「会社員って、ローリスクハイリターン」

「市場から見た自分の価値は1500万円」副業で5億円を稼ぐmotoさんが“調子に乗らない理由”

仕事
これまで多くのマネー賢者に“お金の哲学”をきいてきた連載「マネ凸」。

その多くは、たくさんの社員を養う経営者や起業家でしたが、ここに来て、個人でとんでもなく稼いでいる人のお話をうかがうことになりました。

その人とはmotoさん。

6社を渡り歩いた経験をもとに、人気ブログ「転職アンテナ」を運営し、昨年には初の著書『転職と副業のかけ算』(扶桑社)も上梓した、話題のサラリーマンです。

新R25には、転職やマネジメントなどのテーマで登場いただいたことはありましたが、今回はド真ん中の“お金の哲学”について切り込んでいきたいと思います!

ブログで副業なんてうさんくさい!」と思ってる方も、「ブロガーとして独立したい!」と思ってる方も、必見の内容ですよ。

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長) ※いつもは渡辺編集長がインタビューしていますが、今回はmotoさんからの指名により、副編集長の天野が取材しました!〉
【motoさん】32歳6社目のジョブホッパー。地方の短大を卒業後、新卒で地方中小企業(ホームセンター)へ入社し、人材広告会社→リクルート→スタートアップ(買収されて楽天)→ベンチャーというキャリアを歩む。現在年収1500万円超のサラリーマン。同時に「転職アンテナ」というブログを運営中

ブログを始めてわずか3年。年収○億円以上稼げる仕組みとは…?

天野

天野

まず、「マネ凸」定番の質問をさせていただきたいんですが、motoさんは今どれぐらい稼いでいるんでしょうか?
motoさん

motoさん

それでいうと5億円ぐらいですね。
天野

天野

ご…
いきなり金額のインパクトでかすぎるって
motoさん

motoさん

「転職アンテナ」のアフィリエイトによる売上が年間5億円ちょい

ブログを経由して転職サイトに登録する人がいると、1人あたり数千円~数万円の報酬が僕に入る仕組みで、昨年は年間6万件ぐらい発生してます
※アフィリエイト=成果報酬型のネット広告。ブログなどで商品・サービスを紹介し、訪れた人が商品・サービスのサイトに飛んだり、会員登録をしたりすることで、一定の金額がもらえるシステム
天野

天野

以前は「副業年収4000万のサラリーマン」という触れ込みで話題になってましたが、現在の年収はいくらぐらいなんでしょうか?
motoさん

motoさん

年収は1億3500万円です

本業のサラリーマンとしての年収が1500万円、それ以外の副業で1億2000万円ですね。
天野

天野

いちサラリーマンが年収1億3500万…! 夢しかない。
motoさん

motoさん

副業の売上が大きくなったタイミングで「転職アンテナ」を法人化して、会社の役員報酬として年間1億2000万円を個人の収入に入れてます。もちろん、個人でも法人でも税金はちゃんと収めてますよ!(笑)

今年で副業を法人化して3期目になるんですが、役員収入は1期目が2000万円、2期目が4000万円、そして今期が1億2000万円と、徐々に上げていってますね。
天野

天野

役員報酬…ステキな言葉ですね…

「転職アンテナ」はいつごろからそんなに軌道に乗り出したんでしょうか?
motoさん

motoさん

2017年の1月にブログを始めて、翌2018年1月からマネタイズできるようになってきました。

2018年4月あたりから、ようやく月に1万円、2万円…と収入が入るようになり、Twitterでの発信がウケるようになったのと相まって、一気に伸びた感じですね。
つまり、ブログを始めて3年で5億円を売り上げるようになったと

motoさんが唯一ハマっている「腕時計投資」の世界とは?

天野

天野

そういった収入はどう管理してるんですか? 運用にまわしている?
motoさん

motoさん

資産運用ってほどでもないですけど、今は時計に投資してますね
天野

天野

「腕時計投資」聞いたことありますね…。具体的にどういうものなんですか?
motoさん

motoさん

たとえばロレックスの「デイトナ」というスポーツモデルとかが代表的なんですけど、高級腕時計で人気のあるモデルって流通数が少ないんですよ。正規店に行ってもほとんど売ってない。

「デイトナ」は定価120万円ぐらいなんですけど、セカンドマーケットでは価値が上がってて、290万円ぐらいで取り引きされてるんです。

こうやって、日々株みたいに値動きしてるんですよ。
めちゃくちゃ右肩上がりじゃん
天野

天野

価格の変動をチェックして売買するんですね。ちなみにmotoさんが今つけている腕時計も高いんでしょうか?
motoさん

motoさん

パテックフィリップの「ノーチラス 永久カレンダー」…。定価は約1400万円です

セカンドマーケットでは今2500万円ぐらいで取引されてますね
今これ奪ってダッシュで逃げたらどうなるんだろう
天野

天野

6000円の時計をしてる自分に絶望してきました。

motoさんは高級腕時計をどれぐらい所有してるんですか…?
motoさん

motoさん

16本かな

基本的には、よっぽどのことがない限り値段が上がっていくので、新R25読者の皆さんも買ったほうがいいと思いますよ
天野

天野

勝手にムチャな呼びかけをしないでください。
motoさん

motoさん

まあお金の話を抜きにしても、僕は腕時計自体がすごく好きなんです。そうじゃなきゃ1000万円も出しません。

時間なんてiPhoneで見られるのに、それをあえてアナログでつくるっていう。そこにロマンを感じるんですよね。
お金持ちの言う「ロマン」ほど信用できない言葉はないと思いませんか?

稼げる哲学の源泉は、営業時代の“トップアプローチ”

天野

天野

改めて、motoさんの“稼げる哲学”のキモはどこにあるんでしょうか?
motoさん

motoさん

お金にどう辿り着くかを考え抜く」ことですね。

今SNSで発信しているような “ビジネススキルの土台”ができたのはリクルートからスタートアップに転職したときの経験が大きいです。
天野

天野

おお、その経験について教えてください!
motoさん

motoさん

僕がリクルートで営業や渉外を経験したあとに転職したのが、スタートアップ企業でした。

リクルートと違って“看板”がないから、テレアポしても門前払いされてばっかりだったんですよ。
ようやく参考にできそうな話が出てきましたわ
motoさん

motoさん

それから決裁権のある人に直接アプローチする手法を考えて、営業効率を高めていったんです。

たとえば、企業の社長に直接手紙を送ったりしてました
天野

天野

え、手紙なんて読んでもらえるんですか?
motoさん

motoさん

読んでもらえるように届けるんですよ!

手紙送って返事を待ってるだけじゃダメ。「どういうルートを経由して社長の手元に届くのか?」まで、細かく想像するんです。

・ポストに手紙を投函して、その手紙が会社について、最初にどこに行くのか?→どうやら秘書の手元に届くらしい
・どこを見て手紙を社長に渡す判断をするのか?→どうやら差出人の名前を見てるらしい

とか。
天野

天野

…なんでそんなことわかるんですか?
motoさん

motoさん

○○○さん(超大物経営者)の秘書に聞いてみたんですよ。

豪華な封筒で差出人が個人名だったりすると、“パーティーの招待状か、社長の女性関係かわからないから、開けずに直接渡す”って言ってて(笑)。

「それだ!」ってなって、すぐに高めの封筒と蝋の印鑑みたいなやつ(※封蝋)を買いに行きました
天野

天野

社長まで届いて読んでもらっても、「これ営業じゃん」ってなりません?
motoさん

motoさん

そうならないように書くんですよ!
手の血管から熱弁っぷりを推測してください
motoさん

motoさん

「あなたのことを尊敬してて、お会いしたい」「御社の直面しているこういう課題に、こういう打ち手があるから説明させてほしい」と、手書きで丁寧に書くんです。
天野

天野

成功率はどれぐらいだったんでしょう。
motoさん

motoさん

企業規模を問わなければ、100通送ったら5人は会ってくれますね。大手企業だと、500通送って2人とかかなあ。某ドラッグストアとか、某コンビニの社長さんとかも会ってもらえましたよ。今でも仲良くさせてもらってます。

もちろん手紙だけじゃなく、メールでもトップアプローチはできます。相手のアドレスを予測して送るんです

たとえば、社長の名前が「たなかたかし」さんだったら、「tanaka.takashi@~」「t.tanaka@~」とかいくつかのパターンを推測できますよね。
え~、マジでそんなことやってるの!?
天野

天野

それって当たるんですか?
motoさん

motoさん

普通にメール返ってきますよ。
天野

天野

返ってくるかもしれないけど、「あなた誰ですか?」ってなりますよね。
motoさん

motoさん

そこから先は誠意で勝負です。実際、この手法を使って連絡したことを素直に伝えると、大体の経営者は面白がって話を聞いてくれました。

こうしたやり方すらもアイスブレイクに持っていくのが“営業”ですよ(笑)
motoさんいわく「営業は度胸(笑)」

motoさんが、「会社員は“ハイリターン”だ」と考える理由

天野

天野

そんなスタイルで、怒られたことはないんですか?
motoさん

motoさん

あります。でも、成功が失敗の許容につながるんですよ。

多少クレームがあっても「この方法でコンビニチェーン社長のアポ取り付けて、売上数億立てました」って言ったら、上司もやめろとは言わない。
天野

天野

失敗を恐れる必要はないと。
motoさん

motoさん

会社の信用を失うレベルの失敗はダメですが、会社員は基本的に失敗しても給料がマイナスになることってあまりないんですよね。

でも逆に、成果を出せば給料はプラスになる。つまりローリスクハイリターンなんですよ。

言い方をかえれば、「会社からお金ももらいながら、個人の経験資産が貯まっていく」状態。
天野

天野

motoさんぐらいになっても、会社にいるメリットは大きいんでしょうか?
motoさん

motoさん

大きいですね。僕の副業はサラリーマンの経験にもとづいたものなので、会社員としての視点はとても大切

たとえば、会社の後輩から「忘年会のお店どうしましょう」という相談をもらうことで、“会食に使えるお店リスト”を公開したら売れるんじゃないかって視点に気づけます。

実際、これをnoteで販売したら数十万円売れたんです。
副業年収4000万…ってどうなってんの!? motoさんが語る“副業で稼ぐコツ”が真っ当すぎた|新R25 - シゴ

副業年収4000万…ってどうなってんの!? motoさんが語る“副業で稼ぐコツ”が真っ当すぎた|新R25 - シゴ

「会社員としての経験を資産にして、副業に転用する」というmotoさんの基本的な副業の考え方は、こちらの記事でもくわしく解説されています!

年収1億円以上稼いでも、「お金の価値観がおかしくならない」理由

天野

天野

わずか2年で年収が1億円以上になって、やっぱりお金の価値観って変わりました?
motoさん

motoさん

いや、変わらないですね
本当かな~。このニットも「安かったですよ、7万円ぐらい」とか言ってたし…
motoさん

motoさん

僕が調子に乗らない理由は、サラリーマンをやってるから。あくまで、「社会から見た自分の価値は1500万円」だと思ってる

“本業での市場価値”に軸足を置いている限りはおかしくならないはずです。

副業は“サラリーマンとしての知見を換金している”という認識なので、個人の実力で稼いだ金額とは別物。明確に切り分けて考えてます。
天野

天野

今、“副業で稼いで会社を辞めたい”という人も多いじゃないですか。

でもmotoさんは、ブロガーとして稼げるのにずっとサラリーマンを続けてますよね?
motoさん

motoさん

副業は本業の、本業は副業のセーフティネットだ」と考えているからですね。
「ブログで稼いで会社辞めたいっていう人は、辞めるのが目的化しちゃってるから危ないんですよね」
motoさん

motoさん

僕、過去に自分のブログを “垢BAN”されているんですよ。当時使っていたブログサービスの利用規約に「収益目的のブログはアカウントを停止する」というものがあって…

これ、仮に「専業ブロガー」だったら、今ごろ無職だったわけですよ。
天野

天野

たしかに。
motoさん

motoさん

僕は外部のプラットフォームに乗ってお金儲けをしているうちは、本業を辞めようとは思いません

最近では副業を始めようとする人も多いですが、「自分の軸足をどこに置くのか」「セーフティネットはつくれているか」という点はしっかりと意識したほうがいいと思います。
天野

天野

motoさんは派手に稼いでるから“攻めてる人”のような印象がありましたが、実際には“守り”の意識が強いんですね。
motoさん

motoさん

そうですね。たぶん根っこがサラリーマンなんでしょう(笑)。
天野

天野

というわけで最後に、「マネ凸」恒例の「マネーの金言」を色紙にしたためていただきましょう!
motoさん

motoさん

え~、緊張するなあ…堀江(貴文)さんとかはなんて書いてました?
天野

天野

堀江さんは「有り金は全部つかえ」ですね。
「でも、僕の哲学はこれでしょうね…」
経験を資産にする。
天野

天野

「経験を資産にする」!

まさに、motoさんのお話を端的に表す言葉ですね。

ちなみに、今後は本業・副業ともにどのような展開を考えてるんですか?
motoさん

motoさん

現状、副業はまだブログだけですけど、新しく“事業”として人材系の広告代理店を立ち上げたり、転職サイトを作ってたりしてます。

事業のサイズが大きくなってきたら、サラリーマンという立場は考え直してもいいのかな…とは思ってます。僕自身も今後のキャリアが楽しみですよ。
天野

天野

まだまだ稼ぐ気満々ですね…

ありがとうございました!
腕時計…換えようかなあ…
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=藤木裕之〉

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この金言が手元にあれば、本業で経験をため、副業で“換金”できるようになるかもしれません!?

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