ビジネスパーソンインタビュー
CMも話題だけど…なぜそんなに評価されてるの?
話題のデータマーケティングツール「b→dash」が145億円も調達できた理由に納得した
新R25編集部
最近、テレビやタクシーでこのCMを見た覚えはありませんか?
こちらは、業界シェアNo.1(※)データマーケティングツール「b→dash」のCM。
※出典:ITR「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2019」統合型マーケティング市場:2017年度ベンダー別売上金額シェアNo.1
堤真一さんやおぎやはぎさんなどを起用したプロモーションの印象が強い同サービスですが、運営元のフロムスクラッチ社は世界有数の投資ファンドなどから累計145億円の資金を調達。
どうやら、市場からとんでもなく期待されているサービスのようなのです。
ただ、「データマーケティングツール」と言われても、正直よくわからないのが本音。なぜ“いちツール”が、これほどまでに評価されているのでしょうか…?
ということで、「そもそも、データマーケティングって何?」というところから、中の人にくわしく話を聞いてきました!
左に座っているのが、株式会社フロムスクラッチ セールスマネージャーの兼本卓明さん。今回は、同社とも親交があり、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)でTポイントを活用したデータベースマーケティング事業を立ち上げた経験もある敏腕マーケターの藤原尚也さん(右)にも同席していただき、兼本さんの話に対するご意見を伺いました!
〈聞き手=渡辺将基(新R25編集長)〉
そもそも、「データマーケティングツール」って何ですか?
渡辺
最近、b→dashのCMをとにかくよく目にします。直近で100億円規模の資金調達をしたことも話題になってましたね。
ただ、どんなサービスなのかは正直よく理解できておらずでして…
そもそも、「データマーケティングツール」というのは、カンタンに言うとどんなツールなんですか?
兼本さん
まず、「データマーケティング」という言葉を端的に説明すると、「データを経営に活かす」ということだと思っています。
データを企業の“資産”とみなしたときに、それをどう活用して、企業の経営や成長につなげていくか。
それをサポートしているツールがb→dashです。
【兼本卓明(かねもと・たかあき)】2005年4月、新卒にて外資系戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーに入社し、製造業、金融機関などへの全社戦略立案、マーケティング戦略立案などに従事。その後、ストラテックスパートナーズの立ち上げを経て、ウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。全社CRM及びクレジットカード事業のマーケティングなどに従事し、2016年よりフロムスクラッチに参画。マーケティング部門での経験を経た後、現在はSales部門責任者として事業を推進している
渡辺
なるほど。シンプルでわかりやすい定義ですね。
ただ、「データを活用して経営につなげるまでの過程」をもう少し具体的にイメージしたいなと…
兼本さん
シンプルな例で言うと、たとえばある企業が商品を買ってもらうためにウェブ広告を出すとします。
そのとき、低コストで多くのお試し購入客を獲得できたら、「この広告枠に掲載したらお試し購入が増えて、そこから本購入顧客をもっと獲得できるぞ!」と思いますよね?
渡辺
そうですね。
兼本さん
でもフタを開けてみたら、実は「そのウェブ広告で獲得したお試し顧客は本購入をほとんどしなかった」みたいなことがあるわけです。
渡辺
なるほど。「広告からお試し購入まで」のデータと「お試し購入した人が本購入に至るまで」のデータが分断されていると、そのウェブ広告の本当の効果を見ることはできないと。
兼本さん
そうです。なので、それぞれのデータを統合して見る必要があるわけです。
兼本さん
データが統合されると、どの経路から獲得したユーザーの購買率が高いのかということはもちろん、どの人がリピートしてくれたのか、さらには周辺商品を買ってくれたのかなど、あらゆることが見えてきます。
すなわち、「本当に投資をする価値のあるポイント」が明らかになるんです。
渡辺
たしかに、データマーケティングをするうえで“データをつないで見ること”は非常に重要ですね。
兼本さん
はい。また、マーケターはこういった分析以外にも、持っているデータを使ってさまざまな施策を考えます。
たとえば、「これまでサイトを◯分以上閲覧したユーザー」や「ここ1週間でサイトに◯回以上訪れたユーザー」など、特定の行動をした人だけにクーポンを送ったり、サイト上でポップアップを出したり、自動でLINEを送ったり。
こういった施策も、統合されたデータを活用していかないと成果につながらないんです。
企業のなかに“マーケター”はほとんど存在していない!?
藤原さん
僕もこれまでさまざまな化粧品会社のマーケティングのコンサルをやってきたんですけど、そこでもデータ結合の重要性を感じましたね。
たとえば、新規顧客向けの人気トライアルキットがあって、担当者はそれを頑張って売ってたんですけど、購入者のデータを見てみたらリピート率がめちゃくちゃ低かったんです。
【藤原尚也(ふじわら・なおや)】1996年カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)に入社。その後、外資系化粧品メーカーにてデジタルマーケティングシニアマネージャーや国内の化粧品会社にて取締役社長を歴任し、2016年アクティブ合同会社を設立。代表兼CEOとして、様々な企業のマーケティング課題を事業のみならず、組織や体制面も含めて支援を行う事業を運営。また、都内に3店舗のパーソナルスポーツジム事業を展開し、スポーツ事業にも力を入れている
藤原さん
それを売ってもしょうがないということで「リピート率の高い商品」を調べてもらったら、上位3つの商品の満足度が飛び抜けて高いことがわかりました。
であれば、この3つの商品をどうやって新規顧客に買ってもらうかという発想にならないといけないですよね。
渡辺
そうですね。
兼本さん
これはごく当たり前のことのように聞こえるかもしれませんけど、ふだん自分で統合したデータに触れてないと、担当者は「本当に見るべきデータ」がわからないんですよ。
藤原さん
僕、こういう現場をいくつも見てきて思うんですけど、そもそも企業のなかに自分のことを「マーケター」だと認識している人はほとんどいないんですよね。
「広告を打って新規獲得をする人」「キャンペーン施策を考える人」「LINEの運用をする人」みたいな役割の人がいるだけ。
渡辺
たしかに。これまで勘違いしていましたけど、そういう人たちは「マーケター」とは呼べないかもしれないですね…
藤原さん
なぜそのような状態になっているかというと、データが分断されているからです。
どの担当者も「データを活用したい」という気持ちからさまざまなツールを導入するんですが、データが統合されていないと本質的なデータ分析はできないし、価値のある施策を打つこともできないので、結局限られた役割に終始してしまうんですよね。
兼本さん
なので、データ活用をするためには、まずCDP(カスタマーデータプラットフォーム)やDMP(データマネジメントプラットフォーム)と言われる「データ統合ツール」を導入しなければいけないんです。
いつでも、誰でも、自由にデータが扱える。世界初の技術「Data Palette」
藤原さん
ただ、いざツールを導入してデータを統合して見られるようになっても、まだ問題があるんですよ。
たとえば先ほどの化粧品会社に、「マーケティングの精度を高めたいから、どの経路から購入してもらった場合にリピート率が高いのかを調べてほしい」と依頼しても、「そのデータを出すのはちょっと時間がかかりそうです…」となっちゃうんです。
これ、ホントあるあるなんですけど(笑)。
兼本さん
データを統合したとしても、用途に合わせてそれを「運用」することができないと、結局データって使えないんですよね。
渡辺
データの「運用」? 次々と質問してしまいスミマセン…
兼本さん
データ運用というのは、たとえば分析のために特定の条件でデータを抽出したり、施策のためにそれを加工したりすることです。
この作業が、めちゃくちゃマーケターにとって負担なんです。
渡辺
具体的に、どのような点が負担なんですか?
兼本さん
これまでこの作業工程には、SQLと呼ばれるデータベース言語の知識が必要でした。
要は、プログラミングのような作業が必要なんです。たとえば、こんなコードを書かないといけなくて…
渡辺
うっ…これはかなりしんどそうですね…
兼本さん
ですよね。
これをマーケター自身でできない場合、社内の情報システム部に依頼することになるんですが、すると「その作業には1カ月かかります」みたいなことを言われてしまうんです。
藤原さん
彼らだって、いつでもすぐ動けるわけではないですしね。
でも、上司からは「あの施策はまだか、この分析はいつできる?」とプレッシャーをかけられたりして。
兼本さん
そうなるともう、社外のSIerやITコンサルなどに外注するしかないですよね。
でもそれはそれで、ほしいデータの抽出を依頼するたびに「データテーブル作成で100万円かかります」とか、「2人月の稼働で300万円になります」などと言われてしまって、どんどんコストが膨れていくんです。
渡辺
八方塞がりだ…それじゃあ一向にデータマーケティングが進まないですね…
兼本さん
実際にほとんどの会社やマーケターがここでつまずいており、データマーケティングで成果を出せていません。
データの整備に追われてばかりでは、本来のマーケティングの仕事なんてできませんから。
渡辺
物理的にも精神的にも、マーケティングのことを考える時間がないと。
兼本さん
そうです。
ここでやっとb→dashの説明になるのですが(笑)、多くの会社が苦しんでいるこの「データ運用」の課題を解決するために、b→dashはプログラミング不要でデータの処理や加工を実現する「Data Palette(データパレット)」という世界初の技術を開発しました。
渡辺
世界初の技術…!
兼本さん
現在特許も申請中なんですが、今回の資金調達ラウンドで100億円規模のお金が集まったのは、特にこの技術を評価していただいたからなんです。
世界有数の投資ファンドのデューデリジェンス(企業価値診断)でも、「Data Palette」を絶賛していただきました。
渡辺
それはすごいですね!
…ただ、まだちょっとピンと来ないところがあるのですが、「プログラミング不要でデータ運用」というのは、実際どのように実現できるのでしょうか?
兼本さん
こんな感じで、画面上の操作でいつでも自由にデータを加工できるんです。
さきほどの黒い画面にあったようなプログラミング作業は不要です。
渡辺
おぉ…! たしかにこれはわかりやすい。
エンジニアじゃなくても直感的にデータを扱えそうですね。
マーケティング担当者が“作業”に追われてしまうリスクとは?
兼本さん
先ほど藤原さんが「本当の意味でマーケターと呼べる人は少ない」という話をしてましたが、マーケターの本来の仕事は、「データを活用して経営にインパクトを与える戦略を考えること」じゃないですか。
ただ、実際には大量のデータを整理しているだけで手一杯になってしまっている人が多いんです。
渡辺
失礼な言い方かもしれませんが、それはマーケターではなくて“作業者”ですね。
兼本さん
そうですね。ただ、b→dashを使えばその工数を劇的に削減できます。
データの統合や加工に1回あたり300時間ほどかかっていたクライアントが、Data Paletteを使うことでその時間を3時間に短縮できたという実績もあります。
渡辺
そんなに!? 99%の工数削減インパクトはすごい…!
藤原さん
あと、マーケティング担当者が作業に追われてしまうと、その人に仕事がついてしまうのもリスクなんですよね。
データの出し方などの作業工程が、その人じゃないとわからない状態になってしまうんです。
兼本さん
運用が属人的になってしまっている企業はかなり多いですね。
担当者の異動や退職は企業にとっては避けられないことですが、最悪のケースだと、それが原因で100進んでいたデータマーケティングがいきなり“ゼロ”になってしまうこともありえますから。
兼本さん
ただこれは、使っているツールの操作がわかりづらいことが原因になっているケースも多いです。
その意味でも「誰でも同じように使える」というのは非常に重要なことで、それがb→dashが使いやすさにこだわってきた理由のひとつなんです。
“作業”という逃げ道を無くせば、誰でもマーケティング脳になれる
渡辺
こうやってじっくり話を聞いていると、データマーケティングの必要性が理解できてきました。
ただ、どうしてもこのようなツールって「ただの作業効率化ツールでしょ?」と思われてしまって、なかなか導入まで至らないこともありそうですよね…?
「トップライン(売上)を伸ばすツール」だとは認識されないというか…
兼本さん
そういう印象を抱いているマーケターの方も少なからずいらっしゃると思います。
ただ、僕らが声を大にして言いたいのは、「御社はこれだけたくさんのデータを持っているのに、それを経営に活かさなくていいんですか?」ということなんです。
兼本さん
さらに言うと、今まではマーケターに「作業をする」という逃げ道があったわけじゃないですか。
b→dashのようなツールでそれをなくして「あなたのミッションはトップラインを伸ばすことです」と提示したら、その人は絶対に“考える”はずなんです。
渡辺
…たしかにそうかもしれません。仕事の目線が切り替わる気がします。
兼本さん
なので、b→dashは単なる業務効率化ツールではなく、企業の本質的なデータ活用を実現する「経営ソリューションツール」なんです。
b→dashの開発思想を形成する「90%ルール」とは?
兼本さん
ちなみに、先ほどデータを統合するには専用のツールを導入しないといけないと言いましたが、b→dashはデータの統合基盤も有しています。
渡辺
統合基盤…?
兼本さん
“基盤”というとわかりにくいかもしれませんが、要はb→dashひとつであらゆるデータを瞬時に統合できるようになっているということです。
b→dashは、もともとこの点を強みにして立ち上がったんです。
渡辺
なるほど…ちょっとここまでの話を整理させてください!(汗)
データを活用するためには、まずさまざまなデータを「統合」しなければならない。ただ、その統合されたデータも、必要に応じて「運用」できない限りは使えない。
b→dashはひとつのツールであらゆるデータを統合でき、かつ「Data Palette」という技術でそのデータを誰でもカンタンに運用できるようにしたことで、不毛な作業工数やコストを大幅に削減した。
それにより、マーケターは経営に直結したデータを見ながら“考える”時間を確保でき、本質的なマーケティング脳になれる。
…みたいな認識で合ってますか?
兼本さん
はい、そうです(笑)。
渡辺
よかったです(笑)。
…ちなみにですけど、まだ他にもアピールしたいポイントはありますか?
兼本さん
「機能の網羅性」も、b→dashを評価していただいている大きなポイントですね。
データの統合・運用ができるようになり、ではいよいよ施策を打とうとなっても、これまではマーケティングオートメーション、メール配信、分析、レコメンド、Web接客、LINE連携、広告連携など、やりたいことに応じてたくさんのツールを導入しなければいけませんでした。
b→dashは、そういったデータマーケティングに必要な、あらゆる機能を搭載しているんです。
渡辺
データ統合ができ、そして誰でもカンタンに統合されたデータを運用できるうえに、必要な施策が打てる機能まで揃っていると。
なんだかものすごい“万能感”ですけど…逆にb→dashにできないことってないんですか?
オイシイ話には裏があるはずだ
兼本さん
そうですね…一つひとつの機能を見ると、そこに特化したマーケティングツールよりもできることが制限されている部分もあります。
渡辺
それは、たとえばどんな機能でしょうか?
兼本さん
たとえば、他社さんのツールでは1時間で600万通のメールを送れるものもありますが、b→dashではまだ200万通しか送れません。
渡辺
1時間に200万通以上送れないと不便なんですか?
兼本さん
いえ、ほとんどの企業は200万通送信できれば困らないと思いますよ。
渡辺
ですよね。
兼本さん
b→dashが大切にしている開発方針のひとつに、「90%ルール」というものがあるんです。
渡辺
90%ルール?
兼本さん
「10%のニーズを突き詰めるよりも、90%のクライアントに必要とされる機能を網羅すべき」という方針です。
企業があらゆるデータを活用するようになり、世の中にデータマーケティングツールが増えるほど、「ひとつのツールでまかなえる」ことの価値は高くなってきていると思うんです。
渡辺
たしかに。それぞれが高性能だとしても、たくさんのツールを使い分けなきゃいけないのはストレスですね。
兼本さん
そうなんです。
我々はその「90%ルール」に基づいて機能拡張を続けてきたので、データマーケティングという領域では、ほとんどの企業にとって足りない機能はないと自負しています。
b→dashが目指す「データの民主化」とは?
渡辺
最後に、今後の展望について教えていただきたいです。大型の資金調達も発表されましたが。
兼本さん
労働人口が減っていく日本では、生産性を上げていくことが急務になっています。また、今後は日本だけでなく、世界の多くの国々が同様の問題に直面します。
そんな時代に、僕らは「データを民主化」することで誰でもデータを当たり前に使える社会をつくり、労働生産性を上げるインフラになりたいんです。
渡辺
「データの民主化」、いいキーワードですね。
兼本さん
ありがとうございます。ただ、そのためにはもっともっとデータ活用のハードルを下げないといけないと思ってます。
ですので、調達した資金は徹底的にサービスの開発に投下していくつもりです。
渡辺
まだまだサービスの使いやすさを磨き上げていくと。
兼本さん
はい。そして、最終的にはインテルがあらゆるPCに「インテル、入ってる」状態をつくったように、データを活用するすべての会社に「b→dash、入ってる」状態をつくっていきたいですね。
労働人口が減少していく日本経済の救世主となりうる「データ活用」。
その市場のど真ん中で「データの民主化」を実現しようとしているb→dashの特長や未来構想を聞くにつれて、同サービスが高く評価されている理由がわかってきました。
単なる“業務効率化ツール”の域を超えたb→dashを使うことで、どんな世界が見えてくるのか。データを扱う社員の思考にどんな変化が起きるのか。
月額5万円から始められますので、興味を持った企業さまはぜひ導入を検討してみてください!
〈取材・編集=渡辺将基(@mw19830720)/執筆=ほしゆき(@yknk_st)/撮影=中澤まお(@_maonakazawa_)〉
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