ビジネスパーソンインタビュー
竹之内教博著『無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語』より
経営者次第で、誰でも営業上手になれる。「りらくる」創業者が教える、売上アップの仕組み化法
新R25編集部
「私はどこにでもいるいたって普通の男性です」
「何かとてつもなく難しいことをやってのけたのか? そんなことはありません」
日本中の街角で見かけるリラクゼーションのお店「りらくる」を創業、7年で直営600店舗に展開させて成功を収めた竹之内教博(たけのうちゆきひろ)さんは、そう語ります。
竹之内さんは、どのようにしてビジネスを成功させたのでしょうか?
ビジネスを成功させる「商売の考え方」を余すことなく書き綴った著書『無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語』から、「成功の裏側」と「効果を出せる組織の仕組みづくり」について抜粋してお届けします。
人の気持ちに左右されずに効果を出す「仕組み化」の方法
属人的な部分を廃し、誰がやってもある程度の成果を出せる仕組み化は、人の気持ちに左右されることもありません。
今、私はあらゆる事業のあらゆる場面で仕組み化を取り入れています。
仕組み化をする際、私がしているのは次の4つの項目です。
無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語1. 優秀な人(スタッフ)がやっている作業を掘り下げて分解する。
2. その中から、他の人とは違うことをして売上アップさせている部分を見つける。
3. 見つけた部分を誰でもできるルールにする。
4. それがやれているかのチェックができるようにする。
この考え方はありとあらゆる事業で使えると思います。
チェーン展開を考えているお店はもちろんのことですが、属人的な部分がある事業であればほとんど応用できるはずです。
私が美容室で実践したことをもう少し具体的に紹介します。
一つ目の「優秀な人(スタッフ)がやっている作業を掘り下げて分解する」。
簡単に記すと次のようになります。
無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語1. 席に案内する。
2. カウンセリングする。
3. 施術する。
4. シャンプー台に移動する。
5. トリートメントを勧める。
6. シャンプーする。
7. 乾かして仕上げする。
8. 会計する。
次に、「その中から、他の人とは違うことをして売上アップさせている部分を見つける」。
先の例でも紹介しましたが、この場合は5の「トリートメントを勧める」になります。
そして、「見つけた部分を誰でもできるルールにする」。
私は次のようなトリートメントの種類と値段が書かれた表を作りました。
無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語高級トリートメント 3,000円
サラサラトリートメント 1,500円
ウルウルトリートメント 500円
そして、お客様をシャンプー台にご案内したらその表を見せながら、「本日は、トリートメントはいかがなさいますか?」と聞くことをルールにしたのです。
これには大きな効果がありました。
何もなく、ただお客様にトリートメントを勧めるのは、自分の考えで勧めているように見えますが、このような表があって勧めると、あくまでも店の決まり事としてお勧めしているというスタンスを取ることができるため、スタッフもお客様にお勧めしやすくなったのです。
そして最後に、「それがやれているかのチェックができるようにする」。
このチェックができるということが、仕組み化を成立させる上でとても大切なのです。
例に挙げているトリートメントの声かけも、このチェックの部分はバージョンアップさせています。
仕組み化の「見える化」で課題を可視化する
私は、仕組み化の「見える化」を考えました。
シャンプーのあと、お客様の頭に巻くターバンの色を白黒2種類用意し、トリートメントのお声がけをしたお客様には黒のターバンを巻き、お声がけをしなかったお客様には白のターバンを巻くというルールを作ったのです。
これであれば、お声がけをしたかどうかは店内にいるスタッフ全員が一目でわかります。
もし、白いターバンを巻いているお客様がいれば、すぐになぜお声がけがまだなのかをスタッフに確認することができるのです。
スタッフたちは白いターバンを巻くのがイヤなので、お声がけをするようになるというわけです。
美容室でのこうした仕組み化を確立していった私は、その後、美容室のコンサルタントとして、多くの美容室にこれらの仕組みを導入するようになっていきました。
こうして色々なことを仕組み化していくと、経営者も働く人も楽になってきます。
経営者はスタッフの動きに関しては仕組みがちゃんと機能しているかどうかをチェックすればいいですし、働いている人は仕組み化、ルール化されていることをしっかりとやっていけばいいわけです。
誰でもできるように仕組み化されているということは、働く人にとっては個人の力量の差が生まれにくいという利点もあります。
もちろん、そんな中でもうまく機能しないという人もいます。
私は仕組み化を導入するようになってからは、その人ができないのはその人が悪いのではなく、うまく仕組み化できていない自分が悪いのだと思うようになりました。
働く人がうまく機能するように仕組み化することは経営者の責任であると思っています。
「マインドの仕組み化」で、組織の動きが一変する
私は考え方の一つ一つを社員に丁寧に説明するように心がけています。
考え方を社員全員で共有するためです。
このように一つの考え方を共有することを私は「マインドの仕組み化」と呼んでいます。
「りらくる」を離れ、ビジネスプロデューサーとなった私には、「経営を任せたい」という話も届くようになりました。
そのうちの一つにファンタジーリゾートという会社があります。
ファンタジーリゾートの経営に携わるようになったとき、私は社員全員にメールを送りました。
その内容は、「私は利益を追求しますよ」という単純なものです。
必ず利益を生むものでないと続けるつもりがないこと。
逆に、利益を生むものであれば、たとえ5千万円かかるものでもその投資は惜しまないこと。
その上で、例に上げたような考え方を提示していくわけです。
「その投資(経費)は、どのように回収できるのか?」
その時その時の感覚ではなく、私がすべてにおいてその考え方で答えを出しているので、社員にもその考え方が根付くのです。
全員が一つの考え方で答え意思決定をできるようになり、みんなが楽になるのです。
これもすべてのビジネスに通じる考え方なのではないでしょうか。
経営判断を誰か1人の感覚に頼っていては、その人がいないと物事が進まなくなり ます。
部下からの質問にその場の感覚や気分で答えたり、はっきりと答えは持っていてもその筋道を示さずに答えだけを伝えるのはとても楽です。
ですが、楽なのはその瞬間だけです。
上司がどういう考えを持って答えを出したり行動しているのかがわからない部下は何の答えも用意せずに同じ質問ばかりをしてきたり、同じ過ちを繰り返すでしょう。
ところが「マインドの仕組み化」ができていると、答えへの道筋を理解しているので、部下たちは上司がどのように判断するかを自分で考えて動くようになるのです。
質問をするときも、ある程度の答えを持ってきてくれます。
これができているかできていないかで、組織の動きは一変するのではないでしょうか?
成功したいなら成功者を真似ればいい。竹之内さんの「商売の考え方」を知れる一冊
『無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語』は、“成功しているものを真似ること”でビジネスを成功させてきた竹之内さんだからこそわかる成功への道筋が、具体例とともに丁寧に示された一冊です。
「まずはこの本に書かれていることの中から、自分にできることを『真似する』ことから始めてみてください。それが成功へのファーストステップです」
起業を考えている若い世代や、組織の中で成長したいビジネスパーソンは、竹之内さんのこの言葉を実践して、成功への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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