“外”に向いている人が応援される

メンバーの過去から「経験」「感情」「能力」「思考」を理解しろ

〈取材・文=宅美浩太郎(@kotaro53)/撮影・編集=福田啄也(@fkd1111)〉

『THE TEAM ~5つの法則~』が絶賛発売中!

今回のテーマにもなった『THE TEAM ~5つの法則~』が発売中です。

人間が生きるうえで、避けては通れない「チーム」という存在。これまで「精神論」で語られることが多かった「チーム」のあり方について、組織コンサルタントとして数多くのチームを導いてきた麻野さんが「A・B・C・D・Eの法則」で解説しています。

このインタビューでは「C」「E」の法則にしか触れることができませんでしたが、「A」「B」「D」の法則ではチームとして活動していくうえで必要な目標設計意思決定について説明されているので、ぜひ参考にしてみてください!

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