ビジネスパーソンインタビュー
そんなにこだわる意味あるんですか?
「こんなにコスパいいものないよ!?」アンジャッシュ渡部が熱弁する“美食”のメリット
新R25編集部
「うわ…今月は節約しなくちゃ」と思うとき、一番に抑えようと考えがちなのって、食費じゃないですか。
最近、食に興味がない人って一定数いると思います。私も割とその一人で、「食にこだわるって何か意味あるの?」「お腹が満たせればなんでもよくない?」と思ってしまいます。
「それだけ食べていれば必要な栄養素がすべてとれる」という“完全栄養食”も話題になっている昨今、美食にこだわる意味とは…?
今回は、美食といえばこの人! アンジャッシュ・渡部建さんに「食にこだわるメリット」を解説していただきました。
〈聞き手=ほしゆき〉
【渡部建(わたべ・けん)】1993年に児嶋一哉とアンジャッシュを結成。以降、タレント・司会者・美食家と多方面でマルチに活躍している。2017年4月には女優の佐々木希さんと結婚。会員制コミュニティサロン「『渡部建のとっておきの店、こっそり教えます』」は現在会員数約400人弱。お店の紹介やオフ会などの活動を行っている
ほし
渡部さん、今回は美食家に「食にそんなこだわって何になるの?」っていう基本失礼なインタビューなんですけど、大丈夫ですか?
渡部さん
ははは(笑)。
大丈夫ですよ、なんでも聞いてください。
余裕たっぷりの笑顔で迎えてくれました。お言葉に甘えまくります!
ほし
ではさっそくですが、渡部さんの食費は月にいくらくらいですか?
渡部さん
それはお答えできません。
ほし
えっ…
渡部さん
食費はほんとNGなんですよ。相当なんで(笑)。
ただ、年間500~600軒くらいはお店をまわってる…とだけお伝えしておきましょう。
ほし
でも、1日2回も外食してるペースなんですね…!
1回3万円だと、年間1500万円…?「相当」と言われると、もっとかけてる可能性もありそうですが…
渡部さん
ノーコメントで。
いや、なんにも肯定してないですからね、僕は!
あっ、すごい鉄壁の笑顔
ほし
どちらにせよ、私たち一般のR25世代とは比較にならないですね…
渡部さんは、20代のころから食にはお金をかけていたんですか?
渡部さん
まさか! 20代のころなんて極貧生活ですよ。
本当にお金がなかったので、安いレトルトのカレーを業務用スーパーで箱買いして、実家から送ってもらった米と食べる生活ばかりしていました。
カレーも買えない“究極にお金がない”ときは、白米にマヨネーズをかけてました。
ほし
白米にマヨネーズ!?
渡部さん
20代での生活が本当に厳しかったから、「おいしいものが食べたい!」「いつかはあの店に行きたい!」って気持ちがどんどん積もっていったんです。
もともと物欲がないので、とにかく欲求の矛先は「食」でした。
「20代のころは、まさか自分が『美食』で仕事をするなんて夢にも思わなかったですよ(笑)」。
食体験は“アウトプット”しないと永遠にただの消費でしかない
ほし
今日聞きたいのは、「食にそんなにお金かける意味ある?」っていう疑問なんです。
“食”って一瞬で終わるし、体験にお金を払うのであれば、海外旅行とかのほうが…
渡部さん
そう思うのは、アウトプットができていないからですね。
ほし
え、食にアウトプットが必要なんですか?
渡部さん
「必要なんですか」!? ︎
ただ「おいしかった」で終わらせているだけじゃ、何を食べても消費でしかないでしょ!
アウトプットが大事! むしろ、アウトプットがほぼすべてと言える!
すんごい振りかぶられてしまいました
渡部さん
僕は、食べたものは必ずすべて記録するようにしています。
食材、価格、お店の雰囲気、シェフはどんな人か、何の料理がどんなふうにおいしかったのか。全部忘れないようにメモを取りながら食べるんです。
ほし
すべて!?
仕事でもないのに、正直面倒臭いです。
熱弁スイッチON
渡部さん
その意見もわかる。
でもこれだけはちゃんと伝えさせてください。
「おいしい」を分析してみることで、食への価値観ってすごく変わりますよ。
記録するのは、コンビニのおにぎりだっていい。
ほし
おにぎりでいいんだ。
渡部さん
ちょっとメモを取っておくだけで、セブンとローソンのおにぎりの違いにはきっとすぐ気づく。「何がどう違うのか」を言語化できたら、もう目隠しして食べてもどっちのコンビニのものかわかると思います。
アウトプットすることで、自分の味覚は少しずつ研ぎ澄まされていくんです。同じものを食べていても、キャッチできる情報量がまったく違う。
食体験は、蓄積すればするほど自己投資になるわけ!
「せっかくの美食を『消費するだけ』なんて考えられない!って思っちゃいますね」
渡部さん
まだ20代でしょ!?
今から毎日アウトプットしてたら、30代で全然見える世界は違うと思いますよ。
僕は20代でできなかったので、やっぱり若いうちに心から「おいしい」と思える料理とたくさん出会ってほしい。早ければ早いほどいいです。
【食にお金をかけるメリット①】分析力やプレゼン力がUPする
ほし
感覚が研ぎ澄まされる…
それって、具体的にどんなメリットがあるんでしょうか…?
たとえば、3食適当に済ませている若者は、どんな機会損失をしていると思いますか?
渡部さん
うーん…いろいろあるなぁ。
ほし
おいしいお店を知っていると接待に使える…みたいな「ありきたり」じゃないメリットを教えていただきたいですっ!
渡部さん
それで言うと、食をないがしろにする人は「プレゼン力を上げるチャンス」を棒に振っていますね。
ほし
プレゼン力?
美食とあまり関係なさそうに思えますが…
渡部さん
おいしさに感動したときって、自然に「なんでこんなにおいしいの? どうなってんの?」と興味関心が湧き上がってくるんですよ。
「なぜ?」を考えまくるのって、すごくエネルギーを要します。仕事だから考えなきゃいけないと思うときはストレスになる。
でも「おいしい!」から生まれる原動力は、100%ポジティブなものですよね。
ほし
たしかに…
渡部さん
店員さんに「どんな食材使ってるんですか?」って聞いているときは、分析しているって感覚すらないな。
感動する→「なぜ?」を考える→リサーチする→発見する(知識が増える)→納得する→得た情報を使って人にオススメする。
おいしいものを追い求めていると、この訓練をするチャンスが1日に3回も訪れるわけです。毎日のルーティンになれば自動的に知識は増えるし、物事の分析力、言語化能力が高まりますよね。
ほし
!!!
たしかに渡部さん、テレビを拝見していても、ご自身が一切出演していないドラマや映画の宣伝までものすごく上手ですよね。
あれって美食によって鍛えられた力だったんですか…!?
ニヤリ
渡部さん
美食とプレゼンってつながり薄そうに思えますけど、このトレーニングで身につけたスキルはめちゃめちゃ使えますよ。
【食にお金をかけるメリット②】自己肯定感が高まる
渡部さん
あと、食にこだわることで、「自己肯定感を高める」ことができると思います。
ほし
自己肯定感!? なぜですか?
渡部さん
さっき、「どうせお金を使うなら海外旅行のほうが」って言いましたけど、海外旅行ってどんだけがんばっても、数カ月とか、1カ月に1回ぐらいしか行けないでしょ。
「自分へのご褒美」として、少なすぎません!?「食」を趣味にすると、1日に3回も楽しみがあるんですよ!
渡部さん
自分の3大欲求を、「適当に満たす」って精神的によくない。おそろしいことだと思うんですよね。
たとえば性欲に置き換えてみてくださいよ! 好きでもない男とセックスしつづけますか?
ほし
そう言われると…
渡部さん
毎日よく寝れなかったら「いい枕を買おう」とかなるでしょ。食ほど日常的に繰り返される行為はないのに、軽視されているよね。
「食のご褒美」をつくることは、生きていくうえでみんなが思っている以上に大事なことなんです。やってみると、マインドがどんどんポジティブになりますよ!
【食にお金をかけるメリット③】コミュニケーションツールとしてコスパが最高レベル
ほし
「自己投資」って本や旅行の印象が強かったので、美食の何が投資になるの?とか思っていてすみません…
もしかしたら「食」にお金をかけることが、一番コスパがいいのかもしれないと思ってきました。
渡部さん
そうそれ! わかってきた!?
前のめりになりはじめた2人
渡部さん
コスパの良さについてもう少し具体的な話をすると、食事って単純に「人を拘束できる時間」が長いんですよね。
たとえば、1時間のセミナーを1万円で売っている人の嗜好を調べて、食事に誘い出すとするでしょ。そしたら2時間くらいはその人の話を聞けますよね、しかも下手したらマンツーマンで。
こんなにコスパいいことないですよ!?
ドンッ!!
渡部さん
人脈作りにゴルフを始める人も多いけど、全人口のなかでゴルフに興味ある人って一部だけです。でも「食」は、絶対にみんなの共通の話題になる。
みんなが興味のある分野で確実にイニシアチブが取れるコミュニケーションツールなわけです。
ほし
(さすがの説得力…!)
ベタだけど、「モテ」につながる美食デート術もきいてみた
ほし
それで言うと、やっぱり「モテ」にも効果があるんでしょうか。
渡部さん
そうですね。モテにもつながります!
ほし
渡部さんに言われると説得力がやばい。
この流れで「美食」をデートに活かす方法も教えていただけたりとか…
渡部さん
デート術か、いいですよ(笑)。
神が降臨しました
渡部さん
本気でお付き合いしたいと思っている人とデートに行くなら、2つの「幅」でライバルと差をつけることですね。
ほし
2つの幅…?
渡部さん
1つめの幅は、「相手の過去の経験」を超える感動を提供すること、です。
たとえば、フレンチが好きな子であれば、事前に「どんなフレンチのお店に行ってきたのか」をマストで聞いておきます。で、初回のデートでは“彼女がこれまで食べてきたフレンチを超えるであろう店”を選ぶんです。
あえて彼女の詳しい分野で、です。これができたら、確実に特別視してもらえます。
ほし
うわぁ、食通だからこそ成し得るワザ…!
初回のデートで一目置かれる存在になったら、2回目のデートはどうするんですか?
本気でメモる筆者
渡部さん
もう1つの「幅」を見せましょう。相手が「今まで行かなかったようなジャンルの店」で感動を提供する。
たとえば、1回目がフレンチなら、2回目は赤提灯系の居酒屋とか。
ほし
なるほど。
渡部さん
初回のデートは「超える感動」、2回目のデートは「まだ出会ったことのない感動」を提供する。
こういったギャップを手札に持っている男性は、確実にモテます!
ビシッ
ほし
渡部さんも、このギャップを使って――
渡部さん
それはお答えできません!
ほし
(またしても…!)
「食」の価値を、完全に侮っていました。
自分の3大欲求を「適当に満たす」のは、精神衛生的によくないこと…。渡部さんの注意喚起を忘れないようにしたいと思いました。
今週の華金は、回らないお寿司屋さんに行こうと思います!
〈取材・文=ほしゆき(@yksk_nt)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=樋口まみ〉
渡部さん主宰の会員制グルメコミュニティもチェック!
「渡部建のとっておきの店、こっそり教えます」
渡部さんの会員制グルメコミュニティでは、食べログ非掲載店、取材拒否店、知る人ぞ知る名店などを渡部さんが毎週紹介してくれます。
おいしい料理に舌鼓を打ちながら、渡部さんと交流できるイベントも毎月開催。気になった方はぜひ参加してみてください!
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