ビジネスパーソンインタビュー
時代を生き抜く羅針盤『新・魔法のコンパス』より
1000万稼げる力があっても、700万程度に抑えておく。ボクが考える「収入の増やしかた」
新R25編集部
「僕たち人間は“知らないものを嫌う性質”を持っている」
現代の革命家・キングコングの西野さんはそう話します。しかし、「なんかよく分からないけど、怪しい」と蓋をしてしまったモノのなかに未来は眠っています。
今回は、激動の現代にあっても変わらない「お金」や「広告」のルールについて、自身の経験をもとにわかりやすく書かれた西野さんの著書『新・魔法のコンパス』のなかから、しなやかに時代を歩くための羅針盤となる4本の記事をお届けします。
そもそも、収入が高い人と低い人の違いは何?
世の中には、給料の安い人と、給料の高い人がいる。その分かれ目は何だと思う?
「仕事の大変さ」かな?
いやいや。仕事の大変さでいうと、深夜のコンビニのアルバイトや、真冬の警備員なんて、メチャクチャ大変だ。でも、いわゆる「高給取り」じゃない。
「技術力」かな?
たしかにひとつの分野のなかで考えれば、技術力が高いほうが給料も上がりそうなものだけど、「スーパーのレジ打ちの技術と、野球選手の送りバントの技術はどっちが上?」なんて比べられないよね?
どうやら「技術力が高ければ、給料が高い」とは言い切れなそうだ。
答えを言っちゃうと、収入の大きさを決めているのは、「大変さ」でも「技術力」でもない。
「希少価値」だ。
キミの収入を増やすには、キミの「希少価値」を高める必要がある。
キミが「100人に一人の人材」になるか、「100万人に一人の人材」になるかで、キミの収入は変わってくる。
当然、替えが効かない人材になったほうが収入は増える。
コンビニのアルバイトさんよりも、ホリエモンのほうが収入が多い理由はそこ。
早い話、収入を増やしたければ、キミが「100万人に一人」の人材になっちゃえばいいんだけど、「100万人に一人」というのは、確率でいうと「オリンピックのメダリスト級」で、そこに辿りつくのは、なかなかどうして難しい。
でも、大丈夫。キミが「100万人に一人」の人材になる方法は、ある。
これから、お話しするね。
専業は「希少価値を上げにくい争い」
「1万時間の法則」という法則があるんだけど、これがなかなか面白い。
内容をザックリ説明すると、「ひとつの分野に『1万時間』費やせば、100人に一人の人材になれますよー」って話。あくまで目安ね。
1万時間というと、毎日9時間頑張って…3年くらいかな。
たとえばキミが3年間毎日9時間「お笑い」の学習を続けていれば、キミは「100人に一人」の人材にはなれる。
ただ、厳しい話、「100人に一人」って、そこまで大したことじゃないんだよね。
吉本興業には現在6000人の芸人が在籍しているんだけど、皆、お笑いに1万時間を費やした「100人に一人」の人材ばかりなんだもん。
そして、多くの芸人がこのなかで競争を始める。
だけど、このなかでの勝敗は、自分の中のプライドや、自分の半径30メートル以内の人達の評判には反映されるけれど、収入には、それほど反映されない。
希少価値がそれほど上がらないからだ。
もちろん「100人に一人」の人が集まった集団のトップになれば希少価値も上がるけど、「100人に一人」の人はそれなりのレベルに達している人なので、その中で勝ち上がっていくことは極めて難しい。
事実、吉本興業の芸人で、「お笑い」だけで食えているのは、1割にも満たない。
残り9割は、アルバイトで食いつないでいるのが現状だ。
ひとつの分野で戦い続ける(専業)という選択は、「希少価値を上げにくい争いに参加している」と考えたほうがいい。
じゃあ、どうやって効率良く「希少価値」を上げるの?
キミの希少価値を効率良く上げる方法がある。
たとえば、キミが最初に1万時間を費やしたポイントを「A」とする。
キングコング西野の場合だと「A」は「お笑い」だね。
「A」に1万時間を投下して、「100人に一人」の人材になったならば、次は、まったく違う分野「B」に乗りこんで、そこで1万時間を費やす。
「B」でも「100人に一人」の人材になるわけだ。
キングコング西野の場合だと「B」は「絵本」かな。
この「A」と「B」の両方を兼ねている人間は、「100人に一人×100人に一人」なので、1万人に一人。
この瞬間に希少価値が一気に上がる。
漫才ができる絵本作家は「1万人に一人」しかいないわけだ。
絵本業界の話を面白おかしく語れる人材も「1万人に一人」。
今、日本で「芸人×絵本」の仕事は、大体「キングコング西野」に転がってくる。わかるよね?
ここでのポイントは、「A」と「B」は、なるべく離しておくこと。
「A」と「B」を結ぶ線上が仕事の需要だから、たとえば「サッカー」に1万時間を費やして、「フットサル」に1万時間を費やしても、細かく見れば、「1万人に一人」の人材には違いないけど、仕事の幅は狭い。
目安としては「◯◯のクセに」と揶揄されるぐらいが丁度イイ。
「芸人のクセに絵本を描きやがって…」
「タクシードライバーのクセに英会話講師をしやがって…」
こんな感じで、掛け合わせる職業はなるべく離しておいたほうがいい。
「移動中に英会話レッスンができる個人タクシー」なんてメチャクチャ重宝されると思うよ。
さて、本題はココからだ。
自分の信用面積を広げろ
「A」に1万時間を投下し、「B」に1万時間を投下して、キミが「1万人に一人」の人材になったら、次は、まったく別の分野の「C」に乗り出して、今度は、そこに1万時間を投下してみよう。
「C」でも「100人に一人」の人材になるんだ。
キングコング西野の場合だと「C」は「オンラインサロンオーナー」だね。
「A」と「B」と「C」の3つを押さえた人間は、「1/100×1/100×1/100」なので、「100万人に一人」となる。
「A」に3万時間を費やすのなら、「A」「B」「C」にそれぞれ1万時間ずつ費やしたほうが希少価値を上げやすい。
さて。「A」「B」「C」の3点を結ぶと、三角形ができるよね?
さっきまでは「A」と「B」を結ぶ“線上”が「需要」だったけど、今度は「A」と「B」と「C」を結んだ三角形の“面積”がキミの「需要」になり、仕事の幅は一気に広がる。
ちなみに。キングコング西野が、つい最近、TOYOTAさんからいただいたお仕事の依頼内容は、
「『新型クラウン』のラッピングカーのデザインを、絵本作家でもある西野さんに、西野さんが運営する2万人を超えるオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』のメンバーと共に作り上げて欲しい」
といったもの。
TOYOTAさんが純粋に「デザイン」だけを求めていれば、キングコング西野ではなくて、プロのデザイナーにオファーを出したはずだ。
プロのデザイナーではなく、「2万人を超えるオンラインサロンを運営しているキングコング西野」にオファーを出した理由は「デザイン」ではなく、「デザイン+広告効果」に期待を持たれたからだろう。
「A(芸人)」と「B(絵本作家)」と「C(オンラインサロンオーナー)」の3つの仕事を掛け合わせて、「面積」を作ったから舞い込んできたお仕事だ。
この三角形の“面積”のことを「クレジット(信用)」と呼ぶんだけれど、当然、クレジットが大きければ大きいほど、その分、需要が増える。
収入を増やすには、このクレジットを大きくすればいいわけだ。
職業の掛け合わせで「クレジット」を大きくしたら、次は…
でね。たとえば、キミが手に入れた「A」と「B」と「C」を結んだクレジットの大きさが「1年365日、毎日のように需要に応えつづけたら、1000万円のお金がキミのもとに入ってくる」というサイズになったとするじゃない?
その時、そこで、キミがさらに収入を増やしたければ、そのクレジットをフルに使って1000万円のお金を生むのではなく、お金にするのは700万円程度に抑えておく。
すると、「残りの300万円を生むハズだった時間」がキミに生まれるよね?
その時間を使って、まったく違う分野の「D」に乗り出す。
そして、「D」にも1万時間を投下する。
クレジットは三角形から、四角形になり、クレジットのサイズは一気に大きくなる。
キミは「1/100万×1/100」の人材となる。
複数の職業を掛け持つ「複業家」になることで、お金を生む力がグンと膨れ上がるわけだ。
もちろん、こんなに簡単には事は進まない。クレジットを拡大していく途中でつまづくこともあると思う。
ただ、この話から学べることはひとつ。
収入を増やすということは、クレジット…つまり「信用の面積」を大きくするということだ。
西野さんの経験が詰まった『新・魔法のコンパス』で“時代の歩き方”を学ぼう
「発見だらけ。おそるべき具体性。なにより、今日からなんかやってみようという活力がみなぎった(又吉直樹)」
昨日までの常識が、今日非常識になる。
そんな激動の現代における「時代の歩き方」について西野亮廣さんが書いた『新・魔法のコンパス』。
逆境の乗り越え方からお金の稼ぎ方まで教えてくれる、挑戦するあなたへぴったりの一冊です!
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