ビジネスパーソンインタビュー
グレッチェン・ルービン著『苦手な人を思い通りに動かす』より
人の「4つのタイプ」を理解すれば、苦手な人でも思い通りに動かせます
新R25編集部
みなさんの職場に「どうしてもわかりあえない人」はいませんか?
なぜか指示通りに動いてくれない部下。自分の意見を汲み取ってくれない上司。こういった自分の意図通りに動いてくれない人に、ストレスを感じていることもあるはず。
そんなトラブルを解決するヒントになるのが、『苦手な人を思い通りに動かす』。
著者のグレッチェン・ルービンさんによると、人は以下の4タイプに分かれるといいます。
①アップホルダー(約束を守る人):外からの期待と内なる期待の両方に進んで応えようとする。
②クエスチョナー(疑問を持つ人):あらゆる期待に疑問を抱き、自分が正当だと思う期待にのみ応えようとするため、実質、内なる期待にしか応えようとしない。
③オブライジャー(義務を果たす人):外からの期待には進んで応えようとするが、内なる期待にはなかなか応えられない。
④レブル(抵抗する人):あらゆる期待に反発し、外からの期待、内なる期待のどちらに対する態度も変わらない。
この4つの傾向を把握すれば、「苦手な人でも思い通りに動かすことができる」そうです。
同書から抜粋した「傾向に合わせたコミュニケーション方法」を理解して、人間関係のストレスから解放されましょう!
「何が心を動かすか」は4つのタイプそれぞれで違う
職場でも家庭でも、外国に行っても、私たちは絶えず、自分が望むこと(「放っておいてほしい」というものも含む)をやってもらおうとしたり、理解してもらおうとしたりしています。
そのときに自分自身の傾向を念頭においていれば、自分の望みを伝えるのに最善の状況や言葉を生み出すことができます。
また、相手の傾向を念頭においていれば、相手に伝えるのに最善の状況や言葉を生み出すことができます。
自分が心を動かされる方法で、ほかの人の心も同じように動く、とつい思いがちですが、それは事実ではありません。
私は、「私という人間は、自分で思うよりほかの人たちと同じであり、違う」という言葉を「大人の心得」のひとつに掲げています。
ですが、これをつねに意識するのは本当に難しいと思います。誰かに何かをやってもらいたいなら、次のことを覚えておいてください。
・アップホルダー(約束を守る人)は、終わらせるべきことが何かを知りたがる
・クエスチョナー(疑問を持つ人)は、正当な理由を求める
・オブライジャー(義務を果たす人)は、何かに対する責任を必要とする
・レブル(抵抗する人)は、自分のやり方を貫ける自由を求める
傾向によってものの見方は大きく違います。
そのため、自分自身にせよ自分以外の誰かにせよ、誰の心をも動かせる魔法のような答えは存在しません。
私はやることリストに含まれているから定期的にエクササイズを行っています。
運動を習慣にしているクエスチョナーは、それが身体に良い理由をすらすらと並べ立てます。
オブライジャーは一緒にエアロバイクをこぐ仲間がいれば、毎週欠かさずにこぐでしょう。
レブルは外に出たい気分になったときなど、自分がそうしたいと思ったときだけ走ります。
4つの傾向について理解していれば、どうすれば相手の助けになるかがわかり、相手が必要としている役割を演じられるようになります。
アップホルダーを動かすには「優先順位をはっきり示す」
アップホルダーは、人に任せることが苦手です。
他者に任せると、失敗したり、いいかげんな仕事をされたりするかもしれないと考えるからです。
しかし、その一方で、ときにはルーティンや計画にとらわれすぎて、ナンセンスなルールまでも頑なに守ろうとしたり、行動を変えるべきタイミングを見過ごしたりしてしまうのです。
応える必要のない期待を無視できなかったり、休息をとり損ねたりすることもあります。
急な変更への対処は苦手なので、新たな業務の発生や業務内容の変更などをアップホルダーに認めてもらいたい場合は、十分に時間的余裕を持って伝えることを心がけたほうがいいでしょう。
アップホルダーを部下に持つ人は、次のことを覚えておいてください。
アップホルダーは期待に応え損ねることを嫌うため、優先順位をうまくつけられないことがあります。
彼らはどの期待も重要に感じてしまうので、優先順位をはっきり指示したほうがいいでしょう。
たとえば、「いつもなら金曜日に週次報告書をあげてもらっているが、年次報告書の締切が近いから、そちらが終わるまで週次報告書はやらなくていい。年次報告書を優先してくれ」という具合にです。
クエスチョナーを動かすには「明確な理由を伝える」
私の夫ジェイミーがクエスチョナーなので、私はクエスチョナーの言動にたくさん触れてきました。
先日、ジェイミーがジムに行くというので、帰り道にターキーハムを買ってきてほしいと頼みました。
ジェイミーはこのおつかいが好きではありません。
ターキーをスライスするあいだ、その場で待たないといけないのが嫌なのだそうです(クエスチョナーは待つのが大嫌い)。
彼がクエスチョナーだと認識する前は、どうせ無視されるだろうと思いつつ、「帰り道にスライスしたスモークターキーを買ってきてね」というメールを送っていました。
ですが、彼の傾向を認識すると、彼がメールを無視するのは、心が狭いからではなく、メールを見たときに、「なぜこのおつかいをする必要がある?家にたくさん食べ物があるのに、ハムを買う必要性がどこにある?こんなことに時間を使うべきではない」と考えるからだと気がついたのです。
それからは、メッセージを次のように変えました。
「帰り道にターキーのハムを買ってきてね。今週はエレノア(娘)に課外授業が2回あって、サンドイッチをつくらなくちゃいけないから」
こう書くと、彼はちゃんと買ってきてくれます。
オブライジャーを動かすには「責任を課す」
オブライジャー(義務を果たす人)は、さまざまな分野で優秀な同僚や上司となります。
期待どおりに行動し、誰かが助けを必要とすれば手を差し伸べ、担当が決まっていない業務があれば自ら手をあげ、状況に応じて対応を柔軟に変えます。
また、職場でほぼ必ず生まれる期待(締切、評価、成果)を満たそうと行動するでしょう。
しかし、責任が自然に発生しないケースが稀にあり、そういう場合ははっきりと責任を提示する必要があります。
曖昧な指示だけで何かをやらせようとしても、相手がオブライジャーではうまくいかないことがほとんどです。
作家でオブライジャーの友人からこんな話を聞きました。
「回顧録を書く契約書にサインをしたとき、編集者に『何かしら提出するものがないと書けないので、いくつか締切を設けてほしい』と頼んだ。でも彼は、『そんな心配はいりませんよ。大丈夫。すばらしい本になるに決まってます。ええ、ちゃんと書けますよ』とわかったようなことを繰り返すばかりだった」
「それでどうなったの?」と私は尋ねました。
「締切の3週間前に一気に書き上げることになった。もっと早くから始めていたら、もっと良い作品になっただろうに」
見当違いの思いやりから、編集者は責任を与えることを拒んでしまったのです。
編集者がこの作家の傾向をわかっていたら、違う対処をとれただろうと思います。
どんな状況であっても、オブライジャーから責任を課してほしいと求められたら、しっかりと与えるのがいいでしょう。
求めるほうは、責任が必要だとわかっているから頼んでいるのですから。
レブルを動かすには「選択させる」
レブルを期待に応えさせるうえで、もっとも建設的なやり方はどういうものでしょうか?
端的に言えば、情報、起こりうる結果、選択の自由の順で伝えるのがベストです。
まずは、相手の決断に必要となる情報を提供し、相手のとる行動によって起こりうる結果を提示し、そのうえで自由に選ばせるのです。
説教や強要、相手を惑わせるようなことはいっさい言ってはいけません。
具体例を紹介します。
・レブルの部下のやる気を上司が鼓舞する例:「プロジェクトの予算がクライアントから通達された。期限は1か月だ。このプロジェクトにクライアントが満足すれば、関係が深まってもっと大きな仕事を任されるようになり、会社全体の利益が増えるかもしれない。どうだ。やってみたくないか?」
また、皮肉にも、レブルの天邪鬼な気質を利用すれば、案外簡単に彼らをそそのかすことはできます。
彼らが反射的に抱く、「言いなりになるものか」「(できると)証明してやる」「見てろよ」といった感情を利用するのです。
「金曜までに報告書を書き上げるのは君には無理だと思う」「甘いものをやめられるわけがない」「君にはつまらないよ」といった言葉は、レブルの天邪鬼な気質を引き出すのに適していると言えます。
心理療法にも「逆説的介入」と呼ばれる治療があります。
これは、変える必要のある行動をあえて患者に処方して変えさせるというものです。
この治療に効果がある理由については諸説ありますが、もっとも効果が現れるのはきっとレブルだと私は思っています。
たとえば、ベッドを整えなさいと言うたびに癇癪(かんしゃく)を起こす子どもがいるなら、「ベッドを整える前に、数分ほど大声でめいっぱい叫びなさい」と言ってみてもいいかもしれません。
レブルは計画に従わないと意思表示をすることで自由を感じますが、この特性を逆手にとれば、レブルに思い通りの行動をとらせることも可能なのです。
自分自身のタイプを知って、日々をもっと充実させよう
この記事では、タイプ別に「苦手な相手の動かし方」をご紹介しました。
しかし、『苦手な人を思い通りに動かす』の内容は、それだけにとどまりません。
自分のタイプを知ることで、習慣を継続したり、仕事で成果を出したりできるというのが、ルービンさんのもうひとつの主張。
ぜひ同書を読んで、自分の生活や人間関係を見直してみましょう!
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