ビジネスパーソンインタビュー
「インパクトを生まない自己満足」におぼれるな
現代において、インパクトを出す人間には「上品に“寄生”するスキル」が必要になる
新R25編集部
記事提供:キングコング 西野 公式ブログ
おはようございます。
今週の『毎週キングコング』を観て、声を出して笑ってしまったキングコング西野です。
さて。
今日は『おい、そこの若手! 自己満足に溺れるな。したたかにインパクトを狙え!』というテーマでお話ししたいと思います。
最近、アトリエに大学生を呼んで、お金や広告に関する講義(少人数)をおこなっております。
仕事の合間の休憩時間を、次の世代の子達に費やしているので、たぶんメチャクチャいい奴なんだと思います。抱いてください。
その中で、一人の学生から「来年の夏に、スクールバスをキャンピングカーに改装して、アメリカを横断しようと思ってるんですけど、どうっすかね?」と相談されて、当然、西野は「いいじゃん。やろう!」と返します。
西野には、相談されたら「やろう!」と言う習性があります。
ただ、その直後、少しイヤな匂いがしました。
その時は上手く言語化できなかったのですが、今、整理がついたので、ここでお伝えします。
これは、学生さんや、20代の方に向けたメッセージになるかもしれません。
相談をくれた彼はサロンメンバーなので、当然、僕が「今の時代は、あやかった方がいい」とサロンの中で何度も言っていることは知っています。
知った上で、とくに何にも“あやかっていない「スクールバスでアメリカ横断」というプロジェクトを企画したわけです。
少しシビアなことを言うと、やるのは全然構わないと思うのですが、スクールバスの企画をやる際に踏まえておかなくちゃいけないことは、そこにあるのは「自分の満足度」だけで、「世間へのインパクト」が無いということ。
他人がやっていることを想像すると少し見えてくると思うのですが、「鹿児島か佐賀の学生がスクールバスか何かをキャンピングカーに改装して、アメリカを横断したらしい」という噂を耳にしても、「へぇー」で終わるでしょう。
更に踏まえておかなくちゃいけないのは、「短縮できる情報は短縮される」という事実で、上の情報が第3者にまわってくる頃には、「学生が車でアメリカを横断したらしい」ぐらいになっています。
短縮されてもインパクトが残るチャレンジに時間とお金を投資した方がいいかもしれません。
「大学時代にエッフェル塔で個展をした」などです。
悲しいかな「0→1のチャレンジ系」はすでにやり尽くされていて(見たことがあって)、「0→1のチャレンジ」の価値は落ちています。
この文章を読んでいる90%近い人が去年の各お笑いコンクールの優勝者の名前が言えないのと似たような感じです(※個人的には胸が苦しいですが、でも現実です)。
あらゆる問題が無くなった今、あらゆる「0→1チャレンジ」がやり尽くされた今、残されているのは、「自分の力や時間を超越した何かに“あやかって”、掛け算的にインパクトを生む」ということだと思うのですが、多くの人は、あやかることを躊躇います。
「自分の力だけでやりたい!」という美学が邪魔をするんですね。
インターネット黎明期の大学生と、今の大学生の大きな違いは、“「0→1チャレンジ」の土地が余っているか否か”で、この環境変化を正確に見極めて、キチンと自分の気持ちを整理しないと、「学生時代」というメチャクチャ価値の高い時間を「インパクトを生まない自己満足」の獲得に費やしてしまうだろうなぁと思いました。
現代において、チャレンジする人間には「上品に“あやかる”ことができる」というスキルが必要で、ここに対して、「そんなん他人の力を借りて、やってるだけやーん!」という精神ブロックをかけてしまう人は、かなり苦しくなってくると思います。
あらゆる問題が解決したので、「起業」から「寄生」の時代に入ったことは間違いありません。
最後に、今の学生にメッセージを贈りたいと思います。
『やめろ』と言っているんじゃないよ。
やってみろ。
もっと、デタラメなことを。
もっと賢く。したたかに。
時間は無いぞ。打席数も少ない。
一撃で仕留めなきゃいけない。
だからこそ、
アイデアに溺れるな。
満足度に溺れるな。
インパクトを狙え。
生涯使える名刺を作れ。
アクセルをもっと踏め。ただし、上手に。
挑戦をすることを選んだキミは最高だ。
頑張ってね。
とりあえず、また呑もうね。
西野亮廣
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毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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