ビジネスパーソンインタビュー
ひろゆき著『なまけもの時間術』より
ひろゆき「“努力がすべて”は日本独特の洗脳。苦しいだけなら、抜け出したら?」
新R25編集部
仕事に、家庭に、人付き合いに...。
毎日、限られた時間のなかで、さまざまなやるべきことに追われていませんか?
「いくら時間があっても足りない…」とぐったりしている人に、ひろゆきさんは「そろそろ苦しいだけの時間から抜け出したら?」と進言します。
「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」を生み出し、現在はフランスでゆったりした生活を送っているひろゆきさん。
時間に追われる生活から脱出する方法を、ひろゆきさんの著書『なまけもの時間術』から抜粋してお届けします!
「休み方」を忘れてしまった日本人
「海外旅行に行きたいけど、なかなか行けないんですよね」という話をよく聞きますが、どうして行けないんでしょうね。
僕が暮らしているフランスでは、みんな1カ月くらいバカンスを取ります。
その間、お金がある人は海外旅行に行くし、お金がない人は国内でのんびり過ごします。
いずれにせよ、丸1カ月も仕事もせずに、自分の好きなことをして過ごすというのを、彼らは毎年やっているわけです。
自分がバカンスに入ってしまうと、当然、自分の担当案件は回らなくなります。
そこでフランス人は、「職場に迷惑がかかる」「自分がいなくては回らない」などと考えてバカンスを諦めたりはせず、「自分がいなくても回るように」と周りの同僚に仕事を引き継いだり、「この案件は自分が帰ってくるまで保留に」と周囲に伝えておいたりします。
職場のみんながお互いにそうしているから、誰かの担当案件のフォローを頼まれても、誰もイヤな顔をしません。
「バカンスのために1カ月くらいいなくなる」ということが、仕事の仕組みの中にちゃんと組み込まれているのです。
日本人だって、子どものころは、誰しも夏休みが大好きだったはずです。
でも大人になると、まとまった休暇はお正月、ゴールデンウィーク、夏休みと、トータルで15日ぐらいでしょうか。まとめて休めるのは年に15日程度で、それが20歳過ぎから60歳くらいまで続く。
そんなシステムの中で、「仕事がない日に何をしたらいいのかわからない」「自分の自由な時間をどう使ったらいいのかわからない」なんていう人が量産されている気がします。
「定年後の膨大な時間をどう過ごせばいいのかわからない」と悩んでいる人が、大量発生していますからね。
日本で1カ月もまとめて休めるような企業は稀でしょうから、いきなりフランス人の真似をするのは、さすがに難しいでしょう。
自分だけ自由を行使するのは勇気がいる、という人も多いと思います。
でも、フランスと日本を行き来していると、日本人は「休む」こと自体に遠慮を感じすぎているように見えます。
もっと貪欲に自分の自由な時間を確保してもいいんじゃないかと思うのです。
「労働=美徳」という呪縛
フランスはキリスト教圏なので「労働=贖罪」という価値観がベースにあります。
神に対する罪を償うために働かなくてはいけない。
こう言うと、死に物狂いで働くイメージを持つかもしれませんが、そういうわけでもないのです。
罪を背負っているというのは、そもそも、よからぬ状況です。
そして、労働が償いを意味するならば、労働しなくてはいけないというのも、同様によからぬ状況なわけです。
つまり、キリスト教圏の人たちにとって労働は、誰もが進んでやるべき美しきことではなく、できればやりたくない、解放されたい責務とも言えます。
現に、人々は働いて日々の糧を得なくてはいけないけれど、神に近い位置にいる聖職者たちは、神に祈ることで生きていけるのです。
あそこまで「上がった」ら、労働から解放されるんだということですね。
おまけにフランス人は権利意識が強いので、労働環境や労働条件に少しでも気に入らないところがあると、すぐにストライキを起こします。
こうした点で、日本人の労働に対する価値観とはずいぶん違うと思います。
日本人にとって労働は美徳であり、少しくらい条件が悪くても、頑張って働くこと自体に価値を見出します。
その思想の裏側には、頑張って結果を出せば報われるのだという淡い期待があるような気がします。
自分たちの努力によって業績が上がれば、きっと自分たちの給料も上がるに違いないと、雇用主の善意をどこか信じているところがある。
でも、フランスの人たちには、そんな期待も信用もありません。
だから、気に入らないことがあるとストライキをして、雇用主にもお客さんにも、ものすごい迷惑をかける。
「ほら困るでしょう。戻ってほしかったら条件をよくしてくださいよ」と、実力行使で権利を勝ち取るわけです。
嫌いな人とつるむ「謎の文化」
日本でも近年は転職する人が増えているようですが、まだ欧米の比ではありません。
欧米だと、よりよい条件の会社に移るというのは当たり前のことですが、日本人の間では、まだまだ組織に縛られる意識が根強いのではないでしょうか。
この背景にあるのは、おそらく陸続きの国と島国との違いです。
陸続きの国だと、絶えず人が出ていったり入ってきたりする。
それに、たいていの人はマルチリンガルだから、母国を出ることにもあまり抵抗がありません。
日本で言うと東京から名古屋に行くくらいの感覚です。
そんなこんなで、人間関係が開放的かつ流動的だから、「ここが気に入らなければ、別のところに行けばいい」という価値観が普通なのです。
会社の飲み会なんかも、フランスではあまり聞きません。
社員がそろって飲んだりするのは、歓迎会や送別会くらいです。
仲のいい同僚と仕事終わりにバーに寄るとかはありますが、仕事後は「完全にプライベートな時間」という意識が強い。
そしてプライベートはパートナーや家族と過ごすのが当たり前だから、みんな数杯飲んだらさっさと帰ります。
それより規模の大きいパーティーとかになると、今度はパートナーと一緒に参加します。もしパートナーが参加したがらなかったら、行くのをやめます。
日本人の感覚からすると、パートナーに断るという選択肢があるのかと不思議に思うかもしれませんが、フランスでは「プライベートの時間に、あんたの会社のやつに会いたくない」とかって平気で言います。
そこで「会社の人間関係が最優先だ」なんて言い返したら、すぐさま別れを告げられるんじゃないですかね。
一方、島国は海に囲まれているので、以前は簡単には外の世界に行けなかったし、外からもあまり人が入ってこなかった。
帰属する集団から逃げられないでいると、「限られた人間関係の中でうまくやることが大事」という価値観が生まれて、ひとつの組織に対するこだわりや帰属意識も強くなります。
飲み会がやたらと多いのも、結局はそこから来ているんでしょうね。
実際、帰国中に居酒屋とかに行くと、なんでこんなに会社員グループが多いんだろうと思います。
それも、仲がいい同僚と帰りに一杯やっているわけじゃなさそうです。
好きな人じゃないならつき合わなければいいのに、日本人って、なぜか嫌いな人とでも長い時間を一緒に過ごしている気がします。
「苦しい」より、「楽しい」時間を過ごす
動物は、目の前に食べものが並んでいると、自分の体に必要な栄養素を含んだ食べものを自然と選んで食べるそうです。
じつは、これは人間の赤ちゃんも同じだと言います。
糖分の甘みを「おいしい」と感じる前の発達段階では、「体に必要なもの=おいしいもの」だから、おいしいものを選ぶことが体にとっても正解というわけです。
これを生き方に当てはめてみると、自分が好きで「楽しい」と感じられることをやっていくのが正しいという場合が、本質的には多い気がします。
それがいつのまにか、学校や会社から「砂糖は甘い」「甘いものはおいしい」みたいなおかしな洗脳をされて、自分にとって正しいものを選べなくなってしまう。
その洗脳とは、特に日本人で言えば「頑張ることは美しい」「努力がすべて」みたいな思想に染まることなんじゃないかと思います。
苦労すること自体が楽しいんだったらいいのですが、苦しいだけで地獄のような時間を過ごしているなら、そろそろそこに気づいて抜け出したらどうですかね。
時間に縛られるより、社会に縛られていることを気づかせてくれる一冊
「嫌なことも、我慢して耐えなきゃ」と、私たち日本人は思いがちなのかもしれません。
「自分本位の優先順位で、できるだけラクに楽しく」のひろゆきさんマインドを取り入れて、ストレスフリーの日々を目指していきましょう!
ビジネスパーソンインタビュー
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