メンタリストDaiGo著『悩む力』より
メンタリストDaiGo「『欠陥論理』パターンを知っておけば、速攻で論破できます」
新R25編集部
仕事は決断の連続です。
リーダーが決断をすることで、初めてチームや組織が前に進みます。
そんな重要な意思決定ですが、「これが正解だ」と、自信を持って答えを出すことは難しいですよね…。
メンタリストDaiGoさんは、質の高い情報を自ら選び抜かねばならない現代において、思考力を高めるトレーニングや「悩む力」をつける習慣が大切だと言います。
今回は、DaiGoさんが「もっとも重要視している」と語る究極の思考法を紹介する著書『悩む力ー天才にすら勝てる考え方「クリティカル・シンキング」』から、「悩んだときに合理的に考える方法」を抜粋してご紹介。
最新のエビデンスから導かれた、「自分の選択が正しかった」と思える思考法を身につけませんか?
知れば説得力・論破力が手に入る、「欠陥論理」とは?
「欠陥論理」とは、冷静に考えるとおかしいにもかかわらず、そのまま話が進んでいくような議論のこと。
たとえば次のような人を見かけたことはないでしょうか?
悩む力・「うちの会社は人手が足りないんだよ」と言っておきながら、すぐに「人件費がかかりすぎている」と言ってくる経営者
・選挙演説で「税金が高すぎる。私が無駄を減らします」と言ったそばから、「税収を上げて福祉に回すべき」などと公約を発表する政治家
どちらも前段の話を後段ですぐに否定しているため、2つのトピックがうまくつながってい
ません。
このような欠陥論理にはいくつかの定番パターンが存在し、すべての内容を知っておくと次のメリットが得られます。
悩む力・説得力が身につく
人間は論理思考が苦手なので、気を抜くと自分でも気づかぬうちに欠陥論理を使ってしまうケースがよくあります。
しかし、事前に欠陥論理のパターンを押さえておけば、論理の穴をすぐにカバーできるようになり、説得力の高い議論が可能になります。
・論破がうまくなる
世の多くの人は、ほとんど自分の欠陥論理に気づかないまま話を進めていきます。
そこで欠陥論理の存在を知っていれば、「あなたの言っていることには、こういう矛盾があります」と即座に指摘できるでしょう。
欠陥論理の存在を知っておけば、それだけであなたは理屈の穴に気づけるようになり、周囲から抜きんでた存在のように見られるはず。
これから紹介する代表的なパターンをぜひ押さえてみてください。
欠陥論理パターン① 矛盾
数ある欠陥論理のなかでも、「矛盾」はもっともよく見かけるパターン。
同じ議論のなかで正反対の情報が示されることを意味します。
「ここでは静かにしなさい!」と大声で叫ぶ人や、「この文章は嘘である」のようにパラドックスをはらんだ文章などが代表的な例です。
悩む力例「この世界で唯一確実なのは不確実性だ」
→ 不確実性の定義は「確実でない」ことなので、自己矛盾が起きています。
ただし、皮肉な表現としては有効な場面もあります。
例「現代の企業はもっと個性の強い人材を集めなければならない。みんなで個性を伸ばして行こう!」
→ みんなで伸ばそうとしている時点で個性ではありません。
このようなケースを見逃さないように、「同じ議論のなかで正反対の情報は示されていないか?」や「言っていることとやっていることが違っていないか?」といったポイントに注意を向けておくといいでしょう。
欠陥論理パターン② 偶然
「偶然」とは、その議論が例外にもとづいていることに気づけていないか、または認識しながらもその事実を隠しているパターンの論理です。
私が出会った「偶然」の例を紹介します。
悩む力例:知人から「この人はベストセラーを連発している敏腕編集者です」と紹介される
→ 本当にベストセラーを10冊出していても、いざ調べてみたら1000冊を担当して10冊当たっていただけだったようなケースはめずらしくありません。
これでは、100冊出して1冊当たっている編集者と打率は変わらないでしょう。
担当した冊数をもとにしたヒット率がわからないと、本当に敏腕なのかは判断できません。
「たまたまいい結果が出ただけでは?」という疑いを否定できるだけの根拠を提示していません。
なにかいい話を聞いたときは、「それは偶然ではないか?」と考えてみるクセをつけておくのがおすすめです。
欠陥論理パターン③ 偽要因
因果関係の順番を混同してしまう、または複雑な原因を過度に単純化するタイプの議論です。
悩む力例:「ひたすらキャベツを食べたら、どんどん痩せていった。これはキャベツにふくまれるポリフェノールが理由だ」とのニュースが雑誌に掲載された
→ キャベツはカロリーが低いので、それだけを食べていれば痩せる確率は高くなって当然です。
ポリフェノールが作用した可能性も否定できませんが、より精度の高そうな説明があれば、そちらを優先すべきでしょう。
本当の原因の、たまたま近くにあった要因を取り違えてしまうのも「偽要因」によく見られるパターンです。
「偽要因」は訓練を受けた科学者でも間違うことがあるので、これといった対処法がないのが難点です。
とはいえ、なにか常識に反した情報や定説をくつがえすような情報を見かけたら、「もしかして偽要因では?」と疑ってみて損はありません。
欠陥論理パターン④ 論点先取
「論点先取」は、自分の発言の正しさを証明するために、その結論を前提として使うタイプの論理です。
ちょっとわかりづらいので、私が過去に実際に遭遇した具体的な会話の例を見てみましょう。
悩む力・事例「ある経営者との対話」
経営者「いまの若い人たちは、失敗を恐れすぎている印象がありますね。私が若いときは当たって砕けろの精神で、もっと時間をかけてどんどん営業をかけていたもんですよ」
私「失敗を恐れすぎないためには、どうすればいいとお考えですか?」
経営者「何件もアポを取って、営業に出かけると慣れるもんですよ」
私「失敗を恐れてアポが取れない状態なのに、何件もアポを取るのは難しいと思いますが?」
経営者「...そこは、当たって砕けろですよ」
結論が話の根拠として使われており、このまま会話を進めても堂々巡りが続くだけです。
このタイプの話し手に出会ったら、「原因と結果が同じになっています」とやんわり指摘してあげてください。
欠陥論理パターン⑤ 言い逃れ
「言い逃れ」は意図的に話題を変える話法のことで、一般的な生活でもよく見かけます。
具体例を見てみましょう。
悩む力上司「なんで発注ミスなんかしたんだ? 個数が2倍も違うじゃないか?」
部下「お言葉ですが、そういうあなたも先週、企画書の締め切りを間違えたじゃないですか。それに2倍と言いますが、そこまでの大きなズレはありませんよ」
上司はあくまで発注ミスの原因を尋ねているのに対し、部下は「上司にもミスがある」と話題を変え、さらには「2倍」という数字にだけフォーカスした議論に切り替えました。
批判を相手のせいにしてすり替えるのは「言い逃れ」の定番パターンです。
文章で読むと論点のすり替えがわかりやすいものの、普段の会話でこれをやられると気づくのは難しいでしょう。
普段から「そもそもの話からズレていないか?」と意識しておき、もし「言い逃れ」を察知したら、「私はXについて話しています。Yの話題は関係ありません」とストレートに切り出してください。
欠陥論理パターン⑥ 無知の議論
自分の主張が正しいのは、その反対が証明できないからだと主張するパターンです。
証拠の不在は、存在の証拠にはなりません。
「まだ証明されていない」という事実を悪用して、自分の主張を正当化しているわけです。
日常的な例も見てみましょう。
かつて私が健康食品の販売員と交わした、実際の会話例です。
悩む力販売員「この新しいサプリは疲労感や脳機能の改善に効果があるんですよ」
私「効果を確かめたデータはどれぐらいあるんですか?」
販売員「このサプリで悪影響が出たという証拠はないし、健康被害の報告もゼロです。まったく問題ありません」
健康被害が報告されてないからといって、それでサプリの安全性が証明されたことにはなりません。
新しいサプリなのでまだユーザー数が少なく、そのせいで被害が出ていないだけの可能性もあるからです。
「ググって終わり」はもったいない。自らの頭で思考すれば、ベストな結論に近づける
世の中にあふれる情報を「へえ、そうなんだ」と受動的に受け入れるのではなく、「なぜ? それはどういう意味? 自分はどうすべき?」とつねに疑問を持つこと。
「ググって終わり」ではなく、さまざまな角度から検討し、自らの頭で思考し続けること。
ぱっと見で説得力を感じたとしても、いったん距離を置いて検討してみること。
「これらの態度を維持できれば、あなたはつねにベストな結論に近づくことができる」
と、メンタリストDaiGoさんは言います。
悩んだときに試すことで合理的な解決策を出せる究極の思考法「クリティカル・シンキング」。
その使い方が丁寧に解説されたDaiGoさんの著書『悩む力』を、ぜひ読んでみてください!
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