ビジネスパーソンインタビュー

『新・一番搾り』が史上最速リニューアルしたワケは「おいしい中味が完成してしまった」から

「おいしい」ど真ん中で勝負する

『新・一番搾り』が史上最速リニューアルしたワケは「おいしい中味が完成してしまった」から

新R25編集部

Sponsored by キリンビール株式会社

2019/09/11

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2019年5月にリニューアルし、発売後の調査では98.3%(n数=1,639、キリンビール調べ)から「おいしい」との評価を得た「新・一番搾り」。

一番搾り過去10年で最高売上を記録(※)したという今回のリニューアルですが、一体どこが変化したのでしょう

事前に新しい一番搾りを飲んで取材に臨んだ編集部・宮内(もちろんおいしかったです!!)に、キリンビール株式会社 一番搾りブランドマネージャーの鈴木郁真さんが進化のヒミツを教えてくれました。

※過去10年の「一番搾り」〈缶〉8月・9月の各月出荷実績と比較(キリンビール調べ)

お話を伺ったのは、キリンビール株式会社 マーケティング本部 ビールチームブランドマネージャーの鈴木郁真さんです

〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉

“飲みやすく、飲み飽きない”ことが、一番搾りのおいしさの本質

宮内

新・一番搾り、たしかにおいしかったのですが、具体的になにが「新」なのかはわからずでして

鈴木さん

一番搾りのおいしさを一言でお伝えすると、“バランス”なんです

1990年の発売から追求しているのが、素材の旨味を感じられながら、“飲みやすく飲み飽きない”というテーマで、このバランス感をさらに突き詰めたのが今回のリニューアルです。方向性は「素材の味で勝負する」というところになりますね。

ただ

ただ…?

鈴木さん

基本的には同じ方向性のアップデートになるので、飲み比べると違いがわかっても、単品で出されて違いに気がつくのはかなり難しいと思います。

宮内

正直…! とはいえ、一番搾り過去10年で最高売上(※過去10年の「一番搾り」〈缶〉8月・9月の各月出荷実績と比較(キリンビール調べ))なんですよね?

鈴木さん

はい。おかげさまで、ご好評いただいております。

ホップを入れるタイミングなど改良を重ねたことで雑味が少なくなり、よりゴクゴク飲めるようなビールになりました。

宮内

言われてみれば、たくさん飲んでしまったような…

鈴木さん

だからこそ、“飲みやすく飲み飽きない”というバランスが大事になってきますし、一番搾りに関わる社員はみんなこの言葉を合言葉のように言い合ってます。

“キレ”や“コク”という表現をあえて排除した、キリンビール流マーケティング

宮内

ただ、今おっしゃっていただいたことをマーケティングで伝えるってすごく難しいですよね。

鈴木さん

まさにその通りなんです。

ホップを投入するタイミングや新しい製法など、変化について細かく説明することはできるのですが、それが本当にお客さまが気にしていることなのかなと

鈴木さん

たとえばですけど、ラーメン屋がリニューアルして「麺が1.5倍長くなりました」と積極的に伝えたところで、消費者からしたらそこはあまり重要じゃないですよね?(笑)

宮内

そうですね。その結果、どう味が変わったのかのほうが大事です。

鈴木さん

つくり手からすると変わった点を伝えたくなる気持ちもわかるんですが、そこはグッと抑えてます。

ちなみに、キリンビールではマーケティングで“コク”や“キレ”という表現を使わないようにしているんです

宮内

でも、ビールを表現するのにおきまりのセリフですよね…?

鈴木さん

コク”や“キレ”って、ビールのなかで「自分はこういう属性のビールです」と消費者にアピールするための手段でしかないんですよね。

一番搾りというブランドは、それよりもっとストレートに「おいしい」ということを伝えていくべきだと考えているんです。

宮内

ただ、「おいしい」って抽象的な表現でもあると思うのですが、なぜそこにこだわるのでしょう?

鈴木さん

「おいしい」こそが一番搾りの個性だからです

一番搾りという名前は、キリンビールが「ビールがおいしくなる作り方」を研究した結果たどりついた、一番搾り麦汁だけを使う製法からきているんです。

鈴木さん

つまり、一番搾りは生まれたときから「一番おいしいこと」を目指したブランドなんですよ。

宮内

トリッキーな差別化を狙った商品ではなく、ストレートにおいしさを追求するために生まれた商品であると。

鈴木さん

はい。なので、どう変わったのかを伝えるよりも、まずはとにかく飲んでもらって、お客さまの気持ちのなかで「どうおいしくなったのか」を解釈してほしい。

そういう想いでリニューアルに際して「新・おいしい」というメッセージを軸にマーケティングを展開しました。

史上最短リニューアルの理由は「予想よりはやくおいしい中味ができてしまったから」

宮内

ちなみに、一番搾りのリニューアルは通常どのくらいの頻度で行われるんですか?

鈴木さん

最初のリニューアルが発売からおよそ15年後で、そこからはだいたい5年毎に行っています。前回は2017年ですね。

宮内

これまでと比較すると、今回はかなり短いスパンでのリニューアルなんですね

鈴木さん

そうなんです。

2017年のリニューアルは「素材本来の味を極める」というテーマだったのですが、これまでで一番反応がよく、売り上げが13カ月連続で前年増になりました

宮内

そこまで好評だったのに、今回なぜ2年でリニューアルしたんですか?

鈴木さん

おいしい中味が予想よりはやく完成してしまったので、これは届けないといけないなと思ったからです(笑)。

中味開発って、毎回何100パターンの試作をつくった上で最終的に決まっていくんですけど、今回は最初の試作段階から「これでいけそう」と満場一致のものがあったんです。

自信で笑顔が溢れる鈴木さん

鈴木さん

お客さまへの事前調査の結果としても、今の一番搾りよりおいしいという声をいただくことができたので、史上最速リニューアルに至りました

宮内

前回大成功している分、「超えられなかったらどうしよう」という不安はなかったんですか?

鈴木さん

ありませんでした。

競合だけをみてリニューアルした場合、「変えること」が目的になって失敗するんです

でも今回は、本当に良い中味ができて、純粋にそれを「届けるため」のリニューアルでした。お客さまの方を向いた変化だと確信していたので自信がありました。

宮内

以前、キリンの他ブランドのマーケティング担当の方にお話を聞いたときも、「お客さまだけを見る」と繰り返しおっしゃっていたのが印象的でした。

鈴木さん

それは、キリンの社風かもしれません。

うちに転職してくるとまず、「お客さまに見えないところまで、みんなで真面目に議論している」というキリンのものづくりの姿勢に驚く人が多いんです。

鈴木さん

ものづくりに真摯に向き合って質の良いビールをつくり、おいしさを追求していく

一番搾りの中味は時代に合わせて変化しても、この姿勢はどんな時代でも変わらない、ブランドの存在意義です。

一番搾りの強みは、「おいしさ」というど真ん中の価値に答えられること

宮内

実際にリニューアルされて、反応はいかがですか?

鈴木さん

とくに、20代の方に好評をいただいています。

事実、一番搾りが“変わったことを知って飲んでいる”という若者の割合が前回のリニューアルより増えているという調査結果も出ました。

宮内

若者ウケがよかったのはなぜなんでしょう?

鈴木さん

デジタル領域のマーケティングを強化したことで、若者がブランドに接触する機会を増やせたのも大きかったです。

でも一番は、一番搾りのブランドスタンスが「格好つけず、自分らしい生き方をしよう」という若者の価値観とあっていたからだと思うんです。

宮内

どういうことですか?

鈴木さん

いまって、「誰かがこうするから」「あの人より良いものがほしいから」選ぶというより、一人ひとりが「自分にとって豊かな生活とはなにか」で選択していく時代になってると思うんです。

鈴木さん

一番搾りは、製法を名前の由来にしたことに現れているように、なにかと比較するのではなくて「自分たちが一番おいしいと思うものをつくります」というメッセージを伝えていきたいんです。

消費者に「こう飲んでほしい」とも言わない、ある意味まったく主張のないブランドだとも思いますね。

宮内

実際に飲んでも、いい意味でクセがないですよね。

鈴木さん

いい意味でクセがないからこそ、時代にあったおいしさを追求して中味を進化させていくこともできるので、「おいしい」というど真ん中のカテゴリーで勝負しつづけることができるブランドだと自負しています。

時代にあったビール、時代にあった嗜好

宮内

「ビールが売れない」と言われる時代に、一番搾りがここまで支持される理由ってほかにもあるんでしょうか?

鈴木さん

ビールカテゴリ全体をみても、ちょうど一番搾りが支持されるタイミングにきたのかなと思ってます。

戦後、最初に広まったビールって苦味の強いラガービールなんですよね。当時の食事は今より味が薄くて、「味わいがあるものは高級だ」という考えがスタンダードだったんです。

宮内

たしかにキリンラガーは、上の世代が好んでいるイメージがあります。

鈴木さん

苦いものが主流になった次は、ゴクゴク飲めてキレのあるビールが流行りました。

そのあと、香りの強いビールのブームがやってきて、今日のクラフトビールへの広がりにつながっていきます。

鈴木さん

いろんな種類のビールが楽しまれていますが、実は今、「味わいがあって飲みやすい」という真ん中の位置がちょうど空いている構造になってるんです。

宮内

一番搾りの「飲みやすく、飲み飽きない味」ですね!

鈴木さん

そうです。そういう競合環境やお客さまの味覚の変化が、いまの一番搾りハマったんだと思っています。

宮内

まさに、時代にあったビールなのか…!

日本の“幸せ”を象徴する「ビール」をもっと広めたい

鈴木さん

僕、ビールっておもしろい飲み物だと思ってるんですよ

おもしろい飲み物…?

鈴木さん

宮内さん、自分がビールを飲んでいるシーンを想像してみてください。

どんな気持ちになりますか?

宮内

(ビールを飲んでいるシーン…?)

えっ…しあわせです。

鈴木さん

そうですよね!

ビールって、暗い気持ちで飲むことがほとんどないんです。

むしろ、「小さいことは気にしないでいいか」って爽快な気分で飲んだり、みんなで笑いあって飲んだり…楽しいシーンを象徴する飲み物だと思うんです

宮内

たしかに!

イヤなことがあっても、ビールを飲めば「まあ、明日も頑張ろう!」って気分になりますもん。

鈴木さん

そう考えると、ビールを飲む人が増えるということは、その分しあわせな時間が増えているということなんだと思うんです。

だから、少し大げさかもしれませんけど、ビールの魅力を伝えていくことは、世の中の幸せを広げていくことにつながるんじゃないかと

鈴木さん

日本を明るくするという意味でも、「一番搾り」という名前に恥じないよう、時代にあったおいしさを追求して、ビールの魅力を堂々と伝えられるブランドでありたいです。

“新”ってなにが変わったんだろう?

今回の取材テーマである、この疑問への答えはシンプルでした。

そう、おいしくなったんです。そして、今回の記事でその誕生の背景や想いを知ってから飲む一番搾りは、きっとより「おいしく」なっていることでしょう。

〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉

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