ビジネスパーソンインタビュー
「後輩のアンダー(代役)やってたんですよ」
「韓国のアイドルの姿勢に触発された」AKB48・宮崎美穂が“嫉妬まみれ”から脱出できた理由
新R25編集部
2007年にAKB48に5期メンバーとして加入した宮崎美穂さん。
指原莉乃さんら同期のなかで一番早く研究生から正規メンバーに昇格し、「次期エース候補」として担ぎ上げられたものの、その後はなかなか成果が出せず、後輩にもどんどん追い抜かれてしまいました。
ストレスから激太りし、劇場にさえ立てない日も。そんな彼女が、2018年11月発売のシングル曲『NO WAY MAN』で10作ぶりの選抜メンバーに復帰。
嫉妬で腐っていた時期を乗り越えられたのはなぜ?総選挙で圏外になったものの、何度逆境に立たされても笑顔でステージに戻ってくる彼女。日韓合同の大人気オーディション番組『PRODUCE 48』で活躍し、人気が再浮上している秘密に迫りました。
〈聞き手=小沢あや〉
【宮崎美穂(みやざき・みほ)】2007年、「AKB48第二回研究生オーディション」に合格。同年劇場公演デビュー。2008年にはシングル「大声ダイヤモンド」で選抜入り。以降7曲連続で選抜メンバー入り。2018年、日韓で放送されるオーディション番組「PRODUCE48」に参加。「練習生ランキング」で1位に輝くなど注目を集めたが、最終的には「IZ*ONE」入りを逃す
お笑い担当は正統派より下、という空気が不思議
小沢
宮崎さんは加入12年目を迎え、すっかりベテランですね。そもそも、加入当初はどんな気持ちでAKB48に入ったんでしょうか?
宮崎さん
私、最初は自分のことめっちゃかわいいと思ってたんですよ。
宮崎さん
ただ、「絶対センター!」とか「選抜になりたい!」とはあんまり思ってなかったですね。それよりも、個人で活躍できる人になりたかった。
AKB自体が「自分の夢への通過点」というコンセプトだったし、当時はみんなそうだったと思います。
小沢
宮崎さん、最初は正統派だった印象でしたが、バラエティ番組では先輩に毒を吐きまくる「狂犬キャラ」に変貌しましたよね。あれは戦略だったのでしょうか?
宮崎さん
狂犬キャラは、素だったんです(笑)。加入当初は先輩がいっぱいいたから猫かぶってただけで、本当の自分じゃなかったですね。
小沢
篠田麻里子さんをイジったり、結構過激でしたけど、後からちゃんと楽屋に謝りに行ってましたよね。
宮崎さん
謝りに行ったのは、純粋に先輩にビビってたからですね(笑)。
小沢
「一度お笑いキャラでいくと、正統派に戻れなくなる説」もあります。迷いはなかったですか?
宮崎さん
握手会でも、ファンの方から「本当にこのキャラでいいの?」と言われたこともありましたね。でも私、「バラエティー班は劣ってる」って言われるのが不思議なんですよ。
面白い発言をしたほうが画面に映るし、名前を覚えてもらえるじゃないですか。そもそもAKB48は人数が多いし、同世代はまゆゆとか、すごい子が多かったんですよ。そこで私が正統派で行ってもダメだと思ったんです。
小沢
確かに、激戦ですもんね。とはいえ、総選挙にKPIを置くなら、もっと勝ちやすい路線はあったはず。あえて素のキャラで勝負したのは?
宮崎さん
そりゃ、総選挙は正統派が有利だし、「お笑い担当はやっぱり順位が下になる」っていう雰囲気はありました。
だけど、それだけがすべてじゃないと思って。「アイドルなら自分を偽って人気を取らなきゃいけない」っていう空気への反発があったのかもしれません。アイドルだって、自分のそのままを発信したい。
だから「あのまま正統派になっていたら」みたいな後悔はないですね。
最初の評価が高すぎた? 人気になっていくまわりのメンバーを見て、嫉妬していた
小沢
最初に次世代エース候補として持ち上げられていただけに、その後は苦しかったのでは。
宮崎さん
自分のこと、めっちゃかわいいと思ってましたから(笑)。最初は運営からもファンからも評価が高かったし、頑張ればすぐ夢に近づけると思った。
5~6年目あたりから伸び悩んで、まわりにも嫉妬しまくってましたね。
小沢
「ぐぬぬ…!」みたいな。
宮崎さん
「ぐぬぬ」どころじゃないですよ(笑)!「あーーー!!!」って叫びたくなるくらい、嫉妬に狂ってました。
宮崎さん
体型管理もできなくなって、太っちゃって…。自分もちゃんと前に出ていた時期があったのに、まわりの子がお仕事をもらったり、雑誌に出ていたのを見るのがすごく嫌でした。
AKB48を辞めようかと思うくらい、ネガティブなループにハマってしまって。
小沢
相談できる相手はいましたか?
宮崎さん
ライバル心があったし、メンバーには相談できませんでしたね。
それで親にあたりちらしたこともありました。AKB48のなかでも「与えられた仕事をこなすだけのメンバー」になっていたと思います。
小沢
振り返って、伸び悩んだ理由はどこにあると思いますか?
宮崎さん
最初から、実力以上の高評価をもらってしまって…勘違いしちゃったことです。
デビュー後、スタッフさんだけでなく、ファンの方からもダメ出しされることが多かったんですよ。
今思うとありがたいんですけど、周囲の意見を素直に飲み込めない自分がつらかったですね。
選抜落ち、劇場では後輩の代打。「私のレベルは、本当はもっと下だった」
宮崎さん
7曲連続で「選抜入り」してたところから、結果が出なくて外されたわけですからね…
しばらくは自分が選抜に入っていないことが受け入れられなくて、なかなか前に進めませんでした。
…いや、選抜どころじゃないですね。カップリング曲にも入れず、どん底だったときには劇場に立つ16人にも入れてもらえなかったんです。後輩のアンダー(正規メンバーが仕事などで公演に出られないときの代打役)やってました。
小沢
競争ありきのグループとはいえ、持ち上げられてからそれはしんどい…
宮崎さん
とにかく、「何度か選抜入りした」っていう過去の栄光にひきずられていました。
でも、昔からの信頼関係があるファンの人が「選抜に入ることは大事だけど、それがすべてじゃない。メンバーがいっぱいいるんだから仕方ないよ」と言ってくれて。
小沢
宮崎さんの存在自体を肯定してくれるファンの言葉が支えになったんですね。
宮崎さん
もともと、歌番組にも出て、ポジションも良かった。でも、それは最初の評価がたまたま高かっただけ。
私のレベルは、もっと下だった。なら、この順位からまたやれることをやろう!と。
小沢
腐らずに持ち直せたのがすごいです。
宮崎さん
「もう一度選抜に」「また音楽番組に出たい」と目標を持って頑張れるようになりました。与えられた仕事も、ひとつひとつ期待以上のものを返そう! と。
韓国のアイドルは「まっすぐセンターを目指している」。努力する姿勢を学んだ
小沢
そんな姿勢が、オーディション番組『PRODUCE48』参加のチャンスにつながったんでしょうか。韓国好きであることも、以前から発信していましたよね。
宮崎さん
SNSでも、どんどんアピールしてました! なかには韓国にネガティブな感情を持っている人もいて、アンチコメントがついたり、失うものもあったんです。
でも、私は韓国に対する偏見を変えたいし、韓国のお仕事をしたい気持ちが強かった。
小沢
“韓国のお仕事”を取るために、ほかにしたことってありますか?
宮崎さん
韓国語を猛勉強しました。「準備していたら、なにかチャンスがきたときに活かせるんじゃないかな」と思って。
NHKの『テレビでハングル講座』を毎日必ず2回観て、反復学習してたんですよ。
小沢
え、仕事が決まってるわけじゃないのにですよね…?すごい…!
宮崎さん
とにかく、K-POPやコスメやドラマなど、韓国のカルチャーが好きだったからですね。
K-POPの曲はかなりの数チェックしてましたし、新グループもデビュー翌日には全員の名前を言えるくらい、毎日深掘りしてました。
小沢
好きなことを伸ばした結果が、今につながったんですね。
宮崎さん
ですね、『PRODUCE48』の番組内ではできるだけ韓国語しか喋らないようにしたんですよ!それで現地の方々にアピールできたんです。
小沢
日本と韓国では、アイドルカルチャーも大きく異なるのでは?どんな印象でしたか?
宮崎さん
一番印象的だったのは、「自信がある」ってことですね。
韓国のアイドル候補生って、みんなまっすぐ「センター」を目指してるんですよ。
小沢
練習量も多いから、「これだけ練習したんだから、わたしは大丈夫」と自信につながっているんでしょうね。
宮崎さん
AKB48だと「私はダンスが好きだから、センターじゃなくてもいいや」と全体のバランスをとる子が多かったんです。
最初は「韓国の子の強いな」って、驚いてた部分がありました。でも、最終的には自分もどんどん触発されてきて、「私もこのパート歌いたいです!」って言えるようになって。
小沢
まわりの気持ちに引き上げられた部分も大きかったと。
宮崎さん
そうですね。AKB48では、どこか甘えがあったのかもしれません。私は、厳しい環境にいたほうが成長できると思いました。
アイドルである以上、歌もダンスもうまくならないといけない。メンタル面でも、かなりプラスになりました。
小沢
ファンや視聴者からの評価も変わりましたか?
宮崎さん
じつは、『PRODUCE48』の収録中の4カ月は、携帯使うのが規制されてたんですよ。
SNS上の評価に一喜一憂しないで、自分自身のパフォーマンスに向き合うことができたのも、よかったと思います。
小沢
なんてストイックな…
番組内での人気投票、最高2位と大健闘でしたね。IZ*ONEとしてのデビューは逃しましたが…
宮崎さん
本当にレッスンも頑張って出し切ったので、悔しい気持ちはないです。IZ*ONEのみんなのことも、素直に応援できますね。
今思えば、AKB48で悩んでいたときは、なにもしないままふてくされてたから…
宮崎さん
ネガティブな感情って、やっぱり顔に出ちゃうじゃないですか。だから昔の私って、すごくブサイクだったと思います。
周囲への嫉妬でいっぱいだったころの私に言ってやりたいですね。「まずは自分と向き合って努力しろ」って。
嫉妬心とうまく付き合うには、まず自分自身の「好き」と向き合い、鍛錬することだと教えてくれた宮崎さん。
まだまだAKB48での活動を続けるそうで「結構メラメラしてるので、後輩に負けたくないんです。在籍してるからにはライバルですから」とのこと。
一度ヘコんでも、心持ちと努力次第で浮上するチャンスはある! 悩み多きR25世代の社会人も、腐らずいきましょう。
〈取材・文=小沢あや(@hibicoto)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=飯本貴子(@tako_i)〉
宮崎さんの韓国関連のお仕事情報はコチラ!
■AGARU TV
第4土曜日、21時~22時配信
■チャンネルJ 日本人も知らない茨城旅行
4月20日(土曜日)午前8時10分からスタート
毎週土曜日放送(※韓国での放送です)
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