ビジネスパーソンインタビュー
冨田和成著『資本主義ハック』より
今こそ50万のロレックスを買え。「利回り」で金を生む家・車・時計の選び方
新R25編集部
資本主義の世界には多くの“ルール”があり、それをハックすることで人生をボーナスステージにできる。
これは、かつて野村證券で“伝説の営業マン”と呼ばれた冨田和成さんの新著『資本主義ハック』のメインテーマです。
アウトソーシングをいかした時間術や賢い投資法を紹介する同書ですが、そのなかに、「時計は高級なものを買ったほうがいい」という一説がありました。
さらに、「家」や「車」など、若者が買うにはハードルが高そうなものも積極的に買っていくべきだという記載も。
若者の高級品やブランド物への関心が下がりつつある現在に、時代錯誤な主張な気もしますが…そこには目からウロコな深いワケがありました。
「50万のロレックス」を買え
50万円のロレックスと8.5万円の国内メーカーの時計があったとする。
どちらかを購入しようと思うが、2つを比べたとき、いったいどちらを購入したほうがより多くのリターンを得られるだろうか。
最初に50万円の時計を買った場合、購入者にはどんなメリットがあるか考えてみる。
まずは、50万円もする高級時計を身に着けることで、自信や自尊心を得られたり、周囲からの見られ方が変わったりするメリットはあるだろう。
高級時計ならではの機能性を堪能できるというプラス側面も体験できるはずだ。
これらのメリットは、8.5万円の時計を身に着けるよりも大きいと考えられる。
次に、50万円の時計と8.5万円の時計を購入し、3年間使用した後に売りに出した場合、それぞれがどのくらいの価値になっているか考えてみよう。
8.5万円の時計を3年間使い、その後売却しようとすると2.5万円だった。
次に50万円のほうは、3年経ってもまだ41万円の価値があったと仮定する。
この場合、8.5万円の時計に対しては実質6万円を支払ったことになり、50万円の時計には9万円を支払った計算になる。
単純な金額ではロレックスの下落額のほうが大きいが、6万円と9万円であれば、9万円のロレックスを選ぶ人が多いだろう。
精神的な満足度や機能性などを考慮すれば50万円の時計を買ったほうが大きなリターンが得られたという結論に至るはずだ。
また、資産価値が下がりにくいのは高級時計のほうであることもあきらかだ。
実際にロレックス社は製品自体の供給量をコントロールすることで知られている。
そのため、圧倒的に値崩れがしにくく、ときには、年経った後に値上がりして売却できることすらあるという。
こういう仮説はいくらでも考えられる。
額が大きい買い物をする際には、それを固定資本だと捉えておくほうがいいだろう。
その上でひとつ考え方の指針となるのが、いまは「高ければ高いほど、売れる時代」であるということである。
以前は、新品と中古の価格差が結構あった。
これは、中古市場がまだ小さかったことで需給バランスの観点から適正な価格がつきにくかったことと、売り手と買い手の間に入る業者がそれなりの額の仲介料を取っていたからだ。
しかし最近では、ネットなどを通した買い手と売り手の直接取引も増え、価格がかなり透明化されてきた。その結果、売却金額の予測も立てやすくなっている。
こういう考え方を身につけておくと、スマホや貴金属など、あらゆるモノを買うときにいろいろと考えてから購入するようになるだろう。
「珍しいレトロカー」を買え
車も同じである。
カーシェアリングのサービスが出てきたことによって個人の車を容易に貸し出すことが可能になった。
いままでなら車を投資目的で買うといっても、一部のコレクターが買うような高級車に限られてきた。
それ以外の99%の車は基本的に買ったその日から値が下がる。
その前提でみんな車を買ってきたわけだが、時間貸しや日貸しができるようになったことで自家用車が利回りを生むようになった。
試しにいま個人間のカーシェアリングプラットフォーム「Anyca」のサイトをチェックしたところ、1990年のシトロエン2CVというレトロカーが1日1万2000円で貸し出されていた。
そして中古車検索のカーセンサーで同型の車を調べたら、さらに驚いた。
プレミア価格がついているのかと思ったら120万円前後でやりとりされている。
当然、毎日借り手がつくようなものではないが、仮に1ヶ月に1回借り手がつけば、年に12万円。普通に車検代が払えてしまう。
普段使いができてなおかつ利回り10%を生むのである。
しかも中古車市場と違って事故の履歴が残っている車であろうと価格に大差はない。
家にしても車にしても決して安い買い物ではないが、「購入価格から売却時の価格の差」に「保有期間中の利回り」を足したものが実質負担額であるという観点を持つと、高い買い物をするときの判断基準が変わるだろう。
式でいえば次のようになる。
正味価値=(購入価格売却価格)+(購入価格×年利回り×保有期間)
ちなみにシトロエン2CVの貸し出し価格はAnycaに登録されている他の車と比べると高い。
高級車として有名なポルシェのカイエンですら1万円弱だし、中古市場で同価格帯で買える国産車の貸し出し価格は2000〜3000円である(ただしその分、回転がいいのだろう)。
この価格差を生んでいるのは実態価値と認識価値の差分である。
中古車市場では120万円で買えるが、借りる気満々の人はそのことを知らないし知る必要もない。
単にシトロエン2CVの印象的な外観を見て「あ、これ海外の映画で見たことある!これに乗れるんだったら高くてもしょうがないだろう」と判断してしまうわけだ。
車に対して移動手段としての価値を求めている人は29年前の車に興味を持たないが、「珍しい車に乗る」という体験を求めている人に対しては価格に妥当性が出てくる。
ひとつのものを違う確度から見ることが、基本である。
「地方のボロ屋」を買え
Airbnbの存在で、家がお金を生み出す資産に変わったことは大きな意味を持つ。
従来、不動産を買うときは「住む」か「貸す」の2択で、しかも「貸す」場合も長期間住んでくれるであろう入居者を探すことは簡単ではなかった。
だから一世一代の大勝負に出て投資用にアパートを買っても、入居者がいなかったら毎月赤字を垂れ流すリスクがあった。
しかし民泊という日貸しの手段ができたことで、土日は別荘に行くのでその間家は貸し出すとか、成人して家を出ていった子ども部屋をリフォームして貸し出すとか、店の2階の休憩部屋を貸し出すといった柔軟な活用が可能になった。
追い風になっているのは空前の日本ブームである。インバウンドの観光客は年々増えており、「こんな辺鄙なところに?」という場所でも観光客がいる。
東京や京都はさんざん見たという人たちが日本の原風景を求めて地方に散らばるのだ。
出張族なら痛感されているだろうが、地方のホテルはいつも大にぎわいである。Airbnbはその受け皿としてすでに機能している。
かたや日本の地方では空き家問題が深刻になっている。
木造家屋は主人を失うとどんどん劣化していく。
買い手や借り手がつかないので価格もどんどん値下がりしている。でもそこに勝機がある。
インバウンドでわざわざ日本の片田舎に足を伸ばす人たちは、古き良き日本を体験したいのだ。
日本人から見ると「こんなボロい家に価値があるのか」と思うかもしれないが、外国人にとってはそのボロさが「日本的」で「価値」なのである。
資本主義世界のハック術を学んで、人生をボーナスステージに
『資本主義ハック』には、お金の増やし方や時間の使い方など、人生を賢く生きる「裏ワザ」が目白押し。
「要領が悪く、仕事をうまく進められない」「いつも働いているのに、なかなか収入があがらない」
そんな悩みを抱えている方こそ、周りが気づいていない真のルールを知って、日々の仕事を効率よくハックしていきましょう!
ビジネスパーソンインタビュー
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