ビジネスパーソンインタビュー
現在は清掃業に従事
「“仕事が楽しい”って幸せなことなんです」騒動から1年。入江慎也が語る、仕事から得る気付き
新R25編集部
多くのビジネスパーソンの働き方が変わったここ数カ月間。自分の仕事のモチベーションや、やりがいについて考えた人も多かったのではないでしょうか。
そんななか、新R25は、ある人とコンタクトを取ることに成功しました。
カラテカ・入江慎也さんです。
世間を騒がせた闇営業の騒動から1年が経った現在、入江さんは清掃業に従事しているとのこと…!
バラエティ番組などで華々しく活躍していたステージを失い、やや地味なイメージのある清掃業への転身。入江さんが今考える「仕事のやりがい」について、お話を聞いてみることにしました。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
清掃会社のアルバイトに、電話で応募した
天野
今は清掃の仕事をやられてるそうですね…。どういう経緯で清掃の仕事を始めたんでしょうか?
入江さん
そもそものきっかけは、相方の矢部の一言でした。
事務所を契約解除になったあと、どうしたらいいかわからずいろいろな方に相談するなかで、矢部にも相談したところ、「地に足を着けてできることを頑張っていったらいいと思う」と言われたんです。
頼りないイメージ(失礼)な矢部さんのアドバイスが効いている…
入江さん
自分なりに何をすべきか考えて、農業のボランティアで福井県に行ったり、渋谷でゴミ拾いに参加したりしていました。
そんななかである日、部屋を掃除してて、芸人時代の小道具を捨てたら少し気持ちがすっきりできた感覚があったんです。
掃除って、部屋だけでなく、人の気持ちもきれいにするんだなと感じて…清掃を仕事にするのがいいんじゃないかと思い、近所の清掃会社を調べてアルバイトの面接を受けに行きました。
天野
普通にバイトに応募したんですか? ビックリされたのでは…?
入江さん
めちゃくちゃ驚かれました。
でも、「清掃の経験は?」とかきかれただけで何も言わず受け入れてくださったので救われましたね。僕を受け入れることで会社のリスクになる可能性もあったと思うんですが…
天野
以前の入江さんは“社長の知り合いが多い”と話していましたが、知り合いを頼ることはしなかったんですか?
入江さん
しなかったです。「コネ」のせいでいろんな人に迷惑かけて、またコネを使うと同じことの繰り返しになると思ったので…
天野
そこは自分で決めていたんですね。
入江さん
そうですね。それで、35歳の社長、32歳の先輩、僕という3人の会社で働くことになりました。
「歳下の経営者でも尊敬できる人はたくさんいますから、抵抗はまったくなかった」と話す入江さん
芸人時代から価値観が激変した
入江さん
2019年はほぼ週7日で働きました。朝8時に現場集合で、だいたい1日4軒ぐらいまわります。
天野
そんなに…
入江さん
42歳で新しいことを覚えるには、それぐらいしないと厳しいんです。今まで芸人しかやってないですからね。
天野
清掃の仕事をやってみて、学んだことなどはありますか?
入江さん
いろいろな気付きがありましたね…
先輩に「仕事楽しいですか?」ってきいたことがあるんですよ。そしたら…
入江さん
「楽しいわけないじゃないですか」って言うんですよ。
「無ですよ、無。これをやりたくて東京に出てきてるわけないじゃないですか」って。
社長も、「尊い仕事だし自分に向いていると思うけど、楽しくてやってるという感覚じゃない」とおっしゃってて…
入江さん
それを聞いて、自分が今まで、なんて恵まれた世界にいたんだと実感しました。
後輩も、みんな食えてないけど、芸人やっててつまらないというやつは1人もいなかった。「仕事が楽しいと言える」なんて、本当に幸せなことなんだと気付いたんです。
天野
なるほど…もちろん清掃の仕事にもやりがいや楽しみはあるんだと思いますが…
入江さん
それは絶対にあるんです。今、僕はそれを、仕事をしながら見つけようと模索中です。
入江さん
あとは、お金を稼ぐことの大変さが身にしみましたね。
今の仕事は、時給1000円からスタート。「むちゃくちゃ働いた」と思っても日給1万円ぐらいなんですよ。
天野
芸人のころとはやっぱり収入が違いますか?
入江さん
収入も待遇も、全然違います。芸人のころ営業に行ったらお弁当もいただいて、タクシー代まで出していただいて…
それで今の何倍ももらってましたから。
自分に甘い僕は勘違いしてしまってましたね。
入江さん
今までの僕は、人に注目されることが仕事だった。
でも、世の中には人に気付かれなくても、やりがいのある仕事、世の中に貢献できている仕事がたくさんあるんだと、この年齢ではじめて気付いたんです。
仕事に喜びを感じる現在。テレビ復帰は…?
入江さん
清掃の仕事をしていて、うれしいこともたくさんあります。
お客様から「頑張ってください」と声をかけられたり、一人暮らしのおばあちゃんの家にお伺いした際も「これで年が越せる」とすごく感謝されたりと、励みになることはたくさんあります。
会社の先輩にも、すごく助けられてます。雨の中、濡れながら原付で出勤していた僕を見かねて、今では雨の日は先輩が車で迎えに来てくれるんですよ。
天野
今後、テレビに復帰することは考えていますか?
入江さん
いや、まったく考えていません。
自分が迷惑をかけた事態の大きさを考えたら、復帰なんて簡単に言えないです。
入江さん
相方の矢部は、「僕(矢部)はカラテカという名前を外さないでやっていく」とも言ってくれているんで…
その気持ちに応えられるように、地に足を着けて、今頑張れることを一生懸命やっていこうと思っています。
言葉を選びながら長時間お話しいただいた入江さん。ありがとうございました
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
ビジネスパーソンインタビュー
またスゴいことを始めた前澤さんに「スケールの大きい人になる方法」を聞いたら、重たい宿題を出されてしまいました
新R25編集部
【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
新R25編集部
「実家のお店がなくなるのは悲しい… 家業を継ぐか迷ってます」実家のスーパーを全国区にした大山皓生さんに相談したら、感動的なアドバイスをいただきました
新R25編集部
「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石
新R25編集部
社内にたった一人で“違和感”を口にできるか?「BPaaS」推進するkubell桐谷豪が語るコミットの本質
新R25編集部
【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
新R25編集部