勝間和代著『勝間式超コントロール思考』より

勝間和代「混雑しているコンビニに並ぶ人は危険。他人に人生をコントロールされています」

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2020年 ジブン改革

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平成から令和へと変わった2019年

この1年を振り返ってみると、「人生を変えるような転機があった」「成長した実感がある」「なんとなく過ごしてしまった…」など、さまざまな思いがあるはず。

年末年始は、多くのビジネスパーソンにとってしばしの休暇になります。

そこで、新R25では年末年始にかけて、これまでの自分の働き方を振り返ったり、心機一転してスタートダッシュをきったりできるような書籍をピックアップする特集を考えました。

その名も「2020年 ジブン改革」。
今回ご紹介する書籍は、勝間和代さんの『勝間式超コントロール思考』。

マッキンゼーなど錚々たる企業での勤務を経て、現在は経済評論家として活躍している勝間さん。経済と効率化のスペシャリストとして、発売するビジネス本の多くはベストセラーを記録しています。

勝間さんが提案する「超コントロール思考」とは、「時間やお金を効率的に使いながら、自分のイメージ通りに物事を進める方法」のこと。

超コントロール思考」を身につけることで、日々のストレスや悩みから解放されると言います。

仕事やプライベートが充実し、より人生が楽しくなる思考とは、一体どんなものなのか?2記事にわたってご紹介します!

コントロール思考とは「自分らしく主体的に生きること」

「コントロールをする」ということは、「受け身的に生きるのではなく、自分が主役となって主体的に生き、そして、環境や周りに働きかける」ということになります。

自分が影響を与えることができる――つまり、自分がコントロールできることを増やしていくことこそが、主体的な生き方へとつながるということです。

コントロール思考についてわたしがよく説明するときに言うのが、「なぜ人は昼の12時台のコンビニにわざわざ行くのか」ということについて、疑問を持ってくださいということです。

お昼時のコンビニは、都内であればいつも長蛇の列です。それは、 12時台にしか休み時間がとれない人が集まって昼食を買いに来るためです。

しかし、会社と交渉するなり仕事の調整をするなりして 11時台や午後1時台に昼休みを移すこともできるでしょうし、どうしても 12時台にしか昼休みが取れない場合には、あらかじめ買っておくとかお弁当を持っていくという他の手段も取れるはずです。

混雑しているコンビニの長蛇の列に並ぶことが苦にならないという柔軟性を持ち続けることは、わたしは危険だと思っています

自分がコントロールできるものについて、最適の方法でコントロールをしようとする意志を持っていないと、様々な環境変化自分を都合よく使おうとする仕組みや制度、そしてに流されてしまいます。

仕方がない」「我慢しなければいけない」「何とかなる」――こういった言葉を禁句にしてほしいのです。

仕事をコントロールするために、身につけたい2つのこと

①裁量権を広げよう

仕事をする上で重要なポイントは、仕事の内容や量、スピード感といったあらゆることを自分で選択できるかどうか――つまり、自ら裁量権を持って働けるかどうかにあります。

人生を満足のいくものにするためにとにかく重要なことは、裁量権を広げること。つまり、コントロールの範囲を広げていくことです。

そのための具体的な戦略が「毎日数分単位でいいので徐々に自分の裁量権を広げていく」ことです。数日、数週間、数カ月では際立った変化を起こすことは難しいでしょう。

しかし、年単位や10年単位で見たときには、驚くほど大幅に自分で仕事のコントロールができる状態まで持っていけるよう中長期戦で考えてください。

例えば、上司が裁量権を持って担当している仕事をひとつずつ、率先して巻き取っていくのも方法のひとつでしょう。

そのひとつひとつを間違いなく実行することで信頼を積み上げていけば、徐々に上層部から「任せても大丈夫な人材」という認識が定着していきます。

主体的に仕事をデザインすることは、裁量権を広げるだけでなく社内の評価を高めるため、やればやるほど仕事がしやすくなるのです。

この意識を20代から持っているか否かで、 30代、 40代になったときの裁量権が驚くほど変わります。

やりがいのある仕事を自分のイメージ通りに動かすことができるのですから、毎日の満足感が違います。

誰かがやってくれる働き方改革には期待せず、どんな会社の状況でも、どんな上司でも、どんな仕事でも、自分で能動的に仕事をデザインしていくことを習慣化するのです。

環境や上司に恵まれなかったときには、1日単位、 1週間単位では、大きく状況を変えることは難しいでしょう。

しかし、適切な人や部署に訴えて適切な仲間をつくることで、少しずつ、年単位でコントロールできる範囲を広げていくことは可能です。

それでも難しい場合には、その状況から抜け出すことも一案でしょう。転職をしたり、起業したりすることで自分の仕事のコントロールを回復していくのです。

②余裕率を確保しよう

仕事を「超コントロールする」ための戦略の2つ目は、「余裕率」を確保することです。

まず、仕事をコントロールする上で、基本的な条件は何かというと「わたしたちが思ってるよりも、ずっと大きな余裕率があること」です。

何の余裕かというと、仕事の件数やかかる時間、量やコスト、自分の体力など、全てを総括した個々人が持つリソースの余裕です。

わたしたちがあっけなく仕事のコントロール権を失ってしまう場合――つまり「仕事をコントロールするのではなく仕事にコントロールされてしまう状態」に陥る原因は、この余裕率がないときがほとんどです。

働いている人なら誰もが経験があると思いますが、どんなに事前に綿密な計画を立て、起こり得るさまざまなトラブルを予測していたとしても、思いも寄らない想定外の出来事というのは降りかかってくるものです。

そのときに、予測不可能なことを吸収するための余裕(バッファ)がないと、ありとあらゆることのコントロール権が失われていくのです。

例えば、旅行に持っていくスーツケースをイメージしてください。小さなスーツケースにパンパンに荷物を詰めて出発してしまうと、帰りに旅先で買ったお土産品が入らなくなって困ることになります。

あるいは、何か忘れ物があったために荷物を入れ替えようとしたときには「もう一度全部出して、詰め直して…あれ、入らない!?」といった余計な手間と時間が生じて、非常に面倒です。

最初からある程度、隙間ができるようにしておけば、何か不測の事態が生じても、その隙間で吸収することができます。

この余裕を、英語では「スラック」という概念で表します。仕事をイメージ通りにコントロールできるようにするためには、少なくとも時間や量などのリソースのうち2割、できれば3割程度のスラックを常に用意しておかないといけないわけです。

わたしはよく「すごくたくさんの仕事をしている人」と勘違いをされるのですが、実はまったく違います。

実際に労働時間として可能と思う仕事量よりも、気持ち2、3割ほど間引いて引き受けるようにしています。

例えば、 1日の仕事の量については、時間数ではなく件数でコントロールをしています。

具体的には「引き受ける仕事の件数は1日3件まで」「仕事と仕事の間は最低でも30分、できれば1時間以上空けること」と決めているのです。

一例を挙げますと、ある日の仕事は

①雑誌の取材

②テレビ番組の収録

③講演の打ち合わせ

以上の3件でマックスにします。これ以上はよっぽどのことがない限り入れません。

わたしの場合、頭が疲れることなく、自分の考えをうまくまとめながらスムーズに話すことができるのは、経験上、1日に3件が限界だと分かっているからです。

それ以上になると、時間でも体力でもなく、気力のリソースを使い切ってしまうため、余裕率を失って仕事の質を下げてしまうリスクがあるわけです。

雑誌の取材、講演の打ち合わせはそれぞれ 1時間ぐらい、テレビ番組の収録も数時間で終わるため、入れようと思えばさらに2、3件の仕事をプラスできるでしょう。

つまり、「こなす」という状態であれば、いくらでも仕事はできます。

しかし、「こなす」件数まで仕事を入れると、わたしが仕事をコントロールしているのではなく、仕事がわたしをコントロールしている状態になるため、仕事をすること自体が楽しくなくなり、逆に不愉快になってしまうのです。

スケジュールを設計するときには、常にコントロールを可能にする余裕率を含めることを習慣にしてください。

ネガティブな感情こそが、コントロール思考を鍛える一歩

「我慢をする」ということが、日本では全体的に美徳だと考えられていますが、わたしは美徳とは考えていません。

むしろ、我慢をしなくても自分が快適に過ごせて、かつ相手に迷惑を掛けないような選択肢をもっと増やすべきだと考えています。「自分の意思で選んでいる」ことが重要です。

人から与えられたもの、もしくは押し付けられたものは「選択肢」ではなく、コントロール思考では望ましくないと考える、ある種の「我慢」でしかないからです。

そして、なぜ社会的な地位を上げたり収入を増やしたりすることがいいかというと、自分のコントロールできる範囲や選択肢が広がるためです。

各国の研究を見ると、健康状態に対して食生活が影響しているのは間違いないのですが、同じ食生活の場合、社会的地位が高い人の方が低い人よりも健康であることが分かっています。

その理由は、普段ストレスが少ない生活を送ることができているからであり、そのストレスの少なさは、何かをするとき、自らの裁量範囲が大きいことにあると考えられています。

自ら選んだ方法によってコントロールができる人生を送ることは、心身共に良い影響を与えるということが分かります。

コントロール権を身に付けるためには、さまざまな知識や能力の蓄積が必要だと思いがちですが、その前に、いったい自分がどのような選択肢を持っているのかということについて常に広い視野で考え、自分ができることをまずは確認する習慣をぜひ身に付けてほしいと思います。

・分かりにくい

・面倒くさい

・やりたくない

・気が重い

日常生活の中で何かしらの問題にぶつかったとき、わたしたちはこうしたネガティブな感情を持つことが多くありますが、それで終わらせないことが大切です。

そのネガティブ感情は、コントロール思考を動かすスイッチです。

「なぜそのようなことが生じたのか」、それについて「自分が働き掛け、コントロールができないか」という思考をスタートさせるのです。

そして迅速に解決のための情報を集め、選択肢を広げていく行動に移すこと。この繰り返しによって、コントロール思考は鍛え上げられていきます。

「自分らしく生きる」ために。身につけたい思考が満載の一冊

勝間式 超コントロール思考

勝間式 超コントロール思考

勝間式超コントロール思考』では、仕事の話だけではなく、人間関係や健康、娯楽などをコントロールする方法にも触れられています。

コントロール思考を身につけることで、ビジネスマンとしてよりステップアップできるはず。

同書を読んで、新年のスタートダッシュを切りましょう!