寺田有希著『対峙力』より
ホリエモンチャンネルMC・寺田有希が実践する“仕事につながる”初対面のコミュニケーション術
新R25編集部
初対面、会議、プレゼン、面接など、目上の人や大勢の人の前だと緊張してうまく話ができないと感じたことはありませんか?
働き方や生き方が多様化しているこれからの時代では、「どんな相手にも物怖じせず、フラットに接する力」、いわば「対峙力」が、人との関わりのなかでチャンスを掴むためのカギになります。
そんな「対峙力」を使い、どんな人にも物怖じせずにコミュニケーションをとっているのが、堀江貴文さんのYouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」のMCをはじめ、女優、タレントとして幅広く活躍している寺田有希さん。
自身の著書『対峙力 誰にでも堂々と振る舞えるコミュニケーション術』のなかで、「実は根は人見知りで小心者。しかし、工夫を重ねることでコミュニケーションの自信と勇気を手に入れた」と話しています。
どんな相手とも物怖じせずにやり取りするにはどうしたらいいのか。ノウハウが詰まった同書から抜粋してお届けします!
自己紹介は「名前」だけでOK
大人数が集まる場で、前の人が印象的な自己紹介をしたときなど、「自分もがんばらなきゃ!」とプレッシャーに感じたりしませんか?
だとしたら、無理しなくてもいいです。そのプレッシャーからは逃げましょう。
というのも、私は自己紹介でがんばることを諦めたほうがうまくいったんです。
たとえば NHKの朝ドラ『だんだん』の顔合わせのときは、200人くらいいたんじゃないかな?それほどの人数の前で、たったの15~30秒間で自己紹介しなくてはなりません。
ベテランの役者さんなんかはうまく笑いをとったりして、とっても素敵なんですよ。
それに触発されて「自分もがんばらなきゃ!」と気合いを入れ、ウケを狙ったりしたこともありましたが、見事に「シーン…」となってしまって。
がんばって自己紹介しても、成功したことがありませんでした。
それ以上によくなかったのは、「自分の順番が回ってきたら何を話そう?」と考えすぎるあまり、みんなが自己紹介で話している内容をきちんと聞けていなかったこと。
名前さえも覚えられず、あとからマネージャーさんに「あの人はだれでしたっけ?」 と聞くような事態を繰り返していたわけです。
フリーになったときも、初対面こそ重要だと意気込み、はじめは自己紹介でがんばっていました。
でも、フリーになって5本目の舞台の顔合わせを迎えたとき、諦めたんです。
毎回「印象に残らなきゃ!」と緊張するのがストレスすぎて面倒くさくなったし、「ここに集まった人の話を聞けないのは意味がないじゃん」と気づき始めたからです。
それでがんばるのをやめてみた結果、「自己紹介って、自分の名前以外言わなくてもいいんだな。むしろ、そのほうがお得なことがあるんだな」と知りました。
というのも、「自分の番では何を話そうかな?」と考える必要がなくなったから、人の自己紹介を落ち着いて聞けるようになったんです。すると、みんなの名前を覚えやすくなりました。
それを活かして、現場でのやりとりや休憩時間、飲み会では、相手のことをなるべく名前で呼ぶようにしました。
たとえばみんなで雑談しているときに「山田さん、ここには何回か出ているんですか?」と名前を入れながら話しかけてみる。
そうすれば、 相手は「自分の名前を覚えてくれている」と嬉しがってくれて、距離感が一気に縮まります。
結果、みんなとうまくコミュニケーションできるようになり、その中で自然に、自分がどんな人間なのか伝えていくこともできました。
そもそも、コミュニケーションできる時間は、自己紹介のあとのほうが圧倒的に長くなります。
顔合わせは一瞬で終わるけど、そのあとは何か月間も一緒に仕事をしていくわけです。
単発の仕事であったとしても、自己紹介よりは絶対に、仕事をする時間の方が長いですよね?
自己紹介の数十秒間で面白いことが言えなくても、そのあとにリカバリーできる時間はたくさん残されています。そこでコミュニケーションをとって仲良くなればいいんです。
自己紹介では、自分のターンでがんばるのではなく他人のターンに集中し、「のちのコミュニケーションに使える情報」をなるべく多く収集しましょう。
現場では「場を読む」「相手を知る」「求められている役割」に注力する
初対面の人と会うときって、緊張しますよね。
相手がどういう人なのかもまだわからないし、自分がどういう人なのかも伝わっていない。そんな状態からお互いに理解を深め、関係を築いていかないといけないんだから大変です。
これにどう対処しているかというと、「相手に合わせて臨機応変に対応を変えていく」ように心がけています。
というのも、当然ですが、この世に「全く同じ人」は存在しないからです。
初対面が苦手な人は、「まず天気の話などの雑談をして場をあたためよう!」といった、対人テクニックやコミュニケーション術を学んだこともあるかもしれません。
ただ、そのテクニックが、必ずしも目の前の相手に通用するとはかぎりませんよね。
相手は天気の話よりも、さっさと仕事の話を始めたいかもしれません。
極度の人見知りで、むやみに話しかけることがプレッシャーになってしまうかもしれない。
定番のパターンや対応策を覚えておくのは武器にはなると思いますが、どんなときでも使える“万能な対応策”というものは存在しない。
だから私は、まず「相手」と「場」を見る。
「相手が話しやすい状態にするには?」「この仕事を円滑に進めるには?」をその都度考えるようにしています。
そのために私は、現場に入った瞬間から「場を読む作業」と「相手を知る作業」をスタートさせます。そうすれば、対応策が自ずと見えてくるんです。
たとえば、次のようなことを考えています。
『対峙力』より【場を読む作業】
・これはどういう場なのか
・自分はなぜ呼ばれたのか
・自分は何を求められているのか
・その上で、現場の反応、空気感はどうなのか
(例)この場/自分に対して積極的・肯定的な人が多いか、そうでないか?
緊張している人が多いか、リラックスしている人が多いか?
・場を円滑に回すために、誰と何をすべきか
(例)上の立場の人=表立ったやりとりや、最終的な判断を委ねるべき?
補佐役(マネージャーや秘書など)=細かい日程や今後のやりとりを確認すべき?
複数人いる場合は、話が早そうなのは誰?空気を読めている人や、ムードメーカー=困ったときヘルプできる?
『対峙力』より【相手を知る作業】
・話すのが好きかどうか
・自信があるかどうか
・緊張しているかどうか
・場慣れしているかどうか
・いまからすること(プレゼン、対談、営業など)に、自信があるかどうか
たとえば、各項目10点満点だとして、「緊張せずに話せるスキル:3」とか「専門分野について自信をもって話せるスキル:8」とスキルを数値化するんです。
そのうえで、場の空気や相手の戦闘力に合わせて、対応=使用する武器を変えていきます。
相手が「緊張せずに話せるスキル:3」だったら、自分の武器である「笑顔」を多めに出すことで緊張を和らげられるかもしれないし、それこそ他愛のない雑談が有効かもしれません。
あるいは「専門分野について自信をもって話せるスキル:8」だったら、その話題を振ったあとは話を遮らないようにすべきだし、もっと話を聞きたい! という姿勢を見せることが必要かもしれません。
こんなふうに戦い方を変えていくことで、相手が話しやすくなるので、より円滑にコミュニケーションをとることができます。結果、仕事もスムーズに回っていきます。
ただその上で大切なのは、「場を読むだけ」「相手の戦闘力を測るだけ」で終わりではないということ。
戦い方を変えることにつなげなければ意味がありません。
というのも、過去の私は事務所が敷いてくれたレールがあるから仕事がもらえていたことに気づかず、「自分の素質を活かせば活躍できるはず」と思い上がっていて。
だから、「この場ではAの役割を求められているな」と気づいても、「自分はBでいたい」とか「Bのほうが正しい」と思ったらBを貫くようにしていました。
その場で求められていることをしていないわけだから、当然、同じ現場に繰り返し呼ばれるようなことはほぼありませんでした。
それでも私は、「仕事って、結局は来るでしょ?」と思っていました。
仕事をとってきてくれていた事務所から離れたときにはじめて、「仕事ってなくなるんだ」と気づいたんです。
「これまでの芸能生活で、私は何をしていたんだろう…」とものすごく反省しました。
「求められている役割を果たさないといけないんだ」と痛感した私は、まずは「その場で求められていることを見極め、注力すること」を心がけるようになりました。
そのために、「場を読む作業」と「相手を知る作業」は欠かせないと気づいたんです。
そして、その場その場で求められることに対して、自分だったらどんな力を発揮できるか考えながら対応していったら、クライアントやスタッフさんから「また声をかけるね」と言ってもらえることが増え、継続してお仕事をもらえるようになった。
「その場限りの仕事じゃなくて、次につながる仕事をしなきゃいけない」とはよく言いますが、そのことを身をもって知ったんです。
現場に入ったら場を読み、相手の戦闘力を判定して、戦い方を変えていくこと。
すると、その場その場で最適なパフォーマンスが出せるようになります。
そして、自然と次の仕事につながっていくんです。
コミュニケーションの工夫が満載! 勇気をもらえる一冊
『対峙力』は、10年近くフリーランス女優として活動する中で培った、「人・仕事・自分・夢」と対峙する方法について、ジャンル別に詳しく紹介されています。
寺田さんの体験談とともに綴られるメッセージは、勇気をもらえるものばかり。今日から実践できるヒントが満載の一冊です。
コミュニケーションに悩んでいる人はぜひ手に取ってみてください!
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