ビジネスパーソンインタビュー
八木仁平著『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』より
あなたが「やりたいこと探し」で必ず陥る5つの勘違い
新R25編集部
「やりたいことで生きていきたい」「好きなことを仕事にしたい」
そう願う人々に向け、株式会社Meee代表取締役の八木仁平さんが『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(KADOKAWA)を上梓されました。
世界に「夢中で生きる人」を増やすために「自己理解」を広める活動をされている八木さんは、確信を込めて次のように語っています。
「伝えたいのは、さっさと自己理解で『やりたいこと』探しを終わらせてください」
やりたいことで生きるために、私たちはどうすればいいのでしょうか。その答えがきっとここにあります。
今回は同書より、「やりたいこと」探しを妨げる5つの間違いについてお届けします。
「やりたいこと」の勘違い① 「 一生続けられること」でなければいけない
「一生やりたいことを見つけるぞ!」と意気込んでしまっていませんか?
「やりたいこと」を見つける段階で「これを一生の仕事にしよう」と思えるようなことはあり得ません。
そうではなく、「やりたいこと」は「今一番やりたいこと」でいいのです。
今の20代の人は、50%の確率で100歳まで生きると言われています。
そんな時代に、ずっと興味を持ち続けられることを探す必要などあるのでしょうか?
また、社会の変化も年々早まっています。iPhoneが誕生したのも、たった10年前です。そんな時代に1つの「やりたいこと」に固執し続けるのは、もはやリスクでしかありません。
ある時期の日本では「継続」が美徳だったかもしれません。
しかし、今の時代のキーワードは「変化」です。
1つの場所でずっと粘る力よりも社会の変化に合わせ、柔軟に生きる時代に変わりました。
一度「やりたいこと」を決めても、関連分野に興味が湧いてきたりすることもあるでしょう。その時はサッと、働く分野を変えるのもいいと思います。
一番危険なのは、「やりたいこと」が何もなく、漫然と毎日を過ごしてしまうことです。
もしあなたが「一生続けられることを見つけたい!」と思っている場合も、そのスタート地点は「今一番『やりたいこと』」です。
「今一番『やりたいこと』」に毎日向き合っていって、死ぬまで飽きずにいられたとしたら、結果としてそれが「一生やりたいこと」になるのです。
「やりたいこと」の勘違い② 出会ったときに「運命的な感覚」がある
「『やりたいこと』を見つけた時には、運命的な感覚があるから自然とわかる」という迷信も「やりたいこと」探しを妨げる強力な敵です。
実際のところ、「やりたいこと」を見つけても最初は「ふ~ん、面白いかも」という興味レベルであることがほとんどです。
事実、僕自身も「自己理解」に出会った時にも「これだあああああ!」という衝撃があったわけではなく、「なんか面白いぞ」と感じる程度でした。
その興味を仕事として取り組んでいく中で自分で考え、成長して、他人にも感謝されるうちに「これが自分の『やりたいこと』だ」と感じられるようになったのです。
最初から「これが天職に違いない!」と感じていたわけではありません。
これを裏付ける研究があるので紹介しておきます。
インドのラージャスターン大学で「恋愛結婚」と「お見合い結婚(取り決め婚)」では、どちらが満足度が高いかを調べている研究があります。
その結果、結婚1年以内の場合の満足度は「恋愛結婚=70点」「お見合い結婚=58点」で恋愛結婚の方が高かったのですが、なんと長期的な満足度では「恋愛結婚=40点」「お見合い結婚=68点」と、満足度が逆転したという結果が出ています。
なぜこの結果になったのでしょうか?
この研究では、恋愛結婚の場合は「自然と上手くいく前提で結婚しているのでお互いの努力がなくなったことが原因で結婚に対する満足度が下がる」から。
お見合い結婚の場合は「上手くいくか分からない前提からスタートし、お互いが歩み寄る努力をするので満足度が上がる」からではないかということが指摘されています。
つまり「愛情は最初から存在しているもの」という立場の恋愛結婚か「愛情は歩み寄って育てていくもの」という立場のお見合い結婚かという差です。
これは、「やりたいこと」探しでも同じです。
「『やりたいこと』はどこかに存在しているもの」という考えの人と、「『やりたいこと』は試行錯誤しながら育てていくもの」という考えの人は、最終的にどちらが満足する仕事を手に入れられるでしょうか?
ここを勘違いしてしまうと、運命的な「やりたいこと」を探し続けて、転職を繰り返すジョブホッパーになってしまう人が出てくるのです。
別に転職自体は悪いことではありません。
今の場所で輝けないと感じたら、むしろ積極的に仕事を変えるべきだと私も思います。
けれど、仕事に対して「どこかに良いことだらけの天職がある」という理想を持つのは危険です。
そもそも楽しいだけの仕事なんてどこにも存在していないのです。
どんな仕事でも面倒なこともあれば、嫌なこともあります。
「やりたいこと」のために「やらなければいけないこと」も存在しますが、それを工夫して楽しめるようにしていくのも仕事の一部です。
天から与えられる運命的な「やりたいこと」を探しても時間の無駄です。
今自分の中にある小さな興味を育てたり、目の前の仕事を面白くする工夫をすることで「やりたいこと」は作られます。
「やりたいこと」の勘違い③ 「人のためになること」でないといけない
「『やりたいこと』は、人のためになるような立派なことじゃないといけない」と思っている人も多いです。
この間違いをしていると、自分の「やりたいこと」は見つかったのに「これがやりたい!」と周りの人に言うことができません。
けれど、「やりたいこと」を考える時点では、それが人の役に立つかどうかなんてどうでもいいことです。
どんな「やりたいこと」でも、あなたが興味を持ったなら、同じことに興味を持っている人は必ずいます。
その人たちに向けてアプローチをすることで、必ず仕事(商売)になります。
仕事になるということは、価値を感じてくれている人がいるということなので、自分の「やりたいこと」をし続けた結果として「人のためになっている」というのが正しいのです。
もし、あなたが今「誰にでも褒められるような立派な『やりたいこと』を見つけなければ…」と思っていたら、その考えはすぐに捨ててください。
無理やり自分を押し殺して「人のために頑張るんだ」というのは、ただの自己犠牲です。
無理やり作り出した「人のための『やりたいこと』」を続けることはできません。
反対に、「やりたいこと」は、自分がストレスなく続けられることなので、人のために長期にわたり貢献し続けることができます。
「やりたいこと」をやれば、自分が楽しく、人のためにもなり続け、成長し感謝され続けるという自利利他の状態を作ることができるのです。
「やりたいこと」の勘違い④ 「たくさん行動する」しかない
「『やりたいこと』が分からないなら、とにかく行動してみるしかないよ」というアドバイスをよく聞きます。
周りの人に相談した時に、この言葉をかけられた経験のある人も多いのではないでしょうか?
けれど、このアプローチは間違っていると断言できます。
なぜなら、「やりたいこと」が分からない原因の多くは「選択肢が多すぎること」だからです。
「『やりたいこと』はこれだ!」と選択する時には2つの要素が必要になります。
1つは選択肢。どんな種類の仕事があるのかということです。
これを知っておくことはもちろん大事です。僕たちが知ることのできる仕事の選択肢は、SNSの普及によって非常に多くなりました。
様々な人が情報を発信してくれているため、僕たちは豊富な選択肢を手に入れています。
もう1つは選択基準です。いくらたくさんの選択肢があったとしても、その中から選ぶ力を持っていなければ、納得のいく選択をすることはできません。
仕事選びで「今これが流行っている」や「給料が高い」のような、“自分がやりたい仕事をする”という本質からズレた選択をしてしまった場合、非常に大きな弊害があることは想像に難くありません。
「『やりたいこと』が分からない」と感じている時にやるべきなのは、選択肢を増やすことではありません。すでに僕たちは十分すぎるほど選択肢を手に入れています。
必要なのは、「選択基準」を磨くことです。
選択基準は、自分の内側にしかありません。だから選択基準を磨くために自己理解が必要なのです。
いくら外を探しても、多すぎる選択肢に圧倒されて行動がにぶっていくだけです。
「やりたいこと」の勘違い⑤ それが「仕事」にならない
「やりたいこと」を見つけようとする時の最大のハードルが「やりたいことが仕事にできそうにない…」という考えです。
この考えを持っている状態では「やりたいこと」は絶対に見つかりません。
重要な考え方をお伝えします。
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』・「やりたいこと」は自分の中にあります
・「やりたいこと」の実現手段は社会のなかにあります
これを理解しておく必要があるのです。
例えば、仕事の先輩に「私の『やりたいこと』って何でしょうか?」と聞いても、その先輩は絶対に答えを知りません。
あなたの「やりたいこと」は、あなたの内側にしかないからです。
けれど仕事の先輩に「歌を仕事にしたいのですが、どうすればいいでしょうか?」と聞けば、何かしらアドバイスをくれるでしょう。
すでに歌を仕事にしている友達を紹介してくれるかもしれません。
僕自身「『自己理解』の仕方を多く人に教えたい!」と思った時に、最初はどうすれば仕事にできるかのイメージなんてありませんでした。
同じように自己理解について仕事にしている人を参考にさせてもらいました。
そして、どうやって仕事を組み立てていけばいいかアドバイスをもらいながら徐々に仕事、つまりはお金をもらえるようになっていきました。
今は世界中に「自己理解プログラム」を広げていきたいと考えているので、そのアドバイスも、既に実現されている方から教わりながら進めています。
「やりたいこと」を考える段階では実現できるかどうかを考える必要はないんです。
自分がやりたいと感じることなら、必ず先に同じようなことを仕事にしている人が存在します。
誰かのやっていることの内容をパクるのはいけませんが、実現の仕方ならいくらでも真似してOKです。
もちろん本書を読んで僕のことも真似してもらって構いません。
「やりたいこと」を探す段階で、実現手段をセットで考えるのはやめてください。
それはもっと後の話なのです。
「やりたいこと探し」に必要な要素を分解する一冊
「自由に生きたい」「好きなことがしたい」「お金が欲しい」「楽しく生きたい」
そういった欲望を要素分解し、本当の「自分に必要なもの」を見極めることが、自己理解のひとつの醍醐味です。
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』で、あなたのなかの思い込みを取り払い、もう一度、自分自身と向き合ってみてはいかがでしょうか。
ビジネスパーソンインタビュー
またスゴいことを始めた前澤さんに「スケールの大きい人になる方法」を聞いたら、重たい宿題を出されてしまいました
新R25編集部
【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
新R25編集部
「実家のお店がなくなるのは悲しい… 家業を継ぐか迷ってます」実家のスーパーを全国区にした大山皓生さんに相談したら、感動的なアドバイスをいただきました
新R25編集部
「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石
新R25編集部
社内にたった一人で“違和感”を口にできるか?「BPaaS」推進するkubell桐谷豪が語るコミットの本質
新R25編集部
【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
新R25編集部