竹之内教博著『無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語』より
「8割でいい」と割り切った。りらくる創業者が語る、7年で270億円手に入れた方法
新R25編集部
「私はどこにでもいるいたって普通の男性です」
「何かとてつもなく難しいことをやってのけたのか? そんなことはありません」
日本中の街角で見かけるリラクゼーションのお店「りらくる」を創業、7年で直営600店舗に展開させて成功を収めた竹之内教博(たけのうちゆきひろ)さんは、そう語ります。
竹之内さんは、どのようにしてビジネスを成功させたのでしょうか?
ビジネスを成功させる「商売の考え方」を余すことなく書き綴った著書『無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語』から、「成功の裏側」と「効果を出せる組織の仕組みづくり」について抜粋してお届けします。
すべては中学1年に始まった
私がビジネスをする上でもっとも大切にしている『成功しているものを真似ること』。
その考え方が身につくきっかけとなった出来事は今よりもずっと前、私が中学1年生だった頃まで遡ります。
私が小学生の頃、私の母はかなりの倹約家で、貯金が趣味というような人でした。
私が着ているものもいつもどこからかお下がりで貰ったぼろぼろの服ばかりで、とても恥ずかしかったのを覚えています。
今になって思えば、それは母の徹底した節約であって、自分の家が貧乏だったわけではないとわかるのですが、その頃の私は、自分の家がとても貧乏なのだと思っていました。
そして、私はそれを大きな問題だととらえていました。
いつしか私は「絶対にお金持ちになってやる」という思いを人一倍強く持った子どもになっていました。
もちろん、「お金持ちになるためには、どうすればいいのか」ということも考えていましたが、具体的に何をすればいいのかわからず、「とにかく偉い人になる」「偉い人になるためには勉強だ」と、小学生時代は他の誰よりも真面目に勉強をしていました。
私は母に「私立中学に行きたい」と相談をしました。
当然、私立中学に行くには公立の中学へ行くよりもお金がかかります。
母の性格を知っていた私は「無理だ」と一蹴されるものと思っていました。
しかし、私のその言葉に母はひと言「がんばり!」とだけ言い、私立中学を受験するならと地元で一番評判のいい塾にまで通わせてくれたのです。
母が懸命にお金を貯めていたのは、子どもたちの将来のためだったのだと、私はこのとき初めて知ったのです。
半年間、受験勉強を頑張った私は3つの中学の受験に挑みました。
結果は惨敗。
それでもどうしても地元の中学に進学したくなかった私は、二次募集をしている学校を見つけ、再度受験に挑戦し、なんとか1つだけ私立中学の合格をつかみ取ったのでした。
そして私は「どうせだったら、トップを目指そう」と決めたのです。
どうすればトップになれるのか?
自分で考えてもその答えがどうしてもわからなかった私は、いつも学年トップの成績を収めている加藤くん(仮名)を観察しました。
ある日、加藤くんの家へ遊びに行った私は、加藤くんにどんな勉強をしているのかと聞いてみました。
すると加藤くんは、実は学校以外で毎日5時間勉強しているのだと教えてくれたのです。
その日から私は加藤くんの真似をして、「自分も毎日5時間勉強しよう」と決めました。
毎日5時間の勉強を続けて半年後、私は初めて、学年でトップの成績を収めました。
そして、それから卒業するまでの間、一度もその座を他の生徒に譲りませんでした。
「一番になる方法は、一番の人が知っている」ということを知り、「一番になる方法を知るには、一番の人に聞くのが早い」ということを身をもって体験し、「一番になりたければ、一番の人の真似をする」という、至極当たり前ではあるけれど、実は誰もがやらないことを身につけたのです。
社長になるため美容師に
もともと私は、人の顔や名前があまり覚えられないほど、記憶力が悪く、勉強でも暗記科目は苦手でした。
大学受験に向けた高校の勉強には暗記が多く、私の好きだった数学や物理でさえも暗記をしなければいけないものが増えてきました。
そうなると、勉強への意欲もなくなり、思うようにいい成績を残せなくなってしまったのです。
その上、私はその頃には、将来は自分で会社を起こそうと思っていましたから、サイン、コサイン、タンジェントを学ぶ意味がわからなくなってしまったのです。
この勉強が将来、自分が社長になるのに役に立つのだろうか? と。
結局、大学はたった4カ月で辞めました。
私はすぐに仕事を探し始めました。
働くなら学歴に関係なく稼ぐことのできる技術職。
体力にはあまり自信がなかったので、力仕事ではないものがいいと考えました。
そんな私が目を付けた職業が美容師だったのです。
一番早く経営者になるには手に職をつけて独立するのが良いと考えたからです。
美容師になると決めてからは、ぶれることなく仕事に打ち込むようになっていきました。
そして私は、そこでも人の真似をすることで異例の出世を遂げていくのです。
私は、通常スタイリストになるのに最低でも3年はかかると言われていた時代に、たった1年でスタイリストとなり、その半年後には店長にまでなっていました。
「8割でいい」と割り切ることが大切
1店舗の経営に全力でぶつかっていた頃の私には多店舗経営の発想はありませんでした。
とにかくその店を成功させたいと必死でしたし、「今でもいっぱいいっぱいなのに、店を増やすなんて考えられない」という気持ちも大きくありました。
ですから5店舗を経営している人は異常に見えましたし、店舗経営をしている人なんて、雲の上の存在です。
そう考えると、「そこには何か秘密があるのではないか」と思ってしまうのが私の性分です。
そして「だったら見せてもらおう」と行動に移すのもまた私の性分でした。
早速私は、チェーン展開するいくつかのお店を見せていただきました。
どのお店でも驚いたのは、経営者にそれほど必死さがないことでした。
多店舗経営者たちは8割の道を選んでいたのです。
注ぎ込む力も8割なら、売上も8割。
そんな経営です。
そのことに気がついた頃、私は別の美容室から声がかかり、引き抜かれるようにして店を移ることになったのでした。
24歳のことでした。
新しい店で、私は5店舗の統括ディレクターを任されました。
この時にはもう、多店舗を回すには8割でいいと割り切ることの必要性を私も知っていました。
経営者がいることで100万円の利益が出ていたお店の利益が80万円になるのです。
単純にいえば、20万円の損失ですが、このお店が2つあれば、どうでしょう?
3つあればどうでしょう?
2つであれば160万円、3つであれば240万円の利益が出るのです。
そのお店は経営者がいなくても8割を売り上げてくれる仕組み化が整っているお店ですから、店舗を増やすことも難しくはないでしょう。
あとはそれを5店舗、6店舗と増やしていけばいいのです。
だからこそ、8割でいいと割り切ることが大切なのです。
店舗数600以上!「りらくる」の成功で資産約270億円に
私は、そんな考え方でリラクゼーションのお店「りらくる」を経営し、店舗の数を600以上にまで増やしました。
7年間で直営店の数を600以上に増やしたという実績から、私は多くの人から同じような質問をたびたび受けます。
「どうやってこんなに店舗を拡げられたんですか?」
「いつの時点で、こんなに増やそうと思ったんですか?」
多くの人が、1店舗目が順調に成長したから2店舗、3店舗と増やしていったように思われていますが、実はそうではありません。
私は1店舗目をオープンさせるときから、「りらくるを多店舗展開させよう」と考えていました。
そこが小さくチェーン展開しているお店との大きな違いです。
店舗を持つ多くの経営者が、最初にひとつお店を出し、それが成功して初めて2店舗目、3店舗目とお店を増やしていこうと考えます。
多店舗展開は1店舗目の成功による副産物という考え方です。
2009年に31歳で「りらくる」を立ち上げ、必死に走り続けて来た私は、40歳になった時、大きく成長した「りらくる」を見て、この辺りが「出口」かもしれない、と思ったのです。
私は「りらくる」の経営に携わるメンバーに自分の考えを伝え、「りらくる」の株を売却することに決めました。
その額、およそ270億円。
2017年12月のことでした。
それから、それまでのように「りらくる」だけに時間を使わなくてもよくなった私は、ビジネスプロデューサーとして、様々な事業を展開していくことになるのです。
成功したいなら成功者を真似ればいい。竹之内さんの「商売の考え方」を知れる一冊
『無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語』は、“成功しているものを真似ること”でビジネスを成功させてきた竹之内さんだからこそわかる成功への道筋が、具体例とともに丁寧に示された一冊です。
「まずはこの本に書かれていることの中から、自分にできることを『真似する』ことから始めてみてください。それが成功へのファーストステップです」
起業を考えている若い世代や、組織の中で成長したいビジネスパーソンは、竹之内さんのこの言葉を実践して、成功への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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